交通事故紛争処理センター(ADR)とは?メリット・デメリットや利用する流れ
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
交通事故紛争処理センターは、示談の成立が難しい場合に被害者が無料で利用できる公的な紛争解決機関です。公平な立場の弁護士が、解決に向けて法律相談や和解あっせんなどを行い、示談成立までサポートしてくれます。 ただし、すべての事故で利用できるわけではなく、利用条件やデメリットに注意が必要です。 この記事では、交通事故紛争処理センターの特徴や利用するメリット・デメリットなどについて、詳しく解説していきます。
交通事故被害者専用 相談窓口まずは交通事故の受付スタッフが丁寧にご対応いたします
0120-979-039
24時間予約受付・年中無休・通話無料
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください。
交通事故に遭いお困りの方へ
目次
【動画で解説】ADRとは?示談交渉がうまくいかないとき活用する方法について解説
交通事故紛争処理センター(ADR)とは?
交通事故紛争処理センターは、代表的なADR(Alternative Dispute Resolution=裁判外紛争解決手続)機関のひとつです。裁判を行わずに民事上の紛争トラブルの解決を図るのが目的です。 交通事故の場合、示談交渉がまとまらないときに、弁護士が中立・公正な立場で和解の仲介をしてくれます。 具体的には、弁護士が無料で「法律相談」「和解あっせん」「審査」などを行い、被害者と加害者双方の主張を踏まえたうえで解決策を提示します。 現在ある交通事故紛争処理センターは、全国で11ヶ所です。
【センターの所在地一覧】
- 東京本部
- 札幌支部
- 仙台支部
- 名古屋支部
- 大阪支部
- 広島支部
- 高松支部
- 福岡支部
- さいたま相談室
- 金沢相談室
- 静岡相談室
交通事故紛争処理センターと示談・調停・裁判の違い
交通事故問題の解決方法には、以下のようなものがあります。それぞれ費用や当事者双方の合意の必要性などに違いがあるため、注意が必要です。
- 交通事故紛争処理センター(ADR)
交通事故に詳しい弁護士が中立な立場で介入し、解決を図る- 費用がかからない
- 示談成立には当事者双方の合意が必要
- 示談
当事者同士の話し合いで解決を図る- 一般の被害者が保険会社と対等に交渉するのは難しく、時間や労力がかかる
- 示談成立には当事者双方の合意が必要
- 調停
家庭裁判所の裁判官や調停委員が介入し、解決を図る- 申立て費用がかかる
- 調停成立には当事者双方の合意が必要
- 裁判
裁判官が最終的な判断(判決)を下し、解決を図る- 申立て費用がかかる
- 当事者双方の合意は必要ない
示談成立までの流れや、裁判で争う場合の流れは、以下のページをご覧ください。
交通事故紛争処理センターでできること
交通事故の無料相談
交通事故紛争処理センターはすべて無料で利用できるため、示談交渉についても無料で相談できます。ただし、示談交渉に至っていない段階での相談は対象外なので注意しましょう。 他にもセンターの利用には一定の条件があるため、事前に確認が必要です。 弁護士法人ALGでは、事故直後からお困りの方のご相談も随時受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
和解あっせん
和解あっせんとは、簡単にいうと「和解案を提示すること」です。 交通事故における「示談」とは、正式には当事者双方が主張を譲り合い、合意する「和解」を指します。 交通事故紛争処理センターでは、担当弁護士が当事者双方の意見を聞き、公正中立な和解案を提示して和解(示談)の成立を手助けします。 示談の流れや注意点は、以下のページで詳しく解説しています。
合わせて読みたい関連記事
審査
提示された和解案で合意(示談)できないときは、交通事故紛争処理センターの上位機関である審査会に「審査」の請求ができます。 審査では、法律の専門家である審査員からなる「審査会」が、当事者から事故に関する説明や主張を聞き取り、類似の裁判例などを基に公正中立な立場から「裁定」を行います。
交通事故紛争処理センターを利用するメリット
申立てにかかる費用が無料
交通事故紛争処理センターは、「法律相談」「和解あっせん」「審査」などを自己負担なく、すべて無料で利用できます。 ただし、書類の取付け費用、センターまでの交通費(駐車場代含む)、資料作成費(コピー代等)、通信費(電話代等)などは自己負担です。
解決までの期間が短い
交通事故紛争処理センターを利用した場合、数回の来訪で解決するケースが多いです。 和解あっせんの場合、70%以上が3回の話し合いで、90%以上が5回までの話し合いで和解が成立するとされています。センターに出向く頻度は月1回程度なので、およそ3ヶ月~半年で解決できるのが一般的です。 一方、裁判で争う場合は、判決が出るまでに1年近くかかるケースも少なくありません。
公平公正な機関で信頼性が高い
担当弁護士は、交通事故紛争処理センターから委嘱を受けており、公正かつ中立に判断してくれます。 和解が成立しない場合は「審査」に移行しますが、審査会も弁護士や学識経験者などで構成されているため、信頼性が高いといえるでしょう。
弁護士基準の賠償額を請求できる
和解あっせんは「専門担当弁護士」が行うため、和解案の賠償額は弁護士基準かつ適切な過失割合で計算されたものになります。 つまり、相手方保険会社から著しく低い賠償額を提示されたり、不当に高い過失割合を主張されたりする心配はありません。
交通事故被害者専用 相談窓口まずは交通事故の受付スタッフが丁寧にご対応いたします
0120-979-039
24時間予約受付・年中無休・通話無料
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください。
交通事故に遭いお困りの方へ
交通事故紛争処理センターを利用するデメリット
被害者の味方というわけではない
担当弁護士は、あくまで中立かつ公正な第三者として関与するため、被害者側の味方ではありません。 被害者側に有利な示談金額を提示してくれるわけではないので、期待外れに感じる方もいらっしゃるでしょう。 また、交通事故紛争処理センターを利用する場合、証拠集めも自分で行わなければなりません。 できるだけ多くの利益を得るには、自分で弁護士に依頼して示談交渉を進める方が望ましいです。ご自身が選んだ弁護士であれば、被害者の味方となり、利益を最大化するために活動してくれます。
示談金を増額できるとは限らない
中立な立場である以上、交通事故紛争処理センターを利用しても必ず示談金を増額できるわけではありません。主張を裏付ける証拠が不十分な場合や、「精神的苦痛が大きいから増額してほしい」といった個別事情を反映したい場合、増額は難しいと考えられます。 また、裁判とは異なり、遅延損害金や弁護士費用などの請求も基本的に認められないため注意しましょう。
予約や手続きに手間と時間がかかる
交通事故紛争処理センターは無料で利用できるため、利用者が多く、法律相談まで数週間~1ヶ月程度かかる場合があります。 必要書類の準備(利用申込書の作成や診断書類の収集など)もすべて被害者自身で行わなければならないため、事故内容が複雑なほど手間と時間がかかるでしょう。 弁護士に依頼すれば、センターの利用予約や手続きを任せられるため、負担が軽減できます。また、被害者に有利な結果となるよう適切かつ円滑に進めてもらうことも可能です。 利用に不安がある方は、弁護士に相談・依頼されることをおすすめします。
被害者自身で出向く必要がある
交通事故紛争処理センターを利用するには、被害者自身で何度かセンターに出向かなければなりません。 センターは主に高等裁判所の所在地にあるため、遠方だったり、移動の手間がかかったりする懸念もあります。基本的に「平日の昼間のみ」の対応なので、仕事を休んで行く方も多いでしょう。 なお、センターの利用は怪我の治療とは関係ないので、仕事を休んでも休業損害は補償されない可能性があります。経済的な面からみても、被害者の負担は大きくなりやすいでしょう。
利用できるケースが限られる
交通事故紛争処理センターを利用できるケースは限られており、以下のようなケースでは利用できません。
<利用できないケース>
- 自転車と歩行者の事故、自転車同士の事故
- 自身が契約する保険会社との紛争
- 後遺障害等級認定に関する紛争
- 損害の一部(慰謝料のみ等)に関する紛争 など
<加害者の同意があれば利用できるケース>
- 加害者が任意保険に加入していない
- 加害者が加入している保険会社が不明な事故
- 加害者が加入している任意保険(共済)の約款に被害者の直接請求権がない
- 加害者が契約している任意自動車共済がJA共済連、全労済、交協連、全自共及び日火連以外である など
なお、物損事故でもセンターの利用は可能です。
弁護士を変えることができない
交通事故紛争処理センターは、中立・公正な立場で解決を図るため、担当弁護士の変更は原則認められていません。「弁護士との相性が悪い」「力量不足だ」などと感じても、手続き終了まで対応を任せる必要があります。また、一度手続きを終了させてから再び利用することもできません。 弁護士を変更したい場合は、交通事故紛争処理センターの利用を諦めるしかないでしょう。利用の申立てを取り下げた後、自ら弁護士を探して相談・依頼する必要があります。 弁護士費用は自己負担となりますが、「示談成立までの対応をすべて信頼できる弁護士に任せられる」「増額が期待できる」などのメリットもあります。
交通事故紛争処理センターで解決するまでの流れ
交通事故紛争処理センターを利用してから解決するまでの流れは、主に以下のとおりです。
- ① 和解あっせんの申し込み
- ② 初回相談
- ③ 弁護士による和解あっせん
- ④ あっせん案の合意
- ⑤ あっせん不合意の場合は審査請求
- ⑥ 裁定
担当弁護士が当事者同士の間に入り、中立・公正な立場で紛争の解決を目指します。
➀和解あっせんの申し込み
まずは和解あっせんの申し込みを行います。センターに電話して、日時を調整のうえ相談の予約を取りましょう。後ほど「利用申込書」と「利用規定」が送付されるので、記入して相談当日にセンターへ提出します。 交通事故証明書や事故発生状況報告書、保険会社からの賠償金提示明細書、各種診断書や領収書などの用意も指示される可能性があるため、当日までに揃えておきましょう。
➁初回相談
初回相談では、電話または面接を通して担当弁護士から事故状況や損害額などの質問を受けます。担当弁護士は、提出された書類を踏まえながら問題点を整理し、必要に応じてアドバイスを行います。 物損事故や弁護士に依頼している事案では、初回相談を行わずに和解あっせんに進むこともあるでしょう。
➂弁護士による和解あっせん
初回相談後に和解あっせんを希望すると、交通事故紛争処理センターが相手方に参加を要請し、和解あっせんの手続きに入ります。 和解あっせんは、原則として当事者双方が交通事故紛争処理センターに出向き、主張や証拠の提出を行わなければなりません。 担当弁護士は、当事者双方の主張や証拠を踏まえて和解案を提示し、双方に同意の意向を確認します。物損事故や、弁護士に依頼している事案の場合も同様です。 人身事故の場合、3~5回程度の話し合いで和解成立となるケースが多く、物損事故だとさらに少ない回数で和解成立となる傾向にあります。
➃あっせん案の合意
当事者双方が和解あっせん案に合意した場合、「和解成立」となり手続きが終了します。 和解成立後は、担当弁護士の立会いのもと、示談書または免責証書を作成する必要があります。
⑤あっせん不合意の場合は審査請求
あっせん不合意となり審査を希望する場合は、14日以内に審査請求を行います。 請求が受理されると、担当弁護士がセンターの上位機関である審査会に対して、争点や当事者双方の主張について説明を行います。 審査期日には、当事者双方や代理人の出席が必要です。当事者は審査員に自らの主張や事故内容の説明などを行い、「裁定」を待つことになります。
⑥裁定
当事者双方が裁定(審査会による最終的な結論)に合意した場合は、担当弁護士が示談書(免責証書)を作成します。 審査会の裁定に対する回答は14日以内に行わなければならず、同意・不同意の回答がない場合は「不同意」とみなされるため、注意が必要です。 示談書は、2週間程度で当事者双方の手元に届きます。その後は通常の示談交渉と同じく、示談書に署名・捺印して相手方と取り交わすことで、振り込み手続きが進みます。 相手方が保険会社の場合は、保険会社から指定した口座に示談金が振り込まれるのが一般的です。 裁定に不服があるときは、交通事故紛争処理センターでの解決は難しいため、裁判に移行する必要があるでしょう。裁判で争う場合、最終的な判断は裁判所が下すことになります。
交通事故紛争処理センターを利用する場合も、弁護士への相談を検討しましょう
交通事故紛争処理センターは、示談交渉を円滑に進めるための有効な手段ですが、メリットだけでなくデメリットもあります。利用して後悔しないためにも、メリット・デメリットをよく理解したうえで、申立てを行うことが重要です。 弁護士は、交通事故紛争処理センターの利用から終了までの手続きを適切かつ円滑に行えます。 必要書類や資料の収集といった煩雑な作業から解放されるだけでなく、安心して任せられるため、精神的負担の軽減にもつながるでしょう。 弁護士費用については、加入している保険に「弁護士費用特約」が付いていれば、保険会社が費用を負担してくれます。交通事故紛争処理センターの利用を検討されている方は、ぜひお気軽に弁護士にご相談ください。
交通事故被害者専用 相談窓口まずは交通事故の受付スタッフが丁寧にご対応いたします
0120-979-039
24時間予約受付・年中無休・通話無料
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください。
交通事故に遭いお困りの方へ
交通事故事件の経験豊富な
弁護士が全面サポート
弁護士費用特約を使う場合
本人原則負担なし※保険会社の条件によっては
本人負担が生じることがあります。
弁護士報酬:成功報酬制
※死亡・後遺障害等級認定済みまたは認定が見込まれる場合
※事案によっては対応できないこともあります。
※弁護士費用特約を利用する場合、別途の料金体系となります。























