交通事故の慰謝料 | 請求できる慰謝料の種類や基準

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員
この記事でわかること
交通事故の被害に遭ったとき、治療費のほかに相手方に求める賠償の代表的なものとして、「慰謝料」が挙げられます。 しかし、交通事故の慰謝料の概要や相場を正しく理解していないと、損をしたり、泣き寝入りをしたりする結果となりかねません。 自分が獲得できる慰謝料のおおよその目安を知りたいという方は、下記リンク先の損害賠償計算シミュレーターで調べることができますのでご覧ください。 ここでは、交通事故被害に遭われた方に向け、「適正な慰謝料を受け取るための知識」を紹介します。ぜひ、ご活用ください。
交通事故でお困りの方は
土日祝日もご相談受付いたします!
お電話でのご相談受付全国対応
今すぐ電話相談
0120-790-073
24時間予約受付・年中無休・通話無料
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
目次
交通事故の慰謝料とは

交通事故の慰謝料とは、交通事故による損害に対して支払われる賠償金のうち、精神的な損害に対する賠償金をいいます。 誤解されることも多いですが、慰謝料はあくまでも損害賠償金(示談金)の一部です。 なお、交通事故は、車などの物が壊れるだけで済む「物損事故」と、人の身体や生命にまで損害が及んでしまう「人身事故」に分けられますが、慰謝料は物損事故の場合にはもらえません。なぜなら、慰謝料は精神的な損害(いわゆる精神的苦痛)に対する賠償であり、物にこのような損害が発生することは考えられないからです。 また、交通事故の慰謝料には、「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3種類があります。詳しくは次項以下で説明していくので、ぜひご覧ください。
入通院慰謝料
入通院慰謝料とは、医療機関への入院や通院に伴う精神的な苦痛に対する賠償金のことです。 精神的苦痛は目に見えるものではないので、数値化して金銭的に評価することは困難です。そのため、入通院慰謝料の金額を求める際には、できるだけ客観的な基準が必要になります。この点、慰謝料の金額を算定する基準には3種類ありますが、どの基準を利用するかで金額は大きく変わってきます。 入通院慰謝料を算出するときに参考にするのが、実際に数えることができる入通院期間や実際に通院した日数等です。そのため、適切な期間、適切な頻度で入通院していれば、症状に見合った適正な金額が算定されます。 これに対して、実際に通院した日数が少なすぎる場合、「治療の必要がないほど症状が軽いのでは?」と保険会社に疑われてしまい、慰謝料が大きく減額されてしまう可能性があるので、注意しましょう。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料とは、治療をしたにもかかわらず後遺症が残ってしまった場合に生じる精神的苦痛に対して支払われる賠償金です。ただし、後遺障害慰謝料を受け取るためには、基本的には、残った後遺症が自賠責保険の定める“後遺障害”に該当することを確認してもらわなければなりません。これを後遺障害等級認定といいます。 ほんの一例ですが、事故後、治療を受けても「腕が上げられない」、「うまく歩けない」、「顔に傷跡が残った」、「身体の一部がなくなってしまった」、「むちうちをした首の痛みやしびれがなくならない」といった症状が残った場合には、後遺障害と認められて等級認定が受けられる可能性があります。 なお、請求の根拠となる損害(精神的苦痛)の種類が違うので、入通院慰謝料とは別に受け取ることができます。
死亡慰謝料
死亡慰謝料とは、交通事故に遭った被害者が亡くなってしまった場合に生じる精神的苦痛に対する賠償金です。 死亡慰謝料には、「被害者本人への慰謝料」と「近親者固有の慰謝料」の2つがあり、それぞれ別々に請求できます。とはいえ、亡くなった被害者本人は請求できないので、被害者本人への慰謝料は、請求権を受け継いだ相続人が請求することになります。また、近親者固有の慰謝料を請求できる人は配偶者や父母、子供だけに限られず、関係の深い兄弟姉妹や内縁関係にある人にも請求権が認められるケースもあります。 死亡慰謝料の金額が気になる方もいらっしゃるかと思いますが、算定基準によって異なるのはもちろん、被害者の年齢や家族構成、家庭内での役割等によっても変わってくるので、一概にいくらもらえると言い切ることはできません。 なお、交通事故による怪我で入院中に亡くなってしまったような場合でも、事故が原因で亡くなったと認められれば、死亡慰謝料を受け取ることができます。
適正な交通事故慰謝料の算定に必要な3つの基準
交通事故慰謝料を算定する客観的な基準には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準(裁判基準)の3つがあります。それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるので、解説していきます。
自賠責基準は最低限の補償をするための基準
自賠責基準とは、自賠責保険が利用する、慰謝料等の損害賠償金の額を算定するための基準です。 自賠責保険は、自動車を保有する人全員が加入しなければならない強制加入保険なので、事故の相手方が任意保険に加入していない無保険者の場合でも、一定の賠償を受けられるというメリットがあります。また、仮渡金制度や内払金制度など、示談前にある程度の支払いを受けられる制度があることや、被害者の過失が7割未満の場合には賠償金を減額されないことなどもメリットのひとつです。 ただし、被害者に最低限の補償をすることを目的とする保険の基準なので、3つの算定基準のなかでも一番低額になりやすいというデメリットがあります。
保険会社から提示される任意保険基準
任意保険基準とは、各保険会社がそれぞれに設けている、損害賠償金の額を算定する基準です。統一された基準ではなく、会社によって異なるうえ外部に公開されていません。 任意保険は、最低限の補償をする自賠責保険ではカバーしきれない損害の補償をする保険なので、自賠責基準よりも高い賠償金が算定される可能性が高いというメリットがあります。その一方で、保険会社の利益も考慮されるため、弁護士基準よりも低額の賠償金が算定されるのが一般的です。
弁護士基準が一番適正な慰謝料を請求できる
弁護士基準は、交通事故に関するこれまでの裁判例を参考に作られた基準で、主に裁判所や弁護士が利用しています。 弁護士基準のメリットは、法的な根拠に基づいているので、3つの基準のなかで最も適正な金額を算定できると考えられており、算出した金額が一番高額になるケースがほとんどだということでしょう。同じ状況の事故でも、自賠責基準や任意保険基準を利用した場合とは何十万円、何百万円もの差が出てくることも少なくありません。 ただし、被害者ご本人だけで弁護士基準で算定した慰謝料を主張しても、保険会社に受け入れられる可能性はほぼないというデメリットもあります。弁護士基準で算定した慰謝料を請求したい場合には、法律と交渉のプロである弁護士に代理交渉を依頼する方が良いでしょう。
交通事故慰謝料の計算方法
交通事故慰謝料は、どのように算出されるのでしょうか?入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の金額は、それぞれ3つの算定基準(自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準)のうち、どれを適用するかによって大きく異なります。 次項から、交通事故で請求できる慰謝料の計算方法について、基準ごとの違いを踏まえながら解説していきます。(ただし、任意保険基準は基本的に非公開のため省略します。)
入通院慰謝料
入通院慰謝料は、次のように計算します。
自賠責基準を利用する場合
日額4300円※1に、“入通院した期間”または“実際に通院した日数の2倍”のどちらか少ない方をかけることで計算します。
つまり、計算式は、
「4300円×入通院した期間」または「4300円×実際に通院した日数×2」
のどちらかになります。
※1:2020年4月1日以降に発生した事故の場合
弁護士基準を利用する場合
入通院慰謝料算定表を使って計算します。算定表には、下記のように通常用【別表Ⅰ】と軽傷用【別表Ⅱ】の2種類があるので、怪我の程度によって使い分けることになります。 どちらの表も使い方は同じです。表の横軸は入院した期間を、縦軸は通院した期間を表しているので、計算したいケースの入院期間を表の横軸、通院期間を縦軸に当てはめて、横軸と縦軸の重なり合う部分を探します。 例えば、骨折をして入院1ヶ月・通院5ヶ月の治療が必要になった場合、【別表Ⅰ】の横軸と縦軸の重なり合う部分の数字は「141」なので、入通院慰謝料は「141万円」となります。
入院 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 13月 | 14月 | 15月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
通院 | AB | 53 | 101 | 145 | 184 | 217 | 244 | 266 | 284 | 297 | 306 | 314 | 321 | 328 | 334 | 340 |
1月 | 28 | 77 | 122 | 162 | 199 | 228 | 252 | 274 | 291 | 303 | 311 | 318 | 325 | 332 | 336 | 342 |
2月 | 52 | 98 | 139 | 177 | 210 | 236 | 260 | 281 | 297 | 308 | 315 | 322 | 329 | 334 | 338 | 344 |
3月 | 73 | 115 | 154 | 188 | 218 | 244 | 267 | 287 | 302 | 312 | 319 | 326 | 331 | 336 | 340 | 346 |
4月 | 90 | 130 | 165 | 196 | 226 | 251 | 273 | 292 | 306 | 316 | 323 | 328 | 333 | 338 | 342 | 348 |
5月 | 105 | 141 | 173 | 204 | 233 | 257 | 278 | 296 | 310 | 320 | 325 | 330 | 335 | 340 | 344 | 350 |
6月 | 116 | 149 | 181 | 211 | 239 | 262 | 282 | 300 | 314 | 322 | 327 | 332 | 337 | 342 | 346 | |
7月 | 124 | 157 | 188 | 217 | 244 | 266 | 286 | 304 | 316 | 324 | 329 | 334 | 339 | 344 | ||
8月 | 132 | 164 | 194 | 222 | 248 | 270 | 290 | 306 | 318 | 326 | 331 | 336 | 341 | |||
9月 | 139 | 170 | 199 | 226 | 252 | 274 | 292 | 308 | 320 | 328 | 333 | 338 | ||||
10月 | 145 | 175 | 203 | 230 | 256 | 276 | 294 | 310 | 322 | 330 | 335 | |||||
11月 | 150 | 179 | 207 | 234 | 258 | 278 | 296 | 312 | 324 | 332 | ||||||
12月 | 154 | 183 | 211 | 236 | 260 | 280 | 298 | 314 | 326 | |||||||
13月 | 158 | 187 | 213 | 238 | 262 | 282 | 300 | 316 | ||||||||
14月 | 162 | 189 | 215 | 240 | 264 | 284 | 302 | |||||||||
15月 | 164 | 191 | 217 | 242 | 266 | 286 |
入院 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 13月 | 14月 | 15月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
通院 | A’B’ | 35 | 66 | 92 | 116 | 135 | 152 | 165 | 176 | 186 | 195 | 204 | 211 | 218 | 223 | 228 |
1月 | 19 | 52 | 83 | 106 | 128 | 145 | 160 | 171 | 182 | 190 | 199 | 206 | 212 | 219 | 224 | 229 |
2月 | 36 | 69 | 97 | 118 | 138 | 153 | 166 | 177 | 186 | 194 | 201 | 207 | 213 | 220 | 225 | 230 |
3月 | 53 | 83 | 109 | 128 | 146 | 159 | 172 | 181 | 190 | 196 | 202 | 208 | 214 | 221 | 226 | 231 |
4月 | 67 | 95 | 119 | 136 | 152 | 165 | 176 | 185 | 192 | 197 | 203 | 209 | 215 | 222 | 227 | 232 |
5月 | 79 | 105 | 127 | 142 | 158 | 169 | 180 | 187 | 193 | 198 | 204 | 210 | 216 | 223 | 228 | 233 |
6月 | 89 | 113 | 133 | 148 | 162 | 173 | 182 | 188 | 194 | 199 | 205 | 211 | 217 | 224 | 229 | |
7月 | 97 | 119 | 139 | 152 | 166 | 175 | 183 | 189 | 195 | 200 | 206 | 212 | 218 | 225 | ||
8月 | 103 | 125 | 143 | 156 | 168 | 176 | 184 | 190 | 196 | 201 | 207 | 213 | 219 | |||
9月 | 109 | 129 | 147 | 158 | 169 | 177 | 185 | 191 | 197 | 202 | 208 | 214 | ||||
10月 | 113 | 133 | 149 | 159 | 170 | 178 | 186 | 192 | 198 | 203 | 209 | |||||
11月 | 117 | 135 | 150 | 160 | 171 | 179 | 187 | 193 | 199 | 204 | ||||||
12月 | 119 | 136 | 151 | 161 | 172 | 180 | 188 | 194 | 200 | |||||||
13月 | 120 | 137 | 152 | 162 | 173 | 181 | 189 | 195 | ||||||||
14月 | 121 | 138 | 153 | 163 | 174 | 182 | 190 | |||||||||
15月 | 122 | 139 | 154 | 164 | 175 | 183 |
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は、等級別に目安となる金額が決まっています。後遺障害等級が認定されたら、認定された等級に設定されている金額をもとに、個々の具体的な事情が考慮され、慰謝料額が決定していきます。 なお、等級別に設けられている目安金額は、算定基準ごとに異なるという特徴があります。下の表に金額の違いをわかりやすくまとめましたので、ぜひご覧ください。
等級 | 自賠責基準※2 | 弁護士基準 |
---|---|---|
1級 | 1650万円(1850万円) | - |
2級 | 1203万円(1373万円) | - |
※2:カッコ内の金額は被扶養者がいる場合の適用額 ※2:自賠責基準は新基準を反映しています。令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準が適用されます。
等級 | 自賠責基準※3 | 弁護士基準 |
---|---|---|
1級 | 1150万円(1350万円) | 2800万円 |
2級 | 998万円(1168万円) | 2370万円 |
3級 | 861万円(1005万円) | 1990万円 |
4級 | 737万円 | 1670万円 |
5級 | 618万円 | 1400万円 |
6級 | 512万円 | 1180万円 |
7級 | 419万円 | 1000万円 |
8級 | 331万円 | 830万円 |
9級 | 249万円 | 690万円 |
10級 | 190万円 | 550万円 |
11級 | 136万円 | 420万円 |
12級 | 94万円 | 290万円 |
13級 | 57万円 | 180万円 |
14級 | 32万円 | 110万円 |
※3:カッコ内の金額は被扶養者がいる場合の適用額
※3:自賠責基準は新基準を反映しています。令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準が適用されます。
死亡慰謝料
死亡慰謝料は、亡くなった被害者の家庭内での役割等によって金額が変わってきます。そこで、具体的な金額について算定基準別に説明していきます。
自賠責基準を利用する場合
被害者の家庭内での役割(家族を扶養していたかどうか等)や、遺族である近親者(父母、配偶者、子供など)の人数によって、死亡慰謝料の金額は変わります。
(1)亡くなってしまった被害者本人への慰謝料:400万円※4
(2)被害者の近親者固有の慰謝料
・近親者が1人:550万円※4
・近親者が2人:650万円※4
・近親者が3人以上:750万円※4
*被害者が扶養していた人がいる場合、さらに200万円が加算されます。
※4:2020年4月1日以降に発生した事故の場合
例えば、専業主婦の妻と学生の子供1人を扶養しており、両親が健在の夫が交通事故で亡くなってしまった場合の死亡慰謝料は、下記の計算式のとおり「1350万円」となります。
400万円(被害者本人の慰謝料)+750万円(近親者4人の慰謝料)+200万円(被扶養者がいるため)=1350万円
弁護士基準を利用する場合
被害者の家庭内での役割に応じて、慰謝料の金額が決められています。なお、弁護士基準では、亡くなった本人への慰謝料と近親者(遺族)への慰謝料は区別せず、合算して計算されます。
被害者の家庭内での役割 | 金額 |
---|---|
一家の支柱 | 2800万円 |
母親・配偶者 | 2500万円 |
その他 | 2000万~2500万円 |
まずは交通事故の受付スタッフが
丁寧にお話しをお伺いいたします
お電話でのご相談受付全国対応
今すぐ電話相談
24時間予約受付・年中無休・通話無料
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
入通院日数が少ない場合の交通事故慰謝料
交通事故慰謝料のうち、入通院慰謝料の計算では入通院した日数が重視されるため、入通院日数が少なければ慰謝料もそれほど高額にならない場合が多いです。 自賠責基準で計算する場合には、日額に入通院した日数をかけて慰謝料を算出するので、入通院日数は慰謝料額に直結しますし、弁護士基準を利用する場合でも、あまりに入通院した日数が少なければ治療の必要性を疑われて減額されてしまう可能性があるからです。 とはいえ、例えば骨折のように自然に治るのを待つしかない症状のような場合には、治療が終わるまでにそれほど通院する必要はありません。症状によって適切な入通院日数は違うので、症状に見合った治療をしていることを証明できれば、慰謝料の減額を避けられるでしょう。 ちなみに、1年以上通院しているにもかかわらず、1ヶ月あたりの通院日数が2~3回程度で検査や経過観察しかしていないような場合には、入通院日数が少ないと判断される傾向にあるようです。 また、症状固定と診断されるより前にした通院であれば、たとえリハビリのためのものだとしても入通院日数としてカウントされるので、安心して通院なさってください。
交通事故慰謝料を受け取るまでの流れ
交通事故では、示談交渉が終わって損害賠償金の総額が確定してから、慰謝料を受け取ることになります。
慰謝料を受け取るまでの一般的な流れは、下記のとおりです。
示談の成立⇒示談書の内容確認⇒署名・捺印⇒相手方の保険会社に送付⇒慰謝料の支払い
示談交渉は、通常、怪我が完治するか症状固定と診断されて治療が終わってから始め、大体6ヶ月~1年程度で終了します(裁判で争う場合は1~2年程度かかるケースが多いです)。交渉が終わった後も、成立した示談について書面を確認したり、保険会社の対応を待ったりする必要があるので、示談が成立した後もさらに2週間ほどかかる計算になります。
慰謝料が増減する要因も抑えよう
交通事故は、ひとつとして同じパターンのものはありません。それは、事故に遭った当事者の事情も同様です。慰謝料を含む交通事故の損害賠償額の算定では、当事者の個別の事情も考慮されます。 そのため、当事者の個別の事情によって、被害者の慰謝料が増額する場合もあれば減額する場合もあります。以降、具体的なケースごとに説明していきます。
慰謝料が増額するケースとは?
加害者が重大な交通違反をしていた
飲酒運転や無免許運転など、加害者が明らかに交通違反をしたと認められる場合、被害者に対する慰謝料が増額するケースがあります。一般的に、救護義務違反(ひき逃げ等)や居眠り運転、著しいスピード違反など、明らかな交通違反と事故の大きさが比例して慰謝料が増額する傾向にあります。 そこで、重大な交通違反をした加害者に対して、相場以上の慰謝料の支払いが命じられた裁判例をご紹介します。
仙台地方裁判所 平成21年11月17日判決
<事案の概要>
酒に酔って正常な運転が困難な状態の加害者が、普通貨物自動車(トラック)を暴走させた結果、歩道で信号待ちをしていた被害者(事故当時14歳)に衝突してしまった交通事故の事案です。この事故により、被害者は遷延性意識障害(いわゆる昏睡状態)に陥り、後遺障害等級別表第1の1級1号に該当する後遺障害が残ってしまいました。
<裁判所の判断>
裁判所は、まず、本件事故の原因は、かなりの量のアルコールを飲んだ後にあえてトラックを運転した加害者の重過失(酒酔い運転)にあり、被害者には何の落ち度もないことを認定しました。そして、被害者の入通院慰謝料として500万円を、後遺障害慰謝料として、弁護士基準で定める金額から200万円増額させた金額である3000万円を認めました。 さらに、加害者の交通違反が重大であることや、被害者の意識の回復がすぐには期待できず、常に介護が必要な状態で父母に相当な負担がかかっていることなどを考慮して、基本的に死亡事故でしか認められない被害者の家族への慰謝料も認め、加害者に対して、被害者の父母それぞれに400万円ずつ支払うよう命じました。
加害者が反省しておらず態度が悪い
加害者が反省せずに不誠実な態度をとる場合、慰謝料を増額できる可能性があります。公平性の観点から、加害者側がひどく悪質だと判断される場合には、被害者に通常よりも手厚い賠償をするべきだと考えられるからです。 例えば、次のような事情がある場合に、相場の1~3割程度の増額を認めた裁判例があります。
- 事故後、被害者を救護せずに立ち去った、または立ち去ろうとした
- 事故現場から逃げ、車を修理する等して証拠を隠蔽しようとした
- 被害者に責任転嫁したり、虚偽の説明をしたりした
(赤信号だったにもかかわらず青信号だったと主張するなど) - 被害者に暴言を浴びせた
被害者が失業した
被害者が事故の影響で失業した場合、通常の事故以上に精神的な苦痛を受け、社会的にも不利益を被ったと考えられるため、慰謝料が増額する可能性があります。ただし、そのためには、「交通事故が原因で失業した」という因果関係を証明しなければなりません。 事故と失業の因果関係を立証するためにも、次のポイントを押さえて準備しておくことが重要です。
- 退職届に理由を明記しておく
退職する理由として、「事故による怪我が原因で仕事に影響が出てしまっているが、配置転換も難しいので仕方なく退職する」旨を具体的に記載しておくと良いでしょう - 主治医に診断書を書いてもらう
主治医に仕事内容を伝えて、事故による怪我がどれくらい影響するのか、最低でもどれだけ働けないのか判断してもらい、診断書に記載してもらいましょう
実際に、失業など、被害者の事情を考慮して慰謝料を算出した裁判例をご紹介します。
大阪地方裁判所 平成29年11月30日判決
<事案の概要>
原告が運転するオートバイと、被告の運転する自動車が衝突した結果、原告の右肩に後遺障害等級14級9号に該当するしびれ等の症状が残ってしまい、主に損害賠償の金額について争われた事案です。
<裁判所の判断>
事故当時、試用期間中だった原告は、事故が原因で休業せざるを得なくなりました。試用期間満了後、原告は復職を希望したものの、
・荷物の上げ下ろしといった業務に制限があったこと
・右肩の手術をする必要が出たこと
といった理由から、復職できないまま退職しなければならなくなりました。
このような原告の事情に加えて、裁判所は、事故を原因とする原告の怪我の内容や程度、1年弱にも及んだ入通院期間といった一切の事情を考慮して、被告に対して、入通院慰謝料200万円をはじめとする損害賠償金の支払いを命じました。
被害者が流産・中絶した
妊娠中の女性が交通事故に遭い、流産・中絶しなければならなくなった場合、多大な精神的苦痛を受けると考えられるので、慰謝料が増額する可能性があります。なお、この場合も、事故と流産・中絶の因果関係の立証が必要です。 一般的に、妊娠初期と比べて後期の方が流産や中絶による母親の心身への負担が大きいとされるため、臨月に近いほど慰謝料は高額になります。 なお、現在の民法上、流産・中絶などで胎児が無事に生まれてこなかった場合、胎児本人に慰謝料等の請求権が認められることはないので、胎児の分の慰謝料を請求することはできません。一方で、父親からの慰謝料請求は認められる可能性があります。
慰謝料が減額するケースとは?
既往症等がある場合の「素因減額」
交通事故の被害者が元々持っていた要因(素因)が引き金になって、事故による損害が発生・拡大した場合、素因が及ぼした影響の程度に応じて損害賠償金が減額されることがあります。これを「素因減額」といいます。 素因には次の2種類があります。
- ①体質的素因:既往症・体質的な疾患など(平均よりも少し首が長い等、個人差に留まるような身体的な特徴は含まれません)
*例:椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、変形性頚椎症 - ②心因的素因:性格やストレス耐性、社会への適応状況、精神的な疾患など
*例:度を越えて自己中心的な性格、自己暗示にかかりやすい性格、うつ病、PTSD
しかし、被害者に素因があれば必ず慰謝料が減額されるとは限りません。事故による損害に素因がまったく影響を与えていない場合や、損害の規模と比較して素因の影響が軽微な場合には、公平性の観点から減額されない可能性があります。 素因の立証責任は、素因減額を主張する相手方にあるので、保険会社から素因減額を主張されたとしても、不当な主張ではないか、減額に応じるとしても提案された金額は妥当かどうか等をよく検討することが大切です。
自身にも過失があった場合は過失相殺される
過失割合が“9対1”や“7対3”であるなど、被害者にも過失が認められる場合には、「過失相殺」によって慰謝料を含む損害賠償金が減額されます。 過失相殺とは、発生した交通事故について被害者も責任を負う場合に、その責任の度合い(過失割合)に応じて損害を公平に分担させることをいいます。信号待ち中に追突されてしまったケースや、対向車がセンターラインをオーバーして衝突してきたケースなど、加害者に10割の過失が認められる場合には、過失相殺は行われません。 なお、過失相殺が適用されるのは、事故を起こした当事者だけに限られません。無償で車に乗せてもらっていた同乗者があえて危険な乗り方をした場合や、運転者が酒に酔っていることを知っていた場合など、発生した事故について同乗者の責任も問えるときには、過失相殺が認められる可能性があります。
事故による利益があった場合の損益相殺
「損益相殺」される場合にも、慰謝料をはじめとした損害賠償金は減額されてしまいます。 交通事故でいう損益相殺とは、受け取る損害賠償金から、その事故に遭ったことで得られた利益分を差し引いて二重取りを防ぐことをいいます。下記のような事情がある場合、損益相殺が行われます。
- 自賠責保険から前払いを受けた
- 政府保障事業(交通事故被害者を救済する国の制度)を利用して補償を受けた
- 社会保険給付金を受け取った
- 労災保険金の給付が確定している
これに対して、生命保険金や常識的な金額の香典・見舞金、労災保険による特別支給金等を受け取ったとしても、損益相殺は行われません。
慰謝料の他に受け取れるもの

本項目では、交通事故の損害賠償のうち、精神的損害である慰謝料以外に受け取れるもの、つまり財産的損害に着目していきます。
休業損害
休業損害とは、交通事故の影響で働けなくなり得られなくなってしまった収入・利益です。 定義だけを見ると、収入がなければ賠償を受けられないのではないかと思われるかもしれません。しかし、会社員・公務員・自営業者・アルバイト・パートタイマーなどの実際に収入がある方だけでなく、金銭的に評価できる家事労働をしている主婦(主夫)や、将来的に働いて収入を得ることになると考えられる学生も受け取ることができます。 休業損害は、一般的に、「1日あたりの基礎収入×休業した日数」という式で計算します。被害者の職業や年齢などによっては、この1日あたりの基礎収入をどのように考えるかが変わってきます。 休業損害を受け取るためには、会社を休んだことや、休んだために減収したこと等を証明する「休業損害証明書」を会社に作成してもらう必要があります。また、その他、確定申告書や源泉徴収票、納税通知書など、前年度の年収や事故前の収入がわかる資料も用意しておきましょう。 なお、休業損害を計算する際には、有休を使って仕事を休んだ日も休業した日数として数えるほか、基礎収入に残業代を含めます。有休を自由に使える権利を失ったことや、今までできていた残業ができなくなったことは、損害と評価できるからです。
逸失利益
逸失利益とは、事故に遭わなければ本来得られていたはずの収入・利益のことです。逸失利益には、次の2種類があります。
【後遺障害逸失利益:事故による後遺障害の影響で減収した場合に請求できるもの】
〈条件〉
- 事故前に収入があった、または家事労働をしていた
*働く意欲・能力と働ける見込みがあった無職者からの請求も認められる可能性があります - 後遺障害等級認定を受けること
- 後遺障害の影響で減収したこと
*本人の特別な努力によって収入を維持しているような場合には、減収がなくとも請求できると考えられます
【死亡逸失利益:事故により被害者が亡くなってしまい収入が途絶えた場合に請求できるもの】
〈条件〉
- 事故前に収入があった、または家事労働をしていた
*働く意欲・能力と働ける見込みがあった無職者からの請求も認められる可能性があります
逸失利益は、事故前の収入を基礎として計算するのが原則なので、被害者の職業や年齢、性別等によって金額に差が出ます。とはいえ、すべての人にこの原則を当てはめると、不当に低い金額が算定されてしまう可能性があるので、被害者に応じて柔軟に解釈されています。 なお、逸失利益は治療が終わった後に発生する損害に対する補償なので、治療が終了するまでに発生した損害に対する補償である「休業損害」とは明確な違いがあります。
その他に請求できるもの
その他、下記のようなものも請求できる可能性があります。
【被害者が怪我をした場合】
- 治療費(診療費や入院費など)
- 入院雑費
- 通院交通費
- 付き添い看護費
- 治療用装具費(ギプスやネックカラーなどの費用)
【後遺障害が残った場合】
- 介護費用
- 介護器具費
- 自宅改装費
【被害者が亡くなった場合】
- 葬儀費用
【裁判で損害賠償の支払いが認められた場合】
- 弁護士費用
- 事故日からの遅延損害金
ただし、これらの賠償を受けるためには、
① 因果関係(交通事故が原因で費用が発生したという事実関係)
② 請求の相当性(被害者に支払わせることが社会通念的に妥当であること)
といった点を証明できなければなりません。
交通事故の慰謝料が1日4300円や8600円だった場合は注意!
自賠責基準を適用して入通院慰謝料を計算する場合、一般的に、日額を4300円※3と考えます。しかし、保険会社から日額8600円で計算された金額を提示された場合も、自賠責基準で計算されている可能性があるので注意が必要です。
どういうことなのか、計算式を見てみるとわかります。自賠責基準を適用する場合、実際に通院した日数(実通院日数)が少ないときは、
「4300円×実通院日数×2」
という計算式を使うのが通常です。このとき、日額は4300円になります。
しかし、計算式の順番を入れ替えると、
「4300円×2×実通院日数」
日額は4300円の2倍、つまり8600円になります。このようにすると、一見、慰謝料の金額が増えるように思われますが、実際のところ総額は変わりません。
保険会社から日額を8600円とする賠償案が提示されたら、こうしたからくりがないか、しっかりと確認することが大切です。安易に示談することは避けましょう。
※3:令和2年4月1日より以前の事故に遭われた場合には、自賠責基準に基づく慰謝料の金額は、旧基準である通院1日あたり4200円(8400円)となります。
自賠責保険と弁護士基準の差額を比較
自賠責基準 | 弁護士基準(軽症の場合) | 差額(軽傷の場合) | |
---|---|---|---|
通院期間3ヶ月 | 20万6400円 | 73万円(53万円) | 52万3600円 (32万3600円) |
通院期間7ヶ月 | 48万1600円 | 124万円(97万円) | 75万8400円 (48万8400円) |
通院期間8ヶ月 | 55万400円 | 132万円(103万円) | 76万9600円 (47万9600円) |
上記の表は、自賠責基準と弁護士基準では金額にどれくらいの差が生まれるのか、実際に比較してみたものです。
以下、詳しい計算方法について解説します。
(例)通院期間3ヶ月の場合
【自賠責基準】
まず、
通院期間3ヶ月(90日)>実通院日数×2(48日=8×3×2)
なので、「48日」を算定の基礎として計算します。 つまり、
日額4300円×48日=20万6400円
が入通院慰謝料の金額になります。
【弁護士基準】
入通院慰謝料の算定表を見てみると、
73万円(軽傷の場合は53万円)」
だとわかります。
【差額】
したがって、自賠責基準と弁護士基準の差額は次のとおりになります。
73万円(53万円)-20万6400円=52万3600円(32万3600円)
(例)通院期間7ヶ月の場合
【自賠責基準】
例の場合、
通院期間7ヶ月(210日)>実通院日数×2(112日=8×7×2)
となるので、計算の基礎とするのは「112日」の方です。 よって、
日額4300円×112日=48万1600円
ということになります。
【弁護士基準】
算定表を参照すると、
124万円(97万円)
となることがわかります。
【差額】
それぞれの計算結果を比較すると、下記のようになります。
124万円(97万円)-48万1600円=75万8400円(48万8400円)
(例)通院期間8ヶ月の場合
【自賠責基準】
式にあてはめると、
通院期間8ヶ月(240日)>実通院日数×2(128日=8×8×2)」
となるので、日額にかけるのは「128日」です。 よって、慰謝料は
日額4300円×128日=55万400円
という金額になります。
【弁護士基準】
算定表に入院・通院した期間を照らし合わせると、下記の金額が出ます。
132万円(103万円)
【差額】
比べてみると、以下の結果になることがわかります。
132万円(103万円)-55万400円=76万9600円(47万9600円)
自身と似たケースの事案で慰謝料をいくらもらったのか知りたい
ここで、実際に弁護士法人ALGがご依頼を頂戴し、解決に導いた事例をご紹介します。ぜひ参考にしていただければ幸いです。
家族5人分の慰謝料を受け取ることができた事例
家族である依頼者5名(大人2名、子供3名)が乗り合わせた車両が信号待ちのため停車していたところ、加害車両に追突されたという事故態様の事例です。 事故から間もない時期にご相談いただけたので、それぞれの症状の程度に応じた通院方法等をアドバイスしながら交渉の準備を進め、まずは症状が軽く早期に治療が終わった子供3名分の示談をまとめました。大人2名については、治療が終わるのを待ってから後遺障害等級認定申請を行い、それぞれに14級9号の認定を受けた後に示談交渉を開始しました。 当事者の数が多く、一般的に複雑になりがちなファミリー事故の事例でしたが、弁護士が対応した結果、総額700万円以上の賠償金の獲得に成功しました。
支払いを拒む加害者へ弁護士が柔軟な手続きを行い適切な慰謝料を獲得できた解決事例
次にご紹介するのは、頑なに賠償金の支払いを拒む加害者から、ほぼこちらの請求どおりの譲歩を引き出すことができた事例です。
依頼者が信号待ちをしている時に後続車に追突されたという事故でした。この事故により、依頼者は頚椎捻挫や腰椎捻挫などを受傷し10ヶ月以上通院治療を続けましたが、相手方が、
・車両の損害が少ないこと
・初診時に依頼者が首・腰の痛みを訴えなかったこと
を理由に、依頼者が転院した先でかかった治療費の支払いを拒んできたため、弊所がご依頼を頂戴することになりました。
相手方は弁護士との交渉でも満額の治療費を支払うことを頑なに拒否し、被害者が後遺障害等級第14級の認定を受けた後に行った再交渉でも、依然として主張を譲りませんでした。しかし、弁護士が紛争処理センターにあっせん手続を申し立て、数回期日を重ねたところ、こちらの請求額をほぼ満額認める内容で和解を成立させることができました。
弁護士への依頼をおすすめする理由
適正な慰謝料を受け取ることができる
ほとんどの被害者は、交通事故に関する交渉に不慣れで適正な賠償金額もわからないのに対して、交渉相手である保険会社はプロで知識も豊富です。また、被害者が加入している保険会社もあくまで自社の利益を追求する営利会社のため、被害者に代わって示談交渉に臨む際、被害者のことを第一に考えて適正な賠償金額を獲得してくれるとは限りません。 一方、弁護士は、“被害者の立場”で物事を考え、被害者が最大限の利益を獲得できるように交渉を進めていきます。特に、弁護士基準で算定した賠償額をもとに交渉できるので、被害者が納得できる適正な慰謝料、ひいては損害賠償金を受け取ることができる可能性が高まります。
弁護士に相手方とのやりとりをすべて任せることができる
相手方や相手方が加入する保険会社(相手方保険会社)とのやりとりをおろそかにしたり、ご自身の加入する保険会社に交渉を任せきりにしたりしていると、相手方や保険会社にとって都合の良いように誘導されてしまう危険があります。 とはいえ、すべてのやりとり・交渉を被害者お一人で行う場合、大変な負担となります。この点、弁護士に依頼すれば、相手方側との煩雑なやりとり・交渉をすべて任せることができるため、安心して治療に専念できます。
通院頻度や検査についてアドバイスがもらえる
交通事故の示談交渉のなかで適正な慰謝料を獲得するためには、適切な頻度・内容で治療や検査を受けているかどうかが重要です。例えば、入通院慰謝料を計算したり、後遺障害等級認定を申請して慰謝料を受け取ったりするためには、事故による怪我の程度や症状の相当性を立証しなければなりませんが、通院頻度や治療内容は重要な証拠になります。 その点、交通事故事案を扱った実績が豊富な弁護士なら、適切な通院頻度がどれくらいなのか、どのような検査を受ければ良いのかといったポイントをアドバイスすることができるので、適正な慰謝料を受け取ることが期待できます。
交通事故慰謝料についての Q&A
簡単に交通事故の慰謝料を計算する方法はありますか?
弁護士基準を例にすると、通院日数、通院期間、入院期間がわかれば、交通事故慰謝料の算定表を確認することで、慰謝料を計算することができます。 ただし、算定表が怪我の程度に応じて分かれていることや、通院日数が通院期間に比べて極めて少ない場合には特殊な計算が必要になるなど、ご自身の慰謝料額の目安を正確に理解されていない方も多くいらっしゃいます。 慰謝料や損害賠償額を簡単に計算できるツールを作成しましたので、ぜひ下記リンク先のツールでお試しください。
主婦でも交通事故の慰謝料は請求できますか?
交通事故に遭い病院に行けば、主婦でも当然に慰謝料を請求することは可能です。仕事をしているのか、していないか等は影響しません。 家事労働はお金に換算することができますが、家事労働をしている主婦は、実際に収入を得ているわけではありません。そのため、事故が原因で収入が減った場合にもらえる「休業損害」の請求が認められるかが問題となることがありますが、「主婦休損」としてもらうことができます。 これに対して、慰謝料は、交通事故に遭ったことで生じた精神的な苦痛に対する賠償です。精神的な苦痛は、人であれば当然に感じるものですから、収入の有無等は問題になりません。つまり、主婦であってももちろん慰謝料を請求できます。
子供も大人と同じように慰謝料はもらえますか?
大人でも子供でも、交通事故によって精神的な苦痛を感じることに違いはありませんから、子供も大人と同じように慰謝料をもらうことができます。 また、たとえ子供であっても、飛び出しや信号無視など事故を招くような危険な行為をしていた場合には、大人と同様に過失割合が認められて、慰謝料が減額されてしまう可能性があります。過失割合が問題になるか、どれだけ認められるかは、子供に物事の善し悪しを判断する能力(事理弁識能力)があるかどうかで変わってきます。 一般的に、事理弁識能力は5~6歳で備わると考えられているので、5歳未満の子供の場合、子供自身の過失割合は問題になりません(保護者の監督責任が問われます)。一方、5歳以上の子供には一定の過失割合が認められることが多いですが、5歳以上13歳未満の子供の場合には、過失割合が大人と比べて5~20%ほど減らされる傾向にあります。
慰謝料と損害賠償は何が違うのですか?
慰謝料は、交通事故の被害に遭った場合に請求できる「損害賠償」の項目のひとつです。病院での診察等にかかる治療費や仕事を休んだ際の休業損害等も、交通事故で発生する代表的な損害といえます。 これらすべてを一括りにして「慰謝料」と呼ぶ方もいらっしゃいますが、厳密には、慰謝料は交通事故被害に遭ったことに対する精神的損害を補填するものとなります。
交通事故で受傷した怪我を整骨院で治療しても慰謝料請求できますか?
可能ではありますが、注意が必要です。整骨院には医師がいないため、保険会社に治療の必要性や相当性を疑われてしまい、治療費や慰謝料の受け取り、後遺障害等級認定の審査などに支障が出る可能性があるからです。 こうしたリスクを避けるためには、あらかじめ医師に相談して整骨院への通院を了承してもらうこと、病院での治療と整骨院での施術をうまく併用することが重要です。 また、整骨院での施術に保険を適用できるかどうかも確認しましょう。保険が適用されない施術を受けた場合、相手方に治療費として施術費用を請求しても、不当に高額な施術を受けていると判断されてしまい、減額されてしまう可能性があるからです。
交通事故の慰謝料に税金は掛かりますか?また、確定申告は必要でしょうか?
基本的に、交通事故の慰謝料には税金はかかりません。慰謝料等、交通事故に遭った場合に受けられる損害賠償は、あくまでも被害者に被った損害を回復するものなので、利益は生じないと考えられます。そのため、確定申告も必要ありません。
ただし、下記のようなケースでは「利益が生じた」と判断されてしまい、課税の対象になる可能性があります。
・一般常識からみて高額すぎる慰謝料・見舞金を受け取ったケース
・会社等から、給料を補填するといった意味合いの見舞金を受け取ったケース
・死亡保険金を保険金受取人が受け取ったケース
交通事故の慰謝料を前払いしてもらうことはできますか?
慰謝料を前払いしてもらうことは、基本的に難しいです。怪我が完治するか、症状固定と診断されるかしなければ、金額を計算できないからです。 しかし、治療費や通院交通費、休業損害といった、その他の損害賠償金については、自賠責保険から前払いを受けることができます。ただし、自賠責保険の補償額の上限である120万円(傷害部分のみ)を超えて支払ってもらうことはできません。 また、任意保険に対して前払いを請求できる法的な根拠はないため、前払いをしてもらえるかどうかは交渉次第となります。
交通事故の慰謝料に関して不安があれば、弁護士へご相談ください
交通事故は、身体にも心にも大きな苦しみを与えるものですから、強いられた肉体的・精神的な苦痛に対して適正な賠償を受けたいと思われるのは当然のことです。 しかし、交通事故の慰謝料の計算方法などを詳しく知っている方は少ないでしょうし、また、知っていたとしても、残念ながら、最も高額な金額を算定できる弁護士基準での示談を自力で引き出すことは困難です。 そこで、ぜひ弁護士に相談してみることをおすすめします。弁護士に依頼することで、慰謝料等を何百万円、何千万円も増額できるケースは少なくありませんし、被害者の怪我や後遺症、治療状況等に合わせて都度アドバイスを受けられるので、その人に最適の手続を選択できる可能性が高まります。 交通事故に遭い、今後の治療や手続の流れ、保険会社との対応や示談交渉など不安を感じていらっしゃる方は、ぜひお気兼ねなくお電話ください。まずは専任の受付スタッフが丁寧にお話を伺わせていただきます。
まずは交通事故の受付スタッフが
丁寧にお話しをお伺いいたします
お電話でのご相談受付全国対応
今すぐ電話相談
24時間予約受付・年中無休・通話無料
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。


交通事故事件の経験豊富な
弁護士が全面サポート
弁護士費用特約を使う場合
本人原則負担なし※保険会社の条件によっては
本人負担が生じることがあります。
弁護士報酬:成功報酬制
※死亡・後遺障害等級認定済みまたは認定が見込まれる場合
※事案によっては対応できないこともあります。
※弁護士費用特約を利用する場合、別途の料金体系となります。