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交通事故慰謝料の休業損害の請求方法について

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目次

「休業損害」とは?

休業損害とは、交通事故の損害賠償請求の対象となる損害の一つで、事故によって働けなくなったことにより得られなくなった給与や収入等を指します。 交通事故により収入が途絶えると生活がままならなくなるため、交通事故被害者にとって、非常に重要な請求対象のひとつです。

交通事故において休業損害がもらえる人・もらえない人

休業損害がもらえる人は、労働により収入や利益を生んでいる人です。 例えば、給与所得者(サラリーマン)や個人事業主(自営業者)はもちろん、アルバイトをしている学生ももらうことができます。ただし、無職の人やアルバイトをしていない学生等は労働による収入がないためもらうことができません。 また、家事従事者(専業主婦)は実際の収入はありませんが、その働きがなければ家事代行サービス等の出費が必要だったと考えられるため、家事労働による利益を生んでいるとみなされ、主婦休損として休業損害をもらうことができます。

「休業損害」と「休業補償」の違いは?

休業損害も休業補償も、どちらも負傷によって働けなくなった時に、収入や利益の損害の補償をするものですが、休業補償は労災保険による休業補償給付を指します。休業損害は、交通事故加害者に対して損害賠償請求をするための、損害項目のひとつです。

「休業補償」とは?

正しくは休業補償給付といい、勤務中や通勤中に交通事故等により負傷し働けなくなった時に労災保険から給付される補償です。

「財産的損害」は「積極損害」と「消極損害」に分けられる

交通事故による損害は、財産的損害と精神的損害に分けられます。 そのうち、財産的損害はさらに積極損害と消極損害に区別されます。 積極損害は、交通事故が発生したことにより、被害者の方が支出することになった費用です。消極損害は、事故がなければ得られたであろう収入や利益をいい、休業損害、後遺症による逸失利益、死亡による逸失利益の3種類が代表的なものです。

交通事故の損害賠償請求における休業損害は3基準の計算方法がある

休業損害の3つの基準と計算方法

自賠責基準

自賠責基準による補償金の算定方法を説明します。 自賠責基準によると、休業により収入が減少したまたは有給休暇を使用した場合には、原則「5700円×休業日数」が支払われます。 ただし、必ずしもこの金額である必要はありません。たとえば、1日の休業損害が5700円を超えることを資料等で証明できる場合には、日額を「1万9000円」まで増額することが可能です(自動車損害賠償保障法施行令第3条の2参照)。

任意保険基準

任意保険基準とは、保険会社ごとに異なる補償額の基準です。任意保険基準という用語がよく用いられますが、統一された明確な基準が存在するわけではありません。 この会社ごとの基準は公開されていませんが、人身傷害保険特約の約款を参考にすることができます。 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社の普通保険約款・特約(平成30年1月)によると、「事故直前3ヶ月の月例給与÷90日×対象休業日数」とされており、1日当たりの収入額が5700円を下回る場合及びその額の立証が困難な場合は1日につき5700円とされています。したがって、自賠責保険の基準に準じていますが、上限が設定されていないのが自賠責基準との違いでしょう。

弁護士基準

交通事故の相手方と裁判をした時に、裁判所が判断するであろう損害賠償金額の基準です。裁判基準ともいいます。 弁護士基準では、事故前の収入を基礎として、休業により現実に減った額を収入源とします。 この弁護士基準では、自賠責基準とは異なり、自身の過失を過失相殺され減額される可能性があります。

症状に応じて収入額が減額されるケースも

交通事故によって怪我をしてもだんだんと回復していくことから、休業損害の適切な支給額について争いが生じる場合があります。 例えば、交通事故により1ヶ月入院し、その後退院したとします。退院後2ヶ月間は、全く仕事ができなかったため医師の指示のもと休業しましたが、3ヶ月目以降は、職場復帰できる状況だったものの通院の必要性があったため、仕事を完全に休んでいたとします。 この場合、入院中は当然100%の休業損害をもらうことができるのは異論がないと思います。また、退院後2ヶ月間も医師の指示に基づき仕事を休んだのであれば、休業損害が支払われるでしょう。ただし、3ヶ月目以降、職場復帰できるにもかかわらず、通院のため仕事を休んでいた場合に、休業損害が全額払われるかは争いの余地があります。 具体的な状況に応じて、なぜ休業せざるを得なかったかを立証し、休業損害を請求していく必要があるでしょう。

休業日数の数え方は?

休業日数は、原則、仕事を実際に休んだ日を基準とします。ただし、休んだからと言って必ず休業日数とされるわけではありません。被害者の怪我の程度、実際に治療にかかった日数やその他さまざまな事情を考慮して、休業日数は判断されます。 自営業等で客観的に休業を証明する手段がない場合には、実通院日数を参考として算出されることが多くあります。

休業損害の請求方法

休業損害証明書の書き方

休業損害証明書は、被害者本人ではなく、被害者の勤務先に作成してもらいます。人事・総務担当者等にお願いして、作成してもらうことが多いでしょう。 具体的な記載事項や添付資料としては、

  1. 前年分の源泉徴収票
    (源泉徴収票がない場合等は、事故発生前の3ヶ月分の賃金台帳の写し等を添付することがあります)
  2. 勤怠情報(事故の影響で休業した日に〇、所定の休日に×、遅刻した日には△と時間、早退した日には▽と時間を記入)
  3. 休んだ期間の給与の支給量、支給形態について該当箇所に〇を記入
  4. パート、アルバイトの場合には所定労働時間や時間給等の雇用情報

最後に作成年月日を記入し、社印を押します。

休業損害証明書の付加給とは?

休業損害証明書の付加給とは、休業損害の対象である本給・手当・賞与に加えて支給対象に含めることができる特別な手当てです。具体的には、皆勤手当や残業代等をいいます。 原則、休業損害の基礎収入額は、本給と付加給の合計額で計算されます。

休業損害はいつ、どこまで、どのくらいの期間もらえるの?

休業損害はいつもらえるの?

保険会社が休業損害証明書を確認した後、資料が揃っていればおおよそ一週間前後で支払われます。 月ごとに休業損害を受け取ることも可能です。月ごとに受け取りたい場合には、その月ごとに休業損害証明書を提出すれば、その月分の休業損害を受け取ることができます。 また、休業損害の支給が遅れる場合は、保険会社が休業損害の支払いの打ち切りを検討している可能性があります。

休業損害はどこまでもらえるの?

多くの場合、休業損害の1日当たりの基礎収入は、事故の直近3ヶ月分の給与を90で日割りした平均賃金×休業日数で計算されます。 つまり、直近3ヶ月分の給与に住居手当等、賃金に付随する手当が含まれていた場合には、その手当も含めて計算されます。 また、休業中に昇給、昇格のあった場合には、昇給昇格後の収入を基礎として計算します。休業により賞与の減額や不支給、昇給や昇格遅延があった場合には、立証ができればこの損害も損害額として請求できます。

休業損害はどのくらいの期間もらえるの?

負傷の程度にもよりますが、症状固定が認められるまでの休業期間について、休業損害を受け取ることができるのが一般的です。症状固定の後は休業損害請求はできないので、さらに労働分の損害賠償請求をしたい場合は、後遺障害等級(第1級~第14級)の認定を受け、後遺障害逸失利益として請求することとなります。

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「休業損害」と有給・慰謝料・傷病手当金は二重取りできるの?

休業損害と有給

通院等のために有給休暇を使用して休業した場合、その分の休業損害についても受け取ることができます。 そもそも休業損害を支給する理由は、事故のために働けなかったことにより発生した損害を補償するためでした。有給(年次有給休暇)とは、法律で労働者に認められた、休暇中も賃金を受け取ることのできる権利です。そして、事故がなければ使用されなかったので、事故によって権利を失った、つまり損害を受けたといえます。 そのため、有給休暇を使用した場合にも休業損害は認められるのです。

休業損害と慰謝料は別々に請求できる

休業損害と慰謝料は別々に請求できます。 なぜなら、休業損害と慰謝料は、どちらも交通事故により入通院しなくてはならなくなったことを理由として請求できるものですが、それぞれの損害の種類は異なるからです。 損害賠償請求をする場合は、損害を様々な項目に分け、その項目を積み上げて請求していくことになります。 そのうち、休業損害は財産的損害に、慰謝料は精神的損害に対する賠償請求に分類できます。 したがって、休業損害と慰謝料は損害の種類が異なるため、それぞれ別々に請求できるのです。

休業損害と労災・傷病手当金の休業補償の二重取りはできない?

休業損害と慰謝料は別々に請求できると説明しましたが、これに対し、休業損害と休業補償は二重に請求できません。 休業損害も休業補償も、休業したことによる損害に対する補償です。 このように補償の対象が同じですので、休業損害と休業補償の二重取りはできません。 しかし、休業補償給付は給付基礎日額の60%しか支給されないため、休業補償の額が休業損害の額を下回ることが多くあります。休業損害と休業補償のどちらの支給を受けるか選択することが可能ですので、休業損害と休業補償の支給額とに差額が生じる場合には、その補償分の差額を受け取ることができます。 また、休業補償給付では、60%の休業補償給付とは別に、休業特別支給金として20%の給付がされますが、休業特別支給金については、二重取り(損益相殺)の対象となりません。

一度職場復帰したら休業損害はもらえない?

症状固定前に職場復帰をしたとしても、復帰後の分の休業損害は請求することができます。 そもそも、休業損害は、事故がなければ得られたはずの収入や利益をいいました。そして、休業損害に対する補償は症状固定によって終了します。 しかし、まだ症状固定していない状態で職場復帰し、通院のため等事故の影響により休業することもあるかもしれません。その際は、休業した日について勤務先に休業損害証明書を出してもらい保険会社に提出することで、休業損害の支給を受けることが可能です。

弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼をするメリットとして、賠償額の増額が挙げられます。 自賠責基準や任意保険基準による休業損害の算定額は、弁護士基準と比べて少額です。 弁護士が介入すると、保険会社としては裁判に発展させたくないため、弁護士基準での交渉に応じざるを得ません。そして、実際の裁判においても、休業損害や慰謝料等は弁護士基準で算出されます。このように、弁護士に依頼すると、賠償額が増額する可能性が高くなるのです。 そうはいっても、弁護士費用が心配なところですが、弁護士費用特約のついた保険に加入していれば、保険会社が弁護士費用を負担してくれるので、費用はかかりません。安心して弁護士に依頼することができます。

休業損害に関する裁判例

休業損害に関する裁判例には、以下のようなものがあります。 大阪高等裁判所判決 平成15年(ネ)第2120号 損害賠償請求事件

<事案の概要>

歩行中、交通事故により怪我をしたタクシードライバーである被害者(控訴人)が、車を運転していた加害者(被控訴人)に対して自賠法3条に基づき損害賠償を請求した事案です。 主な争点は、被害者の後遺症の有無及び損害で、休業損害についても問題となりました。

<裁判所の判断>

平成13年1月10日の事故により受傷した被害者の休業損害について、裁判所は、被害者の主張する右肩可動域の運動制限が平成14年9月14日には著しく改善したと認め、休業損害の支払い期間を平成14年9月20日までとしました。 この点、実際の被害者の労働能力喪失期間は怪我の程度からみておおよそ3ヶ月だったため、事故発生日から3ヶ月後の平成13年3月30日より後の休業損害は認められないという主張が被告人からされました。 しかし、平成13年4月中旬頃、被害者の当時の勤務先会社が、タクシー乗車業務に復帰するという被害者の申し出を乗客の安全確保のために断ったことや、平成13年4月は未だ抜釘前で痛みが残っていたことを鑑みると、被害者は、平成13年8月20日に後遺症診断を受けるまでは100%労働能力を喪失していたと考えられます。そして、その後平成14年9月14日までについては、後遺障害等級第12級に相当する症状により労働能力喪失率が14%であったと考えられるから、休業損害として312万7241円を認めました。

まとめ

休業損害について理解を深めていただけたでしょうか。 まだわからない、または実際に事故に遭遇した場合にさらに知識が必要になることがあるかもしれません。弁護士に相談すれば、そのような悩みも解決します。 そして、賠償額も増額する可能性が高くなります。 困ったらお気軽に弁護士にご相談ください。