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上半身の麻痺について

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates執行役員
監修 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates執行役員
愛知県弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフを擁し()、東京、を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。

交通事故による怪我が原因で麻痺が生じてしまうと、日常生活で大変な不自由を強いられます。重症の場合は家族による介護が必要になり、被害者本人だけでなくその家族まで、肉体的・精神的負担に苦しめられることになってしまいます。

このページでは上半身麻痺の後遺障害が残ったらどうすれば良いのか、慰謝料はどの程度請求することができるのかといったことについて解説します。

上半身麻痺になってしまったら

麻痺は、神経系に障害が生じることによって起こります。神経系は、脳と脊髄からなる「中枢神経系」と、脊髄から枝分かれして全身に張り巡らされている「末梢神経系」に分けることができます。この末梢神経系には、手足を動かす「運動神経」、五感から得た情報を伝える「感覚神経」、呼吸・消化・循環等を管理する「自律神経」が含まれています。そのため、神経を損傷すると運動障害や感覚障害、自律神経障害が生じますが、麻痺というと運動障害のみを指すこともあります。 脊髄を損傷した場合の神経障害は、基本的に損傷した部位以下の範囲で発生します。例えば、頸髄(頸部の脊髄)を損傷すると、首から下の部分で麻痺が生じることになります。また、脳内出血等で脳を損傷した場合の神経障害は、身体の左右どちらか片方で発生することが多いです。そのため、上半身のみに麻痺が生じるということはほとんどありません。 麻痺は、その範囲によって大きく4つに分類され、すべての上肢(腕)・下肢(脚)に麻痺が生じる「四肢麻痺」、片方の上肢および下肢に麻痺が生じる「片麻痺」、両下肢(または両上肢)に麻痺が生じる「対麻痺」、上下肢のうち1肢のみに麻痺が生じる「単麻痺」があります。 交通事故で受傷し、麻痺が残ってしまったらどうすれば良いのでしょうか?

最初に入院、その後にリハビリ

麻痺が残るほどの怪我となると、脳や脊髄の損傷といった重症を負っていることが考えられます。そのため、受傷直後の急性期では、必要に応じて手術を行った後、状態が安定するように、また肺炎や血栓症、褥瘡(じょくそう)といった二次的合併症が起こらないように、集中治療室で全身管理を行います。 状態が安定したら、なるべく早期の段階でリハビリを開始します。リハビリは開始時期が早いほど、良好な機能回復につながるといわれています。リハビリの内容や期間、回復の程度には個人差がありますが、残った身体機能をできる限り回復させ、再び社会復帰できるようにすることが最終目標となります。 なお、治療を行うにあたり、様々な検査を行うことになるかと思いますが、将来の後遺障害等級認定の申請を見据えると、CTやMRIといった画像検査が特に重要になります。これらの画像所見があることで、後遺症を引き起こす原因となる傷病の存在を証明できる可能性が高まります。 また、上半身麻痺では画像検査の他に、関節可動域検査、徒手筋力検査(MMT)、握力検査、筋委縮検査、腱反射・病的反射テスト、神経根症状誘発テスト、知覚検査、電気生理学的検査(筋電図検査・神経伝導速度検査)といった検査が行われます。

交通事故で上半身麻痺になる原因

交通事故で上半身麻痺を引き起こす傷病には、どのようなものがあるのでしょうか?以下でそれぞれ説明します。

脳損傷

交通事故等で頭部に外力が加わって、頭皮や頭蓋骨、脳に損傷を来すことを頭部外傷といいます。頭部外傷は「頭蓋骨骨折」「局所性脳損傷」「びまん性脳損傷」に分類することができます。 頭蓋骨骨折は、外力の程度によっては損傷が脳にまで及びますが、骨折のみで済めば特別な治療は必要ありません。 局所性脳損傷とは、画像検査によって受傷部位がはっきりと特定できるものをいい、脳挫傷、急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、脳内血腫に分けられます。 びまん性脳損傷は、脳が揺さぶられて間接的に衝撃を受けることで発症し、画像検査では受傷部位を特定できないことも多いです。軽度脳震盪(のうしんとう)、古典的脳震盪、びまん性軸索損傷(じくさくそんしょう)が該当します。 脳損傷による症状は受傷部位や程度によって様々ですが、代表的なものとして、運動障害や感覚障害、自律神経障害、運動失調、高次脳機能障害等が挙げられます。

脳損傷の後遺障害

脊髄損傷

脊髄は、脳の底部から背骨に沿って下方まで伸びている神経の束で、脳と身体の各部位をつなぐ役割を果たしています。脊髄を含む中枢神経系は、一度損傷すると元には戻りません。 脊髄の損傷は、損傷部位が高い位置にあるほど、障害が広範囲に及ぶことが特徴的です。人間の背骨は7個の頸椎、12個の胸椎、5個の腰椎、仙骨、尾骨から成り、どの位置の神経を損傷したかによって、どのような身体機能が障害されているかが大体わかるようになっています。 頸髄を損傷すると、上半身だけでなく下半身にも障害が出ます。ただし、頸髄の中心には上半身の神経が、外側には下半身の神経が集まっているため、高齢者に多い「中心性頸髄損傷」を発症すると、下肢よりも上肢に強い運動障害が出ることがあります。 脊髄損傷は、症状の程度から「完全損傷」と「不完全損傷」に分けられます。完全損傷は、損傷部位以下の機能が完全に麻痺している状態をいい、不完全損傷は、損傷部位以下の機能の一部が残存している状態をいいます。脊髄損傷後であっても、リハビリによって機能回復は望めますが、不完全損傷の方が回復の余地は大きいといえます。

交通事故による脊髄損傷と後遺障害

腕神経叢損傷(わんしんけいそうそんしょう)

首から肩にかけての部分では、脊髄から出た神経が複雑に分かれたりつながったりして、腕神経叢を形成しています。腕神経叢損傷は、交通事故(特にバイク事故)やスポーツ中の事故等で、これらの神経が過度な力によって脊髄から引き抜かれたり、伸張・断裂したりすることで発症します。 麻痺の形態は損傷する神経によって異なり、肩や肘が動かない「上位型」、手首から先が動かない「下位型」、上肢全体が動かない「全型」に分類されます。

上半身麻痺の慰謝料と後遺障害

交通事故による怪我で入通院治療を行った場合、その精神的苦痛に対して入通院慰謝料を請求することができます。 治療後に上半身麻痺のような後遺症が残ってしまった際には、後遺障害等級認定の申請を行いましょう。後遺症が後遺障害として等級認定されれば、後遺障害慰謝料についても請求することができます。 自賠責保険に後遺障害等級認定の申請を行うと、介護を要する後遺障害であれば自賠法施行令別表第1の1級・2級、それ以外の後遺障害であれば別表第2の1級~14級のどれかに認定される可能性があります。 上半身麻痺で該当する自賠責保険の後遺障害等級および認定基準は以下のとおりです。

等級 後遺障害
自賠法施行令別表第1 1級1号 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2級1号 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
自賠法施行令別表第2 3級3号 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5級2号 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
7級4号 神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
9級10号 神経系統の機能または精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの

労災保険の後遺障害等級認定基準

自賠責保険の後遺障害等級認定基準は、労災保険の後遺障害等級認定基準に準拠しています。労災保険では、「神経系統の機能または精神の障害」について、より具体的で詳しい認定基準を設けており、自賠責保険の等級認定の際にもそれを参照します。 労災保険の麻痺に関する後遺障害等級認定基準は、「脳の障害」と「脊髄の障害」で別々に設定されています。ただし、どちらのケースにおいても、認定の際には以下の点を判断の基準とします。

  • ・麻痺の範囲(四肢麻痺、片麻痺、対麻痺、単麻痺)
  • ・麻痺の程度(高度、中等度、軽度)
  • ・介護の要否
  • ・介護の程度

なお、麻痺の程度については、感覚障害ではなく運動障害の程度をもって判断します。また、麻痺の範囲およびその程度については、身体所見およびMRI・CT等によって症状を裏付けられることが前提となります。

麻痺の程度

労災保険の認定基準において、麻痺の程度は高度・中等度・軽度の3段階に分けられていますが、それぞれの基準は以下のとおりです。

高度

障害のある上肢または下肢の運動性・支持性がほとんど失われ、障害のある上肢または下肢の基本動作(物を持ち上げる・歩行する等)ができないもの

中等度

障害のある上肢または下肢の運動性・支持性が相当程度失われ、障害のある上肢または下肢の基本動作にかなりの制限があるもの

軽度

障害のある上肢または下肢の運動性・支持性が多少失われており、障害のある上肢または下肢の基本動作を行う際の巧緻性及び速度が相当程度損なわれているもの

まずは交通事故専門の受付スタッフが
丁寧にお話しをお伺いいたします

上半身麻痺になってしまったら弁護士にご相談ください

麻痺は、中枢神経や末梢神経に障害が起こることで発症します。脳や脊髄の損傷によって上半身に麻痺が生じている場合、下半身にも麻痺が生じていることが多く、日常生活における活動が大きく制限されてしまいます。また、重症なケースでは家族による介護が必要になるため、家族にも大きな負担が発生してしまいます。 交通事故の被害に遭って、後遺症として麻痺が残ってしまったのであれば、弁護士に依頼することをお勧めします。弁護士に依頼をすれば、以後の保険会社とのやり取り等をすべて任せることができるため、余計なストレスがかからず、怪我の治療に専念することができます。 特に交通事故および医療に詳しい弁護士であれば、適正な後遺障害等級が獲得できるようサポートができるうえ、法的根拠や医学的知識をもって損害賠償金が高額になるよう強く主張することができます。 弊所では、多くの交通事故案件を取り扱っており、電話やメールによる無料相談も受け付けております。交通事故による麻痺でお困りの際には、ぜひ一度ご連絡ください。

上半身麻痺が認められた裁判例

【大阪地方裁判所 平成26年(ワ)第5358号 損害賠償請求事件】

被害者(男性)はバイクを運転していたところ、加害者が運転する自動車と衝突し、第3頸椎骨折、第3・4頸髄損傷、外傷性くも膜下出血の傷害を負いました。 被害者は、頸髄損傷による四肢麻痺のため日常生活に全面介助を要するようになりました。呼吸筋麻痺による換気不全があり、痰喀出困難のため気管切開部より痰吸引を要するようになった他、排尿障害に対して膀胱カテーテルによる尿路管理、排便障害に対して浣腸・摘便・おむつ交換といった介助が行われるようになりました。 上記の症状について自賠責保険に後遺障害等級認定の申請を行ったところ、自賠法施行令別表第1の1級1号に該当すると判断されました。 以上を踏まえて、裁判所は被害者の人身損害に対し、治療費、付添看護費、将来介護費、器具購入費、休業損害、後遺障害逸失利益、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料等の請求を認めており、その総額は過失相殺や損益相殺を考慮しても1億円以上となっています。また、被害者の妻に対しても、介護の負担が大きく精神的苦痛を被ったとして、妻固有の慰謝料の請求を認めています。

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  • 着手金0円
  • 相談料0円
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※死亡・後遺障害認定済みまたは認定が見込まれる場合

※事案によっては対応できないこともあります。

※弁護士費用特約を利用する場合、別途の料金体系となります。

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