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交通事故裁判の流れや費用・期間を徹底解説|交通事故の慰謝料

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

交通事故の被害に遭い、相手方と示談交渉を行っても、まったく進展しない場合はどうすればよいのでしょうか?そのための対処法のひとつとして、民事裁判を起こすという方法があります。 ただし、裁判にはメリットだけでなくデメリットもあるため、慎重に判断する必要があります。 このページでは、民事裁判を起こすために必要な手続き、かかる期間や費用、裁判を起こすメリットとデメリットなどについて説明していきますので、裁判を考えている方は、ぜひ参考になさってください。

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目次

交通事故の裁判「民事裁判(民事訴訟)」とは

交通事故の裁判には「刑事裁判」と「民事裁判」がありますが、交通事故の損害賠償請求は、私人間の紛争なので民事裁判で争われます。 「民事裁判」とは、交通事故の責任の有無や損害賠償額といった私人間の紛争を裁判所に解決してもらう手続きのことをいいます。 当事者のどちらかが、地方裁判所や簡易裁判所に訴えを起こすことで、民事裁判がスタートします。 裁判では、当事者が主張する事実が本当に存在するのかどうかについて、裁判官が、提出された証拠に基づいて認定し、被害者に支払うべき損害賠償金額などについて最終的な判決を下します。判決が出る前に、裁判所から和解案が出されることもあります。この場合、お互いが合意したなら、和解が成立して、判決がでることなく裁判は終了します。 なお、民事裁判では、訴えを起こした人のことを「原告」、訴えられた人のことを「被告」といいます。

刑事裁判との違い

刑事裁判とは、交通事故の加害者の行為が刑法などに違反して有罪なのか、有罪であるならどのような刑罰を与えるべきかを審理し、決定する手続きのことをいいます。検察官が加害者(被告人)を裁判所に起訴することによって、刑事裁判がスタートします。最終的には、「加害者を過失運転致死罪により懲役3年の刑に処す」というような判決が下されることになります。 一方、民事裁判は加害者が被害者に対してどのぐらいの賠償金を支払わなければいけないか決めるために行われるものです。そのため、被害者に対する損害賠償金について、刑事裁判で審理されることはありません。

交通事故の慰謝料で裁判に至るケース

交通事故の慰謝料をはじめとする損害賠償について、当事者間で解決できない場合は、最終的な手段として裁判を起こすこともあります。交通事故で裁判に至るケースは、主に以下のとおりとなります。

示談交渉・ADR・民事調停で解決しない場合

交通事故の損害賠償については、まず示談交渉で話し合われることになりますが、示談が不成立となった場合は、裁判のほか、ADR(裁判外紛争解決手続)や民事調停を利用することも可能です。示談交渉、ADR、民事調停の内容を下記の表にまとめましたので、ご覧ください。 示談交渉やADR、民事調停で解決できなかった場合は、裁判を検討するべきでしょう。

示談交渉 加害者と被害者が直接話し合って、損害賠償問題の解決を目指す手続きです。お互いに代理人を立てることも可能です。お互いの合意がなければ、示談は成立しません。
ADR 交通事故紛争処理センターなどに登録する弁護士が、公平中立的な立場から、相談、和解のあっせんを行います。あっせんで和解に至らなかった場合には、紛争解決のための審査・裁定などを行います。和解あっせんでは加害者と被害者双方の合意がなければ和解は成立せず、裁定になった場合には被害者の同意がないと和解は成立しません。
民事調停 裁判所が選んだ調停委員に主張を伝えて、調停委員を介して当事者双方が話し合い、解決を目指す手続きです。加害者と被害者双方の合意がなければ、調停は成立しません。

慰謝料を含む損害賠償額が大きい場合

重い後遺障害が残ったり、死亡したりしたような、重大な被害結果が遺る交通事故においては、損害賠償額がかなり高額になる傾向にあります。そのため、加害者側の保険会社が支払いを抑えるため、賠償金の減額を主張してくることがあります。このような事案で交渉が決裂した場合は、裁判を検討するべきでしょう。

後遺障害等級や過失割合で争いがある場合

後遺障害等級とは、交通事故にあって治療を受けても残ってしまった後遺症について、自賠責保険から認定される等級のことです。 これが認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料などを請求できるようになります。 ただし、必ずしも希望どおりの等級に認定されるわけではありません。 また、被害者の過失割合が小さいほど、加害者が支払うべき賠償金は高額になります。そのため、保険会社としても過失割合は重大な関心事となるため、その割合について合意できない可能性があります。後遺障害等級や過失割合で争いになった場合は、これらを裁判所に判断してもらうために裁判を検討すべきでしょう。

交通事故の民事裁判手続きの流れ

交通事故の民事裁判の流れは以下のとおりとなりますので、ご確認ください。

①裁判所に訴状を提出

民事裁判を起こすためには、まずは訴状を作成して、裁判所に提出する必要があります。 交通事故裁判の場合、訴状の提出先は、通常、被害者または加害者の住所地を管轄する裁判所と事故発生場所を管轄する裁判所の中から選びます。裁判所にも種類があって、基本的には、支払いを求める損害賠償金額が140万円以下の場合は簡易裁判所、140万円を超える場合には地方裁判所に訴状を出します。弁護士に依頼した場合は、弁護士が訴状の作成や提出、訴状の内容を証明する証拠書類の準備などの手続を行うことになります。 裁判所に提出された訴状は、加害者にも送達されます。 加害者は訴状に対する反論をまとめた答弁書を作成して、裁判所が指定する期限までに、裁判所と被害者に送付しなければなりません。

損害賠償金額 提出先
140万円以下の場合 簡易裁判所
140万円を超える場合 地方裁判所

②口頭弁論

訴状を提出すると、通常、1~2ヶ月後の日が第1回口頭弁論期日に指定されます。 口頭弁論では、当事者またはその代理人が裁判所に出廷し、当事者双方が口頭や書面で裁判所に対し主張します。また、その主張を証明する証拠を提出したりします。その上で、裁判所から、双方の主張と争点が整理され、次回期日が指定されます。通常、期日は1~2ヶ月先の日が指定されます。 弁護士に依頼した場合は、基本的には、ご自身が裁判に出廷する必要はなく、弁護士が出廷します。ただし、本人尋問が行われる場合などについては、ご自身が出廷する必要があります。

③証拠集め・提出(証拠集めは訴状提出前からも必要)

双方の主張が正しいことを証明するためには、証拠を裁判所に提出することが重要です。個々のケースによって変わりますが、交通事故裁判でよく使用される証拠は以下のとおりです。 なお、主張は証拠に基づいて行われるため、証拠の多くは提訴前から収集をおこない、訴状と一緒に裁判所へ提出するのが通常です。

  • 交通事故証明書
  • 実況見分調書
  • 診療報酬明細書
  • 医師の診断書
  • 病院から取り寄せたカルテ
  • 勤務先の源泉徴収票
  • 目撃証言やドライブレコーダー
  • 車両の破損状況がわかる写真、修理の見積書
  • 通院交通費の領収書

裁判所は提出された証拠を確認したうえで、加害者や被害者に対する本人尋問、目撃者等に対する証人尋問を行ったりします。弁護士に依頼すれば、弁護士が被害者の主張を裏付ける証拠収集や、そのサポート、裁判所への提出を行います。また、本人尋問が予定される場合には、予行演習などの尋問対策を行うこともあります。

④和解協議

裁判途中であっても、お互いに合意すれば和解が成立します。 双方の主張・争点・証拠が充実したときなど、裁判所から和解案が示されて、和解を勧められることがあります。和解協議を行って、お互いに合意すれば和解が成立して、裁判は終わります。この場合、裁判所が和解調書を作成するので、強制執行も可能になります。 東京地裁では交通事故の裁判の約73%は和解で終わっています。 和解を勧められたら、メリットとデメリットを検討し、和解に応じるのが得なのか損なのかを見極める必要があります。

和解することのメリット

  • 事件を早期に解決できるため、費用や精神的・時間的負担が少なくなる
  • 判決で負けるリスクを回避できる
  • 自発的な賠償金の支払いを期待しやすい

和解することのデメリット

  • 裁判費用が自己負担になる可能性がある
  • 判決まで進んだ場合より損害賠償金額が低くなる可能性がある
  • 譲歩する必要がある

⑤証人尋問・本人尋問

和解が成立しない場合は、引き続き裁判が進められます。当事者や裁判官が反対当事者や目撃者といった「人」に対して質問を行うことがあります。これが尋問です。 尋問には、当事者以外の者に対する証人尋問と、原告本人と被告本人に対する本人尋問があります。

証人尋問 事故の目撃者や同乗者、家族などの証人に対して、原告や被告の代理人、裁判官が質問を行い、回答してもらうこと
本人尋問 原告や被告自身に対して、双方の代理人や裁判官が質問を行い、回答してもらうこと

基本的に、尋問は以下のような流れで行われます。

  1. ①陳述書を作成
  2. ②主尋問(尋問を申請した側が行う質問)
  3. ③反対尋問(相手方からの質問)
  4. ④再主尋問、再反対尋問(当事者が望んだ場合のみ)
  5. ⑤補充質問(裁判官からの質問)

おおよそのイメージですが、主尋問では、陳述書にもとづいて、原告側弁護士などが原告本人や証人に対して質問を行います。 次に、反対尋問では、被告側弁護士等が原告や証人に対して、主尋問での証言の矛盾点等を指摘する質問を行います。さらに、裁判官が質問を行う場合もあります。 主尋問は事前に練習できますが、反対尋問でどのような質問がされるかは本番にならないとわかりません。弁護士に依頼すると、弁護士が作成した想定問答集などを用いて、反対尋問の対策をすることができます。

⑥判決

尋問が行われた後、あらためて和解期日が開かれる場合もありますが、それでも和解が成立しない場合は、裁判所が判決を言い渡す日を指定して、判決を下します。 判決では、争点に対する判断や損害賠償金額などが示されて、請求が認められるかが明らかにされます。判決期日の数日後に「判決正本」が代理人などのもとに郵便で届きます。そのため、必ずしも、判決当日に当事者や代理人が出廷する必要はありません。 判決が確定した場合、相手方は損害賠償金に加えて、遅延損害金を支払う義務が確定します。相手方が判決に従った金額を支払わない場合には、相手の財産を差し押さえるなどして、強制執行を行う必要があります。

判決に納得できない場合は控訴・上告が可能

裁判所(第一審)から出された判決に納得ができないときは、上訴(控訴・上告)を行うことが可能です。 控訴とは、一審判決に対する不服を申し立てて、上級の裁判所に見直してもらう手続きをいいます。一審判決の送達日(判決書が届いた日)から2週間以内に一審の裁判所に対して行う必要があります。控訴審の審理を行う裁判所(第二審)は下の表のとおりです。 また、上告とは、控訴した裁判所(第二審)が決めた判決にも納得できない場合、さらに上級の裁判所に判決の見直しを求める手続きです。しかし、上告ができるのは、第二審の判決に憲法違反や重大な法律違反がある場合等に限られるため、「損害賠償金額に不満がある」という理由だけでは、上告が認められないのが通常です。審理を行う裁判所は下の表の通りです。 一度出た判決を覆すことは容易ではありませんので、判決に納得がいかない場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

第一審 簡易裁判所 地方裁判所
第二審(控訴) 地方裁判所 高等裁判所
第三審(上告) 高等裁判所 最高裁判所

裁判に必要な書類・費用

裁判において必要な書類やかかる費用にはどのようなものがあるのでしょうか。 以下で説明していきますので、ご確認ください。

必要書類

①訴状(基本的には2部)
裁判を起こすには、訴える側(原告)が訴状を作成し、裁判所に提出する必要があります。訴状のひな型は裁判所のホームページでダウンロードすることが可能です。
訴状には、訴訟を提起する裁判所、原告・被告の氏名と住所、裁判官に求める結論(請求の趣旨)、請求の理由、請求金額、添付書類などを記載します。裁判所には、基本的に、裁判所と被告用に、訴状を2部提出します(被告が2人以上なら、さらに1部ずつ追加)。訴状作成は弁護士に任せることも可能です。

②証拠書類
訴状に書いた内容を証明する証拠(損害の内容や損害額、事故と損害との因果関係を表わす証拠)なども添付します。詳細は、「2-3 ③証拠集め・提出」に記載されていますので、ご確認ください。

裁判費用

損害賠償金額(訴額) 印紙代
50万円 5000円(1000円×5)
100万円 10000円(1000円×10)
300万円 20000円(1000円×10(100万円まで)+1000円×10(101万円~300万円まで))
500万円 30000円(1000円×10(100万円まで)+1000円×20(101万円~500万円まで))

裁判でかかる費用には、主に以下のようなものがあります。これらの費用は、裁判を起こす側(原告)が支払いますが、勝訴すれば、被告に請求することが可能なものもあります。

  • 印紙代
    裁判を起こす際の手数料分の収入印紙を裁判所に提出する訴状に貼り付けて納付します。請求額が高額になれば、納付すべき印紙代も高くなります。
  • 予納郵券
    裁判所から訴状などの書類を被告に送付するときにかかる郵便料で、訴状提出時に支払います。予納郵券の金額は裁判所ごとに異なるため、事前確認が必要です。例えば、東京地方裁判所では、原告と被告がそれぞれ1名の場合6000円と定められています。
  • 弁護士費用
    法律相談料、着手金、報酬金、日当、実費などです。弁護士費用特約がある場合には、保険会社から弁護士費用の支払いを受けられる場合があります。

民事裁判にかかる期間はどれくらい?

交通事故の損害賠償を争う裁判で、裁判開始から解決するまでにかかる平均期間は、個々のケースにより変わりますが、1年~1年半程度となっています。また、裁判は第一審で終わるとは限らず、控訴審、上告審と裁判手続が進行していくと、さらに解決までの期間が長くなります。 なお、和解が成立した場合には、6ヶ月~1年程度で解決する場合もあります。

交通事故の裁判を弁護士なしで進めることは可能?

弁護士に依頼せず、自分で裁判を進めること自体は可能です。ただし、裁判では専門的かつ法的知識が必要とされますので、自力で裁判を進めるのは困難です。裁判を弁護士に依頼するメリットは以下のとおりとなります。

弁護士に依頼するメリット

  • 裁判をするべきか客観的に判断してもらえる
    弁護士が請求額や弁護士費用、被害者の主張を立証する証拠の有無、加害者の支払能力などを検討するので、裁判をするべきかどうか判断することが可能です。
  • 被害者の主張を立証するための証拠の収集を任せられる
    弁護士が被害者の主張が正しいことを証明する的確な証拠の収集を行うことが可能です。
  • 被害者の代理人として法廷に出廷できる
    弁護士が訴状や準備書面などの書類を作成するだけでなく、被害者の代理人として裁判に出廷するため、被害者に出廷等の負担がかかりません。また、相手方が弁護士に依頼した場合でも、対等に争うことが可能です。

交通事故で裁判を起こすメリット

交通事故で裁判を起こすメリットは以下のとおりとなりますので、ご確認ください。

弁護士基準(裁判基準)で慰謝料を請求できる

裁判を起こす最も大きなメリットは、損害賠償金が増額する可能性が高くなるということにあります。 損害賠償金の1つに「慰謝料」(事故によって受けた精神的苦痛に対して支払われるお金)があります。慰謝料算定の基準には、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」があります。慰謝料の額が最も高額となるのは、基本的に「弁護士基準(裁判基準)」です。各基準の内容は以下の表でご確認ください。 弁護士基準は過去の交通事故の裁判例をもとに作られた基準で、裁判になった場合はこの基準が適用されるため、慰謝料などの損害賠償金が高額になる可能性が高くなります。 また、保険会社との示談交渉においても、弁護士が入れば、弁護士基準による増額交渉を行うことができるため、賠償金が増額する可能性が高まります。

自賠責基準 自賠責保険による基本的な対人賠償基準。被害者に過失がない場合は、下2つの基準と比べて金額的には低くなる傾向があります。また、入通院慰謝料や治療費など傷害部分の賠償金については120万円の支払上限額があります。
任意保険基準 各任意保険会社が設定する基準で、保険会社により金額が異なり、非公表です。自賠責基準とほぼ同額か多少高い程度となる傾向があります。
弁護士基準 交通事故の裁判例をもとに作られた基準です。弁護士が代理人となって示談交渉する場合や裁判等で用いられます。被害者に過失がない場合は、3つの基準の中で最も高額となる傾向があります。

遅延損害金を請求できる

裁判を起こして勝訴判決を受けた場合、損害賠償金以外に遅延損害金も受け取ることができます。 遅延損害金とは、損害賠償金の支払いが遅れたことに対する利息のようなものです。基本的に、交通事故発生日から損害賠償金の支払日までの間、損害賠償金額に対して年3%の割合の遅延損害金が発生します。 賠償金が高くなるほど、また、賠償金の支払いが遅れた期間が長くなるほど、遅延損害金は高くなります。例えば、重症を負って、通院期間が長期に及んだ場合には、遅延損害金だけでもかなり高額になる可能性があります。 なお、和解の場合は、遅延損害金の支払いを受けられることは少ないですが、遅延損害金の一部に相当する調整金を支払ってもらえる場合があります。

※2020年3月31日以前に発生した事故については、年5%が適用されます。

弁護士費用も加害者側に請求できる

弁護士費用は基本的に自己負担ですが、裁判で認められた場合には、加害者から、損害額の10%の額を弁護士費用として受け取ることが可能です。 例えば、判決で被害者に1000万円の損害賠償金額が認められた場合には、弁護士費用100万円を追加した1100万円の支払いが、加害者に命ぜられることになります。 ただし、実際にかかった弁護士費用を全て請求できるわけではないので、裁判で認められた弁護士費用よりも、実際に支払った弁護士費用の方が高くなる場合もありますので、ご注意ください。

相手の合意がなくても解決できる

裁判は、被害者と加害者の合意で解決する手続きではなく、最終的には裁判所による判決という形で事件を解決する手続きです(和解が成立した場合は除きます)。 示談交渉の場合には当事者の合意が必要であり、当事者のどちらかが示談を拒むような場合は、いつまで経っても示談が成立せず、被害者の立場が不安定なものとなってしまいます。 一方、裁判では、裁判所が中立・客観的な立場から判断を下し、請求が認容された場合には、加害者に賠償金の支払いを命じる判決を出すことになります。示談交渉を行っても話し合いがまとまらない場合は、裁判を起こすことを検討するべきでしょう。

交通事故で裁判を起こすデメリット

裁判を起こすことには、メリットだけでなく、以下のようなデメリットもありますので、ご注意ください。

  • 裁判費用が高い
    裁判を起こすには、裁判所に申立て費用を支払う必要があります。例えば請求額が1000万円なら、5万円の印紙代がかかります。また、弁護士に依頼する場合には弁護士費用が別途かかります。
  • 解決までに時間がかかる
    裁判を起こしてから解決するまでには、平均して1年~1年半程度かかり、和解が成立したとしても、6ヶ月~1年程度かかります。
  • 手続きが複雑で手間がかかる
    裁判の手続では法的知識が必要になるため、複雑でかつ手間もかかります。
    請求内容を裁判所に認めてもらうためには、ご自身の主張や相手方への反論をまとめた書面を作成し、主張内容を裏づける証拠を準備・提出する必要があります。
  • 敗訴するリスクがある
    裁判を起こしたからといって必ずしも請求した額の全額が認められるわけではありません。一部しか認められなかったり、全く認められなかったりするリスクがあります。

弁護士費用と弁護士費用特約について

弁護士に依頼するときにかかる費用として、法律相談料、着手金、報酬金などが挙げられます。 法律相談料とは、弁護士にトラブルを相談するときに支払う費用です。30分あたり5000円程度のことが多いでしょう。 着手金とは、実際に弁護士に依頼するときに支払う初期費用です。依頼した事件が解決できなかった場合でも返還されません。 報酬金とは、損害賠償金が増額した場合など、事件解決に成功した場合に支払う費用です。 成功しなかった場合は支払う必要はありません。獲得した賠償金または増額した金額の10~20%に設定されていることが多いと思います。 これら以外にも、実費や日当が必要です。 なお、弁護士費用特約を利用すれば、基本的には、1事故1名につき着手金・報酬金などは300万円、法律相談料は10万円を上限として、弁護士費用を補償してもらうことが可能です。弁護士費用特約を利用できる場合には費用を大きく抑えられる可能性が高いので、ぜひご確認ください。

交通事故の慰謝料に関する判例・解決事例

交通事故の裁判で高額の慰謝料請求が認められた判例

交通事故の裁判で、高額の慰謝料請求が認められた裁判例をご紹介します。

【大阪地方裁判所 令和4年5月13日判決】
被害者が原付バイクで走行中、後方から加害者の自動車に衝突されるという事故が発生し、被害者は骨盤や腰椎の骨折のほか、両足の切断を要する大けがを負いました。
治療終了後、被害者は自賠責保険による後遺障害等級認定において、両足の切断について、併合第3級の認定を受けました。その後、適正な賠償金の支払いを求めて、被害者が、加害車両の運転者と所有者を相手取り、裁判を起こした事案です。 まず、運転者が被害者との間では約6571万円の賠償金を分割して支払う旨の和解が成立しました。 しかし、加害車両の所有者は自分には責任がない、慰謝料や逸失利益はもっと少ないなどと反論したため、裁判は更に続きました。 裁判所は、所有者にも車を自由に運転させた責任があるとして、所有者に対して、後遺障害慰謝料2000万円、逸失利益5262万円、弁護士費用584万円など合計約6428万円(既払い金控除前約8772万円)の損害賠償金の支払いを命じました。

弁護士のサポートの結果、裁判により賠償金約6300万円の和解を成立させた事例

弁護士によるサポートの結果、裁判により賠償金約6300万円の和解を成立させた、弁護士法人ALGの解決事例をご紹介します。 依頼者は停車中に、後ろの相手方車両から追突される事故で重傷を負って治療を受けましたが、後遺症が残り、後遺障害等級8級の認定を受けました。 依頼者は、相手方から約5200万円の示談案を提案されましたが、この金額が適切なのかどうか分からなかったため、弁護士法人ALGにご依頼されました。 担当弁護士が、相手方の示談案を精査したところ、弁護士基準で計算した金額の7~8割ほどの金額であることが判明し、増額の余地があると判断しました。 弁護士は、賠償金が高額であることから交渉ではなく裁判による解決を目指しました。裁判がスタートしてから6ヶ月後に裁判所から和解を勧められ、相手方が約6300万円の賠償金を支払う内容で和解が成立しました。その結果、相手方の当初提示額より約1100万円賠償金をアップさせることに成功しました。

交通事故の裁判に関するQ&A

相手が裁判に出廷しない場合はどうなりますか?

初回期日で相手方が裁判に出廷せず、答弁書での反論もない場合には、この段階で勝訴が確定することがあります。 裁判を起こした段階で、被害者側はすでに訴状や証拠書類によって、自分の言い分の主張・立証を完了させています。そこで相手方が何も反論せず、第1回口頭弁論期日にも欠席したら、原告の請求内容をすべて認めたとみなされ、裁判所がこれ以上の裁判を続ける必要がないと判断した場合には、原告が訴状に書いたとおりの内容が判決として下されることになります。これを「欠席判決」といいます。

裁判手続き中も慰謝料請求の時効は進みますか?

裁判を起こした場合は、裁判が終わるまで時効の進行をストップさせることが可能です。これを時効の完成猶予といいます。また、確定判決や裁判上の和解で裁判が終わると、時効が更新され、新しく10年の時効の時効が始まります。 そもそも、人身事故の場合の時効は、「被害者が交通事故の損害及び加害者を知ったときの翌日から5年」とされています。基本的には、傷害のみの場合は交通事故発生日、後遺障害が残った場合は症状固定日、死亡事故の場合は死亡日の翌日から5年以内に請求しなければなりません。なお、ひき逃げなど加害者が不明な場合は、事故の翌日から20年が時効期間となります。

交通事故の裁判で負ける可能性が高い場合は、和解に応じた方がいいですか?

交通事故の裁判で負ける可能性が高い場合は、和解案に問題がなければ、和解に応じた方がよいでしょう。裁判上の和解のメリットは、敗訴のリスクを避けられることにあります。 裁判を起こしたとしても、必ず勝訴できるわけではなく、もし敗訴したら、予期せず賠償金額が大きく減額またはゼロにされてしまうおそれもあります。和解であれば、いきなり不利益を受けることはありません。 また、和解が成立すると、判決が出る前に裁判が終了するので、早期の事件解決が可能です。さらに、和解調書には、確定判決と同一の効力が認められていますので、和解調書に書かれた賠償金が支払われない場合、相手の財産を差し押えて、強制執行をかけることもできます。 もっとも、差し押さえを行うには相手方の預金口座の特定などが必要となるので、注意が必要です。

交通事故慰謝料で裁判を起こす際は、弁護士に依頼することをおすすめします

交通事故の慰謝料で裁判を起こす場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。 裁判で慰謝料について争う際には、交通事故についての専門知識や法的知識が必要となります。また、裁判になると、相手方の保険会社が弁護士を立てるのが通常ですので、相手方弁護士が専門知識や法的知識で反論してくるはずです。それに対して適切に反論し、ご自身の主張を立証していくことは容易なことではありません。 そのため、適切な賠償を受けたい場合は、弁護士に裁判を依頼する方がよいでしょう。 弁護士に依頼すれば、弁護士が代わりに裁判に出廷し、論理的に主張・立証を行いますので、裁判を適切に進められる可能性が高まります。また、弁護士に裁判手続きを任せることで、治療に専念できるというメリットもあります。 示談交渉がうまくいかず、裁判を検討されている方は、ぜひ弁護士にご相談ください。

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