飛び出し事故の過失割合|被害者の過失とは

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員
この記事でわかること
子供や歩行者がいきなり車道に飛び出してきたために衝突してしまう、いわゆる飛び出しによる交通事故に遭った場合、その他の交通事故以上に、どちらがどれだけ悪いのかが争われやすいでしょう。 この記事では、飛び出しによる交通事故の過失割合について説明していきます。
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目次
飛び出しによる交通事故の被害に遭ったら?飛び出し事故の種類別過失割合
一口に飛び出し事故といっても、その種類は様々です。 例えば、飛び出してきたのが歩行者や自転車の場合、歩行者が子供や幼児の場合等、いろいろなケースが考えられます。それぞれのケースには特徴があります。 例えば、子供の飛び出し事故の場合、事理弁識能力の有無により過失割合の大きさが異なります。 また、歩行者は最大の交通弱者であることから、歩行者を保護する目的で自動車の過失割合が大きく修正されます。 そして、自転車は高齢者や子供等も運転する場合があることに加え特有の事故形態があるため、特に過失割合が問題となります。 詳しくは次の項目をそれぞれご参照ください。
子供の飛び出し事故
子供の飛び出し事故の事例は多くあります。では、過失割合はどのように決まるのでしょうか? 子供の飛び出し事故の場合、子供の判断能力の程度によって過失割合が決まってきます。子供は年齢によって事理弁識能力の有無が異なります。事理弁識能力とは、自身の行為がどのような結果に繋がるか判断できる能力をいいます。 この点、5、6歳以上の子供であれば、「道路の前だ。車が来るかもしれないから止まろう」といった判断ができるとみなされます。一方、5歳未満の子供では、車が走ってくる車道に出ることの危険性の判断は難しいといえます。では5歳未満の子供には常に過失が認められないのかというと、そんなことはありません。子供の代わりに、飛び出しを止められなかった親等の不注意の大きさが問題となります。親でなくとも、被害者である子供と身分上または生活関係上一帯をなすとみられるような関係にある者も親と同視されます。この親等の不注意が過失であるとされるため、親等の不注意の大きさにより過失割合が決まってきます。
歩行者の飛び出し事故
歩行者と自動車の交通事故の場合、交通弱者である歩行者が保護されるため、自動車の過失割合が大きくなります。それは飛び出し事故の場合も同様です。なぜなら、自動車は、歩行者が飛び出してくる可能性のある場所では周囲の状況に注意を払いながら徐行で進行し、歩行者の飛び出しに気づいたらすぐに減速・停車等の措置をとるべきだと考えられているからです。 そのため、たとえ歩行者が無理な飛び出しをしてきたとしても、自動車の過失割合が大きくなります。 ただし、歩行者が自殺しようとしてあえて飛び出してきたような場合には、自動車の責任が問われないケースも稀にあります。
自転車の飛び出し事故
自転車は、自動車と比べ車体も脆く、体もむき出しです。そのため、交通事故に遭った場合、自動車以上に大きなダメージを受けてしまいます。したがって、自転車と自動車の事故の場合、自動車の過失割合は大きくなります。 また、自転車には特有の問題もあります。 自転車は、高齢者や子供等も運転します。高齢者や子供等は、危険な状況に陥ったときに機敏な動作ができなかったり、自ら危険を招いてしまう予測不可能な行動をとったりすることがあります。そのため、交通事故の危険性がより高いことから、過失割合が修正され、事故の相手である自動車の過失割合がより大きくなることがあります。
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交通事故の過失割合とは?
そもそも過失割合とは?
過失割合とは、交通事故が起こった原因について、被害者の行動と加害者の行動がどの程度交通事故発生に寄与したかを示す責任割合となります。 交通事故は、加害者の一方的な過失で起こる事故から、被害者も注意深く行動すれば避けることができた事故まで様々です。過失割合に応じて、被害者が加害者に請求できる金額が減額されることになります。
過失割合はいつ、だれが決めている?
示談交渉の場合は、過失割合は最終的に当事者の合意で決めます。 ただし、多くの場合、交通事故から間もなくして保険会社の担当者が「今回の事故は〇対〇です」と「過失割合」を決めて提案がしてくるのが通常です。これは保険会社の担当者が適当に決めているのではなく、判例タイムズ社の『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準』という書籍を参考に決められています。 ただ、保険会社担当者は「基本過失割合」という大まかな事故状況をもとにした基本的な過失割合を言っていることが多く、様々な修正要素を加味していないことがよくあります。 保険会社が決めた過失割合は示談合意をしない限り修正できますので、保険会社の言いなりに合意する必要はありません。
過失割合が1割違うと大幅に損してしまう?過失相殺について
過失相殺とは、損害賠償金額から自身の過失割合分を差し引くことです。 過失割合が大きくなればなるほど、受け取ることのできる金額は少なくなります。そして、過失割合が1割でも違うと受け取ることのできる金額は大きく変わります。 損害額がそれぞれ100万円の場合を例にして考えてみます。 過失割合が100対0で、被害者に過失がない場合、被害者が請求することのできる金額と実際に受け取ることのできる金額に差はなく、どちらも満額の100万円です。 これに対し、過失割合が9対1の場合、被害者の請求できる金額は100万円から過失割合分の1割(10万円)が引かれたものとなるため、90万円となります。さらに、実際に受け取ることのできる金額は加害者の請求金額(加害者の過失割合が9割のため、10万円)を差し引いたものとなるため、80万円です。 このように、被害者と加害者の損害額がそれぞれ100万円の場合、過失割合が1割違うだけで、実際に受け取ることのできる金額には20万円もの差が生まれてしまうのです。 実際に受け取ることのできる金額の差は、損害額が高額になればなるほど大きくなっていきます。
過失割合を不利にならないよう保つ・過失割合を有利にするには?
過失割合を不利にならないように保ったり、過失割合を有利にしたりするには、弁護士に依頼すると良いでしょう。 自身の主張を通し過失割合を有利にするためには、主張を裏づける証拠の提出が必要です。具体的には、交通事故直後の現場や事故車の写真、目撃者の証言等をまとめた実況見分調書、ドライブレコーダーの映像等が証拠となります。 また、証拠に基づいた事実の主張だけでなく、過去の裁判例と照らし合わせた法的な評価をする必要もあります。 しかし、法的評価をすることは被害者ご自身だけでは難しいと思われます。そこで、法律のプロである弁護士にアドバイスをもらうことをおすすめします。弁護士は、より被害者の方に有利な過失割合の認定に導いてくれるはずです。
交通事故の被害に遭って過失割合に納得できないなら、弁護士に依頼しよう!
飛び出しを始めとする交通事故の各種被害に遭われた場合について争いになることが多いと思います。交通事故の被害に遭われて過失割合に納得できないときは、弁護士に依頼しましょう。 過失割合が決まらないと損害賠償金額も決定せず、賠償金を受け取ることのできる時期がどんどん先になってしまいます。また、損害賠償請求権には時効があり、あまり長く過失割合等について争っていると、損害賠償を請求できなくなってしまう可能性があります。 弁護士への依頼には「敷居が高いのではないか」「費用が高額なのでは……」といった不安があると思います。しかし、弁護士は被害者の方の一番の味方となる存在ですし、弁護士費用特約が付加されている保険に加入していればご自身の負担はありません。もしも弁護士費用特約がなくとも費用以上に賠償金額が増額することもありますので、弁護士費用特約が付いている保険に加入していないからといって依頼を諦める必要はありません。 まずは一度、弁護士にご相談ください。
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※死亡・後遺障害等級認定済みまたは認定が見込まれる場合
※事案によっては対応できないこともあります。
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