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股関節唇損傷と後遺障害について

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates執行役員
監修 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates執行役員
愛知県弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフを擁し()、東京、を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。

股関節唇(こかんせつしん)損傷のように、股関節に後遺症が残ってしまうと、移動に大変な不自由が生じますよね。交通事故以前と同様の生活を送れなくなってしまうのはつらいことです。
こうした場合に、適正な賠償を受けたいと思われるのは当然のことです。適正な賠償を受けるためにも、まずは股関節唇損傷について知識を深め、後遺障害等級認定の申請に備えましょう。

股関節唇(こかんせつしん)損傷とは

股関節は、大腿骨の上端の球状の部分である大腿骨骨頭が、骨盤の寛骨臼(かんこつきゅう)というソケットにはまり込むような形となっており、周囲の骨や筋肉、靭帯により支えられることで成り立っています。 股関節唇とは、寛骨臼(かんこつきゅう)の端に存在する唇のような形状の繊維軟骨で、大腿骨頭を包み込み、受け皿である寛骨臼(かんこつきゅう)への収まりを良くすることで股関節の安定性を高める役割を果たしています。 交通事故では、バイクや自転車に乗車していた方が車に接触し転倒する際などに股関節が大きく広げられることにより、関節唇に亀裂が入り股関節唇の損傷が生じることがあります。 股関節唇を損傷すると、動作時に股関節の引っかかり感が生じたり、股関節がずれたりする症状が生じます。 股関節唇損傷は、放置しても悪化するだけです。交通事故で股関節唇損傷になってしまったら、適切な治療を受けましょう。

検査方法と治療法

股関節唇損傷は、可動域検査や、MRI画像検査、股関節内キシロカインテスト(股関節内に局所麻酔を注入し、痛みが軽減するあるいはなくなるか調べる検査)等により診断されます。 股関節唇損傷があると診断されると、治療法として、基本的には、痛みが生じる体勢を避け安静にする、保存療法が行われます。また、並行して、股関節の周りや体幹の筋力トレーニング、骨盤を柔軟にするリハビリも行われます。 しかし、保存療法によっても改善しない場合や損傷の程度がひどい場合には、観血的療法(手術)が選択されることがあります。 手術は、股関節鏡という内視鏡を入れ股関節唇の断裂部分を繋ぎ合わせる縫合手術や、損傷部分を取り除く切除手術、骨を削って寛骨と大腿骨の距離を一定間隔で保たせる骨切り術等が行われます。

股関節唇損傷の症状

股関節唇損傷の症状では、足を動かす動作で痛みや引っかかり感を感じたり、股関節の可動域が狭まったりするため、日常動作がしづらくなります。生じる痛みの程度は、鈍痛から激痛まで様々です。特に、次のような動作がしづらくなります。

  • ・胡坐をかく
  • ・内側に足を組む
  • ・靴下を履く
  • ・足の爪を切る
  • ・車を乗り降りする
  • ・椅子から立ち上がる

股関節唇損傷と関係のある後遺障害と慰謝料

股関節唇損傷では、痛みのほかに、股関節の可動域制限や歩行障害の症状が生じることがあります。 痛みや可動域制限の程度、歩行障害の程度によって、神経症状または股関節の機能障害(可動域制限)として、後遺障害等級が認定されます。

神経症状

股関節唇損傷により、股関節部に痛みの後遺症が残ることがあります。股関節唇損傷が画像検査の結果等により明らかである場合には12級13号が、医学的説明がつくに留まる場合は14級9号が認定されます。 また、股関節の形そのものに異常はないものの、痛みのために股関節を動かすことができない場合には、可動域制限ではなく、神経症状の後遺障害として、12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」が認定されることがあります。

請求できる後遺障害慰謝料

股関節唇損傷で神経症状の後遺障害が認められる場合に認定され得る後遺障害等級と、等級別の後遺障害慰謝料についてまとめた表です。

等級 自賠責基準 弁護士基準
12級13号 93万円 290万円
14級9号 32万円 110万円

可動域制限

可動域制限とは、関節の機能障害で、関節の形状の異常により、可動域が一定以下に狭まることをいいます。 以下のような場合に、股関節の可動域制限として、後遺障害が認定されます。

等級 認定基準 説明
8級7号 関節の用を廃したもの 人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの
10級11号 関節の機能に著しい障害を残すもの (a)関節の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの
(b)人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、上記以外のもの
12級7号 関節の機能に障害を残すもの 関節の可動域が健側の可動域角度の3/4以下に制限されているもの

請求できる後遺障害慰謝料

股関節唇損傷による可動域制限の後遺障害が認められる場合、認定され得る後遺障害等級と、認定される等級に応じた後遺障害慰謝料の金額を整理すると、次の表のとおりになります。

等級 自賠責基準 弁護士基準
8級7号 324万円 830万円
10級11号 187万円 550万円
12級7号 93万円 290万円

医療に強い弁護士への依頼をお勧めします

股関節唇損傷の後遺症でお悩みの方は、後遺障害等級認定について、弁護士に依頼されることをお勧めします。特に、医療に強い弁護士を選ばれると良いでしょう。 後遺障害等級認定では、後遺障害診断書の内容や添付する画像検査等の結果だけでなく、治療の受け方等についても判断の材料とされます。そのため、医療に強く後遺障害等級認定のポイントにも精通している弁護士から、後遺障害診断書の書き方や治療の受け方のポイントについてアドバイスを受けることで、適切な等級が認定される可能性を高めることができます。 適切な後遺障害の認定を受け、適正な賠償を受けるためにも、後遺障害等級認定申請の経験があり、医療問題に強い弁護士が集まる弁護士法人ALGにご相談、ご依頼ください。

股関節唇損傷が認められた裁判例

【大阪地方裁判所 平成21年(ワ)第12982号 損害賠償請求事件】

<事案の概要>

原告が自転車に乗車して歩道を走行していたところ、路外駐車場から歩道に進入してきた被告車両と衝突したことで受傷し後遺障害が残ったとして、被告に対して損害賠償を請求した事案です。 交通事故と股関節に関する症状の因果関係が争点の一つになりました。

<裁判所の判断>

裁判所は、本件事故と原告の股関節に関する症状との因果関係を、次の各ポイントから認めました。

①原告が、本件事故前には股関節に具体的な不具合や故障等を持ち合わせていなかったこと ②本件事故は原告が自転車で走行中に横から被告車両に衝突されたものであり、転倒の際に足の上に自転車が乗っかるような形になっており、股関節周辺に相当程度の圧力がかかった可能性が十分考慮できること ③原告は、事故直後から大腿部に痛みを訴えており、事故から約2年が経過した時点で、股関節の動きの異常を訴えるようになっていること ④股関節の外科的脱臼及び関節唇縫合術の結果、大腿骨と股関節とが接触していることと股関節唇の損傷が判明したこと ⑤手術を行った結果、可動域制限について解消していること

そして、原告に残っている股関節の疼痛について、事故と相当因果関係のある形で発生した股関節唇損傷後に残存する、他覚的所見を伴う頑固な神経症状であると評価できるとし、後遺障害等級12級13号に相当すると判断しました。

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