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交通事故によるむちうちの慰謝料相場はいくら?増額ポイントなど

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

交通事故で最も多いケガの一つが「むちうち」です。通院した場合は入通院慰謝料、後遺障害等級が認定されれば後遺障害慰謝料を請求できます。 弁護士基準の慰謝料相場は19万~89万円程度とされ、基準によって金額に大きな差が出ます。 本記事では、むちうちの慰謝料目安、増額のポイント、治療費打ち切りへの対応などを詳しく解説します。適正な慰謝料を受け取るために知っておきたい情報ですので、ぜひ最後までご覧ください。

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交通事故によるむちうちの慰謝料の相場はいくら?

交通事故でむちうちを負った場合の慰謝料相場は19万~89万円程度とされています(弁護士基準の場合)。請求できる慰謝料は「入通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」の2種類です。むちうちは比較的軽傷とされますが、治療期間は2~3ヶ月が一般的で、症状が長引くと6ヶ月以上になる場合もあります。

入通院慰謝料 交通事故のケガにより入通院を強いられた精神的苦痛に対する補償。
入通院期間や通院日数をもとに金額が決まる。
後遺障害慰謝料 交通事故のケガにより後遺障害が残った精神的苦痛に対する補償。
後遺障害等級をもとに金額が決まる。

慰謝料の算定には3つの基準があり、金額は 自賠責基準 ≦ 任意保険基 < 弁護士基準の順で高くなります。

自賠責基準 自賠責保険が用いる基準。
基本的な対人賠償の確保を目的としているため、3つの基準のなかで最も低額になる可能性が高い。
任意保険基準 任意保険会社が用いる基準。保険会社ごとに算定表が異なり、非公開。
自賠責基準と同程度かやや高額になるケースが多い。
弁護士基準 裁判所や弁護士が用いる基準。
過去の判例をもとに設定されているため、被害者にとって適切な基準であり、3つのなかで慰謝料が最も高額になる可能性が高い。

例えば、3ヶ月通院し30日通院した場合、入通院慰謝料は自賠責基準で25万8000円、弁護士基準では53万円です。弁護士基準は最も高額で、後遺障害等級が認定されればさらに後遺障害慰謝料を請求できます。 保険会社は自賠責基準や任意保険基準で提示することが多いため、適正な金額を受け取るには弁護士による交渉が重要です。

入通院慰謝料【早見表】

むちうちの入通院慰謝料の目安は、以下の早見表で確認できます。

他覚所見のないむちうちなど軽傷の場合の入通院慰謝料の目安
通院期間 自賠責基準
(月に10日通院/15日通院)
弁護士基準
1ヶ月 8万6000円/12万9000円 19万円
2ヶ月 17万2000円/25万8000円 36万円
3ヶ月 25万8000円/38万7000円 53万円
4ヶ月 34万4000円/51万6000円 67万円
5ヶ月 43万円/64万5000円 79万円
6ヶ月 51万6000円/77万4000円 89万円
9ケ月 77万4000円/116万1000円 109万円
12ヶ月 103万2000円/120万0000円 119万

早見表は、レントゲンやMRIなどで異常が見られない「他覚所見のないむちうち」や軽い打撲など、比較的軽傷の場合を想定しています。 他覚所見のないむちうちとは、痛みやしびれなどの症状があるものの、画像検査や神経学的検査で異常が確認できないケースです。 慰謝料の算定基準には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3種類がありますが、任意保険基準は非公開のため、自賠責基準と弁護士基準を比較します。一般的に、弁護士基準は最も高額で、自賠責基準よりも大きな差が出ます。

自賠責保険の傷害部分には120万円の上限があります。治療期間が長くなって治療費が増えると、慰謝料に回せる金額が減る可能性があります。上限を超えた分は相手方任意保険会社が負担しますが、最終的な支払額は示談内容で決まります。

自賠責基準の計算方法

自賠責基準による入通院慰謝料の計算方法は、次のとおりです。

入通院慰謝料=4300円×対象日数

◎対象日数は、以下の①②のうち、いずれか少ない方の日数 ①治療期間(事故日~治癒日または症状固定日) ②実治療日数(実際に入院や通院をした日数)×2

※令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準の日額4200円で計算する

1日だけ通院した場合でも、入通院慰謝料を請求できます。 通院1日の場合、自賠責基準における入通院慰謝料は、4300円となります。 それでは、計算式に例をあてはめて、慰謝料を計算してみましょう。 なお、1月は30日として計算します。

(例1)他覚所見のないむちうちで通院3ヶ月、毎月10日通院した場合

①治療期間 30日×3ヶ月=90日
②実通院日数 (10日×3ヶ月)×2=60日

① > ②であるため、②を対象日数とします。 よって、自賠責基準による入通院慰謝料は、4300円×60日=25万8000円となります。

(例2)他覚所見のないむちうちで通院3ヶ月、毎月15日通院した場合

①治療期間 30×3ヶ月=90日
②実治療日数 (15日×3ヶ月)×2=90日

① = ②であるため、対象日数は90日となります。 よって、自賠責基準による入通院慰謝料は、4300円×90日=38万7000円となります。

弁護士基準の計算方法

入通院慰謝料の表を使って算定します。 表は2つあり、他覚所見のないむちうちの場合は、下記の【別表Ⅱ】を使用します。横軸の入院期間と縦軸の通院期間をたどり、それぞれが交わる部分が入通院慰謝料の金額です。 他覚所見のないむちうちで3ヶ月通院した場合の入通院慰謝料は、53万円であることがわかります。

むちうち等他覚所見のない比較的軽傷の場合【別表Ⅱ】
むちうち等他覚所見のない比較的軽傷の場合【別表Ⅱ】
入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院 A’B’ 35 66 92 116 135 152 165 176 186 195 204 211 218 223 228
1月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199 206 212 219 224 229
2月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201 207 213 220 225 230
3月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202 208 214 221 226 231
4月 67 95 119 136 152 165 176 185 192 197 203 209 215 222 227 232
5月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204 210 216 223 228 233
6月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205 211 217 224 229
7月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206 212 218 225
8月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207 213 219
9月 109 129 147 158 169 177 185 191 197 202 208 214
10月 113 133 149 159 170 178 186 192 198 203 209
11月 117 135 150 160 171 179 187 193 199 204
12月 119 136 151 161 172 180 188 194 200
13月 120 137 152 162 173 181 189 195
14月 121 138 153 163 174 182 190
15月 122 139 154 164 175 183

後遺障害慰謝料

後遺障害とは、治療したけれど残ってしまった症状のうち、自賠責保険が定める後遺障害等級に該当すると認定されたものをいいます。後遺障害等級は、障害の内容や程度に応じて、1級~14級に区別されます。1級と2級は、介護を要するものと、そうでないもので、更に区別されます。 後遺障害慰謝料にも自賠責基準と弁護士基準があります。どちらの基準でも、後遺障害慰謝料の目安は、認定された等級に応じて決まります。 むちうちで認定される可能性のある後遺障害等級は、「12級13号」か「14級9号」です。それぞれの目安となる慰謝料の額は、下表のとおりです。

むちうちの後遺障害が残った場合の後遺障害慰謝料相場
後遺障害等級 自賠責基準 弁護士基準
12級13号 94万円 290万円
14級9号 32万円 110万円

12級13号と14級9号には、以下のような違いがあります。

12級13号 「局部に頑固な神経症状を残すもの」
他覚的所見(MRI・CTの画像、レントゲン写真、神経学的検査等)により、後遺症の存在を医学的に証明できること
14級9号 「局部に神経症状を残すもの」
他覚的所見はないが、事故態様、治療の経過などにより、後遺症の存在を医学的に説明できること

後遺症が残っていても、等級に該当しなければ後遺障害慰謝料は請求できません。そのため、適切な等級認定を受けられるかどうかが重要です。 入通院慰謝料や後遺障害慰謝料などの損害賠償金について、自分のケースではどのぐらいもらえるのか、大まかな金額を知りたい方は、以下のリンク先にある自動計算機をご活用ください。

損害賠償計算

後遺障害等級12級と14級について知りたい方は、以下の各記事をご覧ください。

むちうちの慰謝料を増額するためのポイントは?

適切な頻度で継続的に通院する

適正な慰謝料を受け取るには、症状固定まで適切な頻度で通院を続ける必要があります。 症状固定とは、治療を続けても症状が良くも悪くもならない状態です。 症状が軽いからと通院を止めると、その後の期間は入通院慰謝料の対象外になります。また、通院期間に対して通院頻度が少ない場合、慰謝料が低く算定される可能性があり、逆に過剰な通院は治療費の必要性を争われる場合があります。 適正な慰謝料を受け取るためには、医師の判断に従い、週2~3回、月10日以上の通院が望ましいとされています。 整骨院(接骨院)を利用する場合は、医師の許可を得たうえで施術を受けましょう。また、月1回程度は整形外科で診察を受け、治療方針を確認することが重要です。 医師の許可なく整骨院に通った場合や整骨院のみで治療を続けると、治療の必要性を疑われ、整骨院での治療費や慰謝料が認められないおそれがあります。

治療費の打ち切りに安易に応じない

むちうちの治療費は、相手方保険会社が病院へ直接支払う「一括対応」が一般的です。しかし、事故から3ヶ月程度経つと、相手方保険会社から「治療費の打ち切り」を打診される可能性があります。 治療の必要性を判断できるのは医師であり、保険会社ではありません。症状が続いている場合は、安易に応じず、治療の必要性を示したうえで交渉することが重要です。 打ち切り後も治療が必要な場合は、被害者自身が自己負担で治療を続け、示談時にその費用を請求する方法があります。また、加害者の自賠責保険に直接請求する「被害者請求」を利用すれば、示談前に保険金を受け取れます。 ただし、自賠責保険には傷害部分で120万円の上限があるため、超過分は任意保険会社との示談で決まります。

後遺障害等級認定申請を受ける

後遺障害等級認定申請を行い、等級認定されると、入通院慰謝料に加えて後遺障害慰謝料を請求できます。 むちうちは他覚所見に乏しく、等級認定が難しいため、検査や診断書の内容が重要です。CTやMRIなどの検査を受け、症状の裏付けが求められます。 医師が作成する後遺障害診断書の記載も審査に直結します。特に、「自覚症状」欄に記載されていない症状は認定症状になりません。医師に痛みやしびれ、生活への支障を正確に伝え、後遺障害診断書に反映してもらいましょう。 さらに、通院頻度や治療状況も認定に影響します。むちうちで等級認定を目指す場合、6ヶ月以上の通院が必要とされるケースが多いため、医師の指示に従い継続的に治療を受けるのが望ましいです。 むちうちで後遺障害等級認定されるためのポイントについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

むちうちでも弁護士に相談する

むちうちだからといって、個人で解決しようとせず、弁護士に相談して依頼をすると、以下のようなメリットがあります。

弁護士基準で計算し、請求できる

相手方保険会社が提示する慰謝料額は、自賠責基準や任意保険基準で計算されている場合が多く、弁護士基準で計算するよりも低い金額となる傾向があります。適切な賠償を受けるためには、弁護士基準で計算した慰謝料を請求する必要があります。

過失割合が適切になり、増額する可能性がある

弁護士であれば、判例等の法的知識や経験的知識に基づき、客観的証拠を示しながら、適正な過失割合を提示して交渉が可能です。その結果、慰謝料が増額する可能性が高まります。

心身の負担の軽減

保険会社との直接的なやり取りや後遺障害等級認定申請の手続き等は弁護士が行うようになるため、保険会社からの連絡や煩雑な手続きから解放されます。その結果、安心して治療に専念できます。

むちうちの慰謝料が減額されることもある?

むちうちの慰謝料は、以下のような事情があると、通常より減額される可能性があります。

  • 通院日数が極端に少ない場合
    自賠責基準では通院日数が少ないと慰謝料が減ります。弁護士基準は通院期間を重視しますが、通院頻度が極端に低い場合、日数の3倍を目安に期間を算定するため、結果的に減額される可能性があります。
  • 既往症や持病の影響
    事故による症状悪化や治療長期化が既往症に起因する場合、「素因減額」が適用されます。これは、事故と症状の因果関係が弱いと判断されるためです。
  • 被害者側の過失
    被害者側にも過失がある場合は「過失相殺」により減額されます。例えば、慰謝料500万円で過失割合が9対1(被害者)なら、1割分の50万円が差し引かれます。

上記のような要因は示談交渉で争点になりやすいため、医師の診断書や通院記録を整え、弁護士に相談しましょう。 通院日数が少ない場合の慰謝料について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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交通事故に遭いお困りの方へ

交通事故のむちうち慰謝料に関する弁護士法人ALGの解決事例

<事案の概要>

依頼者は追突事故でむちうちなどのケガを負いました。6ヶ月間の通院治療を受け、事前認定の結果、後遺障害等級併合14級が認定されました。 相手方保険会社から約184万円の賠償案を提示されましたが、適切かどうかの判断がつかず、当事務所に依頼されました。

<担当弁護士の活動>

担当弁護士が相手方保険会社からの賠償案を検討したところ、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、逸失利益の提示額が弁護士基準と比べて低いものでした。そこで、担当弁護士は、弁護士基準で算出した示談案を提示し、交渉を行いました。

<結果>

担当弁護士が弁護士基準に近いベースでなければ話にならないと強く交渉した結果、相手方の当初提示額から約126万円の増額となり、既払い分を除いて約310万円を支払ってもらう内容の示談が成立しました。

むちうちの慰謝料に関するQ&A

交通事故の被害者が主婦の場合、むちうちの慰謝料相場は低くなりますか?

交通事故の被害者が主婦でも、むちうちの慰謝料相場は低くなりません。慰謝料は、精神的苦痛に対する賠償金であり、収入や地位で金額を決めるものではないためです。主婦の場合も、計算方法は通常と同じです。 一方、損害賠償金のうち、「休業損害」や「逸失利益」は、失われた収入をカバーするためのもので、収入や地位が影響します。計算のもとになる収入額の出し方は、個別の状況によって異なり、主婦ならではの計算が必要になります。 主婦の慰謝料について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

追突事故によるむちうちで過失割合が10対0の場合、相場の満額を受け取れますか?

被害者側に過失がない場合、過失相殺による減額はありません。そのため、目安に近い額の慰謝料を受け取れる可能性があります。 ただし、通院期間が長いにもかかわらず通院頻度が少ない場合や、事故前から患っていた病気がむちうちの症状を悪化させている場合などには、慰謝料が少なくなる可能性もあります。 さらに、過失割合が10対0の場合、保険会社の示談代行サービスが使えないため、被害者自身で相手方保険会社と交渉する必要があります。 交渉に不安がある場合や、弁護士基準による慰謝料の請求を目指したい場合は、弁護士への依頼が有効です。 過失割合10対0の事故について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

むちうちの治療で整骨院に通院した場合も施術費や慰謝料を請求できますか?

整骨院での施術費や慰謝料が認められるかは、施術の必要性や有効性、内容や期間の合理性、施術費の相当性などに基づき判断されます。 もっとも、医師から許可を得て整骨院(接骨院)を利用した場合は、その施術が治療費や慰謝料の対象として認められる可能性が高まります。 医師が施術の必要性を認めているためです。 ただし、整骨院に通う際も、整形外科への通院は続ける必要があります。最低でも月に1~2回は整形外科で診察を受け、治療方針を確認しましょう。 診察の結果、整骨院での施術の継続が認められれば、整骨院での施術費や慰謝料の請求が通りやすくなります。 整骨院に通った場合の慰謝料について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

交通事故によるむちうちの慰謝料請求は弁護士にご相談ください

むちうちは外傷がなく、レントゲンやMRI等の検査画像にも写りにくいため、医学的所見を得るのが難しいケガです。そのため、保険会社から症状を軽視されやすく、治療費の早期打ち切りや、低額な慰謝料提示を受ける可能性があります。 むちうちで適切な慰謝料を得るには、交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。 弁護士法人ALGには、交通事故に詳しい弁護士だけではなく、医学知識を持つ弁護士も在籍しています。 事故状況はもちろん、お身体の状況についても丁寧にお話を伺い、適切な金額での慰謝料獲得を最大限サポートします。 また、弁護士費用特約を使用すれば、経済的負担を軽くしたうえで、弁護士に依頼できます。 交通事故によるむちうちの慰謝料請求についてお悩みの方は、ぜひ弁護士法人ALGにご相談下さい。

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※死亡・後遺障害等級認定済みまたは認定が見込まれる場合

※事案によっては対応できないこともあります。

※弁護士費用特約を利用する場合、別途の料金体系となります。

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