有給休暇を使った場合の休業損害の請求方法

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員
この記事でわかること
交通事故の怪我のために働けず休業損害が発生した場合、補償を受けられます。では、交通事故が原因で仕事を休む際に有給休暇を使用したときにも、こうした補償を受けられるのでしょうか?給与が支払われる有給休暇では収入が減らないため、休業損害が認められるのかが問題となります。 以下、この問題について考えていきましょう。
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目次
有給休暇を使っても休業損害は支払われる
休業損害は、交通事故により仕事を休まなければならず、収入が減ってしまった場合に受け取れるものです。 この点、有給休暇を使用すると仕事を休みながらも給与を受け取ることができるため、交通事故が原因で有給休暇を使用したとしても、収入が減ったとはいえないように思えます。しかし、交通事故により有給休暇が消費されるとなると、本来であれば労働者が自由に使えるはずだった権利が害され、その財産的価値が損なわれてしまいます。つまり、経済的な損失があると認められます。 以上のことから、“交通事故が原因で”仕事を休むために有給休暇を使った場合にも、休業損害を受け取ることができます。
有給休暇を使った場合の休業損害の請求方法
有給休暇を使用した場合でも、休業損害の請求方法は変わりません。 給与所得者(正社員、パートタイマー、アルバイト等)の場合、一般的に、勤務先に保険会社所定の休業損害証明書へ必要事項を記載してもらい、源泉徴収票や勤務先の賃金台帳等を添付したうえで、保険会社に提出して請求します。 この休業損害証明書には有給休暇に関する記載欄があるので、忘れずに記載してもらいましょう。なお、加害者が任意保険に加入していないときは加害者に、自賠責保険に被害者請求するときは自賠責保険に、これらの書類を提出することになります。 詳しくは下記の記事をご確認ください。
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有給休暇を休業損害として認めた裁判例
ここで、交通事故が原因で仕事を休むために有給休暇を使用したケースで、休業損害を認めた裁判例をご紹介します。
大阪地方裁判所 令和2年2月13日判決
この裁判例では、原告が有給休暇の取得(全日:35日、半日:15日)を強いられたとして休業損害を請求したところ、裁判所は実際に休暇を取得した日数を「7日」と認定し、下記のとおりに有給休暇取得日の休業損害を認めました。153万(交通事故前3ヶ月間の収入)÷62日(交通事故前3ヶ月間の稼働日数)×7日(有給休暇の取得日数)=17万2739円
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有給休暇と休業損害に関するQ&A
半日有給休暇をとりました。休業損害は請求できますか?
休業損害は働けなかったことにより生じた減収について補償するものです。 したがって、半日有給休暇を取得した場合でも、休業した分の給与相当額を請求することができます。なお、もう半日分に関しては通常どおり給与が支払われ、経済的な損失も認められませんので、基本的に対象外となります。
通院に有給休暇ではなく代休を使いたいのですが、問題ありませんか?
代休を使うことに問題はありませんが、休業損害は請求できません。なぜなら、代休は休日出勤した代わりに与えられる休日ですので、休日に通院したことと同じとみなされるためです。
有給休暇を使用した場合の休業損害についてお困りの場合は弁護士にご相談ください
交通事故に遭ってしまい、怪我の治療等のために仕事を休まなければならなくなった場合、休業損害を受け取ることができます。それは有給休暇を使用した日も同様です。 しかし、たとえ治療期間中に有給休暇を使用したとしても、「個人的な目的で使用した」と判断されてしまうと休業損害として認められません。また、交通事故から相当期間経ってから有給休暇を使用したり、有給休暇を使用していない日には通院していなかったりする場合には、交通事故と関連がないものとみなされ、休業損害を受け取ることができないおそれがあります。 請求にあたって問題がないか確認したい方や、実際に休業損害の支払いを認めてもらえずお困りの方は、お気軽に弁護士にご相談ください。
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