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交通事故で靭帯損傷になってしまった時の慰謝料はどれくらいか?

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員
監修 弁護士 谷川 聖治
弁護士法人ALG&Associates執行役員
愛知県弁護士会所属。私たちは、弁護士91名、スタッフ159名を擁し(2019年1月末現在)、東京、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、大阪、神戸、姫路、福岡の10拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。

4つの膝の靭帯について

靭帯とは、主にコラーゲンの繊維でできた、強靭な結合組織の短い束で、骨同士を繋ぎ関節を形作る人体の組織です。そのため、靭帯に損傷が起こると、関節の可動域が制限され、人体の安定性が害されます。肘関節・膝関節を形作る靭帯には、主に次の4種類があります。

内側側副靭帯

内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)とは、膝においては、大腿骨と脛骨、腕においては、上腕骨と橈骨・尺骨を繋ぐ靭帯です。内側の側面に位置する骨同士を繋ぐ靭帯で、特に膝関節では、横方向の安定性のために最も重要な靭帯といえます。 靭帯損傷の中で最も損傷しやすく、外側から大きな衝撃がかかったときに損傷します。

外側側副靭帯

外則側副靭帯(がいそくそくふくじんたい)とは、膝においては、大腿骨と腓骨、腕においては、上腕骨と橈骨・尺骨を繋ぐ靭帯です。内側側副靭帯とは逆に、外側の側面に位置する骨同士を繋ぐ靭帯です。

前十字靭帯

前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)とは、膝関節内にあり、大腿骨と脛骨を繋ぐ靭帯です。 脛骨が前へずれることを防ぐ靭帯で、膝を無理にひねる等、強い負荷をかけることにより損傷します。前十字靭帯が損傷すると自然治癒はほぼ不可能で、手術により再建しなければ、競技スポーツに復帰することは難しいとされます。

後十字靭帯

後十字靭帯(こうじゅうじじんたい)とは、膝関節内にあり、大腿骨と脛骨を繋ぐ靭帯です。膝にある4本の靭帯の中で最も丈夫な靭帯で、脛骨が後ろへずれることを防ぎます。膝の前面を強くぶつける等、強い力がかかると損傷します。損傷の頻度としては、あまり高くありません。

靭帯損傷とは

靭帯損傷とは、骨同士を繋ぎ合わせる結合組織が切れる等、弾力性を失うことによって、関節の安定性を失うことをいいます。 膝の側副靭帯と十字靭帯の損傷が合併した場合には、複合靭帯損傷と呼ばれます。 靭帯損傷の症状としては、大きく分けて、神経症状、機能障害、動揺関節の3つがあります。

靭帯損傷の後遺症

交通事故により靭帯損傷の怪我を負い、後遺障害が残った場合、治療費や入通院慰謝料に加えて、後遺障害慰謝料も受け取ることができます。 慰謝料の算定前に、靭帯損傷により残る可能性のある後遺障害についてご説明します。

神経症状

靭帯損傷が原因で生じる神経症状とは、肘や膝を屈折した時に生じる「屈曲時痛」、肘や膝を動かした時に生じる「運動痛」、重い荷物を持つ等して負荷がかかった時に生じる「荷重時痛」等です。

  • 神経症状のうち、他覚所見がある場合には「局部に頑固な神経症状を残すもの」として、12級13号
  • 他覚所見がない場合には「局部に神経症状を残すもの」として、14級9号等が認定される可能性があります。

機能障害

靭帯損傷が原因で生じる機能障害とは、関節を形作っている靭帯の弾力性がなくなり、関節の可動域が制限されることをいいます。

  • 片腕・片足の関節が偽関節(骨折部分の骨融合が完全に停止したこと)になった場合には、「1上肢(下肢)に偽関節を残すもの」として、8級6号7号
  • 片腕・片足の関節の可動域が1/2以下となった場合には「1上肢(下肢)の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」として、10級10号11号
  • 片腕・片足の関節の可動域が3/4以下となった場合には「1上肢(下肢)の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」として、12級6号7号等が認定される可能性があります。

上肢・下肢の動揺関節

動揺関節とは、関節の安定性が失われ、膝が前後左右にぐらぐらすることや、膝関節の可動域が正常可動域を超えること、肘や膝が異常な方向に動いてしまう症状のことをいいます。

  • 常に硬性補装具が必要な場合には「1上肢(下肢)の3大関節中の1関節の用を廃したもの」に準じるとして、8級6号7号
  • 時々硬性補装具が必要な場合には「1上肢(下肢)の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」に準じるとして、10級10号11号
  • 重労働の際に硬性補装具が必要な場合には「1上肢(下肢)の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」に準じるとして、12級6号7号等が認定される可能性があります。

靭帯損傷の後遺障害等級認定のポイント

後遺障害が認定されると、後遺障害慰謝料が発生する等金銭の動きがあるため、その認定は慎重に行うことが必要です。そのため、靭帯損傷が後遺障害として認められるためには、①靭帯損傷と交通事故との因果関係の証明、②等級に該当する症状があることの証明が必要となります。 そこで、靭帯損傷の後遺障害等級認定のポイントをご説明します。

靭帯損傷と交通事故の因果関係について証明するためには、次の点が重要になります。

靭帯損傷が起こり得る事故態様であること

例えば、足や腕が車に挟まれ捻じれてしまう等、正常な可動域を超える負荷が関節にかかると、靭帯が断裂し、損傷してしまいます。このような損傷が起こり得る事故の態様であることが必要です。

初診時から一貫して靭帯損傷の症状の訴えがあること

靭帯損傷は、交通事故後しばらくして、検査により判明することがあります。そのため、事故以外が原因で靭帯を損傷したのではないかと因果関係が問題となることがあります。 事故直後の診察で靭帯損傷が診断されるのが一番ですが、たとえ事故直後に靭帯損傷が診断されていない場合でも、捻挫や打撲と診断されていた、膝や肘の痛みを訴えていたというような事情があれば、事故との因果関係を推認されやすい傾向があります。そのため、痛みがある場合には、医師に正確に訴えることが大切です。

次に、等級に該当する症状があることの証明のためには、次の点が重要になります。

MRI画像等により靭帯損傷の他覚所見が認められること

いくら膝や肘の痛みを訴えても、その原因が検査等により見つからなければ、後遺障害は認定されにくいといえるでしょう。 そのため、MRIを撮影する等して膝や肘部分の靭帯の損傷具合を見て、本当に靭帯損傷があるのか確認する必要があります。

動揺関節が疑われる場合には、ストレスX線撮影により関節の動揺性が認められること

ストレスX線撮影とは、素手または器具で圧力をかけ、骨を前や後ろ、内側や外側に押し出して、靭帯の損傷により生じる骨のずれをわざと生じさせた状態でレントゲン撮影をする、文字通りストレスをかけた状態で撮影するレントゲン撮影をいいます。 膝や肘関節の可動域の大きさや、ぐらつきの大きさを測定することができます。そのため、後遺障害として動揺関節が疑われる場合には、必ず必要となる検査です。

こうしたポイントをしっかり踏まえることで、因果関係や等級に該当する症状があることが認められ、靭帯損傷の後遺障害認定の可能性が高くなります。

交通事故で左ひざの前十字靭帯を損傷した場合の慰謝料の計算例

では、靭帯損傷した場合の慰謝料はいくらになるのでしょうか。 入院期間20日間・通院期間180日・実通院日数150日・後遺障害等級10級11号(運動障害/可動域制限)の場合を例に、計算してみましょう。 例の場合、「慰謝料=入通院慰謝料+後遺障害慰謝料」です。しかし、損害賠償の計算で用いられる3つの基準の内、どれを使うかで金額は大きく変わってきます。

自賠責基準の計算例

自賠責基準とは、最低限の補償をすることを目的に、車や原動機付自転車の運転者に加入が義務付けられている自賠責保険の算定基準です。 最低限しか補償されないため、3つの基準の中では最も少額になりがちです。 自賠責基準では、入通院慰謝料は、1日につき4200円で計算されます。そして、入院期間20日間・通院期間180日・実通院日数150日・後遺障害等級10級11号(運動障害/可動域制限)の場合、慰謝料の対象日数は通院期間180日となりますので、入通院慰謝料は次のようになります。 「入通院慰謝料=日額×対象日数=4200×180=75万6000円」 また、後遺障害等級10級11号の後遺障害等級慰謝料は187万円ですので、慰謝料の総額は、 「慰謝料=75万6000円+187万円=262万6000円」 となります。

弁護士基準の計算例

弁護士基準とは、弁護士が示談交渉や訴訟手続きにおいて使用している、裁判において裁判所が判断するであろう基準です。 弁護士基準では、多くは、民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(赤い本)に基づき計算します。そこで、入院期間20日間・通院期間180日・実通院日数150日・後遺障害等級10級11号(運動障害/可動域制限)の場合は次のような慰謝料額になります。 「入通院慰謝料=149万円」 また、10級11号の後遺障害慰謝料は550万円ですので、慰謝料総額は、 「慰謝料=149万円+550万円=699万円」 となります。

これらを比べると、弁護士基準を用いると、最も高額な慰謝料を請求できることがわかります。

交通事故で靱帯損傷してしまったら弁護士へ

靱帯損傷をしたときには、多くの場合、レントゲンやMRIで画像所見が出てきます。 しかし、画像があるからといって、常に後遺障害等級が認定されるとは限りません。これまで、交通事故で膝前十字靱帯損傷等の傷害を負ったけれども、「事故との因果関係がない」「将来において回復しないとはいえない」等の理由で後遺障害等級の認定を受けられず、体を自由に動かせることができなくなったにもかかわらず適切な賠償を得られなかった方を多く見てきました。 事故当初からの通院や診療・検査の受け方、治療中のカルテの書かれ方等により、本来後遺傷害等級が認定されてしかるべき方が等級認定されず、辛い思いをされることがあります。 また、靱帯損傷が明らかな場合は、慰謝料や賠償額が高額となるため、保険会社との示談交渉もし烈になります。 靱帯損傷の場合は、レントゲンやMRIを見ることができる、医療問題に強い弁護士に任せるべきです。 是非、医療過誤にも強い弁護士法人ALGにご相談ください。

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