保険会社に示談交渉を依頼するデメリットと弁護士依頼の違い

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員
この記事でわかること
骨折やむちうちなど、怪我を伴う交通事故の被害に遭ってしまったら、被害者としては、適正な額の賠償金を受け取って、しっかり怪我の治療を行いたいものです。しかし、示談交渉において相手方と対立してしまうと、ストレスが増し、心身ともにますます疲弊してしまうおそれがあります。 そこで、被害者の方ご自身は治療に専念するためにも、「保険会社」または「弁護士」に示談交渉の代行を依頼するという選択肢があります。このページで、示談交渉を第三者に依頼するメリット・デメリットを確認していきましょう。
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目次
保険会社に示談交渉を依頼する場合
特に初めて交通事故の被害に遭った場合、今後の手続の流れなどがわからず、不安を感じている方も多いことでしょう。 交通事故は、“物損事故”と“人身事故”に大きく二分されます。負傷し、怪我の治療等を伴う事故が“人身事故”にあたり、被害者に係る身体への負担や手続上の負担は、“物損事故”よりも大きい傾向にあります。 そんなとき、自身が加入している自動車保険会社(=任意保険会社)の示談代行制度を利用することができます。 まずは、示談代行制度の概要からみていきましょう。
保険会社の示談代行制度とは
被害者が契約している任意保険会社が代わりに示談交渉を行ってくれるサービスを、示談代行制度といいます。 通常、自身の対人保険・対物保険の担当者が示談を代行してくれます。それによって費用がかかることはありません。事案の解決までの手続をすべて保険会社が代行してくれるため、被害者は経済的なダメージを受けずに、心身の負担を軽減させることができます。
保険会社の示談代行制度のデメリット
示談代行制度を利用することが、メリットばかりとは言い切れないようです。 そもそも、被害者に過失がない事故(例:追突事故等、いわゆる“もらい事故”)では、この制度を利用することはできません。なぜなら、過失がゼロ、すなわち保険金の支払義務を負わない保険会社が、被害者の示談を代行することは非弁行為(弁護士法72条)にあたるからです。
さらに、任意保険会社の対人保険・対物保険の担当者は、示談代行において、被害者が相手方に賠償しなければならない金額を協議します。そのため、被害者の交渉を有利にし、被害者がより多くの賠償額を獲得することを目的に動いているわけではありません。 とりわけ加害者と被害者が加入している保険会社が同一の場合には、会社の利益を最優先にした協議がなされるリスクもあります。
交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するメリット
弁護士基準の示談金をもらえる可能性が高い
今度は、弁護士に依頼した場合についてみていきましょう。 ウェブサイト等で、交通事故の損害賠償請求について調べていく中で、「弁護士基準」というワードを目にされたことはありませんか?「弁護士基準」とは、損害賠償金(=示談金)を算定する指標の一つで、裁判を想定した金額で交渉を進めることができます。 高額な示談金をもらえる可能性が高い算定基準ですが、「弁護士基準」を使って示談金を請求するためには、原則として弁護士の介入を要します。また、示談交渉のプロである相手方保険会社との協議を被害者自身で進めていくのはそもそも不利であることから、適正な額の示談金を獲得するには、弁護士への依頼が大きなメリットとなるでしょう。 以下のページで「弁護士基準」についてさらに知識を深めることができますので、こちらもぜひご覧ください。
治療期間の適正化
交通事故で負った怪我の治療を続けていると、相手方保険会社から治療費の打ち切りや症状固定を打診されることがあります。これは、相手方保険会社の担当者が会社の利益を守るための言動であり、通院期間を短く終わらせてほしいと思っているサインです。 しかし、損害賠償金の請求において、怪我の治癒や、後遺症が残ってしまうかもしれないことまで見越した適正な期間、通院治療を受けることは、非常に重要です。まだ痛みや痺れといった症状があるにもかかわらず、保険会社が言うことだからとその申入れを鵜呑みにしてしまうと、被害者は損をしてしまいかねません。 この点、弁護士に示談交渉を依頼すれば、治療期間の延長交渉などができる可能性があり、保険会社からの申入れに対しても的確に反論することができます。
示談までの手続がスムーズに行える
怪我の症状が後遺症となって残ってしまった場合、後遺障害等級認定の申請手続を行う必要があります。手続においては、提出期限の管理をしつつ、必要書類の準備等を行わなければなりません。 しかし、後遺症に苦しむ被害者本人や、それを支えるご家族がこのような煩雑な手続を行うことは難しいケースもあるでしょう。 この点、弁護士であれば、適切な後遺障害等級の獲得に向けて、後遺障害診断書を精査し、補充すべき事項があれば医師の意見書等を取り付けるなどして、被害者の代わりに申請手続を進めることができます。
専門家に任せる安心感
交通事故被害者やそのご家族の多くは、交通事故後の手続等について右も左もわからないまま、身心のケアにあたっていることかと思います。通院治療の方法は適切なのか、現在進行している交渉は良い方向に向かっているのか、「正解がわからない」という状況で、大きな不安を抱えていることでしょう。そんなとき、相手方保険会社やその顧問弁護士から、突然連絡が来たらどうでしょう。不安は倍増していまいますよね。 交通事故の専門家への対応は、こちらも同じく専門家に任せることが、安心につながります。 弁護士は、被害者の「代理人」として、相手方とのやり取りや必要な手続の進行等を一手に担い、法律の専門家としてより適切な解決へと導いてくれます。
示談交渉を弁護士に依頼するタイミング
なるべく早いタイミングで弁護士に依頼すべき
ここまで、示談交渉を弁護士に依頼するメリットをお伝えしてきました。ここからは、弁護士へ依頼する“タイミング”の重要性について解説していきます。 交通事故発生から解決までには、示談交渉において転機となるような、さまざまな場面があります。より良い解決結果を求めたい方は、なるべく早いタイミングで弁護士に相談することをおすすめします。 では、以下の図に沿って、交通事故被害者が直面する場面ごとに、弁護士ができることを確認していきましょう。

事故発生 事件発生直後は、被害者の多くは気が動転していることが考えられるため、弁護士に相談することで冷静に、適切な対応ができます。被害者としては、解決までの大まかな見通しがわかるだけでも、起こり得る事態に対しての心の準備や態勢を整えることができ、安心感が得られるでしょう。
治療 怪我の治療中である「治癒・症状固定前」も、弁護士へ相談・依頼するタイミングに適しています。損害賠償金の算定においても重要なこのタイミングで、弁護士からベストな通院方法の助言を得られれば、適正額を獲得できる可能性がグンと上がります。治癒または症状固定とする医師の診断を覆すことは非常に困難であるため、示談交渉が次のステップへ進む前に、「治癒・症状固定前」のタイミングで弁護士へ依頼すると良いでしょう。
治癒・症状固定 基本的に、医師から治癒・症状固定の診断を受けると損害額が確定し、損害賠償金の全体像が見えてきます。このタイミングで弁護士に依頼した場合、治癒なら弁護士基準で損害賠償金の算出・交渉を、症状固定なら後遺障害等級認定の申請や異議申立ての手続等を一任することができます。
示談交渉/調停・裁判 示談交渉中に弁護士が介入しても、事故態様や通院記録、障害の内容といった事実は変えられません。しかし、弁護士は示談交渉において、弁護士基準を使って慰謝料等を算出できるため、多くのケースで保険会社に対して請求できる損害賠償額を増額させることができます。 また、交渉が決裂して、調停や裁判手続に移行する場合は特に頼りになります。被害者に代わって、法的手続の専門家である弁護士が、収集した証拠書類をもとに的確な主張・立証を展開することが可能です。 なお、示談協議が始まってから弁護士に相談しようと思っておられる方が一定数いらっしゃいますが、より適切に事案を解決するためには、治療中の段階や後遺障害認定前にご相談いただくことをおすすめします。
弁護士の費用について
弁護士に依頼したいものの、弁護士費用がいくらかかるか不安に感じている方もいらっしゃるかと思います。そこで、ぜひご確認いただきたいのが、ご自身が加入している任意保険のオプションに「弁護士費用特約」が付いているかどうかです。 このオプションは、加入保険会社が弁護士費用を支払ってくれる制度で、付帯していれば上限額(相談料10万円、総額300万円が相場)まで負担してくれます。ただし、特約の利用には加入保険会社の了承が必要です。加入保険会社に難色を示された場合は、無料相談を受け付けている弁護士にその旨も併せて相談してみましょう。 弁護士費用特約については、以下のページに詳しくまとめられていますので、ぜひ併せてご覧ください。
交通事故の示談交渉は弁護士に依頼すべき
交通事故の示談交渉は、なるべく早い“タイミング”で弁護士に依頼すべきです。とはいえ、交通事故の発生から示談交渉までのどの場面においても、「冷静かつ適切な判断」ができ、一切を任せられる「確固たる安心感」を得られるといった点で共通したメリットがあります。 今日では、着手金0円、成功報酬制、初回相談料無料等の内容で運営する弁護士事務所が増えていますので、まずはお悩みをご相談いただき、ご自身が安心して任せられる弁護士かどうかを基準にご依頼ください。 重要なのは、「早めに行動を起こすこと」です。
交通事故被害者専用 相談窓口まずは交通事故の受付スタッフが丁寧にご対応いたします
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本人負担が生じることがあります。
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※死亡・後遺障害等級認定済みまたは認定が見込まれる場合
※事案によっては対応できないこともあります。
※弁護士費用特約を利用する場合、別途の料金体系となります。