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手首骨折の種類と認定される可能性のある後遺障害

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員

手は日常生活を送るうえで必要不可欠な部位です。そのため、「車にはねられ、転倒した際に手をついたら手首を骨折してしまった」、「手首の骨折は治ったが、うまく動かせない、まだ痛みがある」といった場合には、生活に大きな影響が出てしまいます。 そのような手首の骨折について、適正な賠償を受けたいと思われるのは当然のことです。
本記事では、手首骨折の種類や、手首骨折の際に認められる可能性のある後遺障害等級、慰謝料などについて解説していきます。

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交通事故で手首骨折をしてしまったとき にするべきこと

交通事故による手首骨折は、車にはねられた、または接触した際に転倒し、手を強くついた衝撃によって起こることが多いです。手首の関節は多数の骨で構成されており、強い衝撃が加わったときに骨折することがあります。
手首骨折と診断されたら、すぐに治療を受け、安静にしましょう。
骨折した部位がずれて癒合(変形治癒)してしまったり、癒合がうまくいかず偽関節が生じてしまったりすると、手首の機能障害等が起こるおそれがあります。
また、手首骨折とあわせて、手指の腱が切れたり、手指の先がしびれる手根管(しゅこんかん)症候群という神経の障害を発症したりする等、合併症が起こるおそれもあるため、骨折は早期に治療することが大切です。

病院で治療を受ける
手首骨折が疑われる場合、レントゲン検査やCT検査が行われます。
各種検査により手首骨折と診断された場合でも、治療の基本は安静にして自然治癒力による癒合を待つというものですので、基本的には固定治療が行われます。ただし、骨折部にズレがある場合、固定前に整復する(正常な位置に戻す)必要があります。整復の方法は、非観血的整復、観血的整復の2種類に分別できます。
以下で、それぞれを解説します。

非観血的整復の場合「徒手整復」

皮膚の上から、素手で骨を正常な位置に戻します。

観血的整復の場合「手術」

複雑骨折や複合骨折、開放骨折等の場合には、手術によって骨を正常な位置に戻します。

整復治療後、1~2ヶ月程度は患部をピンやワイヤー、スクリュー等(外側から固定する場合はギプス等)で固定し、骨の癒合を待ちます。

手首を構成する手根骨

一般的に手首と呼ばれている部位は、橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)と呼ばれる骨で形成されています。
さらに、手首の少し上、手の甲の部位は手根骨(しゅこんこつ)という8つの骨から成り立っています。
よって、手首は合計10本の骨で構成されています。

手首の骨折の種類

一口に手首の骨折といっても、多くの分類があります。分類の仕方は、着目するポイントによって異なります。
以下では、手首の骨折の種類である不全骨折、単純骨折、複合骨折、開放骨折、橈骨遠位端(とうこつえんいたん)骨折、さらに手首の骨折でよく問題になりやすい舟状骨(しゅうじょうこつ)骨折について、それぞれ解説していきます。

不全骨折

完全に骨が断裂してはおらず、部分的につながっている状態を不全骨折といいます。
例えば、骨にヒビが入っていたり(亀裂骨折)、外見からは見えないものの内部が折れていたり(骨膜下骨折)などが挙げられます。不全骨折は、骨の状態が保たれており、骨周りの筋肉等の損傷は軽いため、安静にしていれば比較的早く完治します。
ただし、慢性的な痛みが継続するおそれもあるため、その場合は精密検査を受ける必要があります。

単純骨折

骨折した部位の皮膚が破れていない状態を単純骨折といいます。
骨折の状態が軽度でも重度でも、骨が皮膚を突き破っていなければ単純骨折となります。
また、骨が体内、皮膚の下にとどまっていることから、閉鎖骨折・皮下骨折とも呼ばれます。

複合骨折

1本の骨が2つ以上、複数箇所で折れている状態を複合骨折といいます。
骨折部分が特段細かく折れていると、粉砕骨折と呼ばれます。

開放骨折

骨折した骨が傷口から外部へ出ている状態をいいます。骨が外部へ出ていることから、感染症のリスクが高くなるため、すぐに手術をするケースがほとんどです。
別名として複雑骨折と呼ばれる場合もありますが、複合骨折と類似しており、誤解を招く場合もあるため、開放骨折と呼ばれることが多いです。

橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)

橈骨の遠位端部(手首に近い部分)が骨折した状態のことです。骨片のずれる方向により、コレス骨折、スミス骨折、背側バートン骨折、掌側バートン骨折の4種類に分けられます。
橈骨に一定の変形障害が残った場合には、後遺障害等級8級または12級、痛み等の症状が残った場合には、12級または14級が認定される可能性があります。

コレス骨折

地面に手をついてしまったときに生じることが多い骨折です。橈骨や手根骨が手の甲の側に転移してしまい、フォークのような形になる骨折のことをいいます。
交通事故以外にも、骨粗鬆症などによって骨がもろい状態になっている高齢者にも生じやすいといわれています。

スミス骨折

橈骨遠位端骨折のうち、橈骨の遠位骨片が手のひら側にずれ、コレス骨折と逆の変形が生じてしまう症状をいいます。
自転車やバイクのハンドルを握ったまま倒れたときや、手の甲をついて倒れたとき等に生じます。

背側バートン骨折

橈骨の遠位骨片が、手根骨とともに後ろ側に転移してしまった症状を、背側バートン骨折といいます。
手の甲側の手首の骨が、外れかけてしまっている状態です。転倒したとき、地面に手をついたことで生じることが多いです。

掌側バートン骨折

手関節の中の手のひら側の部分が骨折して亜脱臼し、ずれてしまった症状をいいます。
スミス骨折と同様、自転車やバイクのハンドルを握ったまま倒れたときや、手の甲をついて倒れたとき等に生じます。
手の関節の中で粉砕骨折をしていると、治療が大変難しくなります。

舟状骨骨折(しゅうじょうこつこっせつ)

手の関節には手根骨が8つありますが、その中でも舟状骨は重要な役割を担っています。
親指の列にある舟状骨は、他の指の列に対して傾いているため、骨折してしまっても通常のレントゲン検査では見えにくく、発見しづらい傾向にあります。しかし、放置すると偽関節(骨折した骨が癒合しないまま、関節のように動いてしまう状態)になってしまうため、早期発見・治療が重要です。
舟状骨骨折が疑われる場合は、CT検査やMRI検査で確認してもらいましょう。

手首骨折で認定される可能性のある後遺障害と慰謝料

手首骨折の場合に認定される可能性のある後遺障害は、可動域制限神経症状です。 可動域制限と神経症状それぞれが認定される場合の慰謝料について、表にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

可動域制限

「可動域制限」とは、関節を動かすことのできる範囲が狭まってしまうことです。
手首骨折をし、可動域制限が残ってしまった場合に認められる可能性のある後遺障害等級は、8級6号、10級10号、12級6号です。関節の「用を廃したもの」には8級6号が、「著しい機能障害」の場合には10級10号が、「機能障害」の場合には12級6号が認められ得ます。

請求できる慰謝料

手首骨折によって、手首の可動域は少なからず制限されるでしょう。
後遺障害である可動域制限が残ってしまった場合に認定される等級と、獲得できる慰謝料は以下のようになります。
慰謝料は、自賠責基準、弁護士基準の2つの算出基準を掲載しています。

等級 自賠責基準※1 弁護士基準
8級6号 331万円 830万円
10級10号 190万円 550万円
12級6号 94万円 290万円

※1:自賠責基準は新基準を反映しています。令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準が適用されます。

神経症状

神経が圧迫されることにより、痛み、麻痺、しびれ等が生じることを、「神経症状」といいます。
後遺障害等級認定では、他覚所見(医者や他人が認めることができる症状)があり、それを証明できれば「局部に頑固な神経症状を残すもの」として12級13号が、症状が医学的説明に留まる場合には「局部に神経症状を残すもの」として14級9号が認められる可能性があります。
また、手首骨折により痛みが残った場合にも、神経症状として後遺障害等級が認められ得ます。

請求できる慰謝料

手首骨折により神経症状が残ってしまったとき、認められ得る後遺障害の等級、また、相手方に請求できる慰謝料を、2つの基準を用いて以下の表にまとめましたので、ご参照ください。

等級 自賠責基準※2 弁護士基準
12級13号 94万円 290万円
14級9号 32万円 110万円

※2:自賠責基準は新基準を反映しています。令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準が適用されます。

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手首骨折の慰謝料の計算例

ここで、手首を骨折した場合に得られる慰謝料を、例を使って計算してみます。
入院期間1ヶ月(30日)、通院期間6ヶ月(180日)、実通院日数130日、後遺障害等級12級6号(可動域制限)の場合には、次のようになります。
なお、後遺障害等級が認められた場合、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料が得られますので、この2種類の慰謝料を足すことで、慰謝料の総額を計算することができます。

自賠責基準

自賠責基準では、「入通院慰謝料=日額4300円※3×対象日数」となります。
対象日数は、「入通院期間」または「実治療日数×2」のいずれか小さい方とされますので、例の場合、「入通院機関210日(30日+180日)」が対象日数となります。
したがって、「入通院慰謝料=日額4300円×210日=90万3000円」となります。
また、「後遺障害慰謝料=94万円※3」ですので、「慰謝料総額=入通院慰謝料90万3000円+後遺障害慰謝料94万円=184万3000円」という計算結果になります。

※3:自賠責基準は新基準を反映しています。令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準が適用されます。

弁護士基準

弁護士基準は、これまでの裁判をもとに決められており、自賠責基準のように通院日数を形式的に当てはめて算出する計算式はありません。
そのため、弁護士基準では、入院期間や通院期間をもとに『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(通称:赤い本)』の入通院慰謝料別表を参考にして算出します。
この例では、負傷の程度が軽くないため、別表Ⅰを用います。

通常の怪我の場合【別表Ⅰ】

通常の怪我の場合【別表Ⅰ】
入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院 AB 53 101 145 184 217 244 266 284 297 306 314 321 328 334 340
1月 28 77 122 162 199 228 252 274 291 303 311 318 325 332 336 342
2月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315 322 329 334 338 344
3月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319 326 331 336 340 346
4月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 316 323 328 333 338 342 348
5月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325 330 335 340 344 350
6月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327 332 337 342 346
7月 124 157 188 217 244 266 286 304 316 324 329 334 339 344
8月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331 336 341
9月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333 338
10月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335
11月 150 179 207 234 258 278 296 312 324 332
12月 154 183 211 236 260 280 298 314 326
13月 158 187 213 238 262 282 300 316
14月 162 189 215 240 264 284 302
15月 164 191 217 242 266 286

表を見ると、入通院慰謝料は149万円となります。
また後遺障害慰謝料は290万円となるため、合計の439万円が慰謝料の総額となります。

交通事故に遭い手首を骨折してしまったら

日常生活になくてはならない部位である手の運動をスムーズに行うためにも、手首が正常に機能することは必要不可欠です。
手首骨折した場合、日常生活を送ることに支障をきたすようになってしまったことに対して、適正な賠償がなされるべきです。そのためには、適切な後遺障害等級の認定を受けることが重要になります。
後遺障害等級の認定の際には、怪我の状態だけでなく、治療の態様等も資料とされますので、医療に強い弁護士から治療の受け方についてのアドバイスをもらうことで、適切な認定を受ける可能性を高くすることができます。
後遺障害等級認定を考えられている方は、特に医療に強い弁護士への依頼をご検討ください。

手首骨折で後遺障害が認められた裁判例

本項では、貨物自動車と二輪自動車による衝突事故で、二輪自動車の運転者が負傷し、手首の骨折に関して被害者が主張する後遺障害について、加害者が反論した裁判例を紹介します。

福岡地方裁判所 平成28年4月25日判決

<事案の概要>

片側二車線の幹線道路で、右折により店の駐車場に入ろうとしていた、被告の運転する普通貨物自動車が、対向車線から直進してきた、原告の運転する普通二輪自動車と衝突した事案です。
原告は、この事故により「右手関節の機能の著しい障害」をはじめとする後遺障害が残ったという主張をしました。
対して被告は、原告の主張する後遺障害の大半は認めたものの、「右手関節の機能障害」については認めず、裁判の争点となりました。

<裁判所の判断>

裁判所の判断は、以下のとおりです。

  • ①本件事故により、原告は右橈骨遠位端骨折等の傷害を負った
  • ②本件事故からおよそ2年後の時点における診断書2通のいずれにも、右手関節の障害に関する記載はない
  • ③事故からおよそ6年5ヶ月後の可動域検査では異常が見られ、レントゲン写真でも右手関節橈骨遠位端骨折変形治癒が確認された
  • ④レントゲン撮影のおよそ1ヶ月後の可動域検査でも異常が見られた

こうした事実を踏まえ、裁判所は、遅くとも平成25年の時点で、原告の右手関節の可動域には制限が生じていたと判断しました。
また、可動域制限について、本件事故が原因でないとする証拠がないことを確認し、本件事故によって生じた右橈骨遠位端骨折が原因となり関節の変形が生じたものだと認めました。
以上の事実を鑑み、裁判所は、本件事故により原告の右手関節に可動域制限が生じ、その程度は後遺障害等級12級6号に相当するものであると認定しました。

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