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もらい事故の慰謝料

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates執行役員
監修 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates執行役員

赤信号無視の相手方車両との接触や、駐停車中の相手方車両からの追突等、被害者側の過失がゼロである「もらい事故」という事故態様があります。防ぎようがなかった事故による損害は、正当に賠償を受けたいところです。 示談交渉において「もらい事故ならではの注意点」がありますので、以降詳しく解説していきます。

もらい事故ってどんな事故?

もらい事故とは、被害者に全く責任がない交通事故のことをいいます。交通事故が起こると、その結果に対して当事者双方にどの程度責任があったかということを明確にするために、過失割合というものを定めます。もらい事故では被害者に過失がないので、過失割合は「加害者対被害者=10対0」となります。 もらい事故で代表的なのは、信号待ちで停車中に後続の車に追突されるといったケースです。

もらい事故の場合、被害者が相手方の保険会社と交渉しなければならない

事故の当事者双方に過失がある場合、どちらも任意保険に加入していれば、通常はそれぞれの保険会社同士が示談交渉を行います。なぜなら、大抵の任意保険には「示談代行サービス」がついているためです。示談代行サービスが適用されれば、保険会社が契約者の代わりに事故の相手方と示談交渉を行うことになります。 しかし、もらい事故の場合、被害者は示談代行サービスを利用することができません。そのため、被害者自身が直接相手方の保険会社と交渉する必要があります。

もらい事故の場合に保険会社が交渉できないのはなぜか

事故の被害者であっても過失が認められれば、加害者の損害に対して過失割合に応じた賠償金を支払わなければなりません。そのため、被害者側の保険会社には保険金の支払い義務が生じます。 しかし、もらい事故では被害者に過失がないので、加害者に賠償金を支払う必要がありません。つまり、被害者側の保険会社には支払い義務がないため、保険契約者の事故であっても、協議に関わる必要がないということです。 事故とは無関係な立場にある者が示談交渉を代行してしまうと、弁護士法第72条に違反してしまうおそれがあります。弁護士法第72条に違反すると、2年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されてしまうため、被害者側の保険会社はもらい事故では示談交渉を代行することができないのです。

【弁護士法第72条】

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

もらい事故の慰謝料相場はいくら?

もらい事故特有の慰謝料相場というものはありません。慰謝料は、損害賠償金の費目のひとつで、被害者の精神的苦痛に対して支払われるお金ですが、事故の態様によって精神的苦痛の程度が変わるとは言えないため、もらい事故の慰謝料の算出方法は一般の事故と変わりません。 とはいえ、自分には全く責任がないにも関わらず、一般の事故と同様に扱われてしまっては納得がいかないかと思います。 交通事故では、公平を期するために、被害者にも過失が認められる場合に限って過失相殺という制度が適用されます。過失相殺が適用されると、被害者が請求できる損害賠償金は過失割合の分だけ減額されます。さらに加害者にも損害があれば、先ほど説明したとおり、過失割合に応じた賠償金を支払う必要があるため、最終的に被害者の手元に残る金額はさらに減ることになります。 しかし、もらい事故であれば、被害者に過失がないことから過失相殺は適用されないため、損害賠償金を満額受け取ることができます。 このように、もらい事故と一般の事故では、過失相殺によって損害賠償金に差がでる仕組みになっているのです。 過失相殺について詳しく知りたい方は、下記のページを参照してください。

過失割合が1割違うと大幅に損してしまう?過失相殺について

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事故の種類と慰謝料

物損事故の場合は慰謝料を請求できない

交通事故には、物が壊れるだけで済む「物損事故」と人の身体に危害が及ぶ「人身事故」の2種類があります。警察に対してどちらの事故で申告するかは、当事者間の話し合いで決めることができます。 物損事故では、相手に対して自動車の修理代等を請求することはできますが、慰謝料を請求することはできません。慰謝料は上述のとおり、精神的な苦痛に対して支払われるものですが、その補償範囲は人身損害に限られているためです。 また、物損事故では自賠責保険を使うことができないので、その点についても注意が必要です。

人身事故の場合は慰謝料を請求できる

一方、人身事故では、加害者に対して慰謝料を請求することが可能です。慰謝料は3種類に分類することができ、事故による怪我の治療で入通院した場合に請求できる「入通院慰謝料」、後遺障害が残った場合に請求できる「後遺障害慰謝料」、死亡した場合に請求できる「死亡慰謝料」があります。 それぞれの慰謝料の相場について詳しく知りたい方は、下記のページを参照してください。

交通事故慰謝料の相場

「もらい事故で過失0だから慰謝料額に心配はない」のは間違い

「もらい事故で過失0ということは過失相殺が適用されることもないので、相手方の保険会社に任せておけば、十分な金額の慰謝料を受け取れるだろう」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それは間違いです。 慰謝料を算出する際には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準という3つの算定基準のうちのどれかを適用します。最も高額な慰謝料を請求できる可能性がある基準は弁護士基準ですが、保険会社は営利を目的としているため、自ら弁護士基準で慰謝料を算出することはまずありません。つまり、保険会社に任せきりでは、適正な金額の慰謝料を受け取ることができないということです。

かといって自力での交渉は難しい

被害者の方が弁護士基準を用いて、自力で損害賠償金の増額交渉をしようとしても、保険会社はほとんど取り合ってくれません。保険会社は交渉のプロであるため、あの手この手で被害者の方を言いくるめようとしてきます。たとえ損害賠償金の一部の費目を増額してもらえたとしても、別の費目が減額されていたということもよくあります。交通事故問題や交渉の素人である被害者の方だけでは、損害賠償金のすべての費目について把握し、保険会社の主張に対抗するのはなかなか難しいでしょう。

弁護士に交渉を任せましょう

もらい事故でご自身の保険会社に頼ることができないようであれば、弁護士に依頼することをお勧めします。弁護士は被害者の方の完全な味方となって、示談交渉を含む相手方の保険会社とのやり取りをすべて代行します。そのため、被害者の方は余計なストレスに悩まされることなく、怪我の治療に専念することができます。

弁護士に依頼すれば高額の慰謝料を受け取れる可能性がある

弁護士は、弁護士基準を用いて慰謝料を算出するため、相手方の保険会社が提示する慰謝料よりも高い金額で交渉することが可能です。弁護士基準は、弁護士が使用することでその効力を最大限に発揮します。なぜなら、弁護士が示談交渉に介入すると、保険会社は裁判に発展することをおそれて、弁護士基準での交渉に応じるようになるためです。 弁護士は、被害者の方に有利になるような証拠を集めて、論理的に主張することを得意とします。そのため、弁護士に依頼をすれば、慰謝料を含む損害賠償金が増額する可能性が高まります。

弁護士に相談・依頼するタイミング

弁護士への相談・依頼は、できるだけ早いタイミングでするべきです。示談交渉中に依頼をすることも可能ではありますが、その段階では改善すべきポイントがあったとしても、すでに手遅れということもあり得ます。 事故直後に相談をすれば、より高額な入通院慰謝料が請求できるような通院方法についてアドバイスを受けることが可能です。また、怪我が症状固定(それ以上治療を続けても大幅な改善が見込めない状態)と診断された後であれば、次項で説明する後遺障害等級認定の申請でサポートが受けられます。

後遺障害等級認定の申請でサポートを受けられる

事故によって後遺症が残ってしまった場合、後遺障害等級認定の申請を行うことになります。後遺症が後遺障害として等級認定されれば、後遺障害慰謝料を請求することができます。後遺障害慰謝料は等級によって金額が変わるため、より高い等級を獲得できるかが慰謝料増額のポイントになりますが、申請書類である後遺障害診断書の作成を医師任せにしても、高い等級が獲得できるわけではありません。 弁護士は、診断書に記載すべき内容や行うべき検査を医師に伝え、必要に応じて補強資料を用意することができるため、より高い等級が獲得できる可能性が高まります。 後遺障害等級認定について詳しく知りたい方は、下記のページを参照してください。

後遺症の慰謝料は後遺障害等級によって決まる

後遺障害等級の認定申請方法|事前認定・被害者請求

弁護士費用特約があれば弁護士費用なしで依頼できる

示談交渉は弁護士に任せた方が良いといっても、弁護士費用が心配だという方も多いかと思います。しかし、もしご自身が弁護士費用特約の補償対象となっていれば、保険会社に弁護士費用を300万円まで負担してもらえます。一般的に交通事故案件の弁護士費用が300万円を超えることはほとんどないため、実質自己負担なしで弁護士に依頼することができます。 弁護士費用特約は、ご自身の任意保険で加入していなかったとしても、ご家族が加入していれば適用されることがあるので、一度調べてみてください。

弁護士費用特約を効果的に利用する場合

弁護士の探し方

弁護士に依頼をしようと思ったけれど、どのような弁護士を探せば良いのかわからないという方もいらっしゃるでしょう。 一口に弁護士と言ってもそれぞれに得意分野があるため、まずは交通事故案件を多く取り扱っている弁護士を探しましょう。さらに、交通事故案件では後遺障害等級認定等で医療問題が絡んでくるため、医学的知識も豊富な弁護士だと安心です。その上で、実際に会って話をしてみて、信頼ができると思えるような弁護士に依頼をするべきです。

もらい事故の対処法と流れ

もらい事故に遭ったときにやるべきことは、一般の事故と変わりません。以下に流れを記載しましたので、参照してください。

  • ①警察へ連絡する
  • ②加害者の氏名・住所・連絡先等を確認する
  • ③事故現場の記録をとる(写真・メモ・音声データ等)
  • ④目撃者の連絡先を聞いておく
  • ⑤自身が加入している保険会社へ連絡する
  • ⑥病院で診断を受ける
  • ⑦交通事故証明書の交付を受ける

なお、この流れは軽症のケースを想定しているので、重症を負った場合はとにかく周囲の人に救急車を呼んでもらいましょう。 また、事故直後にやるべきことがひと段落したら、弁護士への相談を検討することも重要です。

保険会社は被害者にも過失があると主張することがある

もらい事故であっても、示談交渉で相手方の保険会社が「被害者にも過失がある」と主張してくることがあります。これは、上述のとおり、被害者にも過失が認められれば、その割合の分だけ加害者側が支払う損害賠償金を減らすことができるためです。 過失割合は、1割違うだけでも損害賠償金の額に大きく影響してきます。そのため、相手方の保険会社に言われるがままに、不当な過失割合を認めてしまわないように気を付けましょう。

損害賠償金請求の時効について

相手方の保険会社の対応が悪いと、示談交渉を進める気になれないこともあるかと思います。しかし、そのまま話し合いを放置してしまうと、損害賠償金を受け取れなくなってしまう可能性があるので、注意が必要です。 民法では、損害賠償請求権の時効を3年と定めています。時効の起算日は事故によって異なり、物損事故の場合は交通事故発生日、後遺障害のある人身事故の場合は症状固定日となります。 しかし、反対に考えれば時効までは3年の猶予があるので、治療途中の段階で保険会社から示談交渉を急かされたとしても、焦る必要はないということを覚えておいてください。

時効までに示談が成立できそうにない場合

もらい事故に遭ったら弁護士にご相談ください

もらい事故は被害者に過失がない事故ですが、一般の事故と違って、被害者自身が相手方の保険会社と示談交渉を進める必要があります。保険会社は交通事故の示談交渉に慣れているため、不当に低額な損害賠償金を提示して、被害者を言いくるめようとすることも少なくありません。 そのような事態に陥らないためにも、もらい事故に遭ったら弁護士に依頼することをお勧めします。弁護士は弁護士基準を用いて慰謝料を算出するため、損害賠償金が増額する可能性が高まります。 弊所では、電話やメールによる無料相談も受け付けていますので、まずはお気軽にご連絡ください。

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