高校生の交通事故|慰謝料の特徴と裁判例

交通事故の被害者が高校生である場合、「大人と比べて慰謝料が減ってしまうのではないか」といった疑問や「交通事故によってこの先の進学や就職にも影響があったらどうしよう……」といった不安を抱く方もいらっしゃると思います。 本記事では、交通事故被害者が”高校生である場合の慰謝料”に限定し、詳しく解説していきます。
目次
高校生の慰謝料の特徴

高校生が交通事故に遭った場合の慰謝料の特徴は、まだ働き始めておらず、収入がない学生であっても、大人と同様に慰謝料がもらえるという点です。慰謝料は、交通事故による精神的苦痛に対して支払われるものであり、収入の有無では左右されません。交通事故に遭った高校生が公立高校・私立高校どちらに通っていたのか?男子学生か女子学生か?ということによる慰謝料の違いはありません。 しかし、交通事故がなければ将来得られたはずであろう利益(逸失利益)については、高卒で就職を予定している学生と、大学進学を予定している学生とで、損害額の起算点が異なるので、注意が必要です。高卒で就職予定の場合は18歳、大学進学予定の場合は22歳を働き始めの年齢として計算することになるため、大学進学予定の学生の方が全体としての損害額が減ることがあります。そのため、後遺症が残った場合には、保険会社との交渉が難しくなる場合があります。
高校生の場合にもらえる慰謝料の種類
交通事故被害者がもらえる慰謝料の種類は、「大人だから」「高齢者だから」「高校生だから」といった括りで異なるものではありません。高校生の被害者の方もご自身の状況に応じた慰謝料を受け取ることが可能です。 交通事故被害者が受け取れる慰謝料としては、大きく分けて以下の3種類があります。それぞれのページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
3つの慰謝料相場の基準

ある被害者の方の慰謝料を算出しようとしても、使用する算定基準によって慰謝料金額が大きく異なることをご存知でしょうか?算定基準には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準(裁判基準)の3つがあり、それぞれの特徴をきちんと理解しておかないと、慰謝料獲得において損をしてしまうかもしれません。 以下のページでは、基準ごとの相場等、慰謝料に関する概要を詳しく解説していますので、ぜひご一読ください。
高校生は休業損害をもらえない?

高校生であっても、アルバイト等により収入がある場合には、休業損害が認められます。高校生のアルバイトの場合は、一日あたりの収入が低いため、自賠責基準の休業一日あたり5700円が適用されることが多い印象です。さらに、交通事故による怪我・入院によって、学校の卒業が遅れてしまったり、就職予定先から内定を取り消されてしまったりした場合も同様に、休業損害が認められる場合があります。
高校生の後遺障害逸失利益

逸失利益とは、交通事故に遭わなければ本来得ることができたであろう収入のことです。交通事故の後遺障害を負った場合や、死亡してしまった場合に請求することができます。逸失利益は、事故前の状況から労働能力がどれだけ減少したかを算定し請求することになりますが、将来の可能性が無限大である高校生が事故に遭い後遺症が残った場合、算定方法など法的に複雑な点があり、争いになりやすいです。
弁護士に依頼するメリット
保険会社の担当者と被害者の方とでは、知識量に大きな差があり、被害者側が不利な合意をしてしまうことが考えられます。通常、保険会社は利益を確保するため、弁護士が介入していない場合には、弁護士基準を前提とした算定を提示してきません。 そのため、弁護士が介入することで、弁護士基準を前提とした示談金を提示されることで得られる慰謝料額が増える可能性が高まります。また、保険会社とのやりとりから生じる精神的負担は相当なものなので、弁護士に依頼することで、精神的負担が緩和できたり、後遺障害認定前なら、適切な後遺障害等級を認定してもらえたりするといった様々なメリットがあります。
交通事故の被害者が高校生だった場合の裁判例
交通事故の被害者が高校生だった2つの裁判例を紹介します。
【大阪地方裁判所 平成23年7月20日判決】
1つ目は、事故当時16歳の高校生男子が、友人の運転していたバイクに同乗していた際、交通事故に遭い、脳挫傷・外傷性くも膜下出血等の大怪我を負い、入院治療後、介護を要する後遺障害が残ってしまった交通事故です。この裁判では、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料が認められた他、被害者の高校生男子の両親が行った、入院時のタッチング、声かけ、リハビリへの協力や監視等に対する付添看護費の請求も認められました。 付添看護費が認められた点について、“入院していた各病院では完全看護体制がとられていたにも関わらず、付添看護費が認められた”、ということがポイントです。裁判所は、両親が行ったリハビリや監視等の付添看護は、一定程度の効果や必要性があった旨認めています。さらに、交通事故により、介護を要する後遺障害が残ってしまったため、将来介護費用の請求も認められました。 また、被害者の高校生男子は、交通事故により高校を中退しました。しかし、裁判所は、逸失利益の計算において高校を中退していることは考慮せず、高校卒業後18歳から働き始める前提で計算した損害額を認めています。
【大阪地方裁判所 平成17年7月27日判決】
2つ目は、事故当時高校3年生の女子が、交際相手の運転していた車に同乗していた際、交通事故にあい、外傷性くも膜下出血・脳室内出血等の大怪我を負い、入院治療後、介護を要する後遺障害が残ってしまった交通事故です。 この裁判では、被害者の高校生女子の父親が、子供の介護のために会社を退職したことに対する休業損害が認められるか?ということが争われました。結果としては、休業損害は認められませんでした。裁判所は、職業介護人ではなく父親自らが子供の介護にあたることが必要不可欠だとは認めなかったためです。
高校生のお子様が交通事故に遭った場合は弁護士にご相談ください
高校生という、今後の進路や就職、将来についてたくさんのことを想像できる年齢であるからこそ、交通事故に遭われてしまったことによる不安は、大きく募ってくることでしょう。精神的に辛い状況で、今後の金銭面についても考えていかなければならないというのは、とても負担のかかることです。 その負担を少しでも軽くするため、弁護士へ相談するという方法があります。 期せずしてお子様が交通事故に遭われてしまった際、示談交渉のストレスや金銭面の不安といったお悩みを抱えている場合は、弁護士に相談してみることをご検討いただけますと幸いです。
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