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後遺障害診断書の作成時に必ず自覚症状を正確に伝えましょう

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates執行役員
監修 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates執行役員

「後遺障害診断書の記載内容は重要である」と耳にされたことはありませんか?

実際に、後遺障害診断書に不備があると、どんなに重い後遺症が残ろうとも、適正な後遺障害等級を獲得するのは難しくなります。

これほど重要な診断書にもかかわらず、医師から記載もれなく後遺障害診断書を作成してもらえないケースが多々あります。
どうしたら正確な後遺障害診断書を作成してもらえるのでしょうか?

方法のひとつとして、「通院時から医師へ自覚症状を正しく伝える」ことが挙げられます。
例えば、「首がとにかく痛いです」と伝えるよりは、「後ろを振り向いたときに、首の付け根から肩にかけ、キューンとつったように感じる」と具体的に伝えることが重要です。

このページでは、このような自覚症状の正しい伝え方から検査方法まで詳しく説明します。

自覚症状を正しく伝える重要性

医師へ自覚症状を正しく伝えなかった場合、様々な支障が生じます。 第一に、患者からの情報が少ないと医師も適切な治療方針を決められず、治療の効果も下がってしまいます。カルテにも詳細な診療経過や症状を記載することができません。特に、後遺障害診断書には自覚症状を記載する欄があり、むちうち等の他覚所見が得られにくい後遺症においては、この自覚症状が正しく記載されたかどうかで、等級認定されるかがほぼ決定します。 また、一度作成した後遺障害診断書の再作成は難しく、時間がかかります。

自覚症状の例と伝え方のポイント

実際に使用する後遺障害診断書のサンプルが以下になっており、赤い印部分が自覚症状を記載する欄になります。この欄へ医師によって正しく自覚症状を記載してもらうために、いくつかポイントがあります。自覚症状の具体的な記載例とあわせて、医師との対話の中で実践して欲しい伝え方を説明します。

自覚症状の具体的な記載例

自覚症状の記載例

例えば、追突事故によるむちうち症状で、事故直後から頚部痛が生じ、その後右肩痛、右腕のしびれ、腰痛が生じ、症状固定時の具体的な症状として、左記症状の他、長時間歩行したときに痛みが強まったり、雨が降ったときに特に痛みが強くなったりする症状があったとします。 上記は、むちうち症状の方の相談で本当によく見られる症状です。 このような場合に、以下の表に後遺障害が認定されやすい自覚症状の記載例とされにくい記載例をポイントごとにまとめましたのでご覧ください。

認定されやすい記載例 認定されにくい
①自覚症状が残る場所 頚部痛、右肩痛、右腕痺れ、腰痛 頚部痛等
②一貫性、連続性 初診時から頚部痛が継続 頚部痛、当医院受診2週間後から右肩痛
③常時性 「長時間歩行時に特に痛みが強まる」、「雨天時にはより痛む」 「長時間歩行時に頚部痛」、「雨天時に頚部痛」

①自覚症状が残る場所
症状の一部のみではなく、すべての自覚症状を医師に記載してもらいましょう。
②一貫性、連続性
事故直後から一貫とした自覚症状が連続していることが必要です。
「当医院受診、2週間後から右肩痛」等では、事故との因果関係を否定されるおそれがあります。「初診時から○○が継続」等と記載してもらいましょう。
③常時性
後遺障害と認定されるためには、常時性が要件とされています。そのため、常時痛みが生じており何かをしたときに痛みが増強するのであれば、「時々痛い・○○時に痛い」ではなく、「特に○○時に痛い」等言い回しを変えてみましょう。

自覚症状の伝え方

医師にうまく自覚症状を伝えるため、痛みを細かく分けて伝えると効果的です。以下の表に、押さえておきたいポイントをまとめましたのでご覧ください。

医師への自覚症状の伝え方
①痛みが起こった時期 交通事故発生時より痛みが発生していることを伝える
②痛みの場所 痛みは一箇所なのか、複数なのか。広範囲なのか、部分的なのか
③痛みの強さ 痛みがもっとも強いときを10とすると、現在のどの程度の痛みが継続しているのか
④痛みの質 ジンジン、ズキズキ等の擬態語・擬音語を使って伝える。鈍い、重い、激しいといった表現でも良い
⑤痛みの連続性 一過性の痛みではなく、継続して痛みが続いていると伝える
⑥痛みの増減 体を動かすと痛みが増す等、増減につながる行動を伝える
⑦日常生活への影響 痛くて眠れない、仕事や家事ができない等

質問に対して曖昧な返事は危険

医師からの質問に対して、よく考えず曖昧に返事をしてしまうと危険です。医師によっては、不正確な表現で診断書に記載されてしまうおそれがあります。そうなると等級認定へも影響を及ぼしますので、医師としっかり向き合って、話し合いながら進めましょう。

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自覚症状を裏付けるための検査方法

自覚症状が後遺障害に該当するものであるかの裏付けは、医学的にも難しい部分があり、さまざまな検査によって判断されます。 自覚症状を裏付ける、3つの検査について紹介します。

①ジャクソンテスト
椅子に座った状態で、医師が背後から患者の頭部を後方に曲げながら圧迫する検査。
痛みやしびれの反応があるか調べる。

②スパークリングテスト
椅子に座った患者の背後に医師がまわり、頭部をつかんで、痛みやしびれが出ている方向に傾けて圧迫する検査。
神経根の支配領域に痛みやしびれの反応があるか調べる。

③深部腱反射テスト
ゴム製のハンマーで腱を叩いて、その反応を観察する検査。
運動系の障害や末梢神経の障害の有無を調べる。

その他にも筋萎縮テストという検査があります。

後遺障害診断書の記入に関する裁判例・事例

ここでは、自賠責保険においては後遺障害等級が非該当であったものの、後遺障害診断書に記載されている自覚症状に基づいて裁判所が判断した結果、後遺障害等級14級9号に認められた裁判例をご紹介します。

【名古屋地方裁判所 令和元年7月17日判決】

<事案の概要>

原告が運転する自動車と被告が運転する自動車が衝突し、原告が負傷した交通事故です。 本件事故により、原告は傷病名として「頭頚部外傷、頚部挫傷、頚肩腕症候群」が、自覚症状として後頭頚部痛、めまい及び左手環指・小指の痺れが後遺症として残りました。しかし、自賠責保険においては自覚症状を裏付ける他覚的所見が乏しいとして後遺障害は非該当と判断されました。そのため、原告は訴訟提起をおこない、原告の後遺症は後遺障害診断書記載のとおり、①後頭頚部痛、②左上肢の感覚障害(左手環指・小指の痺れ)及び③時々出現するめまいという後遺障害が残存したものであり、後遺障害等級14級9号に該当すると主張しました。一方で被告は、原告が主張する後遺障害については医学的に説明可能であることは立証されていないのであるから、いずれも本件事故による後遺障害と認められないとしたため、争いとなりました。

<裁判所の判断>

裁判所は、通常、後遺障害等級14級9号と認定するためには、その後遺障害の存在が医学的に説明可能でなければならないが、後遺障害等級12級13号に認定される場合と異なり、画像所見等に基づく他覚的な証明までは必ずしも要しないと考えられており、本事案についても本件変性所見が外傷性のものであることが他覚的に証明されることまでは必要でないというべきであるとしました。 そして、本件事故において、原告の受けた衝撃は相当程度のものであったことを考えると、外傷性の画像所見が認められないとしても、本件事故による衝撃が本件変性所見に影響し、これにより左手環指・小指の痺れが発現するに至ったと推認し、機序を説明することができると判断しました。 以上によって、原告に残存した左手環指・小指の痺れの存在は後遺障害診断書作成医師の意見を基に、医学的に説明可能であるというべきであり、「局部に神経症状を残すもの」として後遺障害等級14級9号に該当すると認めるのが相当であるとしました。 このように、後遺障害等級は、裁判官が事案の内容によって個別具体的事情を考慮して判断することができます。自賠責保険において後遺障害に該当しないからといって、後遺障害に関する損害賠償をあきらめずに、訴訟提起をおこなうことで後遺障害が認められるケースもあります。 そのためにも、事故当初の通院時から自覚症状を医師にくわしく正確に伝えるように意識し、内容に不備のない後遺障害診断書を作成してもらうようにしましょう。

後遺障害診断書は正確に医師に書いてもらう必要があります。不安なときは弁護士にご相談ください

後遺障害診断書の内容によっては、後遺症が残っているにもかかわらず後遺障害に認定されない場合があります。後遺障害に認定されなければ、適切に損害賠償を受けることも困難です。 しかし、すべての医師が後遺障害の認定基準に足りうる内容で診断書を作成してくれるわけではありません。むしろ、後遺障害の認定基準や記載方法を知らない医師の方が多いのではないでしょうか?
このような、後遺障害診断書の不備を防ぐため、まずは自覚症状を正しく伝えることが大切です。
弊所では、医師面談の実施や診察への同行、後遺障害診断書の作成にあたって主治医への手紙を作成する等、後遺障害等級認定に向けて様々なサポートを行っております。治療中から弁護士に依頼をすれば、後遺障害診断書の作成を見据えたアドバイスを受けながら通院することができます。また、後遺障害診断書の作成時には、弁護士から、記載方法や注意点について助言も受けられます。 弁護士法人ALGは、交通事故案件を多く取り扱っており、医療問題に詳しい弁護士も多数在籍しています。無料相談も承っていますので、お困りの際にはお気軽にご連絡ください。

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