交通事故で手首を骨折した場合の後遺障害や慰謝料など

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
この記事でわかること
交通事故による強い衝撃または車・バイクと接触し転倒した拍子に手をついたことによって、手首を骨折してしまうことがあります。その後、治療を受けた結果、骨は癒合したものの、「うまく動かせない」「痛みやしびれがある」などの後遺症が残ってしまう場合があります。そのような場合には、“後遺障害等級認定”を受けられる可能性があります。 そこで本記事では、「交通事故による手首骨折」に着目し、手首骨折で認定される可能性のある後遺障害や後遺障害等級認定を受けるためのポイントなどについて、詳しく解説していきます。
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目次
交通事故による手首骨折とは
一般的に手首とは、前腕と手のひらが繋がっている部位のことをいい、「手関節(しゅかんせつ)」とも呼ばれています。また、橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)、8つの骨から成り立つ手根骨(しゅこんこつ)の計10本の骨で構成されています。 交通事故による手首骨折には様々な種類があり、骨折した部位や程度などによってどの種類の手首骨折に該当するのかが判断されます。では、どのような種類があるのでしょうか? 次項で手首骨折の種類について、詳しく解説していきます。
手首骨折の種類
手首骨折には、下表のとおり、様々な種類があります。 骨折した部位や状態によって、どの骨折の種類に該当するのかが判断されます。
骨折の種類 | 症状 |
---|---|
単純骨折 | 皮膚表面から折れた骨が露出していない状態の骨折のこと |
不全骨折 | 完全に骨が断裂してはおらず、部分的につながっている状態の骨折のこと |
複合骨折 | 1本の骨が2つ以上、複数箇所で折れている状態の骨折のこと |
開放骨折 | 骨折した骨が傷口から外部へ出ている状態のこと |
橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ) | 橈骨の遠位端部(手首に近い部分)が骨折した状態のこと |
舟状骨骨折(しゅうじょうこつこっせつ) | 親指の列にある舟状骨が骨折した状態のこと |
手首骨折で認定される可能性のある後遺障害
速やかに病院を受診して適切な治療を続けたにも関わらず、手首の骨折が原因で「後遺症」が残ってしまうことがあります。そのような場合には、後遺障害等級認定の申請をすることにより、残ってしまった後遺症が事故による後遺障害であると認められることが大切です。 手首骨折で次のような後遺症が残った場合には、後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。
- 可動域制限
- 神経症状
- 変形障害
- 欠損障害
後遺障害として認定されると、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求することができます。 適切な賠償金を受け取るためには、適切な後遺障害等級認定を受けることが重要です。
可動域制限
可動域制限とは、「関節を動かすことのできる範囲が狭まってしまうこと」で、機能障害ともいいます。 可動域制限によって後遺障害等級認定を受ける際には、機能障害の程度が重要となります。つまり、“手関節を動かすことのできる範囲にどれくらいの制限が生じているのか”という点がポイントとなります。また、単に可動域制限の数値のみで判断されるわけではなく、骨折の程度や治療経過、骨癒合の状態などから総合的に判断されます。 手関節の可動域制限で認定される可能性のある後遺障害等級は、下表のとおりです。
等級 | 後遺障害の内容 |
---|---|
8級6号 | 1上肢の3大関節の1関節の用を廃したもの |
10級10号 | 1上肢の3大関節の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
12級6号 | 1上肢の3大関節の1関節の機能に障害を残すもの |
可動域制限についてさらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
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神経症状
神経症状とは、「神経が圧迫されることにより、痛み、麻痺、しびれ等が生じること」をいいます。 神経症状で後遺障害等級認定を受ける際には、他覚的所見の有無が重要となります。つまり、“レントゲンやMRIなどの画像で神経の圧迫が認められるかどうか”ということがポイントとなります。 しかし、画像で神経の圧迫が認められなくても、神経に異常があることが医学的に説明可能な場合は、後遺障害として認められる可能性があります。その場合には、14級9号が認定されます。 手関節の神経症状で認定される可能性のある後遺障害等級は、下表のとおりです。
等級 | 後遺障害の内容 |
---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
神経症状についてさらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
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変形障害
変形障害とは、「骨折した骨が癒合しない、または偽関節を残すこと」をいいます。偽関節とは、骨折した部分が癒合せず(骨がくっつかない)に関節ではない部分が関節のようになってしまった状態のことです。 これらの状態が認められる場合には、変形障害として後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。また、骨折した部分が癒合しても、著しく変形して癒合した場合には、変形障害として認定となる可能性があります。 手関節の変形障害で認定される可能性のある後遺障害等級は、下表のとおりです。
等級 | 後遺障害の内容 |
---|---|
7級9号 | 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの |
8級8号 | 1上肢に偽関節を残すもの |
12級8号 | 長管骨に変形を残すもの |
欠損障害
欠損障害とは、「上肢(肩~指先まで)の一部を失うこと」をいいます。事故による骨の損傷が著しい場合には、切断や離断を行い治療することがあります。このような場合には、失った上肢の程度・範囲に応じて後遺障害等級が認定となります。 欠損障害は、可動域制限や神経症状などとは異なり、客観的な基準があることから、後遺障害等級で争われる可能性は低いです。 手関節の欠損障害で認定される可能性のある後遺障害等級は、下表のとおりです。
等級 | 後遺障害の内容 |
---|---|
2級3号 | 両上肢を手関節以上で切断したもの |
5級4号 | 1上肢を手関節以上で切断したもの |
【等級別】手首骨折の後遺障害慰謝料
手首骨折の後遺症が「事故による後遺障害」と認定された場合には、認定された等級に応じて“後遺障害慰謝料”と“後遺障害逸失利益”を請求することになります。 交通事故における慰謝料の算定基準には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準があり、下表は自賠責基準と弁護士基準の後遺障害慰謝料を比較したものです。なお、3つの基準のうち、もっとも高額となる基準は弁護士基準となります。表をみると、金額に2倍以上の大きな差があることがわかります。
等級 | 弁護士基準 | 自賠責基準※ |
---|---|---|
8級 | 830万円 | 331万円 |
10級 | 550万円 | 190万円 |
12級 | 290万円 | 94万円 |
14級 | 110万円 | 32万円 |
※自賠責基準は新基準を反映しています。令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準が適用されます。
後遺障害逸失利益、後遺障害慰謝料の請求について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
手首骨折で後遺障害等級認定を受けるためにすべきこと
手首骨折で適切な後遺障害等級認定を受けるためには、以下2つの点を行うことが大切です。
- ①各種検査や適切な治療を受ける
- ②弁護士に相談・依頼する
この2つの点を押さえることで、身体に残った後遺症について適切な後遺障害等級認定を受けられる可能性が高まります。「治療を続ければ、後々治っていくだろう」と安易に考えずに、身体に後遺症が残ってしまうかもしれない可能性を考えて、早い段階から備えていきましょう。 では、次項にてそれぞれの点を具体的に解説していきます。
各種検査や適切な治療を受ける
手首骨折が疑われる場合には、レントゲンやCT検査などで骨折の部位や種類を確認してもらい、適切な治療を受けることが大切です。 具体的には、骨折の状態などから「保存的治療」もしくは「外科的治療」が行われます。
■ 保存的治療
人体を傷付けない、つまり出血させずに治療することをいいます。 非観血的整復術(=徒手整復:引っ張ったりして骨を元の位置に戻す)を行い、その後4~5週間のシーネ固定もしくはギプス固定にて治療します。
■ 外科的治療
人体を出血させて治療することをいいます。 観血的整復術(=手術)で骨折部を展開し、プレートなどで繋ぎ合わせます。
これらの治療が行われた後は、骨癒合するまで1~2ヶ月程度安静にする必要があります。
弁護士に相談・依頼する
弁護士に相談・依頼することで、適切な後遺障害等級認定を受けられる可能性をより高めることができます。 後遺障害に詳しい弁護士であれば、後遺障害等級認定に向けたアドバイスを的確に行うことが可能です。通院の仕方や医師への自覚症状の伝え方などを正しく行うことで、後の後遺障害等級認定の審査によい影響を与えます。 また、慰謝料の算定では高額な弁護士基準を使用できることから、慰謝料の増額に期待できます。 弁護士費用特約を利用すれば、弁護士費用の負担も軽減されるため、まずは加入先の保険会社へ弁護士費用特約の有無を確認してみるとよいでしょう。
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手首骨折の後遺障害に関する弁護士法人ALGの解決事例
手首の機能障害で賠償金を約460万円増額できた事例
賠償金 | 約840万円 ➡ 約1300万円 |
---|---|
後遺障害等級 | 12級 |
傷病名 | 舟状骨骨折 |
ご依頼者様は、交通事故により舟状骨骨折を負い、手首の機能障害として後遺障害等級12級の認定を受けました。その後の賠償交渉では、相手方保険会社から「機能障害の症状は、徐々に軟化するはずだ」と主張され、逸失利益について激しく争われました。 逸失利益の算定において、相手方保険会社は、労働能力喪失率を一定の期間ごとに軽減していくという方式を用いた賠償金を提示してきました。そのため、弁護士にて、機能障害の症状は軟化するものでなく、労働能力喪失率が軽減していくという考え方は不合理であることを指摘し、粘り強く交渉を続けました。 その結果、こちらの主張が認められ、約460万円の増額を実現することができ、最終的に約1300万円にて示談することができました。
手首骨折の後遺障害で裁判基準からは程遠い金額から約750万円増額できた事例
賠償金 | 約350万円 ➡ 約1100万円 |
---|---|
後遺障害等級 | 12級 |
傷病名 | 手首骨折 |
ご依頼者様は、バイクで走行中に相手方車両と衝突し、手首を骨折する等の傷害を負いました。その後、半年間治療を行いましたが、手首の疼痛や骨の変形が残り、後遺障害等級12級の認定を受けました。 賠償交渉で相手方保険会社から提示された金額は、裁判基準からは程遠い金額で非常に低額なものでした。そのため、弁護士にて改めて主張書面を作成のうえ、相手方保険会社が主張する内容が不相当であると主張し、粘り強く交渉を行いました。 その結果、約750万円の増額を実現することができ、最終的に約1100万円にて示談することができました。また、大幅な増額だけでなく、ご相談から解決まで2ヶ月程度という短期間で解決することができました。
手首骨折は後遺障害等級が認定される可能性があります!ぜひ弁護士にご相談ください
交通事故が原因で手首を骨折して後遺症が残った場合には、適切な賠償金を受け取るために、後遺障害等級認定を受ける必要があります。 しかし、初めてのことでどのように進めていけばよいのか迷われる方がほとんどでしょう。後遺障害等級認定の審査では、怪我の程度だけでなく、治療の態様等も判断材料となるため、医療に強い弁護士から治療の受け方についてもアドバイスをもらうことで、適切な認定を受けられる可能性が高まります。 どのように対応すればよいのか迷われ、不安を抱かれている方は、ぜひ一度弁護士にご相談ください。 弁護士であれば、適切な後遺障害等級認定を受けるために最善を尽くすことができます。
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