むちうちの種類と症状 | 認定されるためのポイント

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員
交通事故で圧倒的に多いのがむちうちの症状です。 むちうちは、外傷がないので見た目では症状がわかりにくく、個人差もあるため、交通事故の示談交渉では、争われやすい類型のひとつといえます。 ここでは、交通事故による「むちうち」について、概要を解説するとともに、適正な賠償を受けるためのポイントを紹介していきます。ぜひ参考になさってください。
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目次
交通事故で多い「むちうち」とは?

むちうちとは、「首の捻挫」をイメージするとわかりやすいです。 むちうちは、重たい頭を支えている首に、意図しない強くて不自然な力が加わることで発症しますので、交通事故で頻繁にみられる症状といえます。受傷したときの動きが、鞭を打ったときの動きに似ていることから、いつしか通称の「むちうち」と呼ばれるのが主流となりました。 正式には、「頚椎捻挫」「頚部挫傷」「外傷性頚部症候群」といった診断名となります。 予測できないあらぬ方向への力は、強ければ強いほど、ダメージにつながりやすいといわれています。このため、正面衝突よりも、予測不能な追突事故や、横・斜めからの衝突事故のほうが、損傷が複雑化しやすく、症状が重くなりがちです。
むちうちの症状
“むちうち”と聞くと、“首の痛み”をイメージする方も多いかと思いますが、ほかにもさまざまな症状があります。 例えば、以下の症状も、むちうちにより生じ得るものです。心当たりはありませんか?
- 肩、背中、腕の痛み
- 首、肩、背中のこり
- めまい
- 吐き気
- 耳なり
- 頭痛
- 握力低下
- 食欲不振
- 手足のしびれ
- 全身の倦怠感(だるさ)
むちうちの種類
むちうちにはいくつかの種類があり、「頚椎捻挫型」「根症状型」「バレリュー症状型」「根症状、バレリュー症状混合型」「脊髄症状型」の主に5つに分けられます。 それぞれの特徴について確認していきましょう。
頚椎捻挫型
頚椎捻挫型は、事故の衝撃で頭と体を支える首の筋肉や靱帯が損傷し、炎症がおきている状態をいいます。 5種類あるむちうちの類型のうち、7~8割が頚椎捻挫型にあたるといわれます。 自覚できる症状としては、肩こり、首や背中の痛み、首を動かせる範囲(可動域)がせまくなるといったもので、筋肉の緊張などから生じるといわれています。 正式な傷病名は、頚椎捻挫、頚部挫傷、外傷性頚部症候群などで、この診断を受けた方のほとんどが「頚椎捻挫型」に該当することとなります。
根症状型
背中を通る脊髄から、手足などに分かれていく神経を神経根といいます。 根症状型のむちうちは、この神経根が、事故の衝撃で脊髄に負荷がかかったり、椎間板が変形したりして、圧迫・損傷している状態です。 主な症状としては、首から手指にかけての痛み・しびれ、体に力が入りにくくなる、顔や後頭部の痛みなどが特徴的です。 頚椎捻挫型と重なるもののほかに、頚椎症性神経根症、頚椎椎間板ヘルニアといった傷病名で診断を受けます。
バレリュー症状型
交通事故時の衝撃が強く、自律神経まで傷ついてしまった状態を、バレリュー症状型、または後部交感神経症候群ともいいます。 自律神経の乱れにより、頭痛、吐き気、耳鳴り、めまい、不眠などの症状が出現し、首や腕、後頭部、肩甲骨にかけての痛みが生じることもあります。 症状が似ていることから、自律神経失調症と混同されやすいのが特徴です。
根症状、バレリュー症状混合型
根症状型とバレリュー症状型の症状のどちらにもあてはまる状態は、根症状・バレリュー症状混合型に分類されます。 首から手指にかけての痛み・しびれに加えて、頭痛、吐き気、耳なり、めまい、不眠などの症状が自覚できるケースです。 傷病名こそ、根症状型にみられる頚椎捻挫などとされることがありますが、バレリュー症状型の症状と重なる部分が多いため、“混合型”と扱われます。 根症状・バレリュー症状混合型は、整形外科とペインクリニックを並行して治療することが望ましいため、症状に応じた適切な治療を受けることが重要です。
脊髄症状型
脊髄症状型は、脊髄を損傷している状態ですので、5つの類型のうち最も重症度が高いです。 症状としては、体の麻痺、知覚障害(刺激を正常に感知できない障害)、歩行障害などで、他の類型と比べても程度が明らかに重いといえます。 診断を受ける傷病名としては、脊髄不全損傷、頚椎椎間板ヘルニア、変形性頚椎症、頚髄症、脊柱管狭窄症、後縦靭帯骨化症などがあり、完治はむずかしいため、後遺症が残りやすいとされます。
むちうちになったときの通院について
まずは整形外科を受診する
むちうちの主な治療先は、「整形外科」と「整骨院(接骨院)」です。 やみくもに病院に行くのではなく、真っ先に整骨院に行くのでもなく、まずは「整形外科」を受診するようにしましょう。 興奮状態で痛みなどを感じていないかもしれませんので、他に目立った外傷などがなければ痛みのあるなしにかかわらず、整形外科に行っておくと安心です。
整形外科では、レントゲンやCT、MRIといった画像検査を受けることができます。 整形外科で受けられる画像検査は、治療をするうえでの「損傷の特定・程度の把握」にくわえて、示談交渉を進めていくうえでの「裏づけ」として非常に重要です。
そして、整骨院に通う場合は、二次的・並行治療先として利用しましょう。 整形外科の医師から指示や許可をもらったうえで整骨院に通うのが、完治を目指すうえでも、適正な賠償を請求するうえでも大事なポイントとなります。
適切な通院頻度は?
むちうちの治療での適切な通院頻度は、週に2~3日が理想的ですが、医師の指示に従うことが優先されます。 症状が落ち着いているのに頻繁に通院したり、症状があるはずなのに通院が極端に少なかったりすると、本当にむちうちなのか疑われてしまったり、治療の必要がないのではないかと判断されてしまったりするおそれがあります。 結果的に、損害賠償額の減額・否定、後遺障害等級が認定されないといった事態になりかねません。
並行治療先である整骨院への通院についても、基本的には医師による指示であることがポイントとなります。 整骨院を併用する場合は、少なくとも1ヶ月に1回以上は病院での診断を受けることを目安としましょう。 自己判断による過剰通院・少なすぎる通院・整骨院への通院は、後々のリスクを伴いますので、適切な通院頻度の徹底は非常に重要です。
むちうちの治療方法
むちうちの主な治療先として、整形外科と整骨院(接骨院)があります。
一見、違いがわかりづらいですが、整形外科では医師免許を持つ医師が治療にあたり、整骨院では国家資格である柔道整復師が施術にあたります。柔道整復師は医師ではないため、整骨院では診察や検査、手術といった医療行為は受けられません。
整形外科と整骨院で行われる、むちうちの主な治療方法は下表のとおりです。
整形外科の主な治療方法 | 整骨院(接骨院)の主な治療方法 |
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むちうちの治療方法には、治療先や症状の程度によってさまざまな種類があります。 治療先としては、“医師”が治療にあたる「整形外科」と、“柔道整復師”が施術にあたる「整骨院(接骨院)」があります。
2つの大きなちがいは「医師がいるかどうか」という点ですが、医師がいないことによる制限や、整骨院ならではの利点などがありますので、うまく併用することがポイントとなります。 また、必要に応じて痛みの緩和・治療に特化した「ペインクリニック」に通うことも有用です。
何よりも大切なのは、症状の程度に応じた適切な治療を、適切な機関で受けることです。 以下、代表的な治療方法について簡単にご紹介します。
整形外科の治療方法
◆頚椎カラー
患部である首を固定して、負担を軽くします。
主に受傷直後や痛みがひどいときに使用します。
◆消炎鎮痛剤の処方、投与
内服薬と外用薬があり、痛みが強い場合に処方されます。
市販もありますが、医師により医療用を処方してもらえるのが整形外科ならではの特徴です。
◆神経ブロック注射
神経や炎症を起こしている部分・その周囲に、ピンポイントで痛み止め(麻酔薬)を注射し、痛みをおさえる治療です。
痛みにつながる神経を麻酔によりブロックするので、神経ブロック注射といいます。
整形外科のほか、ペインクリニックで主流の治療方法です。
◆首の牽引
特殊な器具を使って、首の牽引をします。
首を引っぱって背骨の間隔を引き延ばすことで、神経への圧迫を軽減させたり、症状の原因となっている変形した骨や突出した椎間板を矯正したりすることを目的としています。
基本的に、痛みやしびれなどの症状が慢性化してきてから始めます。
このほか、必要に応じて運動療法や温熱治療、電気療法などを行っていきます。
整骨院(接骨院)の治療方法
◆手技療法
薬や器具などではなく、柔道整復師の手や指で施術を行います。
体をさする、おす、もむ、たたく、ふるわすなどして刺激を与えることで、患部や患部をかばうためにこわばった筋肉のこりをほぐし、痛みや不快感の緩和を目指します。
◆物理療法
あえて人が感じ取れる物理的な刺激を与えて、血液の循環を良くしたり、痛みを緩和したり、運動療法などの効果を促進したりすることを目的としています。
代表的な刺激としては、電気、光、温熱、冷却、超音波などがあげられます。
◆電気療法
物理療法の一種で、患部に電気を流して刺激を与えることで、緊張状態をほぐしたり、痛みを和らげたりします。
他の療法と並行して行うことも多いです。
◆首の牽引
基本的に、整形外科と同じ施術内容です。
比較的通いやすい整骨院でも施術を受けることができます。
このほか、症状に応じてテーピング療法、運動療法などを行う場合もあります。
むちうちの平均治療期間はどれくらい?
むちうちの平均治療期間は、一般的には1~3ヶ月程度とされていますが、断定することができません。 症状の程度や感じ方などには個人差があるため、1ヶ月かからない人もいれば、年単位で治療を行い、結局後遺症が残ってしまう人もいます。
保険会社は3ヶ月程度で治療費の打ち切りを打診してくることが多い

「むちうちの治療期間=3ヶ月」というのが、保険会社の暗黙のルールとしてあります。 このため、むちうちの治療を続けていると、3ヶ月を目安に保険会社から治療打ち切りの打診を受けることが多いです。 しかし、症状が残っているのであれば安易に応じてはいけません。 保険会社は、治療費の打ち切りとともに症状固定をうながしてくるので、慰謝料の算定や後遺障害等級の認定などに支障をきたし、適正な損害賠償金を受け取れなくなってしまうおそれがあります。
症状固定時期は、保険会社ではなく医師が決定するものです。 この点を念頭におき、保険会社から打診を受けても、焦らず治療・通院を続ける必要性を伝えてください。 なかなか応じてもらえない、難色を示され困っているなどの場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
治療費を打ち切られてしまったら
交渉したものの、治療費を打ち切られてしまうことも少なくありません。 とはいえ、症状がつらく、医師から症状固定と診断されていないのであれば、たとえ治療費を打ち切られてしまったとしても、治療・通院を続けたほうが良いでしょう。 打ち切られてしまってからの治療費が心配されますが、いくつか手段がありますのでご紹介します。
まず、打ち切り後は治療費を自費で立て替えて、後々保険会社に請求する方法があります。 また、加入している自動車保険の人身傷害保険を利用する手段もあります。 そして、「第三者行為による傷病届」を提出し、健康保険を利用して治療費を3割負担におさえる方法もあります。
「第三者行為による傷病届」について補足しておくと、健康保険や国民健康保険の保険者である健康保険組合や市区町村に立替えを依頼する書類です。後々、保険者から加害者側に立替分を請求することとなります。 被保険者である被害者の権利として使用できますので、この手段も覚えておくと良いでしょう。
むちうちで損害賠償請求できるもの
むちうちで損害賠償請求できるものとしては、以下のような項目があります。
●入通院慰謝料
「交通事故に遭ってむちうちにならなければ、入院や通院をする必要もなかったのに…」
こうした入通院に関する負担や苦痛に対して支払われる賠償金です。
●後遺障害慰謝料
「交通事故に遭ったせいで、むちうちの後遺症を抱えることになって悔しい…」
こうした後遺症を抱える負担や苦痛に対して支払われる賠償金で、後遺障害として等級認定されると請求できます。
●休業損害
「事故で負ったむちうちの通院のために仕事を休んで、給与が減ってしまった…」
この減収分を補償する賠償項目で、定型の計算式で算出することができます。
●後遺障害逸失利益
「事故で負ったむちうちの後遺症のせいで、得られたであろうお金が水の泡になってしまった…」
後遺症がなければ得られたであろう将来の可能性(お金)を、計算式を用いて算出し、請求することができます。
むちうちの入通院慰謝料の相場は?
むちうちによる入通院慰謝料の相場は、どのくらいなのでしょうか? 下表が参考となりますが、「入通院の期間」と「適用する算定基準」がポイントとなります。 今回は、例として【実通院日数を月10日とした場合】で1~6ヶ月までの相場を紹介します。
「入通院の期間」について、むちうちで入院することは少ないため通院としていますが、要は通院にかかった期間のことです。 「適用する算定基準」については3種類ありますので、特徴や計算方法をみていきましょう。
通院期間※ | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
1ヶ月 | 8万6000円 | 28万円/19万円 |
2ヶ月 | 17万2000円 | 52万円/36万円 |
3ヶ月 | 25万8000円 | 73万円/53万円 |
4ヶ月 | 34万4000円 | 90万円/67万円 |
5ヶ月 | 43万円 | 105万円/79万円 |
6ヶ月 | 51万6000円 | 116万円/89万円 |
※実通院日数を各月10日とした場合
◆自賠責基準
自賠責保険が支払う基準で“最低限の補償”を目的としています。
計算方法については、
「初診から治療終了までの期間」
「実際の通院日数の2倍」
のいずれか少ないほうに4300円※をかけて算出していきます。
※令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準の4200円が適用されます。
例えば3ヶ月のケースをとりあげて計算式にあてはめてみると、
「初診から治療終了までの期間」=90日間
「実際の通院日数の2倍」=30日間×2=60日間
少ないほうの60日間に4300円をかけると、25万8000円となります。
◆任意保険基準
各任意保険会社が支払う基準ですが、非公開とされていますので明確にはわかりません。
目安としては、自賠責基準に少し上乗せされた金額になると認識しておきましょう。
◆弁護士基準
実際の裁判の結果を集積した基準で、基本的には弁護士でないと扱うことができない基準です。
通称赤い本という専門誌に基準となる入通院慰謝料算定表(別表Ⅱ)が掲載されており、3つの算定基準のなかでは最も高い金額となります。
後遺症が残ってしまったら
「後遺症が残ったら、後遺障害等級認定の申請手続きを行う」
この点は、覚えておきましょう。
医師により症状固定の診断を受けたら、基本的に後遺障害診断書を取得し、後遺障害等級認定の申請手続きを行うべきです。 後遺障害として等級認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求できるようになります。 念押しとなりますが、医師により「症状固定」の診断を受けていることが申請要件となりますので、注意しておきましょう。
後遺障害等級の申請手続き
ここで、後遺障害等級認定の申請手続きにまつわる流れを把握しておきましょう。
- ①医師により症状固定の診断を受ける
- ②医師に後遺障害診断書を作成してもらう
- ③「被害者請求」または「事前認定」により、申請をおこなう
- ④認定結果の通知を受ける(必要に応じて、異議申立ての手続きをおこなう)
被害者請求とは
後遺障害等級の審査をおこなう自賠責損害調査事務所に対して、“被害者が直接”申請をおこなうことをいいます。 必要書類の徴求から提出まで、自分でやらなければならない負担があるものの、自分でやるからこそ入念に手続きを進められるといった特徴があります。
事前認定とは
相手方保険会社が被害者の代わりに”申請手続きをおこなうことをいいます。 手続きを任せることができるので被害者側の負担は軽くなりますが、提出書類や根拠資料などが最低限のものにとどまりがちで、希望する結果に至らないおそれがあります。
上記の手続きを経た認定結果をもって、示談交渉を開始する流れとなります。
むちうちの後遺障害等級と認定基準
12級13号
むちうちについて他覚所見がある場合、つまり、画像検査(レントゲン、MRI検査など)や神経学的検査といった検査の結果から医師が「異常がある」と認めた場合には、後遺障害等級12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」が認定される可能性があります。医学的な“証明”ができるかどうかが、認定されるためのポイントです。
14級9号
むちうちについて他覚所見がなく、医学的な証明は難しくても、事故態様や治療状況などから自覚症状の連続性・一貫性があることが認められる場合には、後遺障害等級14級9号「局部に神経症状を残すもの」が認定される可能性があります。 つまり、患者が大げさに訴えているのではなく、医学的な“説明”ができる症状であれば、等級認定される可能性があるということです。
むちうちの後遺障害慰謝料の相場は?
自賠責基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|
12級13号 | 94万円 | 290万円 |
14級9号 | 32万円 | 110万円 |
むちうちの後遺障害慰謝料の相場は、認定され得る「後遺障害等級」と適用する「算定基準」によって異なります。 まず、12級と14級の等級別に比較してみると、【自賠責基準では62万円】、【弁護士基準では180万円】もの差があり、2等級ちがうだけでも歴然とした差があることがわかります。 また、算定基準ごとに比べてみても、【12級13号で196万円】、【14級9号で78万円】のちがいがあり、弁護士基準が最も高額となることも明らかです。
後遺障害等級が認定されるためのポイント
むちうちは、他覚所見による証明が難しいなどの理由から、後遺障害等級認定で非該当とされることが多いのが現状です。 最低でも14級9号の認定を受けたいものですが、そのためには自覚症状を医学的に“説明”できるかどうかがポイントになってきます。
後遺障害診断書を正しく書いてもらうことが重要
等級認定のポイントでもある「医学的な“説明”」をしていくためのツールとして、「後遺障害診断書」があります。 後遺障害診断書の内容は、状況を知らない人が初めて見たときに「後遺症が残っているのは明らか」と判断できるものでなければなりません。
診断書自体は定型のフォーマットですが、既定項目に沿った最低限の記載にとどまってしまうと、初めて見る人の判断材料が少なすぎてしまいます。すると、画像所見がないむちうちの場合は特に、等級非該当と判断されてしまうおそれがあります。 等級認定を獲得するためには、画像検査結果の記載や、自覚症状の詳細・裏づけのための神経学的検査結果の記載、適切な表現(軽減、不変、増悪など)の使用といった、「有効的な内容」に仕上げることが重要です。
ただし、後遺障害診断書は、被害者自身ではなく医師が作成するため、被害者が思いどおりに書けるものではありません。 医師に“正しく書いてもらう”ことが重要です。
この点、弁護士に依頼することで、有効的な後遺障害診断書の書き方や、等級認定獲得の可能性を高めるためのアドバイスを受けられます。後々後悔してしまう前に、できるだけ早いタイミングで相談することをおすすめします。
むちうちの症状の伝え方も重要です
むちうちの場合、自覚症状の伝え方の工夫次第で等級認定の可能性を広げることができます。 第三者が、後遺症が残っていると判断するには、症状の「一貫性」と「連続性」そして「具体性」がポイントとなります。 医師への伝え方の悪い例・良い例をみていきましょう。
<悪い例>
事故直後はなんともなくて、数日たってから痛み出した。
なんとなく首付近が痛くて、時々手にしびれも感じる。
<良い例>
事故直後から常に首の痛みと手のしびれがつきまとっていて、振り向いたときや、かがんだときに特にピキッと痛む。
寝返りをうつのも痛みが伴うため、寝不足の日々が続いている。
このように、同じような症状でも、伝え方ひとつで第三者の捉え方が変わる可能性があります。 限られた時間の診察で抜け漏れなく伝えるためにも、症状をメモする習慣をつけておくと良いでしょう。
後遺障害等級が認定されなかった場合の対処法
後遺障害等級が認定されなかった場合や、認定結果に納得がいかない場合などは、異議申立ての手続きをすることで再申請することができます。方法としては、以下の3通りがあります。
- ①自賠責保険に対する異議申立て
- ②自賠責保険・共済紛争処理機構への申請
- ③裁判を起こす
これらのうち、最も主流で確実性が高いのが「自賠責保険に対する“被害者請求による”異議申立て」です。
ただし、むやみやたらに手続きをしても結果は変わりません。 前回の結果をくつがえさなければいけませんので、より濃い内容の主張・立証資料が必要となります。後遺障害診断書の内容を精査し、医師に追記の協力を依頼したり、事故と後遺症の因果関係を立証するための検査結果などの掘り起こしをしたりなど、適切に準備を進める必要があります。 認定申請や、異議申立ての手続きの経験豊富な弁護士は、その経験を活かして適切に処理を進めていきます。抱え込まずに、一度弁護士に相談してみると良いでしょう。
14級が認定され、事前提示から賠償金が大幅に増額した事例
赤信号で停まっていたところ追突事故に遭った依頼者は、頚椎捻挫、腰椎捻挫、肋骨骨折を受傷し、1ヶ月ほどの通院・症状固定の診断を受けたタイミングで弊所にご依頼くださいました。
後遺障害等級認定の申請をしていくうえでネックとなったのが、整形外科への通院は月に1度程度で、整骨院への通院がメインだったことです。 リスクを了承のうえで手続きを進めたところ、頚部・腰部・前胸部の神経症状についてそれぞれ14級9号の等級認定を獲得することができました。
この結果をもって相手方保険会社と交渉を進めたところ、骨折の有無について反論がありつつも、適切な資料にもとづき根気強く説明を行い、最終的に骨折があったことを前提に、入通院慰謝料は請求の9割、後遺障害慰謝料は満額を認めてもらうことができました。 くわえて、労働能力喪失期間も通常5年のところ6年に延長が認められ、事前提示を受けていた賠償金が当初より約200万円も増額したかたちで解決に至りました。
交通事故後にむちうちの症状が残った場合は早めに弁護士にご相談ください
むちうちは、「目にみえない」のが最大の特徴です。
むちうちの症状は、類型が5つもあることや、さまざまな傷病名があることからもわかるとおり、多岐にわたります。客観的に伝わりづらいことから「わかってもらえない」というのが、症状を抱えるうえでも、示談交渉を進めていくうえでも、負担・苦痛となってくるでしょう。
ぜひ、弁護士への相談をご検討ください。
弁護士に依頼すれば、適切な通院方法のアドバイスや、保険会社からの症状固定・治療費打ち切りの打診への対応、後遺障害等級認定の申請手続き、示談交渉など、さまざまな状況・タイミングで適切な法的・実務的サポートを受けられます。
弁護士費用を気にする方もいますが、「弁護士費用特約」を使えば、基本的には実質負担金0円で依頼することが可能です。
むちうちの症状に悩んでいるにもかかわらず、泣き寝入りする必要はありません。 少しでも心当たりのある方は、ぜひ一度弁護士法人ALGにお問い合わせください。
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