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死亡事故に遭った場合、被害者の兄弟は慰謝料請求できるのか

死亡事故

事故で死亡した兄弟の慰謝料は請求できる場合・できない場合がある

請求可能になるのはどんな場合か

突如として、大切な家族である兄弟が交通事故に遭い命を落としてしまったら、その悲しみや苦痛は計り知れません。その代償として請求できる損害賠償金の項目は、大きく分けて①葬儀関係費用、②死亡慰謝料、③死亡逸失利益、④その他(入通院費、遅延損害金等)があります。これらの項目の中でも、ここでは②死亡慰謝料について詳しくご説明いたします。

交通事故で死亡した被害者の残された家族は、様々な場面で「遺族」「近親者」「相続人」と表現されます。表現の違いのようですが、慰謝料を請求するうえでは、非常に重要な違いです。おおまかにご説明すると、下記の通りです。

「遺 族」:
(被害者の)残された家族、親族
「近親者」:
(被害者の)父母、子、配偶者
「相続人」:
(被害者の)配偶者、子(子がいなければ孫)、直系尊属(父母・父母がいなければ祖父母)、兄弟姉妹

死亡慰謝料には、(1)本人への慰謝料、(2)近親者固有の慰謝料の2種類があり、それぞれ請求することが可能です。しかし、悲しみに暮れている「遺族」全員に請求権が与えられているわけではありません。

(1)本人への慰謝料は、「相続人」が請求権を相続し、法律によって定められた配分で請求できます。その配分は配偶者を筆頭に、子、子がいなければ直系尊属、子も直系尊属もいなければ兄弟姉妹といった順位で下記の通り認められています。

<相続配分>

  •  配偶者1/2、子(子がいなければ孫)1/2
  •  配偶者2/3、直系尊属(父母・父母がいなければ祖父母)1/3
  •  配偶者3/4、兄弟姉妹1/4

※配偶者がいない場合は、子→直系尊属→兄弟姉妹の順位で相続していきます。

(2)近親者固有の慰謝料は、民法711条において「近親者」が対象であると定められており、それ以外の「遺族」には原則、請求権がありません。 以上を踏まえて、「兄弟」に焦点を当てます。(1)本人への慰謝料については、被害者に子や直系尊属がいない場合は請求権が認められているため、決められた配分で慰謝料請求が可能です。一方、(2)近親者固有の慰謝料については、原則対象となりません。 しかし、遺族が兄弟しかいない場合や被害者が独立した家庭を築いていない単身者等の場合には、「近親者固有の慰謝料」と同等とみなされ、請求権を認められたケースもあります。また、残された兄弟が子供の場合は、事故現場に居合わせたり、受傷直後の被害者に接見したりすると、衝撃やショックを受けやすく、加えて一緒に過ごす時間が長い兄弟を突然失う苦悩は、近親者同様と判断されることが多いため、慰謝料の請求権を認められることが多いです。

請求できないのはどんな場合か

2種類ある死亡慰謝料のうち、(1)被害者本人の慰謝料については、相続順位・配分の通り、被害者に子供や直系尊属がいる場合は請求権がありません。また、(2)近親者固有の慰謝料については、「例外」を除き、原則近親者のみに請求権があるため、兄弟は慰謝料の請求を認められない場合が多いです。「例外」というのが、被害者が単身者であること、残された兄弟が子供であること、近親者と実質的に同視できるような厳密な存在であることです。これらもきちんと主張・立証することが必要となります。

被害者の兄弟が請求できる慰謝料相場はいくらか

相続権や近親者と同視できると認められた兄弟は、慰謝料を請求することが可能です。その相場はおおよそ30万円から200万円といわれています。金額に幅があるのは、兄弟構成による配分の差や死亡した被害者・残された兄弟の年齢も考慮されることが理由として挙げられます。

死亡慰謝料は、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つの基準において、それぞれおおよその限度額が決まっています。例えば自賠責基準では、(1)本人の慰謝料は350万円、(2)近親者固有の慰謝料は、請求権者が1人の場合は550万円、2人の場合は650万円、3人以上の場合は750万円(被害者に被扶養者がいる場合、これらに加えて200万円)が限度額として定められています。被害者の兄弟が1人の場合と10人の場合とでは、その配分に差が生じることは容易に想像ができるでしょう。任意保険基準は、各保険会社によって基準が異なるため、自賠責基準の金額よりもプラスαになる程度です。弁護士基準では、2000万円~2500万円とされていますが、あくまで目安であり、事案によって金額が大きく変わる可能性が大いにあります。

被害者や遺族の年齢は慰謝料額に影響するか

生まれてからつい先ほどまで当たり前のように生活を共にしていた兄弟が、突如交通事故に遭い命を落としてしまったら、残された兄弟のショックや衝撃は想像を絶するものといえます。その影響は、共に過ごす時間が密接で、長ければ長いほど大きいことでしょう。交通事故被害者の家族状況や事案は多種多様で、一つとして同じものはありません。しかし、傾向としては、被害者や残された兄弟が子供である場合の方が、大人である場合よりも慰謝料額が高額になるケースが多いようです。

大人になると、住まいは一緒でも、ある程度自立した生活時間が多かったり、別居していたりと、兄弟への依存度は低くみられます。それに比べて子供は、衣食住を長い時間共にすることが多いことから、依存傾向も高いといえます。また、高齢の兄弟が自宅介護状態で依存度が高くても、未来ある子供のほうが苦痛を伴うと判断されることが多い傾向にあります。実年齢に加えて、精神年齢も低い子供は、兄弟が交通事故に遭い亡くなった事実を受け止められなかったり、事故現場に居合わせたことがトラウマになってしまったりと、その精神的苦痛は大きいとみなされることが多いようです。

被害者の兄弟が慰謝料請求する方法

残された兄弟が子供の場合、親が手続き可能か

残された兄弟も慰謝料の請求権が認められる可能性があること、それが子供であると可能性が高く、慰謝料額も高額になる傾向にあることをご紹介してきました。しかし、例えば3歳の子供が慰謝料請求のための諸々の手続きを行うことは、現実的に考えて不可能です。そこで民法818条では、「成年に達しない子は、父母の親権に服する」とし、親や親権者は未成年の子供に代わって「法定代理人」として法的手続きを進めることが可能です。

被害者の兄弟が慰謝料請求できた事例

ここで、被害者の兄弟が慰謝料請求できた事例を、死亡慰謝料に着目してご紹介いたします。

①東京地方裁判所 平成20年(ワ)第17566号 損害賠償請求事件

【被害者】
男児(3歳)
【被害者兄弟】
兄(4歳)
【事故概要】
宅配従業員である加害者が配達のため被害者宅を訪ねたところ、被害者とその兄が対応し、被害者の母親が入浴中だったので帰ろうとしました。加害者は追いかけてきた被害者に気づかず、配達用車両で轢いてしまった事件です。被害者の兄は事故直後の悲惨な現場を目にしており、母親に知らせたのも被害者の兄でした。
【死亡慰謝料】
本人分2000万円、父母各300万円、兄200万円、合計2800万円

※被害者が僅か3歳の年齢で人生を終えなければならなかった無念さや被害者の兄が悲惨な死を眼前にしなければならなかった絶望や衝撃を考慮されました。

②大阪地方裁判所 平成11年(ワ)第9976号 損害賠償請求事件

【被害者】
大学教授(男性・58歳・独身) 高齢の両親を扶養していました。
【被害者兄弟】
妹、弟2人
【事故概要】
加害者の飲酒運転に巻き込まれた事件です。相続人だった父親も事故後体調を崩して亡くなり、その相続分も重なった事件です。
【死亡慰謝料】
本人分2400万円、母と妹、2人の弟に各150万円、合計3000万円

※妹、弟2人に対しては、残された高齢の母親の介護負担や心労等が考慮されました。

③大阪地方裁判所 平成15年(ワ)第10116号 損害賠償請求事件

【被害者】
高校生(男性・17歳・高校生)
【被害者兄弟】
【事故概要】
被害者が原動機付自転車を車道に停め、ヘルメット未装着のまま友人と談笑していたところ、スピード違反をした加害者の自動車が衝突した事件です。
【死亡慰謝料】
本人分2200万円、父母各400万円、妹100万円、合計3100万円

※被害者の妹は、葬儀に1599人が参列するほど人気があった被害者のことを慕っており、その兄が突然いなくなってしまった喪失感等が考慮されました。

被害者の兄弟が慰謝料請求できなかった事例

続いて、被害者の兄弟による慰謝料請求が認められなかった事例をご紹介いたします。

山形地方裁判所 平成20年9月10日判決(交民集41巻5号1235頁)

【被害者】
男性(26歳・独身)
【被害者兄弟】
【裁判所の判断】
被害者とその姉は高校卒業後に自立し事故発生まで、約11年間別居していました。また経済的な援助も特段なかったことが影響し、固有の慰謝料請求権は認められませんでした。

まとめ

ここでは、交通事故の被害者が兄弟だった場合の慰謝料についてご紹介してきました。事故により一瞬にして尊い命が奪われたという喪失感は想像を絶するものでしょう。それが大切な兄弟に突如起こったとしたら、その心痛は計り知れません。しかし、家族だからといって当然に慰謝料請求権が認められているわけではなく、兄弟においては様々な状況や態様が鑑みられます。また、相手方や相手方保険会社とのやりとりでは、それに伴うストレスや疲労等による二次的被害が生まれかねません。 そんな時こそ、冷静に、真摯に、適正な判断ができる弁護士に相談することを思い起こしてみてください。費用面の心配をされる方も多いと思いますが、「弁護士費用特約」に加入していれば、弁護士費用は保険会社が負担してくれます。不安や迷いが生じた折には、正しい判断と何より大きな安心感が得られる、弁護士へ相談することを検討されてみてはいかがでしょうか。