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交通事故でTFCC損傷の後遺障害が残ったら|等級認定のポイントも解説

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

事故後治療を継続するも手首に痛みが残る場合には、“TFCC損傷”という後遺症の可能性があります。 TFCC損傷は、「機能障害」や「神経障害」などで後遺障害等級認定を受けられる場合がありますが、そもそもTFCC損傷がどのような症状なのか、よくわからないという方もいらっしゃるでしょう。 そこで本記事では、TFCC損傷による後遺障害や慰謝料をはじめ、TFCC損傷で適正な後遺障害等級認定を受けるためのポイントなどについて、詳しく解説していきます。

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TFCC損傷とは?

TFCC損傷とは、“手首の小指側に存在するTFCCと呼ばれる靭帯と繊維軟骨の複合体(=三角繊維軟骨複合体)が損傷する”ことをいいます。 また、TFCCとは、「Triangular Fibrocartilage Complex」の略で、日本語では「三角繊維軟骨複合体」といいます。交通事故などによる強い衝撃によって生じるだけでなく、加齢や度重なる手関節への過剰負担などでもTFCC損傷を来すことがあります。

交通事故によるTFCC損傷の原因と症状

TFCC損傷の原因と症状は、次のとおりです。

《原因》

  • 手首を急激に捻る動きをしてしまった場合にTFCCが捻じれ、損傷が起こる
  • バイクや自転車の交通事故で転倒の際に、手を強く押して損傷が起こる
  • 自動車のハンドルを握っている際に、手関節に過剰な負担がかかり損傷が起こる など

《症状》

  • 手首の可動域制限、手首の小指側の痛み、握力低下、クリック音が鳴る
  • 手首を用いる動作を行う際に痛みが生じる
    (車のハンドルを握るとき、掃除機で掃除するとき、ドアノブを回すとき など)

TFCC損傷は、交通事故による手首への強い衝撃以外にも、手首への過度な負担などが発症の原因となる場合もあります。基本的な症状には、「手首を捻る運動がしづらくなる」ことが挙げられます。

TFCC損傷の後遺障害と等級認定

TFCC損傷では、手首の可動域制限や手首の小指側の痛み、握力低下などの症状が現れます。 手首の可動域が制限される症状は「機能障害」に該当し、手関節に痛みが残る症状は「神経障害」に該当します。これらの症状が後遺障害として認められた場合には、TFCC損傷による後遺障害等級認定を受けることになります。 なお、TFCC損傷による機能障害で認定となる可能性がある後遺障害等級には、10級10号・12級6号が挙げられます。TFCC損傷による神経障害では、12級13号・14級9号の認定となる可能性があります。 では、それぞれの障害について、もう少し掘り下げてみてみましょう。

TFCC損傷の機能障害

TFCC損傷による機能障害とは、“手首の可動域に支障が生じた障害”のことをいいます。 具体的には、手関節が健康な状態に比べて曲がりにくくなってしまった状態などを指します。また、手関節の曲がりにくさの度合いは、関節の「機能障害」「著しい機能障害」「用を廃した」の3段階で表現され、この順に関節の可動域が狭まっていきます。 TFCC損傷による機能障害では、関節の可動域制限に応じて下表のとおり、8級6号・10級10号・12級6号の後遺障害等級に認定される可能性があります。

等級 認定基準
8級6号 怪我をしていない側の手首と比べ、可動域が10%以下に制限されているもの
10級10号 怪我をしていない側の手首と比べ、可動域が1/2以下に制限されているもの
12級6号 怪我をしていない側の手首と比べ、可動域が3/4以下に制限されているもの

TFCC損傷の神経障害

TFCC損傷による神経障害とは、“神経の圧迫によって手首に痛みやしびれ、麻痺などの症状が残る障害”のことをいいます。 なお、TFCC損傷による神経障害では、症状の程度などに応じて下表のとおり、12級13号・14級9号の後遺障害等級に認定される可能性があります。 後遺障害等級認定の審査では、事故態様や治療経過なども考慮されますが、具体的には他覚的所見があり、医学的に症状を証明できる場合には「局部に頑固な神経症状を残すもの」として12級13号に認定され、医学的説明にとどまる場合には「局部に神経症状を残すもの」として14級9号に認定され得ます。

等級 認定基準
12級13号 MRIなどの画像所見があり、症状を医学的に証明できるもの
14級9号 MRIなどの画像所見がなくても、症状を治療経過等から医学的に説明できるもの

交通事故によるTFCC損傷で請求できる慰謝料

TFCC損傷で請求できる慰謝料には、「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」などが挙げられます。 まず前提として、交通事故の慰謝料を計算する際には、下表の3つの基準を用います。このうち、もっとも慰謝料の金額が高くなるのが“弁護士基準”です。 弁護士基準は、基本的に弁護士が用いることのできる基準で、交通事故によって被害者が被った損害を補償するのにもっとも適した基準とされています。そのため、適正な慰謝料を受け取るためには、弁護士への依頼が必要不可欠となるでしょう。

自賠責基準 基本的な対人賠償の確保を目的とした基準
任意保険基準 任意保険会社ごとに算定基準を持っていて、非公開
弁護士基準 過去の裁判例をもとに設定された被害者が受け取るべき基準で最も高額になる

以下のページでは、慰謝料や後遺障害逸失利益などの計算が簡単に行える自動計算ツールをご紹介しています。ぜひご参考になさってください。

損害賠償自動計算ツール

入通院慰謝料

入通院慰謝料とは、“交通事故の怪我によって入院・通院を強いられたことで生じた精神的苦痛に対する補償”のことです。 交通事故の慰謝料の計算には、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つの基準が用いられます。任意保険基準は各保険会社が独自に定める基準であることから、内容は非公開となっています。 自賠責基準の入通院慰謝料は、次の計算式で出されます。

入通院慰謝料=4300円×対象日数
(2020年3月31日以前の事故は4200円となります)

※対象日数は、次の日数のいずれか少ない方を採用します。
① 実際に通院した日数×2
② 通院した期間の日数

一方で弁護士基準の入通院慰謝料は、「早見表」を用いて計算を行います。

【計算例】TFCC損傷で通院期間180日、実通院日数60日の場合(早見表は別表Ⅰを使用) 自賠責基準 ➡ 51万6000円
弁護士基準 ➡ 116万円

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料とは、“交通事故で後遺障害を負ったために生じた精神的苦痛に対する補償”のことです。 残ってしまった後遺症が後遺障害として認められると、「後遺障害慰謝料」の請求が可能となります。また、後遺障害慰謝料とあわせて「後遺障害逸失利益」の請求も行えるようになります。 TFCC損傷で認定となる可能性のある後遺障害等級の後遺障害慰謝料は、下表のとおりです。 表をみると、自賠責基準よりも弁護士基準の方がはるかに高額であることがわかります。 適切な後遺障害等級認定を受けることは、適切な後遺障害慰謝料を受け取ることにもつながります。

等級 自賠責基準 弁護士基準
8級 331万円 830万円
10級 190万円 550万円
12級 94万円 290万円
14級 32万円 110万円

※自賠責基準は新基準を反映しています。令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準が適用されます。詳しくは、こちらをご覧ください。

TFCC損傷で適正な後遺障害等級認定を受けるためのポイント

TFCC損傷で適正な後遺障害等級認定を受けるためには、次のポイントを押さえることが大切です。

  • ① 事故後すぐに受診しMRI画像検査を受けること
  • ② 症状固定まで継続して治療を受けること
  • ③ 後遺障害等級の申請を「被害者請求」で行うこと
  • ④ 認定結果に納得できない場合は異議申立てすること

これらのポイントを押さえることで、TFCC損傷により生じた後遺症に対して適正な後遺障害等級認定を受けられる可能性をより高めることができます。交通事故でTFCC損傷となられた方は、これらのポイントに注視して手続きを進められることをおすすめします。 では、それぞれのポイントについて、さらに掘り下げてみていきましょう。

①事故後すぐに受診しMRI画像検査を受ける

TFCC損傷が疑われる場合は、事故後すぐに病院を受診してMRI検査などの画像検査を受けることが重要です。 TFCC損傷は徐々に痛みが強くなることが多く、交通事故の発生時期と診断時期にズレが生じてしまいやすい傾向にあります。この点にズレが生じると、交通事故とTFCC損傷の因果関係が証明されにくくなり、後遺障害等級認定を受けることがさらに難しくなるおそれがあります。 そのため、TFCC損傷が疑われる場合は、なるべく早めにMRI検査を受けることはもちろん、手首の専門家に相談して「関節造影検査」などを受けることもおすすめします。画像検査のデータは、適正な後遺障害等級認定を受けるために非常に重要な証拠となります。

②症状固定まで継続して治療を受ける

治療を継続していると、主治医から「症状固定」と言われる時期が必ず訪れます。 適正な後遺障害等級認定を受けるためには、この症状固定の日まで継続して治療を受けることが重要です。症状固定日まで継続して治療を受けることで、治療と症状の“連続性・一貫性”を証明することができ、後遺障害等級の認定を受けやすくなります。 なお、TFCC損傷の症状固定の時期は症状や治療によって様々ですが、大体6ヶ月~1年半程度の場合が大半を占めています。一般的な治療期間を目安に保険会社から治療費を打ち切るという打診が来ることがありますが、症状固定日は医師が判断するものであるため、決して安易に応じないようにしましょう。 また、後遺障害等級認定には、医師が作成する「後遺障害診断書」が重要な書面の役割を担いますので、医師へ具体的な症状を伝えることが大切です。

③後遺障害等級の申請を「被害者請求」で行う

後遺障害等級認定の申請には、「事前認定」と「被害者請求」の2つの方法があります。 なお、2つの申請方法の主な違いは下表のとおりです。

事前認定 <書類の準備を相手方の保険会社に任せる申請方法>
・被害者が書類を準備する必要がないので手間や時間がかからない
・必要最低限の書類で申請するため十分な等級認定を受けられないおそれがある
被害者請求 <書類のすべてを被害者自身で集める申請方法>
・書類の見直しや追加資料の添付など、等級の認定率を上げられる可能性がある
・示談成立前に自賠責保険から賠償金の一部を受け取ることができる
・書類集めに手間や時間がかかるが弁護士のサポートを受けることで解消される

事前認定は、相手方保険会社が後遺障害等級の申請に必要な手続きをすべて行ってくれるというメリットがありますが、被害者請求の方がより後遺障害等級の認定率を上げることに期待できます。また、弁護士に依頼することで後遺障害診断書の確認や有効な証拠となる資料の取り付けも行えるため、より一層認定率を上げられる可能性が高まります。 少しでも認定率を高めるために、後遺障害等級の申請は「被害者請求」で行うようにしましょう。 被害者請求について、詳しくは以下のページをご覧ください。

④認定結果に納得できない場合は異議申立てする

異議申立てとは、“後遺障害等級認定の結果が非該当や、想定よりも低い等級認定で納得できない場合に結果に対して再度審査を求める手続き”のことをいいます。 異議申立ては、後遺障害に関する専門的な知識だけでなく医学的な知識も必要となるため、決して容易に行えるわけではありません。しかし、認定結果を覆す希望を持つことができるため、納得できない場合は異議申立てを行いましょう。 なお、異議申立てを行うには、新たな証拠となる検査結果や医師の意見書などが必要となります。これら追加資料の収集を円滑に行い、適切に主張するためには弁護士にご相談されることをおすすめします。 異議申立てについて、詳しくは以下のページをご覧ください。

TFCC損傷に関する解決事例

被害者が交差点に進入した際に、加害車両が一時停止無視で直進し、衝突した事故です。 この事故により被害者は手関節捻挫やTFCC損傷等の傷病を負い、半年ほど通院したのち、症状固定となりました。 被害者は加害者保険会社に任せる事前認定により、後遺障害等認定を申請しましたが、「非該当」との結果になり、当法人にご相談いただき、異議申立てを行うことで合意し、ご依頼をうけました。 当方弁護士が、医師と協議を行い、医師から意見書を取得したうえで異議申立てをしました。その結果TFCC損傷が認められるとして、後遺障害等級12級13号の認定を受けることができ、総額1100万円を超える金額を獲得することができました。

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交通事故によるTFCC損傷の後遺障害について、弁護士が親身にアドバイスさせていただきます。

TFCC損傷で適切な後遺障害等級認定を受けるためには、弁護士に依頼することが有効な手段です。 特に交通事故だけでなく医療も得意とする弁護士であれば、TFCC損傷をはじめとする様々な傷病に関する知識があるため、後遺障害等級の認定率をより高めることに期待できます。その他のメリットには、後遺障害等級認定の申請手続きを一任できるため、治療に専念できるという点も挙げられるでしょう。慰謝料においても、弁護士基準での算定が可能となることで慰謝料の増額が見込めます。 また、後遺障害等級認定は、治療経過も審査の判断材料とされます。治療の受け方から後遺障害診断書の書き方まで弁護士のアドバイスを受けることによって、適切な後遺障害等級認定を受けられる可能性を高まります。TFCC損傷でお悩みの方は、ぜひ弁護士法人ALGへご相談ください。

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