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休業損害に税金はかかるのか | 非課税の場合と課税されるケース

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

交通事故により負傷して仕事を休まざるを得なくなった場合、「休業損害」を請求することができます。 これは、休業により収入が減ったことを理由に認められる損害なので、「給与の穴埋めをするものだから、税金がかかるのでは?」と、税金について気になる方もいらっしゃるでしょう。 本記事では、休業損害を中心に、交通事故の損害賠償金に関する税金の扱いについて説明します。

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休業損害に税金はかかるのか?

結論から言うと、休業損害には原則として税金はかかりません。休業損害は、交通事故で負傷し、その治療のために通院しなければならなくなったこと等により仕事を休まざるを得なくなり、収入が減ってしまった分を補償してもらうためのお金です。本来、働いて得る収入には、所得税や住民税といった税金が課されるため、減ってしまった収入を補てんする休業損害にも、税金がかかるように思えるかもしれません。 しかし、そもそも交通事故の損害賠償金は原則非課税であり、休業損害は損害賠償金の一つです。同じ交通事故の損害賠償金なのに、休業損害だけに課税するというのは、公平性に欠けます。したがって、休業損害も、ほかの損害賠償金と同様、原則非課税の扱いになります。 また、人身傷害保険に加入している場合には、休業損害を人身傷害保険から受け取ることもありますが、加害者がいる事故、自損事故ともに、原則非課税となります。 下記のページでは、損害賠償金のうち「慰謝料」の税金について解説しています。こちらも参考にしてみてください。

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例外的に税金がかかるケースとは?

休業損害を含め、交通事故の損害賠償金を受け取っても税金がかからないのは、新たに利益を得たのではなく、損害分を補てんしてもらったに過ぎないからです。ただし、損害分の補てんとしては多すぎる賠償金を受け取った場合は、利益だと判断され、税金がかかる可能性があります。 例えば、加害者側から支払われる休業損害のほかに、会社から見舞金を受け取った場合、見舞金というのは名目にすぎず、収入金額に代わる性質のものであれば、その見舞金は課税対象になることがあります。 また、損害賠償金のうち、被害者の各種所得の金額の計算上、必要経費にあてているものがある場合には、その分は課税対象となります。

休業補償も休業損害と同じく税金はかからない?

通勤途中や勤務中に交通事故に遭った場合、労災保険を利用することもできます。労災保険を利用すると、休業期間中の給与額の一部を補うものとして、休業補償が支給されます。 この休業補償も、原則非課税として扱われています。

休業損害と税金に関する裁判例

休業損害の金額は、「弁護士基準」という支払基準を使用した場合、「基礎収入額」と「休業日数」に基づき算定します。 このとき、通常、「基礎収入額」から税金は控除されません。休業損害を含めた損害賠償金には、原則として税金はかからないため、算定する際にも、基本的には税金を控除しない基礎収入額を用いるのです。 このことを示した裁判例を、ご紹介します。

【岡山地方裁判所 平成16年4月22日判決】

道路上に倒れていた者の介抱をしていたところ、後方から進行してきた被告車両に追突され、脳挫傷や右急性硬膜外血腫などの傷害を負った事案です。 被告側は、休業損害の算定において、所得から所得税と住民税を控除したうえで算定した金額が、実質上の休業損害であると反論しました。 これに対して、裁判所は、休業損害等の算定基礎収入について、「損害賠償額の算定基礎収入につき、当然に、税額分を控除すべきものとはいえない。」と判断しました。そして、原告側が主張した基礎収入月額210万円を採用し、休業日数分に対応した763万6363円を休業損害として認めました。

休業損害などの損害賠償金にかかる税金で不明点があれば、弁護士にご相談ください

交通事故の被害に遭い、加害者側から休業損害をはじめとした損害賠償金を受け取ったとしても、非課税扱いになるのが原則ですので、基本的に税金について心配する必要はないでしょう。非課税なら、確定申告で所得だと報告する必要もありません。 ただし、原則非課税として扱われる損害賠償金であっても、その実態や金額によっては、税金がかかる場合があります。知らずに税金を納めないままでいると、本来支払うべき税金のほかに、無申告加算税という税金が課されるおそれがあります。 休業損害の税金に関する不安やお悩みも含め、交通事故の損害賠償金についてのご相談は、弁護士にお任せください。法律の専門家である弁護士なら、ご相談者様の事情に合わせた適切なアドバイスを行うことが可能です。税金が気になるあまり、損害賠償金の受け取りをためらってしまうことなどあってはなりません。不明点は早期に確認し、適正な損害賠償を受けられるようにしましょう。 弁護士は、その手助けとなります。交通事故の被害に遭われた方は、弁護士への相談・依頼をぜひともご検討ください。

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