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交通事故による脾臓損傷の後遺障害

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員

交通事故により、体内の臓器にはどのような影響が及ぶのでしょうか?
本記事では、交通事故による脾臓の損傷に焦点を当て、認定され得る後遺障害等級や慰謝料の相場等について、説明していきます。

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交通事故により脾臓が損傷したら

脾臓とは、左上腹部、横隔膜の下あたりに存在する握りこぶし大の柔らかい臓器です。 身体の免疫機能にかかわる人体最大のリンパ器官で、次のような3つの機能を有しています。

血液の貯留機能

血液成分を蓄え、必要に応じて全身へ送り出す機能

老朽赤血球・血小板の除去機能

古くなったり痛んだりした赤血球や血小板等を鉄分とヘモグロビンに分け、鉄分は新たな赤血球の成分とするため、ヘモグロビンは老廃物として排泄するため、それぞれを、各機能を持つ臓器に送る機能

生体防御機能

細菌やウイルス等に対抗するための抗体を製造する機能

脾臓は、生命維持に必須の臓器ではありませんが、損傷すると血液貯留機能のために大量出血することもあるため、出血性ショックに陥り生命に危険が及ばないよう、迅速に適切な治療を受けましょう。

検査と治療

症状から脾臓の損傷を推察できる場合が多いのですが、確実に診断するために、腹部X線撮影検査、CT画像検査、超音波検査等が行われます。 これらの検査により、脾臓の損傷の度合いや腹腔内の出血量等を確認し、治療法を決めます。

腹腔内に出血していない場合

腹腔内に出血していない場合には、自然治癒を待ちます。ただし、後から出血してくることもあるため、経過観察が欠かせません。

腹腔内に出血している場合

出血が少ない場合

腹腔内に出血しているものの、出血が少ない場合には、脾臓動脈塞栓術を行い、出血を止めます。脾臓動脈塞栓術とは、コイル等で出血している動脈を詰め、止血する手術です。

出血が多い場合

腹腔内に出血していて、出血が多い場合には、脾臓を摘出します。

以前は、脾臓は人体に無益な臓器であるとして、脾臓に損傷がある場合には容易に脾臓の摘出が選択されていましたが、後に脾摘後重症感染症(敗血症等を指します)が起こることがあるといわれるようになったため、できる限り摘出は避けられるようになりました。 しかし、治療が困難な程に損傷している場合には、摘出されます。

交通事故による脾臓への影響

交通事故によって、左上腹部を強打したり、骨折した肋骨が刺さったりすると、脾臓破裂をはじめとする、脾臓の損傷が生じてしまうことがあります。この損傷の程度により、選択される治療法、ひいては後遺症が変わります。

脾臓破裂・摘出

交通事故の衝撃により、脾臓が破裂し、大出血が起こることがあります。脾臓は、血液が豊富な臓器のため、脾臓破裂のように損傷が酷い場合には、出血性ショックに陥り生命にかかわる事態となることも少なくありません。 脾臓が破裂した場合には、脾臓を摘出する以外に治療法はありません。脾臓を摘出すること自体は、生命維持に影響を及ぼしませんが、脾臓はリンパ装置としての機能を有しているため、免疫機能が低下し、感染症に罹患するリスクが増加するといった悪影響があります。

脾臓の損傷で認定される可能性のある後遺障害等級

脾臓を損傷した場合、脾臓を摘出したか否かで、認定される後遺障害等級は異なります。 脾臓を摘出した場合には、13級11号「胸腹部の機能に障害を残すもの」が、脾臓は摘出していないものの、脾臓を損傷したときに現れることのある、左上腹部を中心とした痛みや左肩の放散痛(病気の原因部位とまったくかけ離れた部位に現れる痛み)が残っているような場合には、14級9号「局部に神経症状を残すもの」が認定される可能性があります。

請求できる慰謝料

認定される可能性のある後遺障害等級と、等級に対応した後遺障害慰謝料を整理した表です。 なお、脾臓の摘出について、平成18年3月31日までに発生した交通事故については、後遺障害等級8級11号が認定されていましたが、平成18年4月1日以降に発生した交通事故については、13級11号に認定されることになりました。

等級 自賠責基準 弁護士基準
13級11号 57万円 180万円
14級9号 32万円 110万円

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脾臓摘出した場合の慰謝料の計算例

交通事故が原因で脾臓を摘出した場合、請求できる慰謝料はいくらなのでしょうか? 入院期間3ヶ月(90日)、通院期間314日、実通院日数285日、後遺障害等級13級11号の場合を例として計算してみます。 なお、本例の場合に請求できる慰謝料は、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の2種類ですので、2種類の慰謝料の合計が請求できる慰謝料の総額となります。

自賠責基準

入通院慰謝料

自賠責基準では、4300円
①「入通院期間」か②「実治療日数(入院期間+実通院日数)×2」のいずれか小さい方をかけて入通院慰謝料を算出します。

①入通院期間404日(90+314日)<②実治療日数375日(90+285日)×2なので、
「入通院慰謝料=4300円×404日=173万7200円」
となりそうですが、自賠責基準の「傷害」分の損害賠償金は、上限額が120万円なので、最高でも120万円になります。

後遺障害慰謝料

自賠責基準では、後遺障害等級13級11号の場合、後遺障害慰謝料は57万円となります。

総額

よって、
「慰謝料総額=120万円+57万円=177万円」 となります。

※新基準で算出しています。令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準の日額4200円が適用されます。詳しくは、こちらをご覧ください。

弁護士基準

入通院慰謝料

弁護士基準では、「赤い本」(民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 上巻)等の入通院慰謝表を用いて、入通院期間を基に入通院慰謝料を計算します。 入通院慰謝料表には、別表Ⅰと別表Ⅱの2種類あり、他覚的所見のないような軽傷の場合には別表Ⅱを用います。 例は「脾臓を摘出した」軽傷とはいえない場合なので、赤い本記載の入通院慰謝料別表Ⅰの入院期間3ヶ月・通院期間314日が重なる部分を参照すると、231万8000円(千円未満切り捨て)となります。

後遺障害慰謝料

弁護士基準では、後遺障害等級13級11号の場合、後遺障害慰謝料は180万円となります。

総額

よって、
「慰謝料総額=231万8000円+180万円=411万8000円
となります。

脾臓摘出による後遺障害でお困りの方は弁護士にご依頼ください

脾臓を摘出した場合、後遺障害等級13級11号「胸腹部の機能に障害を残すもの」が認定されることに問題はありません。しかし、脾臓は生命維持や日常生活に必須の器官ではなく、摘出しても特段何か症状が出るわけでもありません。そのため、脾臓の摘出が後遺障害としてどのような影響を及ぼすのかが議論される、つまり、労働能力の喪失率が問題になることがあります。これについて、労働能力喪失率を基礎に計算する、後遺障害逸失利益を認めなかった裁判例も存在します。 しかしながら、脾臓を摘出すると免疫機能が低下するため、特に肺炎球菌や髄膜炎菌、インフルエンザ菌による感染症に罹患しやすくなります。また、敗血症や播種性血管内凝固症候群を起こす確率も高くなると報告されています。 したがって、脾臓摘出による悪影響をしっかりと理解し、後遺障害逸失利益を明確に主張することが、適正な損害賠償を受けるうえで大切になります。適正な損害賠償を受けるためにも、脾臓摘出のリスクについても熟知している、医療に強い弁護士が在籍する、弁護士法人ALGにぜひご依頼ください。

交通事故による脾臓の後遺障害が認められた裁判例

実際に交通事故によって脾臓を損傷し、後遺障害が認められた裁判例をご紹介します。

大阪地方裁判所 平成25年8月29日判決

<事案の概要>

センターラインオーバーした被告車(普通乗用自動車)と原告車(原動機付自転車)が正面衝突し、原告が脾臓破裂や胃穿孔、左血気胸等の傷害を負った事案です。 原告の後遺障害の程度や後遺障害逸失利益の内容が争いとなりました。

<裁判所の判断>

裁判所は、当該裁判が提起される前に全国共済農業協同組合連合会(以下、「全共連」といいます。)が行った後遺障害等級認定を取り上げ、原告の腹部外傷に伴う脾臓摘出について、13級11号「脾臓を失ったもの」にあたると認定し、また、その他の後遺症についても、12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」にあたると認定し、結果として併合第11級に該当するとの認定結果について、相当であると判断しました。 また、後遺障害逸失利益の算定の基礎となる労働能力喪失率について、脾臓を喪失しても、その機能が他の機能によって代替され人体に著しい影響を生じず労働能力の具体的喪失をもたらさない等との被告の主張に対し、脾臓が免疫等の機能を有し、脾臓を摘出した場合に風邪等に罹患した場合の死亡率が高いとの統計資料が存在することに照らすと、具体的な労働能力喪失がないとはとうてい解せないとしました。 ただし、脾臓喪失の後遺障害と併合される他の後遺障害が、神経症状であることに照らすと、一定期間で順化する面もあるというべきであるとしました。具体的には、労働能力喪失率について、原告の就労可能期間のうち、はじめの5年間は第11級相当の20%、その後の20年間については第13級相当の9%が相当であると判断しました。 その結果、原告の後遺障害逸失利益として、1098万2695円が認められました。

交通事故を原因とする脾臓摘出について、後遺障害等級相当の労働能力喪失率が認められ、後遺障害逸失利益が認められた裁判例です。

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