交通事故を弁護士に依頼するメリット・デメリットや弁護士の選び方について

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員
この記事でわかること
交通事故の被害に遭った場合に弁護士に依頼すると、得られるメリットは非常に多く、そして大きいです。結論として、多くのケースで「弁護士に依頼したほうがいい」といえるでしょう。
しかしその反面、弁護士に依頼するデメリットがあるのも事実です。
では、どうすればメリット面だけを活かして損することなく解決できるのでしょうか?
このページでは、交通事故について弁護士に依頼するメリットとデメリットをメインテーマとして、具体的に解説していきます。弁護士の選び方や依頼するタイミングなどについてもポイントをお伝えしますので、ぜひ参考になさってください。
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目次
交通事故について弁護士に相談・依頼する6つのメリット
交通事故について弁護士に相談・依頼するメリットには、大きく次の6つがあります。
- 慰謝料の増額で正しい補償を受けられる
- 後遺障害等級認定の申請や異議申立てなどのサポートをしてもらえる
- 過失割合を正しく修正できる可能性がある
- ストレスになる相手方保険会社とのやりとりを任せられる
- 不当な症状固定の回避や治療費の打ち切りに対応してもらえる
- 適切な通院や診察に関するサポートをしてくれる
それぞれどういうことか、メリットとされる理由や背景を理解することはとても大切なことです。
もう少し掘り下げてみていきましょう。
慰謝料の増額で正しい補償を受けられる

保険会社と弁護士では慰謝料などの計算方法が異なります。 日々発生している交通事故の慰謝料をできるだけ平等に効率的に算定することを目的として、その算定には“算定基準”が用いられます。しかし、この算定基準は1つだけではなく、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つが存在するのです。それぞれに特徴はありますが、金額面を比べると基本的に弁護士基準が最も高額となります。 保険会社は自賠責基準や任意保険基準を適用して示談金の提示をしてくるのに対し、弁護士は裁判をも辞さない姿勢で最も高額となる弁護士基準を用いて対抗します。結果的に、裁判への発展を控えたい保険会社が折れるかたちで弁護士基準の算定額で示談を成立させることができるのです。 なお、慰謝料だけではなく、休業損害や逸失利益などの算定についても弁護士基準で行いますので、トータルの示談金が増額し、正しい補償を受けられる可能性を高めることができます。
後遺障害等級認定の申請や異議申立てなどのサポートをしてもらえる
交通事故事案を多数こなしてきた弁護士は、法律的知識と医学的知識を兼ね備えていますので、後遺障害等級認定の申請や異議申立てといった手続きの的確なサポートやアドバイスを提供してもらえます。最終的に、後遺症に関する損害についても増額が見込めるようになるので、正当な損害賠償請求を実現できる可能性が高まるでしょう。 後遺症が残れば、その分を“損害”として賠償請求するために、後遺障害等級認定というステップを踏まなければなりません。等級に認定されて初めて後遺障害慰謝料や、後遺症が残らなければ得られるはずだった収入を指す後遺障害逸失利益を請求できるようになるからです。 等級認定や異議申立ての手続きには、特有のコツやポイントがあるので、これらを熟知している弁護士であれば症状に見合った等級獲得、ひいては後遺症に関する正当な損害賠償金を獲得できる可能性を高めることができます。 後遺障害等級認定については、以下のページで詳しく解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。
過失割合を正しく修正できる可能性がある

弁護士は、事故状況を見極めて正しい過失割合を見出すことができるため、不当な過失割合の提示を修正することができます。 そもそも過失割合とは、発生した事故の責任度合いを比率化したものです。もらい事故などでなければ、被害者にも責任が問われるのが一般的です。 ただし、この点につけ込んで保険会社が不当に高い過失を追求してきます。これに応じてしまうと、過失割合に応じて慰謝料などの損害賠償金が相殺されることになるので、最終的に受け取れる金額が減額してしまうので注意が必要です。 保険会社が提示してくる過失割合は正しいとは限りません。弁護士は、過去の事故実例や裁判例などから似たような事故状況を分析し、正しい過失割合に修正するよう根拠をもって交渉することができます。
ストレスになる相手方保険会社とのやりとりを任せられる

弁護士に依頼すると、相手方保険会社との示談交渉を弁護士に任せられるため、被害者の方が直接示談交渉を行うことで被る精神的ストレスから解放されます。 営利企業である保険会社は、支払い額を低く抑えたいという思いがあり、被害者側に不利な内容の示談案を提示してくることが多いです。また、被害者の方自身で示談交渉を行うと、休業損害や後遺障害等級認定の申請等、煩雑な手続きが重なり、精神的に疲弊してしまうことも少なくありません。 加えて、保険会社の担当者は、通常午前9時~午後5時に業務を行っており、被害者の方の仕事や都合にお構いなしで電話をかけてきて、折り返しをしようと思っても、営業が終了していて連絡が取りづらいという不満をよく伺います。 弁護士は、被害者の方に代わって交渉や手続等を請け負いますので、精神的なストレスから解放され、安心してお過ごしいただけます。
不当な症状固定の回避や治療費の打ち切りに対応してもらえる
交通事故からしばらく経つと、保険会社から症状固定や治療費打ち切りの打診を受けることがあります。営利企業である保険会社からすると、治療が長引くことによる治療費(実費)や入通院慰謝料が高額になることを避けたい、という狙いがあるためです。 ここで弁護士に入ってもらうことで、治療延長を保険会社に認めさせるための方策を相談したり、治療費を打ち切られてしまった場合でも、後から請求できるよう先を見据えたアドバイスが受けられますので、安心です。 症状固定や治療費の打ち切りの打診を受けた際の対策については、以下の各ページも大変参考になります。ぜひ併せてご覧ください。
適切な通院や診察に関するサポートをしてくれる
弁護士に依頼すると、あなたの症状に適切な通院頻度や診察内容のアドバイスを受けることができます。 入通院慰謝料は、治療期間や通院頻度によって金額が決まります。しかし、症状に比べて治療期間が長すぎる・短すぎる、通院頻度が多すぎる・少なすぎるなどの場合は、正当な慰謝料が認められない可能性があります。また、後遺症が残った場合にも、通院頻度や診察内容はとても重要視されるので、適切な等級認定が得られず後遺障害慰謝料などにおいても損をしてしまうおそれがあるのです。 弁護士は、「後遺症が残るかもしれない」という事態を見据えて、あなたの症状に見合ったアドバイス・サポートが可能です。結果的に、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料を正当に受け取れる可能性が高まることにつながります。
交通事故について弁護士に相談・依頼するデメリット
交通事故について、弁護士に相談・依頼するデメリットを把握しておくことも重要です。
主に以下の2つが挙げられます。
- 弁護士費用がかかる
- 相性の悪い弁護士に依頼してしまった場合
それぞれの対策についても含めて、詳しくみていきましょう。
弁護士費用がかかる
弁護士も仕事として引き受けるので、交通事故事案を依頼するには弁護士費用がかかる点がデメリットとして挙げられるでしょう。
具体的には、相談料、着手金、報酬金のほか、日当や実費などがかかってきます。被害が小さな事故や、過失が多い事故などでは、賠償金よりも弁護士費用のほうが多くなってしまう“費用倒れ”のおそれもあります。
この点、加入している任意保険に弁護士費用特約を付けていれば、これらの費用を保険会社が負担してくれますので、実質負担金ゼロで依頼できます。ぜひ、ご加入の保険会社に確認してみてください。
弁護士費用特約が付いているなら、使わない手立てはありません。
以下のページで弁護士費用特約について詳しく解説していますので、ぜひ参考になさってください。
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相性の悪い弁護士に依頼してしまった場合
相性の悪い弁護士に依頼してしまった場合は、更なるストレスや不満、負担などが伴うことになりかねません。この点も、デメリットの一つとして挙げられます。
依頼後であっても弁護士を変更することは可能です。
理解できるように説明してくれない、全然連絡が取れないなど相性の悪さを感じたら、我慢せずに無料相談を利用するなどして相性を確かめつつ、弁護士変更の検討をしてもいいかもしれません。
以下のページでは、弁護士を変更する手段や注意したいポイントについて取り上げています。お困りの方は、ぜひ参考になさってください。
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避けるべき弁護士の特徴
交通事故に遭い弁護士への依頼を考えたら、まずは「依頼すべき」弁護士よりも「避けるべき」弁護士を想定しておきましょう。
特に、次に挙げる特徴をもつ弁護士には、ご注意ください。
交通事故事案の実績・知識がない弁護士
一見、口コミやホームページなどでは凄腕・敏腕弁護士のように映っても、“交通事故事案”に限ると件数をこなしていない弁護士も多いです。 そのような弁護士に依頼してしまうと、慰謝料や示談金の交渉を有利に進めることが難しくなるおそれがあります。
電話や対面で相談したときの対応が悪い弁護士
弁護士と話したときの、威圧的に感じたり、不親切に思ったりといった「反りが合わない」と感じた自分の感覚は、ぜひ大切にしてください。
依頼者の主張や希望を聞かないなど、その後の示談交渉においてもつきまとう悩みになってしまうこともあります。
また、弁護士業界では、業務広告に関する規程が設けられており、過度な不安や期待をあおる広告を出すことは禁じられています。
「必ず増額します!」「今すぐ依頼しないと損をします!」といったフレーズを見かけたら、その弁護士への依頼は慎重になった方が良いでしょう。
過去に懲戒処分を受けている弁護士
言うまでもないかもしれませんが、信頼関係を築くうえで重要なことです。
懲戒処分には、戒告、業務停止、退会命令、除名などがあり、どんな理由で処分を受けたかも重要ですが、そもそもそのような弁護士に関わらないのが賢明です。
交通事故について相談をする際の弁護士の選び方
では、交通事故について弁護士に相談する際は、どのように選べばいいのでしょうか?
選び方ひとつとってもさまざまで、どれもメリット・デメリットが伴います。
以降で代表的な選び方を紹介しますので、ベストな選択ができるよう、ぜひ参考になさってください。
知人や弁護士会などからの紹介
まずは、紹介を受けるパターンです。紹介者には、友人・知人などが考えられます。
このパターンは、事前にある程度信頼のおける人から具体的な話を聞くことができるというメリットがあるものの、紹介者の主観が尾を引いてしまうことがデメリットとして挙げられます。
交通事故の実績や専門的な知識があるかどうかといった“客観的な評価”がみえにくく、紹介者への義理や情などが影響してしまう懸念もあります。
また、弁護士会や日弁連の交通事故センターから紹介を受けるケースがあります。
この場合、相談してくれる弁護士を自分で選べない、必ずしも実績のある弁護士とは限らないといったデメリットがあります。
インターネットを利用して探す
次に、インターネットで検索するパターンです。
おそらく、大半の方が選択される方法ではないでしょうか。
このパターンでは、解決実績を把握しやすく、アクセスや料金体系なども容易に確認することができます。
また、写真が掲載されていたり、相談の流れが紹介されていたりするページも多いため、事前に心構えができるのも利点として挙げられるでしょう。
さらに、弁護士ドットコムや交通事故弁護士ナビといった、ポータルサイトを利用することで、お住いの地域ごとなど、より自分に合った弁護士や弁護士事務所を効率的に検索できます。
一方で、弁護士事務所を検索し、さらにその中で自分のケースに似た解決実績を探すとなると、かなりの負担が伴います。
実際に行き着くかどうかもわからないありふれた情報を選別していくのは、被害者の方にとって不安を拭いきれない状況であることは否めません。
保険会社から弁護士を紹介してもらう
弁護士費用特約があると、多くの場合こちらが契約している保険会社から弁護士を紹介してもらうことができます。
これは、弁護士会と保険会社が連携をして弁護士を紹介する制度であり、LACといわれています(LACとは、リーガルアクセスセンターの頭文字です)。
弁護士は、保険会社も指定することができず、LACに登録している弁護士からランダムに選ばれます。
このLACのおかげで、弁護士の知り合いがいない方や、相談・依頼の仕方がわからない方でも、弁護士に相談できるという大きなメリットがあります。その一方、弁護士をこちらで選ぶことができず、「交通事故の専門性に疑問が残る」「相性が合わず不満が残った」という声もよく聞きます。
直接会って判断する
無料相談などを利用し、依頼検討中の弁護士に直接会って判断するというパターンもあります。
実際に会って得る主観的情報は、非常に重要な判断要素となります。
この方法は、一度弁護士に会ってみて、交通事故の専門的な知識に長けているか、信頼できるような人柄であるかといった点を自分で確認できるのが何よりのメリットです。
他方で、それだけの時間と労力が必要です。相談予約から始まり、事務所などに出向く、事故態様の説明や自身の希望を伝えるといったステップを踏むことは、少なからず心身・時間の負担が伴うでしょう。
交通事故の被害者が選ぶべき弁護士とは
では、肝心の「依頼すべき」弁護士とは、どのような点に注意して選べば良いのでしょうか? まず大前提として、交通事故を得意分野としているかどうかを確認しましょう。併せて、以下の内容を判断材料としてチェックしてみてください。
- 交通事故の示談交渉の経験が豊富
- 医学的知識を兼ね備えている
- 交通事故を集中的に扱う部署がある
- 報酬金などの料金体系が明確
- 説明がわかりやすく理解しやすい
- 交渉力に優れている
- 相談をしたいときに弁護士が対応してくれる
- 弁護士以外の受付・事務局の対応が優れている
交通事故に強くない弁護士に依頼してしまうと、重視すべきコツやポイントを見逃してしまい、請求できたはずの慰謝料が減額してしまったり、最終的な示談金で損をしてしまったりする可能性があります。 そのような事態を避けるためにも、上記のチェック項目をきちんと事案に活かし、実績を積んでいる弁護士に依頼すべきです。
弁護士へ依頼するタイミング
弁護士に相談・依頼するベストなタイミングは、「できるだけ早い」に越したことはありません。
早ければ早いほど、「納得できる解決」を見据えて弁護士ができることが増えるからです。
逆に、ある程度経過したタイミングだと、手遅れでどうしようもなく、賠償を受けるうえで満足のいく結果とならないおそれもあります。
事故直後からでもアドバイスできることがありますので、ぜひお早めにご相談ください。
以下のページでは、弁護士に相談するタイミングについて事故発生から示談成立までの流れに沿って解説を広げています。ぜひ参考にご覧ください。
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本人負担が生じることがあります。
弁護士報酬:成功報酬制
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※事案によっては対応できないこともあります。
※弁護士費用特約を利用する場合、別途の料金体系となります。