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びまん性軸索損傷で請求できる慰謝料とは

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員

びまん性軸索損傷(DAI)とは、頭部に回転する力が加わり、頭蓋が回転することで脳全体が損傷し、意識障害が起こる脳損傷です。広範囲にわたり脳に損傷を受けるため、大変重篤な症状が現れることが多いです。 主な症状としては、脳の認知機能である高次脳機能の能力が低下する高次脳機能障害や、意識混濁がみられます。 損傷の程度によっては、症状も軽く、日常生活を続けられますが、重篤な場合には、遷延性昏睡(植物状態)になってしまう症例もあります。 この記事では、交通事故によってびまん性軸索損傷を受傷してしまった場合の損害賠償についてご説明します。

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びまん性軸索損傷で請求できる損害賠償の種類

非常に重い受傷内容の一種として挙げられるびまん性軸索損傷ですが、損害を被った場合、どのような賠償が請求可能なのでしょうか。以下、主な費目をみていきましょう。

治療費 まず、被害者の過失が低ければ、治療費の支払いは相手方の保険会社が一括で負います。これは、交通事故被害による怪我のための通院における、原則のルールです。受診の理由が交通事故である旨を病院に伝えれば、基本的には、治療にかかる費用の請求は病院から保険会社に直接行われるため、被害者が窓口で治療費を支払う必要はありません。

入通院慰謝料 びまん性軸索損傷は重い脳外傷であり、入院や継続した通院が必要であるため、入通院に伴う苦痛を補償するために慰謝料が支払われます。 慰謝料の金額は、精神的な苦しみは数値化し金額に反映することが困難ですので、怪我の重篤さや通院の日数または期間に基づいて、入通院慰謝料が算定されます。

休業損害 休業損害とは、交通事故の損害賠償請求の対象となる損害の一つで、事故によって働けなくなったことにより得られなくなった給与や収入等を指します。交通事故により収入が途絶えると生活がままならなくなるため、交通事故被害者にとって、非常に重要な請求対象の一つです。

後遺障害慰謝料 びまん性軸索損傷となってしまった場合、懸命な治療を行ってもなお、後遺症が残ってしまうケースもあります。後遺症が残った場合には、後遺障害等級認定を受けることにより、症状に見合った後遺障害慰謝料を受けとることが可能です。 後遺障害慰謝料の具体的な金額は、後述します。

後遺障害逸失利益 逸失利益とは、「得べかりし利益(うべかりしりえき)」ともいわれ、本来得られるはずだった利益をいいます。会社員でいうと、後遺症が残ったために昇進できなかったり、部署異動を余儀なくされ仕事内容が変わってしまったりといった代償のことです。 代償の金額は、後遺症の程度によって法律で定められています。

入通院慰謝料をより多く請求するためには、しっかりと通院することが大切

入通院慰謝料は、入通院にかかる肉体的・精神的苦痛に対する賠償という、具体的にその大きさをはかれない曖昧なものです。そのため、少なくとも慰謝料額を計算するうえでは、客観的にはかれる基準を用いる必要があります。それが、入通院期間と実際に通院した日数です。 ただし、いたずらに通院期間が長く、通院頻度があまりに低いと、治療の必要がなく肉体的・精神的負担も小さいとみなされてしまいます。具体的には、通院期間の目安が「実通院日数の3.5倍」(3.5倍基準)とされるので、3.5倍を下回る場合には慰謝料額が減額される傾向にあります。 ただ、びまん性軸索損傷は、外見上出血していない場合もありますが、決して軽度な傷害ではなく、重篤な傷病です。そのため、保険会社から、3.5倍基準と説明を受けたとしても、実通院日数について少なくならざるを得ない理由をしっかりと説明したうえで、できる限り純粋な通院期間をもとに入通院慰謝料を計算し請求すべきでしょう。

過剰通院に注意

通院の状況によって慰謝料額が決まると聞くと、より多く通院しようという考えに至る方も多いでしょう。しかし、入通院に対する慰謝料の算出にあたっては、上限があります。 そのため、通院実績を確保すべく、医師の指示がなく過剰に通院しても、慰謝料の増額にはつながりません。また、びまん性軸索損傷と診断されている場合には、リハビリや検査などが定期的にあるため、医師の指示に基づいて通院することで、支障は少ないのでご安心ください。

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びまん性軸索損傷で認定される可能性のある後遺障害等級と慰謝料

びまん性軸索損傷になった場合に、残存する可能性がある後遺障害は、いわゆる植物状態になってしまう遷延性意識障害や、社会適応能力に問題が生じる高次脳機能障害等です。 高次脳機能障害は大脳新皮質の損傷に起因するのに対し、遷延性意識障害は、新皮質に加えて辺縁皮質の損傷が起こることにより生じます。

高次脳機能障害

高次脳機能障害とは、交通事故等により、大脳が損傷することに起因する社会適応障害です。びまん性軸索損傷のような脳損傷によっても起こります。 高次脳機能障害では、注意力や記憶力、感情コントロール等の認知機能に関する障害が生じます。

高次脳機能障害

請求できる慰謝料

自賠責基準※1 弁護士基準
別表第1 1級1号 1650万円 2800万円
別表第1 2級1号 1203万円 2370万円
3級3号 861万円 1990万円
5級2号 618万円 1400万円
7級4号 419万円 1000万円
9級10号 249万円 690万円

※1:自賠責基準は新基準を反映しています。令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準が適用されます。詳しくは、こちらをご覧ください。

びまん性軸索損傷の慰謝料計算の例

ここで、びまん性軸索損傷の慰謝料を計算してみたいと思います。 入院期間6ヶ月(180日)、通院期間650日、実通院日数600日、後遺障害等級3級3号の場合を例とします。

自賠責基準の場合の慰謝料額 自賠責基準では、入通院慰謝料について、入通院期間・実治療日数(入院期間+実通院日数)の2倍を比べ、少ない方を用いて、次のように計算します。「日額4300円※2×入通院日数」または「日額4300円※2×実治療日数の2倍」です。 例の場合、「(入通院日数)830日<(実治療日数の2倍)1560日」となるので、計算すると、356万9000円となります。しかし、自賠責保険では、傷害部分の損害賠償額は、治療費や慰謝料等を含めて120万円が限度となるので、例の場合の入通院慰謝料は、最高で120万円です。 また、自賠責基準での後遺障害慰謝料は、861万円※2となるので、慰謝料の合計は、最高で981万円となります。

※2:新基準を反映しています。令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準が適用されます。詳しくは、こちらをご覧ください。

弁護士基準の場合の慰謝料額 弁護士基準での入通院慰謝料は、赤い本(民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準)の入通院慰謝料別表Ⅰ(通常の怪我の場合)を用いて計算します。表によると、例の場合の入通院慰謝料は、317万3200円(切捨)となります。 また、赤い本によると、後遺障害等級3級3号の場合の後遺障害慰謝料は、1990万円となります。 そこで、合計の慰謝料額は、2307万3200円(切捨)程度となります。 ただし、後遺障害等級3級となると、現実の生活状況の変化、症状の重篤さ等、様々な要因で、慰謝料の金額は前後し、一定とはなりません。そのため、この金額は目安と考えていただければと思います。

びまん性軸索損傷の立証にはMRI検査が必要不可欠

びまん性軸索損傷にいうびまん性とは、脳の損傷の位置がはっきりと限定できないため、損傷の位置が広範囲にわたってあるものとすることをいいます。 このように、びまん性軸索損傷では損傷位置がはっきりしないため、精度の高いMRI検査(主に筋肉等の軟部組織を確認し、細かい脳内出血等の有無を把握する画像検査)を行い、診断する必要があります。ただし、脳損傷を示す画像が得られない場合も多いです。 びまん性軸索損傷の診断には、脳室の拡大の画像所見が決定的に重要となるため、事故直後と事故後のMRI画像を比較できるよう、こまめな精密検査が必要となります。 また、原則的に保存療法が行われますが、徐々に脳萎縮の範囲が広がっていくので、状況を確認して最適な治療を実施するため、定期的な検査が必要不可欠です。

びまん性軸索損傷が認められた裁判例

ここで、びまん性軸索損傷が認められた裁判例をご紹介します。

【東京地方裁判所 平成24年12月18日判決】

<事案の概要>

普通乗用自動車を運転していた被告が進路変更しようとした際、進路変更先の車線を直進してきた原告が運転する普通自動二輪車と衝突し、原告が受傷したため、損害賠償を請求した事案です。 本事案では、本件交通事故により、原告がびまん性軸索損傷を受傷し、その結果高次脳機能障害が生じたといえるかが争われました。 なお、自賠責保険における後遺障害認定では、めまい・ふらつきのみ捉えられ、高次脳機能障害の点は否定され、12級13号と判断されていました。

<裁判所の判断>

脳外傷による高次脳機能障害の有無については、①受傷直後の意識障害の有無ないし程度、②画像所見、③診察した医師による具体的な所見、④家族の具体的な報告、⑤神経心理学的検査の結果等から検討されました。 まず、①原告は、受傷直後から少なくとも約3日間、事故の記憶がない等の健忘を中心とする軽度の意識障害があり、意識も完全に清明ではありませんでした。 ②画像所見では、事故発生日に行われた頭部X線検査において、右側頭部に線状骨折が、同日の頭部CT検査及び数日後のMRI検査においては左側に脳挫傷痕が認められ、5ヶ月後の検査画像では、軽度の脳室拡大及び局所的な脳萎縮が見られたことに加えて、脳の機能低下を示す結果が得られました。そこで、裁判所は、原告の脳実質が、事故により広範囲にわたって損傷を受けた、つまり事故によりびまん性脳損傷ないしびまん性軸索損傷を負ったことを示唆すると認めました。 また、③医師の所見では、実際に診察した医師らの多くが、原告に脳損傷を原因とする記憶障害や注意障害及び遂行機能障害等が存在すると診断しました。 そして、事故前の原告の生活歴等を考慮し、④家族の主張する、事故前と事故後で認知能力の低下や人格変化があったと判断しました。 さらに、⑤神経心理学的検査の結果も、事故後の原告の認知能力が標準を下回る程度の水準であることを示しているとして、本件事故によるびまん性軸索損傷を原因として、原告には高次脳機能障害が発生したと認められ、後遺障害等級5級2号が相当であるとしました。 これらを踏まえ、裁判所は、原告の後遺障害逸失利益として7266万2086円を、後遺障害慰謝料として1400万円を認定し、最終的な損害賠償額として、1憶999万8038円と年5分の遅延損害金の支払いを命じました。

交通事故でびまん性軸索損傷になってしまったら弁護士にご相談ください

びまん性軸索損傷は、大変重篤な症状が出ることも多い、大きな怪我です。しかし、画像所見による診断が難しいという特徴があり、本当にびまん性軸索損傷があるのか争われやすい傾向にあります。 また、びまん性軸索損傷の後遺障害である高次脳機能障害についても、症状が多様であることに加え、交通事故による後遺障害として認められにくいという現状がありますので、治療段階から、医学知識のある弁護士に相談されるのがおすすめです。弁護士のアドバイスにより、後遺障害等級申請が通りやすくなるでしょう。 このように、医療問題に強い弁護士へ依頼すると、被害者ご本人やご家族の方の負担を少しでも減らすことができます。 ぜひ弁護士への相談をご検討ください。

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