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交通事故に学生が被害にあった場合の慰謝料について

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員
監修 弁護士 谷川 聖治
弁護士法人ALG&Associates執行役員
愛知県弁護士会所属。私たちは、弁護士91名、スタッフ159名を擁し(2019年1月末現在)、東京、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、大阪、神戸、姫路、福岡の10拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。

学生の場合にもらえる慰謝料

交通事故の被害者となってしまった場合、相手方に対して損害賠償金(いわゆる示談金)を請求することができます。慰謝料とは損害賠償金の一部であり、交通事故に遭ったことによる精神的な苦痛に対して支払われます。精神的苦痛というものは、被害者の年齢や立場、収入によって変わるものではないので、学生だからといって慰謝料の基準が変わることはありません。 それでは、慰謝料とはどのように決まるのでしょうか。まずは交通事故に関する3種類の慰謝料についてご説明します。

入通院慰謝料

後遺障害慰謝料

死亡慰謝料

3つの慰謝料相場の基準

交通事故の慰謝料の計算方法には、3つの基準があります。

算定基準で変わる慰謝料

生徒・学生は休業損害をもらえない?

生徒や学生には原則、休業損害は認められません。休業損害とは、交通事故のために仕事を休んだことで、もらえなくなってしまった収入のことを指します。しかし、例外として生徒・学生でも休業損害が認められる場合があります。以下の項目で詳しく見ていきましょう。

アルバイトをしていた場合

学生であっても、アルバイトによる収入があれば、休業損害は認められます。アルバイトはシフト制であることが多いため、給与所得者(サラリーマン)に比べて休業損害の計算方法が少しわかりづらくなっています。

学生アルバイトの休業日数の計算

休業日数は原則、症状固定までに実際に休業した日数を基準とします。シフト制のアルバイトの場合、過去3ヶ月の勤務日を参考に、休業期間中も同じぐらいの頻度で勤務するものと仮定して算出することもあります。

学生アルバイトの休業損害の計算方法

休業損害の計算方法は、「1日あたりの基礎収入×休業日数」となります。 1日あたりの基礎収入は「事故前3ヶ月分の給与÷90日」で算出しますが、この計算方法では、基礎収入が実際の収入より低くなりすぎることがあるため、事故前3ヶ月分の給与を事故前3ヶ月の勤務日数で割る方法も検討すべきです。

請求には休業損害証明書・源泉徴収票が必要?

休業損害を請求するには、休業損害証明書と源泉徴収票が必要になります。休業損害証明書は相手方の保険会社から取得して、アルバイト先に記載してもらいましょう。源泉徴収票が取得できない場合は、代わりに賃金台帳、出勤簿、事故から過去3ヶ月分の給与明細、給与が振り込まれた通帳(写し)等の提出を求められることがあります。

休学した分の大学の授業料は請求できる?

交通事故のために通学ができず進級できなかった場合、余分にかかってしまった授業料を請求できることがあります。また、就職が遅れてしまった場合、本来であれば働いて得られたはずの収入を請求することができます。

「休業損害」について詳しく

休業損害のページへ

学生の後遺障害逸失利益

学生の逸失利益はそもそも請求できるの?

働いていない学生であっても、逸失利益(交通事故による後遺症がなければ得られたはずの利益)は認められます。将来就職して得られるはずであった収入を、逸失利益として請求することができるのです。学生は今後の就労期間が長いため、社会人に比べて高額になる可能性があります。

学生の逸失利益の基礎になる収入はどうやって計算するの?

基本は、全国の平均賃金の調査である賃金センサスをもとに、男女別全年齢平均賃金を基礎収入とします。ただし、高校生であっても大学進学の予定があれば大卒平均賃金を基準としたり、大学生であっても医学部生であれば医師の平均賃金を、就職内定が決まっていれば内定先の平均賃金を基準としたりする場合があります。 高校生以下であれば18歳から67歳まで、大学生であれば大学卒業時から67歳までを就労期間と見込んで計算します。 後遺障害逸失利益の計算方法は、以下のとおりとなります。 逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数

交通事故慰謝料大学生の裁判例

それでは実際に、学生の交通事故の裁判例をいくつか見てみましょう。

事故により入学できなかった場合

大学進学のために受験勉強中だった男性(A)が、交通事故に遭い、その年の大学入学試験を受験することができず、大学入学が1年遅れてしましました。 入学が遅れたことにより、Aさんには、1年間の就職遅れによる休業損害として、賃金センサス男性大卒20歳から24歳の平均収入を基礎に、322万7100円の請求が認められました。 その他に、後遺障害逸失利益として9466万2789円、入通院慰謝料及び後遺障害慰謝料として1866万円の請求が認められています。(東京地方裁判所 平成11年(ワ)第14044号)

事故により就職活動できなかった場合

短大2年生であった女性(B)は、当時就職活動中でしたが、交通事故に遭ったことにより、就職活動を中断せざるを得なくなってしまいました。 そのため、事故翌年4月における就職が不可能となり、Bさんには、就職が1年遅れたことによる休業損害として、賃金センサス女性短大卒20歳から24歳の平均収入を基礎に、290万5300円の請求が認められました。 その他に、後遺障害逸失利益として1328万7700円、入通院慰謝料及び後遺障害慰謝料として1110万円の請求が認められています。(横浜地方裁判所 平成10年(ワ)第4598号)

事故により留年し就職が遅れた場合

大学2年生であった男性(C)は、交通事故のために1年間の留年を余儀なくされました。 Cさんは交通事故に遭わなければ留年せずに卒業し、就職できたはずであるため、留年した分の授業料37万5600円及び休業損害として、賃金センサス男性大卒20歳から24歳の平均収入を基礎に、479万4000円の請求が認められました。 その他に、後遺障害逸失利益として5856万5692円、入通院慰謝料及び後遺障害慰謝料として1300万円の請求が認められています。(東京地方裁判所 平成10年(ワ)第11494号)

事故に遭わなければ大学に入学・卒業していた場合

高校3年生であった女性(D)は、交通事故のため寝たきり状態となってしまい、大学進学を希望していましたが、大学の入学・卒業ができませんでした。 交通事故に遭わなければDさんが就労開始していた日から症状固定日までの休業損害が認められ、その額は賃金センサス女性大卒20歳から24歳の平均収入を基礎に、426万6049円となっています。 また、後遺障害逸失利益として、症状固定時の23歳から67歳までの期間、賃金センサス女性大卒全年齢の平均収入を基礎に、7625万1948円の請求が認められました。 慰謝料については、Dさんへの入通院慰謝料及び後遺障害慰謝料として3500万円以外に、Dさんの両親に対してもそれぞれ400万円の請求が認められています。(大阪地方裁判所 平成16年(ワ)第1808号)

事故に遭わなくても収入が減ることが予想された場合

大学1年生であった男性(E)は、交通事故前よりアルバイトを行っていました。ただし、Eさんは事故に遭わなかったとしても、クラブ活動や就職活動を始めることによってアルバイトを減らしていた可能性があったため、休業損害額はアルバイト収入額の6割相当分として、243万4191円となりました。 その他に、後遺障害逸失利益として1674万6165円、入通院慰謝料及び後遺障害慰謝料として580万円の請求が認められています。(名古屋地方裁判所 平成18年(ワ)第4453号)

弁護士に依頼するメリット

交通事故の慰謝料は、被害者の方が自分で交渉すると、相手方の保険会社の基準が適用されてしまいますが、弁護士基準で計算すれば、より高い金額を請求することができます。学生の場合、アルバイトをしていたり、入学や就職の予定があったりと立場が様々なので、適切な金額で損害賠償金を請求するためにも、弁護士に相談することをお勧めします。何より、示談交渉や裁判に向けた準備の手間と労力を省けることが、被害者の方にとっての最大のメリットです。

まとめ

学生であるからといって、社会人に比べて慰謝料が変わることはありませんが、計算方法に3つの基準のどれを適用するかによって、その金額は大きく変わってきます。また学生であっても、アルバイトによる収入があったり、就職が遅れたりした場合は、休業損害が認められます。さらに後遺症が残れば、逸失利益を請求することも可能です。 交通事故でお困りの際には、ご自身が納得のいく損害賠償金が請求できるよう、弁護士に今後の方針を相談してみてください。

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