交通事故の過失割合とは|パターン別の事例や決め方などを解説
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
交通事故に遭うと、損害賠償の話し合いで必ず出てくるのが「過失割合」です。 過失割合は、事故後に相手方保険会社から提示されるのが一般的ですが、その数字が必ずしも適正とは限りません。割合に応じて損害賠償金が減額されるため、納得できない場合は交渉によって修正する必要があります。 この記事では、過失割合の基本的な決め方や、事故パターン別の過失割合、過失割合に納得がいかない場合の対処法などについて、詳しく解説します。
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目次
交通事故の過失割合とは
交通事故における「過失割合」とは、被害者と加害者が事故の原因にどれだけ関与したかを数値で示したもので、一般的に「9対1」「85対15」といった形で表されます。
交通事故は双方の注意不足や判断ミスが重なって発生するため、被害者にも過失が付くケースが少なくありません。
被害者にも過失がある場合、損害の公平な分担の観点から、過失分だけ賠償金が減額されます。
保険会社が提示した割合に誤りがある場合、適切な過失割合にするための示談交渉を行う必要があります。納得できない場合は弁護士に相談し、ドライブレコーダーの映像などの証拠をもとに、修正を求めるのが重要です。
事故パターン別の過失割合の事例
過失割合は事故状況によって大きく変わりますが、「基本過失割合」を確認すれば、事故のパターンごとのおおよその割合を把握できます。 ここでは、自動車同士の衝突、バイクや自転車との接触など、事故パターンごとの基本過失割合の例を紹介します。
自動車同士の事故
交差点における直進車同士の事故
信号機のある交差点での事故
信号機のある交差点において、A車が青信号で直進し、B車が赤信号で直進して衝突した場合の過失割合は、A車0%、B車100%となります。
信号機のない交差点での事故
信号機のない同じ幅の交差点で、左側から直進してきたA車と右側から直進してきたB車が、ほぼ同じスピードで衝突した場合、過失割合はA車が40%、B車が60%となります。
交差点における右折車と直進車との事故
同じ道路を対向方向から進入した事故
信号機のある交差点において、A車が青信号で直進し、B車が対向方向から青信号で右折進入して衝突した場合の基本過失割合は、A車が20%、B車が80%となります。
信号機のない交差点での事故
信号機のない交差点において、A車が直進し、B車が右折進入して衝突した場合の基本過失割合は、A車が20%、B車が80%となります。

道路外出入車と直進車の事故
道路外から進入するため左折した際の事故
道路を走行中のA車と、駐車場などの道路外から左折で道路に進入しようとしたB車が衝突した場合の基本過失割合は、A車が20%、B車が80%となります。
道路外に出るために右折した際の事故
道路を走行中のA車と、対向方向から道路外に出るために右折してきたB車が衝突した場合の基本過失割合は、A車が10%、B車が90%となります。
対向車同士の事故(センターオーバー)
道路を直進するA車と、センターラインなど道路の真ん中を超えて対向方向から直進してきたB車が衝突した場合の基本過失割合は、A車が0%、B車が100%となります。
追突事故
赤信号で停車中のB車に、後ろから直進するA車が追突した場合の基本過失割合は、A車が100%、B車が0%となります。
過失割合「8対2」「9対1」「10対0」の事故については、以下の各ページで詳しく解説しています。
自動車とバイクの事故
交差点での直進車同士の事故
信号機のある交差点での事故
信号機のある交差点に、青信号で直進するバイクAと、赤信号で進入した四輪車Bが衝突した場合の基本過失割合は、バイクAが0%、四輪車Bが100%となります。
信号機のない交差点での事故
信号機のない同じ幅の交差点で、左側から直進してきたバイクAと右側から直進してきた四輪車Bが、ほぼ同じスピードで衝突した場合、過失割合はバイクAが30%、四輪車Bが70%となります。
交差点における左折車と直進車との事故
信号機のない交差点で、四輪車Bが交差点の30mより手前で合図を出して左折し、後方の直進バイクAを巻き込んだ場合の基本過失割合は、バイクAが20%、四輪車Bが80%となります。
過失割合「7対3」の事故については、以下のページで詳しく解説しています。
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自動車と自転車の事故
交差点における直進車同士の事故
信号機のある交差点での事故
信号機のある交差点で、青信号で直進する四輪車Bと、赤信号で進入した自転車Aが衝突した場合の基本過失割合は、自転車Aが80%、四輪車Bが20%となります。
信号機のない交差点での事故
信号機のない交差点に直進で進入した四輪車Bと、一時停止規制を無視して直進した自転車Aが衝突した場合の基本過失割合は、自転車Aが40%、四輪車Bが60%となります。
自転車の進路変更に伴う事故
前を走る自転車Aが、前方の障害物を避けるために進路変更した際に、後方から直進してきた四輪車Bと接触した場合の基本過失割合は、自転車Aが10%、四輪車Bが90%となります。
過失割合「6対4」の事故については、以下のページで詳しく解説しています。
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自動車と歩行者の事故
横断歩道上での事故
信号機のある交差点での事故
信号機のある交差点で、青信号で直進する四輪車Aと、赤信号で横断する歩行者Bが衝突した場合の過失割合は、四輪車Aが30%、歩行者Bが70%となります。
信号機のない交差点での事故
信号機のない交差点で、直進する四輪車Aと、横断歩道を渡っている歩行者Bが衝突した場合の基本過失割合は、四輪車Aが100%、歩行者Bが0%となります。
駐車場内での事故
駐車場の通路を走行していた四輪車Bと、歩行者Aが衝突した場合の基本過失割合は、歩行者Aが10%、四輪車Bが90%となります。
歩行者の過失割合については、以下のページで詳しく解説しています。
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交通事故の過失割合の決め方
過失割合を決めるときは、過去の裁判例をまとめた「判例タイムズ」を参考にします。保険会社も同様の基準を用いるのが一般的です。 具体的な流れは、以下のとおりです。
- ① 当事者間で事故状況をすり合わせる
- ② 判例タイムズや過去の事例をもとに基本割合を設定する
- ③ 修正要素(速度、天候、道路状況など)を加えて調整する
- ④ 話し合いを繰り返し、双方の合意により決定する
話し合いがまとまらない場合は、裁判や調停で過失割合を決定します。 過失割合は、事故の責任を公平に分担するために重要な要素です。 保険会社は加害者側の言い分のみを考慮し、被害者側に不利な割合を提示するケースも多いため、提示内容が妥当かどうかは慎重に確認する必要があります。
過失割合は誰が決める?
過失割合を決めるのは、基本的に事故当事者です。提示された割合をもとに、当事者が加入する保険会社同士で話し合い、最終的に当事者の承諾を得て決定します。 誤解されがちですが、警察は過失割合の決定には関与しません。 過失割合に決め方について、詳しくは以下ページをご覧ください。
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過失割合はいつ決まる?
過失割合は、基本的に示談交渉のタイミングで決まります。示談交渉の時期は、事故の種類や後遺障害の有無によって以下のように異なります。
【示談交渉のタイミング】
- 物損事故:車の修理費などが確定したとき
- 人身事故(後遺障害なし):怪我が完治し、通院が終了したとき
- 人身事故(後遺障害あり):後遺障害等級認定申請の審査結果が出たとき
裁判外で話し合う場合は、示談が成立した時点で過失割合が確定します。一般的に3~6ヶ月程度かかりますが、裁判で争う場合は判決確定時となり、1~2年の期間を要するケースも少なくありません。 過失割合が決まるタイミングについては、以下のページでも詳しく解説しています。
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過失割合は基本割合と修正要素で決まる
【修正要素とは】
基本割合をより公平に調整するための要素です。事故の時間帯や場所、当事者の属性、行動、車両の種類などが含まれます。
〈修正要素の例〉
- 夜間(日没時から日出時までの時間)
- 商店街・住宅街等
- 幹線道路
- 車両等の直前・直後の横断、急な飛び出し、後退、ふらふら歩き
- 幼児(6歳未満)、児童(6歳~13歳)、高齢者(65歳以上)、身体障害者(車椅子を使用、視覚障害、聴覚障害 など)
- 著しい過失(わき見運転、ながら運転、酒気帯び運転 など)
- 重過失(酒酔い運転、居眠り運転、無免許運転、時速30km以上のスピード違反 など)
交通事故の過失割合は損害賠償金にどう影響する?
加害者だけでなく、被害者にも過失がある場合、過失割合に応じて賠償金が減額されるため、損害賠償額に大きく影響します。具体的にどのような影響が出るのか、損害賠償金や治療費への影響を詳しく解説します。
損害賠償金は過失割合に応じて減額される
被害者にも過失がある場合、その割合に応じて受け取れる損害賠償金は減額されます。これを「過失相殺(かしつそうさい)」といい、損害額から過失分を差し引いて計算します。 過失割合が多いほど、請求できる金額は大きく減るため注意が必要です。
| 加害者 | 被害者 | |
|---|---|---|
| 過失割合 | 8 | 2 |
| 請求額(損害額) | 50万円 | 200万円 |
| 過失相殺後の金額 | 10万円 | 160万円 |
①加害者は過失が8割あるため、請求できる金額も8割減額されます。 ➡過失相殺後の金額は50万円×(1-0.8)=10万円
②被害者は過失が2割あるため、請求額も2割減額されます。 ➡請求額は200万円×(1-0.2)=160万円
被害者の損害額は200万円ですが、過失相殺によって40万円が差し引かれ、最終的には 160万円しか受け取れなくなります。
治療費は過失割合分が自己負担となる
被害者にも過失がある場合、過失割合に応じて治療費の一部を自己負担しなければなりません。「過失相殺」により、損害賠償金の請求時に過失分が差し引かれるためです。 自己負担分を減らすためには、次のような方法があります。
- 健康保険を利用する
健康保険を利用すれば、治療費の総額が10~30%程度に抑えられるため、過失割合による負担も大幅に減ります。 - 労災保険を利用する
労災保険は過失相殺の対象外です。通勤中や業務中の事故であれば、過失があっても自己負担は発生しないため、該当する場合は労災の適用を検討しましょう。
過失割合と治療費の関係については、以下のページで詳しく解説しています。
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過失割合10対0だと保険会社に示談交渉を依頼できないため注意
被害者に過失がない「10対0」の事故では、保険会社は示談交渉を代行できません。 示談代行サービスは、保険会社に利害関係がある場合のみ利用できるため、被害者が無過失だと利用条件を満たしません。よって、被害者自身で相手方保険会社と交渉する必要があります。 示談交渉では、交通事故の専門知識と交渉術がとても重要です。 相手方保険会社は交渉のプロなので、言われるままに合意すると不利な条件で示談が成立したり、損害賠償金が低額になったりするリスクがあります。 提示された過失割合・賠償金に納得いかない場合や、交渉に不安がある場合は、弁護士への相談をおすすめします。 弁護士であれば、適正な賠償額を確保し、交渉の負担も軽減できます。過失割合が10対0のケースでは、早めに弁護士へ相談しましょう。
過失割合に納得がいかない場合の対処法は?
保険会社から提示された過失割合に納得できない場合、安易に合意するのは避けましょう。提示された割合の根拠を確認し、妥当性を検討する必要があります。 過失割合は損害賠償額に直結するため、納得できない場合は以下のような対応を取ることが重要です。
- ADR(裁判外紛争解決手続)、調停、裁判を利用する
話し合いで解決できない場合、第三者機関や裁判所を通じて適正な過失割合を判断してもらう方法があります。 - 弁護士に相談する
交通事故に詳しい弁護士に依頼すれば、過去の判例や証拠をもとに適切な過失割合を主張できます。示談交渉を任せれば、慰謝料や損害賠償金が増額する可能性もあります。
納得いかない過失割合の変更方法については、以下のページで詳しく解説しています。
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弁護士がドラレコの詳細な分析をした結果、過失割合を8対2→9対1に修正した事例
<事案の概要>
依頼者は、運転中に横から一時停止を無視した車に衝突され、むちうちなどの怪我を負いました。過失割合と相手方保険会社の対応に不安を感じ、弁護士法人ALGに依頼されました。
<担当弁護士の活動>
相手方保険会社は、過失割合を8対2(依頼者)と主張していました。担当弁護士がドライブレコーダーの映像を確認したところ、依頼者が衝突を回避することは困難で、主張されている過失割合は妥当ではないと判明しました。
<結果>
ドライブレコーダーの映像をもとに相手方保険会社と交渉したところ、過失割合を「9対1(依頼者)」に変更できました。 また、賠償金についても、約100万円と適正額を受け取る内容で示談が成立しました。
交通事故の過失割合に関するQ&A
交通事故の過失割合は慰謝料にも影響ありますか?
過失割合は慰謝料にも影響します。被害者に過失がある場合、慰謝料や治療費、休業損害などの損害賠償金も、「過失相殺」により減額されます。
【具体例】
過失割合8(加害者)対2(被害者)、慰謝料が1000万円のケース
→ 被害者の過失分である200万円(2割)が差し引かれ、最終的に受け取れる慰謝料は800万円となります。
計算式:1000万円×(1-0.2)=800万円
上記のように、過失割合は損害賠償金に大きく影響するため、提示された割合に納得できない場合は安易に合意せず、弁護士に相談するのが重要です。
過失割合があると休業補償は減額されますか?
休業補償の請求先は労災保険なので、過失割合があっても減額されません。通勤中や業務中の事故で労災が適用される場合、過失があっても休業補償は全額受け取れます。 さらに、労災保険の休業補償には上限がないため、長期間の休業でも安心です。 業務中や通勤中の事故であれば、労災保険を優先して利用すると、過失による減額を防ぎ、経済的負担を軽減できます。
人身事故と物損事故で過失割合は変わりますか?
同じ事故であれば、人身事故でも物損事故でも過失割合は変わりません。 過失割合は事故の原因や状況に基づいて決定されるため、損害の種類が違っても一定です。 ただし、損害賠償の内容には違いがあります。 物損事故の場合は怪我がなく、車両や物品の修理費などが対象となるため、慰謝料は基本的に認められません。一方、人身事故では治療費や休業損害、慰謝料などが請求できます。
過失割合の疑問点は弁護士にご相談ください
相手方保険会社から提示された過失割合に納得できない場合や、理由が不明な場合は、安易な合意は避けましょう。過失割合は損害賠償額に直結するため、誤った判断をすると慰謝料や治療費が大きく減額されるリスクがあります。 過失割合のお悩みは、私たち弁護士法人ALGにご相談ください。交通事故問題に詳しく、経験豊富な弁護士が、過去の判例や証拠をもとに相手方保険会社へ適正な割合を主張・立証していきます。 「提示された割合が妥当なのか不安」「交渉を自分で進めるのは難しい」そんなときこそ、交通事故に詳しい弁護士の力が必要です。過失割合で損をしないためにも、まずは私たちにお話をお聞かせください。
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