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交通事故で骨折したら | 慰謝料や後遺障害が残った場合について

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員

交通事故は被害者の心身に大きなダメージを与えるので、種類や程度に差こそありますが、多くのケースで怪我を負う事態になってしまいます。数ある交通事故による怪我のなかでも、「骨折」は特に受傷しやすいといわれています。骨折する部位や症状の程度によっても変わってきますが、一般的に治療が長期化する傾向にあるので、入通院慰謝料を含む損害賠償金が高額になりやすいという特徴があります。 このページでは、交通事故による骨折にはどのような種類があるのか、慰謝料はどれくらいもらえるのか、万が一後遺症が残ってしまった場合にはどのように対応すれば良いのかといったポイントについて解説していきます。

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交通事故で骨折してしまったら

交通事故に遭ってしまったら、できるだけ早く病院へ行って受診しましょう。たとえ事故直後は痛みや見た目の変化がなくとも、骨折等の怪我をしている可能性があるからです。初診まで時間が空いてしまうと、骨折等の怪我の原因が本当に交通事故にあるのかを証明することが難しくなってしまい、適切な賠償を受けられなくなってしまうおそれがあるので注意しましょう。 また、事故後なるべく早めに弁護士に相談することもおすすめします。早い段階で弁護士に相談すれば、その後の示談交渉等の流れやするべき対応、治療や検査の受け方等についてアドバイスを受けられるので、適切な賠償金を受け取ることができる可能性が高まるからです。

交通事故で考えられる骨折とは?

一口に交通事故といっても、車と車が衝突した事故なのか、歩行者が車に轢かれてしまった事故なのか、出合い頭に衝突されたのか、それとも追突された事故なのか等、そのパターンは様々なので、骨折する可能性のある部位や骨折の種類も様々です。 そこで、交通事故によって骨折する可能性のある身体の部位別の症状や治療法、残りやすい後遺障害のほか、骨折の種類について、簡単に説明していきます。

骨折の部位

骨折とは、何らかの理由で骨が連続性を絶たれて壊れてしまった状態をいうので、頭部や上肢、下肢、体幹等、骨がある部位ならどこでも起こる可能性があります。 とはいえ、骨折する部位が違えば、症状や治療法、後遺障害の残りやすさといった点が異なってきます。次項以下をご覧ください。

頭部の骨折

【頭蓋骨骨折】 脳を守る役割を持つ頭蓋骨の骨折です。頭蓋骨骨折が起こってしまった場合、脳にまで損傷が及んでしまい、重篤な後遺症(遷延性意識障害・麻痺・高次脳機能障害等)が残る可能性があります。 頭蓋骨は様々なパーツに分けられるので、どのパーツを骨折したかによって症状や治療法が異なります。とはいえ、一般的に、骨折した直後は強い痛みや患部の腫れ等がみられ、脳がダメージを受けた場合には、ある程度の時間が経ってから意識を失ったり、激しい頭痛や吐き気、めまい等がみられたりすることがあるので注意が必要です。

【眼窩底(がんかてい)骨折】 眼球が入っている骨のくぼみ(眼窩)の下壁になっている眼窩底の骨折です。目の周りのあざや鼻血、眼球の運動障害や複視、眼のくぼみ(眼球陥没)、頬から上唇にかけてのしびれといった症状がみられる場合があります。 骨折の程度が軽く(骨にズレがない等)眼球の機能障害や周辺部の感覚障害がみられない場合には、経過観察することもありますが、症状が改善しない場合には、手術で欠損した骨を再建することもあります。

【鼻骨(びこつ)骨折】 鼻の上半分を形作っている鼻骨の骨折です。骨折直後はほとんどのケースで鼻血が出て、腫れ上がります。また、腫れが引いた後に確認すると、鼻が曲がったり低くなったりしてしまっている場合があり、酷いケースでは醜状障害が残ることもあります。 見た目や鼻の通り具合が気になる場合には、鼻の中に特殊な機械を入れて変形を治すのが一般的です。

肩周辺の骨折

【肩甲骨骨折】 珍しいですが、背中の上部に左右対称に位置している肩甲骨を骨折することもあります。症状としては、患部が圧迫されたように痛み、腫れ、呼吸したり関節を動かしたりすると痛みが増すことが多いです。また、肩関節に近い部位を骨折すると、腕の運動に支障が出てしまい、可動域制限の後遺症が残るおそれもあります。 肩甲骨のみを骨折した場合には、たいてい三角巾で腕を吊るなどの保存療法を行いますが、後遺症を防ぐためにも、なるべく早い時期からリハビリを始めることが重要です。

【鎖骨骨折】 首と胸の間に左右対称に位置している鎖骨は骨折しやすく、すべての骨折のうちの約10%がこの鎖骨骨折だといわれています。患部に痛みや腫れがみられるほか、痛みによって肩を上げられなくなるケースもみられます。骨が歪んでくっついたり、逆に骨がいつまでもくっつかなくなってしまったりすると、変形治癒や偽関節(癒合不全)といった後遺症が残ってしまう可能性があります。 基本的には、骨のズレを治してからバンド等で患部を固定して安静を保ち治るのを待つ、保存療法を行う場合が多いです。

【肋骨骨折】 胸部を取り囲む左右12対の骨で構成される肋骨の骨折は、胸部の外傷のうち、最も起こる可能性が高い外傷です。患部の腫れやあざ、呼吸時や運動時に増悪する強い痛みといった症状がみられ、ひどい場合には肺や心臓等の臓器の損傷を伴うこともあります。一般的に、肋骨の変形や神経症状(痛み)等の後遺症が残る可能性があります。 臓器の損傷等がなく症状が軽い場合には、バンドで肋骨を圧迫固定し、鎮痛剤や湿布等で痛みを緩和しながら安静に努めることで治癒を目指します。

椎体の骨折

【頚椎骨折】 脊髄(重要な神経)を守る首の骨である頚椎を骨折すると、立っていられないほどの激痛や首周りの運動制限、身体の麻痺等の症状がみられる場合があります。そして、骨折の種類や程度によっても異なりますが、脊柱の変形や運動障害の後遺症が残る可能性があるほか、頚髄にまで損傷が及んでしまった場合には、首下に麻痺等の後遺症が残る可能性もあります。 骨折以外の損傷がなければ、一般的に手術はせず、固定しつつ、けん引をするような保存療法が選択されます。

【胸椎骨折】 背骨の胸部分に当たる胸椎の骨折では、背中や腰に強い痛みが発生し、運動する時に特に強くなります。数ヶ月程度で骨折部分がくっつき治癒するケースが多いですが、胸椎がある程度変形してしまうために、背中が曲がったり身長が縮んだり、神経が圧迫されて下肢に痛みやしびれ、筋力低下が起こり、歩行が難しくなったりすることもあります。 基本的に、胸部分にコルセットを装着して骨がくっつくのを待ちながら、歩行訓練のリハビリを並行することが多いです。

【腰椎骨折】 背骨の腰部分に当たる腰椎を骨折した場合、我慢できないほどの腰の痛みや下肢の痛み・しびれ等の症状が生じるケースが多くみられます。骨折部分が完全に元通りにならず変形してしまったり、骨の中の重要な神経が傷ついて麻痺やしびれ・痛みといった後遺症が残ったりするおそれがあります。 治療法としては、コルセットで腰部分を固定しながら安静を保つ保存療法が選択されるのが基本です。

上肢の骨折

【上腕骨骨折】 二の腕の部分に位置する、肩と肘をつなぐ骨である上腕骨の骨折では、肩・肘関節をうまく動かせなくなったり、痛みが生じたりといった症状がみられます。その結果、関節可動域の制限や骨折部分の変形、痛みやしびれといった神経症状等の後遺症が残ることがあります。 一般的に、三角巾で吊る等して腕を固定する保存療法を続けながら、早い段階から可動域訓練のリハビリ等を始めます。

【肘の骨折】 肘関節を構成する上腕骨または橈骨(とうこつ)の骨折です。腕の動脈等が損傷することによる関節内の出血や、肘を通る神経の損傷により、手や指がしびれたり動かしにくくなったりすることがあります。そのため、コンパートメント症候群が起き、肘や手首が拘縮(こわばってしまうこと)してしまったり、腕の神経の損傷により運動障害が残ってしまったりするケースもみられます。 骨がずれてしまっている場合も多く、ずれた骨の位置を戻して固定する手術を行うのが一般的です。

下肢の骨折

【大腿骨(だいたいこつ)骨折】 太ももの骨である大腿骨を骨折してしまうと、激痛で立ったり歩いたりすることができなくなってしまう場合があります。また、ケースによっては、人口骨頭や人工関節となったり、股関節の可動域が制限されたり、下肢が短くなったりする後遺症が残ることもあります。 大腿骨骨折では、ギプス等で固定して安静を保つ保存療法より、ずれた骨を繋げる手術や、骨頭を人口骨頭と入れ替える手術等が治療法として選択されるのが一般的です。

【足関節骨折】 足首のくるぶし部分に当たる足関節の骨折では、一般的に患部の痛みや腫れ、あざ、変形等がみられ、足をついて歩くことが難しくなってしまいます。そして、足関節の可動域制限や痛み等の神経症状といった後遺症が残る可能性もあります。 骨折により靭帯が切れたり伸びたりしてしまうことも少なくなく、ギプスで固定するような保存療法ではなく、ずれた骨を固定する手術が必要になることが多いです。

手指・足指の骨折

手指や足指が骨折すると、指先が腫れ、強い力を加えた際に痛みを感じるようになり、爪の下にあざがみられることが多いです。骨折の程度にもよりますが、指の骨がなくなるといった欠損障害や指関節の可動域制限等の後遺症が生じる可能性があります。 多くのケースでは、指先を保護材やテープで固定し安静を保つ保存療法を行いますが、骨折が重度の場合には、分離した骨の位置を直す手術を行います。

骨折の種類

そもそも骨折とは、骨にヒビが入ったり、欠けたり、へこんだり、折れたりして、骨が壊れることをいいます。このように、一口に骨折といっても、その態様は様々です。そこで本項目では、骨折の種類について解説していきます。

複雑骨折(開放骨折)

複雑骨折は、開放骨折ともいって、折れた骨が皮膚を突き破って体の外に出てしまっている状態のことをいいます。骨折した周辺の筋肉や血管、神経等が傷つくため出血が多く、露出部分から細菌に感染するリスクも高いので、完治まで長引くことが多いです。ひどい場合には、腕や脚を切断することになるケースもあります。また、骨折部分が関節内に及ぶこともあり、関節の屈伸に制限や痛みが伴う関節骨折を併発している場合もあります。

単純骨折(閉鎖骨折、皮下骨折)

単純骨折は、複雑骨折とは反対に折れた骨が体の内側に収まっている状態で、閉鎖骨折、皮下骨折ともいいます。そもそも折れた骨が外側に露出していないため、細菌に感染するリスクは低いです。骨折した部分のズレが小さいようであれば、手術はせずに、骨が自然にくっつくまでギプスで固定するという治療法をとります。

圧迫骨折

圧迫骨折とは、背骨を形成している椎骨が強い圧力により潰れて変形してしまうことをいいます。骨粗しょう症によって骨がもろくなっていると、少しの衝撃でも圧迫骨折してしまう場合があります。基本的には骨が安定するまでコルセットやカラーを装着しますが、椎骨にセメントを注入したり、金属のボルトで固定したりといった手術を行うこともあります。また、圧迫骨折が進行すると骨折部分が脊髄等の神経まで圧迫する破裂骨折となり、さらに治療が困難になります。

はく離骨折

はく離骨折とは、骨にくっついている腱や靭帯が強く引っ張られることで、付着部分の骨ごとはがれてしまう状態をいいます。診断にはレントゲンやCT検査が有効ですが、一般的な骨折よりは痛みが小さいことが多いため、捻挫等と勘違いして骨折に気づくのが遅れることも多いようです。こちらも基本的には、ギプスによって固定をして治療します。

粉砕骨折

粉砕骨折とは、強い衝撃により骨にいくつもの亀裂が入り、バラバラに砕けてしまう状態をいい、骨折の中でも特に重症なものになります。多くは骨粗しょう症が関係しているといわれています。折れた骨の周辺組織もひどく傷つくため、激しい痛みを伴います。基本的な治療はやはりギプス等の装着ですが、金属のボルトやプレートで固定する手術を何回かに分けて行うこともあります。ただし、粉砕骨折の場合、保存治療や手術を行い元の形に修復できても安定せず、形を維持することが困難なケースがあります。

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交通事故による骨折で請求できるもの

【治療費などの実費】 骨折の治療にかかった治療費はもちろん、通院のための交通費や入院雑費、治療で使ったバンドやコルセットの代金、入通院に付き添いが必要だった場合には付添介護費等、交通事故の被害に遭ったことで支払うことになった実費を請求することができます。

【休業損害】 骨折の治療のために仕事を休まなければならず、収入が減ってしまったような場合には、休業したことによる損害を請求することができます。実際に働いている方はもちろん、主婦(主夫)や内定先が決まっていた学生等も請求できる可能性があります。

【後遺障害逸失利益】 後遺障害等級が認定されるほどの後遺症が残ってしまった場合には、後遺障害逸失利益(後遺障害が原因で労働能力が下がったために得られなくなってしまった収入や利益)を請求できます。子供や学生、主婦(主夫)のほか、働ける能力と意欲があり、働ける環境も整っていた場合には、無職者も後遺障害逸失利益を請求できる場合があります。

【入通院慰謝料】 骨折の治療に伴う入通院で強いられた精神的な苦痛に対する賠償として、入通院慰謝料が請求できます。基本的に、入通院期間や実際に通院した日数等を参考にして金額を算定します。

【後遺障害慰謝料】 後遺症が残り、後遺障害等級の認定が受けられた場合、後遺障害が残ってしまったことによる精神的苦痛に対する賠償である、後遺障害慰謝料を請求することが可能になります。認定された等級ごとに、あらかじめ目安となる慰謝料の額が決められているため、それを参考にして請求することになります。

骨折したときの慰謝料の相場は?

骨折したときに受け取ることができる慰謝料の相場を、一概にいうことはできません。なぜなら、交通事故の慰謝料の金額は、「算定基準」、「入通院期間や通院日数」、「(後遺障害慰謝料の場合)後遺障害の有無」といった点で異なってくるからです。 交通事故の慰謝料の計算では、次の3種類の算定基準のうち、どれを利用したかがで金額に大きな差が出てきます。

・自賠責基準 自動車等、車両の運転者が加入を強制される自賠責保険が利用する算定基準ですが、最低限の金額しか算出されません。 ・任意保険基準 保険会社ごとに設定している基準ですが、一般的に自賠責基準と同じくらいか少し上回る程度の金額しか算出されません。 ・弁護士基準 過去の裁判例に基づいて作られた、弁護士や裁判所が利用する基準で、3種類の算定基準のうち最も高い金額が算出できるケースが多い基準です。 なるべく弁護士基準で計算した慰謝料を主張していきたいものですが、そのためには弁護士への依頼が欠かせません。弁護士への依頼にかかる費用を心配されるかもしれませんが、弁護士費用特約に加入していれば、かかった弁護士費用を補償してもらえます。ご自身が加入している場合だけでなく、ご家族が加入している場合にも特約を利用できる可能性があるので、利用できるかどうかをぜひご確認ください。

骨折の治療期間や通院時のポイント

入通院慰謝料と治療期間の関係

慰謝料のうち、入通院慰謝料は、一般的に治療期間(入通院した期間)や実際に通院した日数を考慮して計算されるので、治療期間が長引き、通院日数が増えるほど高額になりやすいです。ただし、骨折の場合、安静にして骨がくっつくのを待つケースが多いため、治療期間に比べて通院頻度が低くなってしまう傾向にあります。そのため、保険会社から提示される慰謝料が低額になることがあります。 この点、骨折を治療するにあたって、通院の間隔を開けたうえで経過観察することが重要である場合や、骨折した部位によっては家庭内での安静が重要になる場合などがあります。そのため、こうした具体的な事情に応じて、通院頻度が少ない理由をしっかりと主張し、慰謝料が本来もらうべき金額よりも低額にならないように気をつけるべきです。

骨折で通院する際の注意点

交通事故の損害賠償を請求するにあたって重要なのが、「交通事故が原因で骨折した」という因果関係を証明できることです。そのためには、事故後すぐに病院を受診して検査を受け、医師が治療が必要だと判断している間は通院を続けることが必要となります。詳しくは次項以下をご確認ください。

事故後すぐに病院を受診する

それほど痛みを感じていなくとも、交通事故に遭ってしまったらすぐに病院、基本的には整形外科を受診し検査を受けましょう。なお、頭部や脊椎の骨折が疑われる場合には、CT検査やMRI検査等で異常を調べる必要があるので、整形外科のほか脳神経外科でも診察を受けることをおすすめします。 なぜすぐに病院を受診するべきなのかというと、交通事故から日が経ってから受診した場合、保険会社に本当に交通事故が原因で骨折したのかどうか疑われてしまい、事故との因果関係を否定されてしまう可能性があるからです。そうなると、骨折の治療にかかった費用や入通院慰謝料がもらえないばかりか、後遺障害が残ってしまった場合でも、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益等ももらうことができません。 適正な賠償を受けるためにも、事故に遭ったらすぐに病院を受診しましょう。

完治・症状固定まで通院を続ける

医師に治療の必要性があると診断されたら、「完治」または「症状固定」(それ以上治療を続けても症状が良くならないこと)と診断されるまでは治療を続ける必要があります。骨折の場合、患部を固定して安静を保つ治療が主流のため、治療期間と比べて実際に通院する日数は少なくなる傾向にありますが、あまりに通院日数が少ないと、通院日数等を参考に計算する入通院慰謝料が減額されてしまう可能性があるからです。 また、後遺障害等級認定では、医師の作成する後遺障害診断書のほか、治療経過を記したカルテ等の資料が重視されます。そのため、きちんと通院していないと、必要な情報が足りないと判断されて、不当に低い等級が認定されたり、後遺障害に非該当とされてしまったりするおそれがあるので、適切な期間・頻度で通院する必要があるのです。

治療費の打ち切りを打診されたら

骨折の場合、通院治療を始めてから6ヶ月程度を目安に、保険会社から治療費の打ち切りを打診される傾向にあります。しかし、保険会社の言いなりになることは避けるべきです。 そもそも、治療費は治療が続く限り支払われなければならないものですが、いつまで治療を続けるべきなのか、必要性を判断することができるのは医師だけです。ですから、医師が「治療を続ける必要がある」と判断している間は、治療費打切りの打診を受け入れるべきではありません。 とはいえ、こちらが治療費の打ち切りを拒否しても、保険会社が勝手に打ち切ってくる場合もあります。そのような場合には、健康保険や労災保険を利用して被害者の金銭的な負担を減らしつつ治療を続け、後からその分の治療費を保険会社に請求することになります。

交通事故の骨折で後遺症が残ったら

交通事故に遭い骨折した結果、後遺症が残ってしまった場合には、後遺障害等級認定を申請しましょう。「後遺障害」だと認められて等級が認定されれば、損害賠償の一部として、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を受け取ることができます。 後遺障害とは、交通事故による後遺症のうち、自賠責保険が定める程度まで労働能力を低下させると認定されたもののことです。この後遺障害に基づく損害賠償金は高額になることが多いので、後遺障害等級認定が受けられるかどうかで、損害賠償金額は大きく変わってきます。そのため、後遺障害等級認定の申請はとても重要な手続だといえます。

治療を続けても残る骨折の症状例

骨折による後遺障害の例としては、下記のようなものが考えられます。

  • 関節部分を骨折した結果、腕や足の曲げ伸ばしが制限されて歩きにくくなった
  • 背骨を骨折した結果、変形してしまい背筋が曲がってしまった
  • 膝関節を骨折した結果、人工骨頭(人工関節)を挿入した
  • 大腿骨を骨折した結果、足が短くなってしまった
  • 上腕骨を骨折した結果、神経まで損傷してしまい、痛みやしびれが残ってしまった
  • 足指を骨折した結果、その大部分を失ってしまった
  • 頭蓋骨を骨折した結果、脳に骨の破片が刺さってしまい、高次脳機能障害になってしまった

骨折で残る可能性のある後遺障害

骨折した部位や折れ方によって、残る可能性のある後遺障害は変わってきます。しかし、どのような骨折であっても、「神経症状」と「醜状障害」という2種類の後遺障害は残る可能性があります。 【神経症状】 骨折部分の周辺に痛みやしびれ等が残ることです。骨が完全にくっつかなかったケース(偽関節)や関節がこわばったまま固まってしまったケース(関節拘縮)、骨折が原因で神経まで傷ついてしまったケース等で残る可能性があります。 【醜状醜状】 顔や首、手足など、日常的に見える部分に人目に付く程度の傷等が残ってしまうことです。骨折時に骨が皮膚を破って飛び出したようなケースや大がかりな手術をしたようなケースで残る可能性があります。

骨折による可動域制限も後遺障害となるか?

骨折の結果、関節の動かせる範囲(可動域)が制限され、曲げ伸ばしが困難になることがあります。これを可動域制限といいますが、可動域制限が残った場合でも必ず後遺障害等級が認定されるとは限りません。 骨折による可動域制限が後遺障害として認められるためには、次の2点を証明できなければなりません。

  • ①可動域制限の程度が一定以上であること
  • ②可動域制限の原因が交通事故であること(=骨折の原因が交通事故であること)
具体的には、一般的な可動域検査で一定の値を下回ること、交通事故直後に撮影したCT画像やMRI画像等で骨折している事実が客観的・医学的に確認できること(骨折の他覚的所見が認められること)を、資料・証拠を揃えて立証することになります。

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骨折の後遺障害等級と認定基準

骨折により後遺障害が残ってしまった場合、具体的に何級の認定を受けることができるのでしょうか? 後遺障害等級認定では、等級ごとに定められた基準を満たすかどうかを確認し、満たす場合にその等級の後遺障害に該当すると判断されます。 そこで、骨折により残る可能性のある主な後遺障害等級には、どのような認定基準が定められているのか、以下、確認していきましょう。

欠損障害

骨折による欠損障害とは、上肢や下肢の一部または全部を失ってしまうことをいいます。 例えば、肩関節で肩甲骨と上腕骨が切断された場合は、「1上肢をひじ関節以上で失ったもの」に該当するため、「4級4号」が認定されます。

欠損時の後遺障害等級と内容

短縮障害

短縮障害とは、主に下肢の長さが事故前より短くなってしまうことをいいます。具体的には、腰骨あたりの上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょく)から、くるぶしあたりの下腿内果下端までを測定して健側(健康なほうの足)と比較し、その差の大きさによって等級を区別します。

短縮障害時の後遺障害等級と内容

機能障害

機能障害とは、上肢や下肢の関節が動かなくなったり、可動域が制限されたりしてしまうこと等をいいます。機能障害で適切な等級を取得するには、症状をできるだけ詳細に後遺障害診断書に記してもらう必要があります。

機能障害時の後遺障害等級と内容

変形障害

変形障害とは、上肢や下肢に偽関節(骨折部位がくっつかず、関節のように動いてしまう状態)が残ったり、長管骨が完全にくっつかずに変形したりしてしまうことをいいます。

変形障害時の後遺障害等級と内容

骨折で後遺障害が認められた場合の慰謝料

骨折による後遺障害が認められた場合に受け取ることができる慰謝料(後遺障害慰謝料)の金額は、等級ごとに目安が設けられています。そのため、この目安に基づきつつ、個別の事情を考慮しながら金額を調整するのが一般的です。 ただし、等級別の後遺障害慰謝料の目安は、慰謝料の算定基準によって異なってきます。自賠責基準と弁護士基準それぞれの目安をまとめてみたので、ぜひ下記の表を参考になさってください。

等級別後遺障害慰謝料

後遺障害等級認定の申請方法

治療を続けていくと、完治するか、または治療を続けてもそれ以上症状が変わらない状態(症状固定)に落ち着きます。症状固定した後も続く症状が「後遺症」なので、後遺障害等級認定の申請は、医師が「症状固定した」と診断した後に行うことになります。 後遺障害等級認定の申請方法には、「事前認定」と「被害者請求」の2通りがあります。 「事前認定」とは、加害者側についている保険会社に申請を任せる方法です。被害者は最低限の必要書類を揃えるだけで良いので負担が小さいというメリットがありますが、加害者側の保険会社は被害者の利益を考えて動いてくれるわけではないので、資料不足や書類の不備等から適切な認定が受けられなくなってしまう可能性があるといったデメリットもあります。 これに対して、「被害者請求」とは、被害者自身で申請を行う方法です。書類集めから申請まで、手続のすべてを自分でやらなければならないため負担が大きいのがデメリットですが、提出する書類・資料を精査できるため、納得のいく結果を得られる可能性が高い点はメリットです。

後遺障害診断書の作成について

後遺障害等級は、提出した書類や資料を審査して認定されます。なかでも、医師が作成する「後遺障害診断書」の内容が特に重視されるといわれています。したがって、適正な等級認定を受けるためには、ご自身の症状が正確に伝わるような後遺障害診断書を準備することが大切です。 そのためにも、医師には症状を正確に伝えましょう。普段から医師とのコミュニケーションを心がけ、症状に関する認識に食い違いが起きないように気をつけることも大事です。また、作成してもらった後遺障害診断書に抜け漏れがないか、必ず確認するようにします。 特に可動域制限が問題となるときには、正確に測ってもらうことが重要でしょう。 その際、弁護士に不備がないか確認してもらうこともおすすめです。

弁護士に依頼したことで骨折の慰謝料を増額できた事例

実際に弁護士法人ALGにご依頼いただき、慰謝料の増額に成功した事例をご紹介します。 自動車が右折する際に対向車線のバイクと接触してしまった交通事故について、示談交渉のお手伝いをさせていただいた事例です。バイクを運転していた依頼者は骨折等の怪我を負いましたが、治療の結果、幸い後遺症は残りませんでした。 依頼者が保険会社から提示された慰謝料を確認すると、自賠責基準で計算されており、弁護士基準で計算した場合の半分程度の金額でした。そのため、まずは弁護士基準で計算した金額を支払うよう求めましたが、保険会社は多少の増額に応じただけでした。そこで、弁護士が「依頼者の怪我の状況からみて裁判基準を利用すべき事案だ」ということを、資料をつけて主張したところ、保険会社に弁護士の主張を受け入れさせることに成功しました。その結果、当初の賠償金額である120万円から170万円まで、約50万円を増額させることができました。

交通事故による骨折で適正な補償を受け取るために、経験豊富な弁護士にご相談ください

骨折は体のどの部位でも起こる可能性がありますし、折れ方の種類も多いので、症状や残るかもしれない後遺症、治療法は様々で複雑です。そのため、「こうすれば必ず適正な補償が受けられる」というノウハウはなく、ご自身の状況に応じて臨機応変に対応しなければなりません。しかし、どのように対応すれば良いのか、なかなかわかりにくいと思いますし、何よりご自身だけで加害者側と交渉していくのはかなりのご負担でしょう。 そこで、弁護士に相談してみることをおすすめします。交通事故事案に対応した豊富な経験があり、医療分野にも精通している弁護士は、適正な賠償の獲得に向けて的確なアドバイスをすることができます。例えば、後遺障害等級認定で重視されるポイントがわかるので、こうしたポイントを押さえた治療の受け方について、医学的な知識に基づいたアドバイスが可能です。さらに、示談交渉や、後遺障害等級認定の申請手続等、その他の手続も任せられるため、治療に専念できることも大きなメリットです。交通事故で骨折してしまいお困りの方は、ぜひ弁護士への相談をご検討ください。

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