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交通事故で骨折した場合の慰謝料の相場と後遺障害について

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員
監修 弁護士 谷川 聖治
弁護士法人ALG&Associates執行役員
愛知県弁護士会所属。私たちは、弁護士91名、スタッフ159名を擁し(2019年1月末現在)、東京、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、大阪、神戸、姫路、福岡の10拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。

交通事故による怪我のうち、代表的なものとして骨折が挙げられます。骨折は痛みが強く、治るまでに時間がかかるため、被害に遭った方は日常生活で大変な不便を強いられます。 示談の際に、交通事故の被害者が加害者に請求できるお金を損害賠償金(示談金)といいますが、損害賠償金のうちの一部に慰謝料というものがあります。慰謝料は、被害者の精神的な苦痛に対して支払われます。 骨折の場合は、治療のために入通院をしたことに対する慰謝料(入通院慰謝料)と後遺障害が残ってしまったことに対する慰謝料(後遺障害慰謝料)の2種類を請求できる可能性があります。

交通事故で骨折した場合の慰謝料の計算例

慰謝料を計算する際には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準という3つの基準のうち、どれかを適用します。実際に、入院期間3ヶ月(90日)・通院期間5ヶ月(150日)・実通院日数90日・後遺障害等級第10級10号の場合の入通院慰謝料と後遺障害慰謝料についてみてみましょう。なお、便宜的に1ヶ月は30日として計算します。

自賠責基準

自賠責保険とは、すべての車やバイクの所有者に加入が義務付けられている強制保険で、交通事故の加害者が任意保険に加入していない場合に備えて、被害者の損害を最低限補償するために設けられた制度です。自賠責保険から受け取る慰謝料は、自賠責基準により算出されています。 入通院慰謝料は、治療対象日数1日あたり4200円として計算します。治療対象日数は、①入院期間+通院期間もしくは②(入院期間+実通院日数)×2のいずれか少ない方を採用します。ただし、傷害部分の上限は治療費や休業損害を含め120万円と決められています。 今回の例では、①90日+150日=240日、②(90日+90日)×2=360日なので、治療対象日数は①240日となります。よって、4200円×240日=100万8000円を請求することができます。 後遺障害慰謝料は、後遺障害等級認定で得られる等級ごとに金額が変わってきます。等級は第1級から第14級まであり、第1級が最も重症となります。今回は第10級なので、187万円となります。

弁護士基準

弁護士基準とは、実際の交通事故の裁判例をもとにした基準で、裁判基準ともいいます。3つの基準のうち、ほとんどの場合で慰謝料が最も高額になります。詳しい計算方法は、いわゆる「赤い本(正式名称:民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準)」に掲載されています。 入通院慰謝料については、赤い本にある入通院期間を基礎とした表から算出します。表には2種類あり、通常の怪我の場合と軽い怪我の場合で使い分けますが、今回は骨折なので、通常の怪我の場合で使用する以下の表を参照します。 入院期間3ヶ月・通院期間5ヶ月に該当する列と行が交わる部分をみると、204万円となっています。これが弁護士基準で請求できる入通院慰謝料の金額です。自賠責基準で算出した入通院慰謝料に比べて、ずっと高額になっていることがわかります。

通常の怪我の場合【別表Ⅰ】
入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院 AB 53 101 145 184 217 244 266 284 297 306 314 321 328 334 340
1月 28 77 122 162 199 228 252 274 291 303 311 318 325 332 336 342
2月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315 322 329 334 338 344
3月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319 326 331 336 340 346
4月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 316 323 328 333 338 342 348
5月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325 330 335 340 344 350
6月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327 332 337 342 346
7月 124 157 188 217 244 266 286 304 316 324 329 334 339 344
8月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331 336 341
9月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333 338
10月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335
11月 150 179 207 234 258 278 296 312 324 332
12月 154 183 211 236 260 280 298 314 326
13月 158 187 213 238 262 282 300 316
14月 162 189 215 240 264 284 302
15月 164 191 217 242 266 286

後遺障害慰謝料については、第10級で550万円となり、こちらも自賠責基準よりも遥かに高額になっています。

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交通事故による骨折の種類

一口に骨折といっても、その種類はたくさんあります。以下で骨折の種類について簡単に解説します。

開放骨折(複雑骨折)

開放骨折とは複雑骨折ともいって、折れた骨が皮膚を突き破って体の外に出てしまっている状態です。骨折した周辺の筋肉や血管、神経等が傷ついていて出血も多く、露出部分から細菌に感染するリスクも高いため、治癒まで長引くことが多くなります。ひどい場合は、腕や脚を切断しなければなりません。

単純骨折(閉鎖骨折、皮下骨折)

単純骨折は、開放骨折とは反対に折れた骨が体の内側に収まっている状態で、閉鎖骨折、皮下骨折ともいいます。骨折した部分のズレが小さいようであれば、手術はせずに骨が自然にくっつくまでギプスで固定するという治療法をとります。

圧迫骨折

圧迫骨折とは、背骨を形成している椎骨が強い圧力によりつぶれて変形してしまう状態をいいます。骨粗しょう症によって骨がもろくなっていると、少しの衝撃でも骨折してしまう場合があります。基本的には骨が安定するまでコルセットやカラーを装着しますが、椎骨にセメントを注入したり、金属のボルトで固定したりといった手術を行うこともあります。

はく離骨折

はく離骨折とは、骨にくっついている腱や靭帯が強く引っ張られることで、付着部分の骨ごとはがれてしまう状態をいいます。一般的な骨折よりは痛みが小さいことが多いため、捻挫等と勘違いして骨折に気付くのが遅れることも多いようです。こちらも基本的には、ギプスによって固定をして治療します。

粉砕骨折

粉砕骨折とは、強い衝撃により骨にいくつも亀裂が入り、バラバラに砕けてしまう状態をいい、骨折の中でも重症なものになります。折れた骨の周辺組織もひどく傷つくため、激しい痛みを伴います。基本的な治療はやはりギプス等の装着ですが、金属のボルトやプレートで固定する手術を何回かに分けて行うこともあります。

交通事故による骨折の後遺障害について

骨折の後遺障害等級と認定基準

骨折には様々な種類があることがおわかりいただけたかと思いますが、もしも完治せずに後遺症が残ってしまった場合、後遺障害等級の申請をすると具体的に何級を取得できるのでしょうか。以下で障害別に取得できる可能性がある後遺障害等級についてご説明します。

欠損障害

欠損障害とは、上肢や下肢の一部または全部を失ってしまうことをいいます。

  • 第1級3号:両上肢をひじ関節以上で失ったもの
  • 第1級5号:両下肢をひざ関節以上で失ったもの
  • 第2級3号:両上肢を手関節以上で失ったもの
  • 第2級4号:両下肢を足関節以上で失ったもの
  • 第4級4号:1上肢をひじ関節以上で失ったもの
  • 第4級5号:1下肢をひざ関節以上で失ったもの
  • 第4級7号:両足をリスフラン関節以上で失ったもの
  • 第5級4号:1上肢を手関節以上で失ったもの
  • 第5級5号:1下肢を足関節以上で失ったもの
  • 第7級8号:1足をリスフラン関節以上で失ったもの

短縮障害

短縮障害とは、主に下肢の長さが事故前より短くなってしまうことをいいます。

  • 第8級5号:1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
  • 第10級8号:1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
  • 第13級8号:1下肢を1センチメートル以上短縮したもの

機能障害

機能障害とは、上肢や下肢の関節が動かなくなったり、可動域が制限されたりしてしまうことをいいます。

  • 第1級4号:両上肢の用を全廃したもの
  • 第1級6号:両下肢の用を全廃したもの
  • 第5級6号:1上肢の用を全廃したもの
  • 第5級7号:1下肢の用を全廃したもの
  • 第6級6号:1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
  • 第6級7号:1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
  • 第8級6号:1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
  • 第8級7号:1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
  • 第10級10号:1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
  • 第10級11号:1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
  • 第12級6号:1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
  • 第12級7号:1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

変形障害

変形障害とは、上肢や下肢に偽関節が残ったり、長管骨が完全にくっつかずに変形が残ったりしてしまうことをいいます。

※偽関節…骨折部位がくっつかず、関節のように動いてしまう状態。 ※長管骨…四肢の骨のうち、細長い棒状の形をしているもの。 上肢では、上腕骨・橈骨・尺骨を、下肢では、大腿骨・脛骨・腓骨を指す。

  • 第7級9号:1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  • 第7級10号:1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  • 第8級8号:1上肢に偽関節を残すもの
  • 第8級9号:1下肢に偽関節を残すもの
  • 第12級8号:長管骨に変形を残すもの

神経障害

神経障害とは、骨折した部位等に痛みやしびれといった神経症状が残ってしまうことをいいます。

  • 第12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの
  • 第14級9号:局部に神経症状を残すもの

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