交通事故による椎間板ヘルニアの後遺障害等級や慰謝料の相場など

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
交通事故の被害に遭われたとき、事故の衝撃によって、“椎間板ヘルニア”になることがあります。治療を続けたものの、痛みやしびれといった神経症状が後遺症として残ってしまうおそれもあります。 そこで本記事では、交通事故による「椎間板ヘルニア」に着目し、椎間板ヘルニアによる後遺障害等級や椎間板ヘルニアで後遺障害等級認定となった場合の慰謝料の目安などについて、詳しく解説していきます。本記事にて、しっかりと理解を深めていきましょう。
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目次
交通事故による椎間板ヘルニアの症状
椎間板は、骨と骨の間にある軟骨組織で、クッション材のような役割を果たしています。 椎間板ヘルニアは、この椎間板が飛び出すことによって周辺の神経を圧迫させる病変です。椎間板ヘルニアになると発生部位に応じて様々な自覚症状が生じます。 また、椎間板は「背骨」にあるため、痛みやしびれといった神経症状のほか、重症化の場合には歩行障害や排尿障害などの症状が生じることもあります。 交通事故によって発症しやすい椎間板ヘルニアは、次の2種類です。
- ① 腰椎椎間板ヘルニア
- ② 頚椎椎間板ヘルニア
腰に発症する椎間板ヘルニアを“腰椎椎間板ヘルニア”、首に発症する椎間板ヘルニアを“頚椎椎間板ヘルニア”といいます。 腰椎椎間板ヘルニアと頚椎椎間板ヘルニアの各症状については、次項で詳しく解説していきます。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアの場合、症状としては、腰の激痛やしびれ・腰からお尻、太ももの裏側、足先にかけての痛みやしびれ(坐骨神経痛)・足の冷感等があります。 これらの症状は、一般的には片側の下肢(股関節~足の指先)に現れますが、両側の下肢に現れることもあります。また、重症になると、排尿や排便の障害・歩行障害を引き起こすこともあります。
頚椎椎間板ヘルニア
頚椎椎間板ヘルニアの場合、症状としては、首を寝違えたような痛み・肩こり・腕や手の痛みやしびれ・頭痛・耳鳴り等があります。 これらの症状は、一般的には片側の上肢(肩関節~手の指先)に現れますが、両側の上肢に現れることもあります。また、重症になると、下肢にまで痛みやしびれ等の症状が現れ、排尿や排便の障害・歩行障害を引き起こすケースもあります。
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交通事故による椎間板ヘルニアの治療
交通事故による椎間板ヘルニアの治療には、リハビリなどの「保存療法」と「手術療法」があります。 主に病院で用いられるのは保存療法で、投薬、注射による神経ブロック、コルセットの装着、マッサージなどが行われます。 椎間板ヘルニアの専門医は整形外科医です。整形外科医の指導のもと適切に治療することで、症状の程度によりますが完治するケースもあります。 そのため、まずは保存療法が行われ、保存療法では治癒できない場合には手術療法が行われる場合があります。しかしながらその一方で、完治せずに後遺障害が残ってしまうケースもあります。
椎間板ヘルニアが完治しない場合の後遺障害等級
事故による後遺症が残った場合、その程度に応じて、後遺障害等級が認定される場合があります。後遺障害等級認定を受ければ、後遺障害に係る損害賠償金を受け取ることができます。 椎間板ヘルニアが完治せずに神経症状が残ってしまった場合、認定される可能性がある後遺障害等級は、下表のとおり、「12級13号」と「14級9号」です。
後遺障害等級 | 認定基準 |
---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
後遺障害等級認定の申請方法については、以下のページをご参考になさってください。
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後遺障害等級12級13号に認定されるには
椎間板ヘルニアで後遺障害等級12級13号が認定されるためには、自覚症状が他覚的所見によって証明可能であることが必要です。たとえば、画像検査によって「神経の損傷が明らかである」と認められる場合には、後遺障害として12級13号が認定となる可能性があります。 そのため、早期段階からレントゲン検査やMRI検査などを受けて、医学的な証拠となる画像所見を残しておくことが大切です。また、神経症状が他覚的に明らかであると認められなければならないため、「神経学的検査」も受けた方がよいでしょう。 これらの検査を受けていない場合、12級13号が認定となる可能性が非常に低くなってしまいます。
後遺障害等級14級9号に認定されるには
椎間板ヘルニアで後遺障害等級14級9号が認定となるには、自覚症状を医学的に説明できることが必要となります。たとえば、画像検査で異常が認められなくても、事故態様などの事情や症状が事故当初から症状固定まで一貫して継続している場合などには、14級9号が認定される可能性があります。 なお、後遺障害等級が認定の審査では「治療経過」「症状経過」「検査結果」など他に、「事故状況(受傷状況)」も考慮されます。そのため、事故状況に関する資料として、事故後の車両画像や見積書などは写しを保管しておくとよいでしょう。
椎間板ヘルニアと事故の因果関係が問題になる場合も
後遺障害として認定されるためには、まず大前提として、交通事故が原因で怪我が発症したという“事故との因果関係”が認められなければなりません。 椎間板ヘルニアは、加齢等の事故外の原因によっても発症する可能性があることから、事故との因果関係について争われやすい傾向にあります。そのため、事故前から加齢等によって椎間板ヘルニアを発症していた(既往症)場合には、後遺障害として認定されない可能性が高いです。 事故との因果関係を証明するためには、次のような点に注意する必要があります。
- 適切な通院頻度を守ること
- 必要な検査を受けること
- 症状について適切に記載されている後遺障害診断書を作成すること など
適切な後遺障害等級の認定を受けるためには、上記の点に注意して医師へ自覚症状を適切に伝えることが大切です。また、MRI検査や神経学的検査などもきちんと受けるようにしましょう。
椎間板ヘルニアの後遺障害慰謝料の相場
後遺障害等級認定を受けると、後遺障害が残ってしまったことによる精神的苦痛に対する慰謝料として“後遺障害慰謝料”を請求することができます。また、後遺障害により将来にわたって発生する収入減少に対する補償である“後遺障害逸失利益”の請求もできます。 慰謝料の算定基準には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3種類があります。 椎間板ヘルニアで認定される可能性のある後遺障害等級と各算定基準によって得られる後遺障害慰謝料は下表のとおりです(任意保険基準の内容は、各保険会社が独自に定めているため、記載を省略しています)。
後遺障害等級 | 自賠責基準※ | 弁護士基準 |
---|---|---|
第12級 | 94万円 | 290万円 |
第14級 | 32万円 | 110万円 |
表をみるとわかるとおり、自賠責基準と弁護士基準で後遺障害慰謝料の相場に大きな差があります。 3つの算定基準についてより詳しく知りたい方は、以下のページをご参考になさってください。
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交通事故による椎間板ヘルニアと後遺障害に関する質問
椎間板ヘルニアの後遺障害等級が認定されない場合どうしたら良いですか?
後遺障害等級認定の結果に納得がいかない場合には、次のような手続きを取ることができます。
・相手方の自賠責保険会社に対して異議申立てを行う
・自賠責保険、共済紛争処理機構への申請を行う
・訴訟を提起する
このうち、もっとも一般的な手続きは「相手方の自賠責保険会社に対して異議申立てを行う」ことです。この手続きを取ることで後遺障害等級認定の結果を再度争えます。
なお、異議申立ての手続き方法や後遺障害が認定されない理由などについて、詳しくは以下のページをご覧ください。
後遺障害が認定されない理由と異議申し立ての3つの方法について
交通事故による椎間板ヘルニアを経年性や持病と疑われた場合どうしたら良いですか?
椎間板ヘルニアについて経年性病変や持病による影響を疑われると、“素因減額”の主張を受けるおそれがあります。
素因減額とは?
被害者が交通事故に遭う前から有していた既往症などの心因的・身体的要因(=素因)が原因で損害が発生・拡大した場合に、損害賠償額から素因分を減額する考え方のことをいいます。
相手方保険会社から素因減額の主張を受けた場合には、素因減額の内容がしっかりと「医学的に立証されているかどうか」確認することが大切です。
より詳しい対処方法については、以下のページをご覧ください。
交通事故による椎間板ヘルニアで後遺障害が残ったら、弁護士法人ALGへご相談ください
交通事故で椎間板ヘルニアとなり、後遺症が残ってしまった場合、適切な後遺障害等級の認定を受けることが後に適正な損害賠償金を受け取るために重要となります。 しかし、椎間板ヘルニアは事故との因果関係が争われやすく、後遺障害等級認定を受けることは決して容易ではありません。そのため、事故状況、症状、検査結果などに応じて適切な資料を集めることが重要です。 弁護士であれば、後遺障害等級認定のための資料取集等を任せられるだけでなく、弁護士基準での損害賠償金を認めてもらえる可能性が高まります。 ぜひお気軽に弁護士法人ALGへご相談ください。
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