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交通事故で足切断した場合の慰謝料

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates執行役員
監修 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates執行役員

交通事故で、日常生活に必要不可欠な足を切断されてしまったら、大変な不便が生じますよね。また、そのような事実は大変受け入れがたく、お心も深く傷つかれると思います。支えられるご家族の方も、どのようにサポートしていけば良いのか、なかなかわかりにくいことでしょう。 この記事では、足を切断された方の日常生活を少しでも送りやすいものとすることを目的に、適正な賠償を受けるために必要な情報をお伝えします。

交通事故で足を切断してしまったとき にやるべきこと

交通事故で足を切断されることになるケースは少なくないといわれます。例えば、バイクで走行中に鋭利なものと接触して切られる、車体に挟まれて切断される、骨折部周辺の細胞が壊死してしまい治療の一環として切断せざるを得なくなるといったケースが考えられます。 交通事故により足の切断を余儀なくされたら、適切な治療を受けるとともに、後遺障害等級認定を 申請し、適正な賠償を受けましょう。

足切断後に起こりうる症状

術後感染症

手術を行った部分に細菌が入り増殖することで、術後感染症を発症することがあります。術後感染症を発症したときは、創を開いて膿を排出したり、治療のために体内に入れた金属インプラント等を抜去したりする処置が必要になります。

幻肢痛

切断されたはずの下肢に痛みや痺れを感じる、難治性の疼痛です。足を切断された方の約8割に見られるといわれています。鎮痛薬の服用のほか、気分転換して痛み以外に意識を向けることで、痛みの緩和を図り ます。

壊死

細胞組織が局所的に死滅することをいいます。足切断では、筋組織、神経組織、骨すべてを断裂するため血流不良が起こりやすく、壊死してしまうことがあります。手術直後から弾性包帯を巻き、血流を促すことで予防します。

精神的合併症

足の喪失感、社会・在宅復帰への不安から、うつ病を発症される方も少なくありません。うつ病の予防や治療には、付き添われるご家族の方の協力が不可欠です。 手術部分の状態が落ち着いた後は、義足を用いたリハビリをしていくことになります。

後遺障害等級と慰謝料

足の後遺障害には、「欠損障害」「機能障害」「変形障害」「短縮障害」があります。そのうち、足切断は「欠損障害」に当たります。 欠損障害は、後遺障害の存在が明らかなため、存否についてはほとんど争われることはありません。これに対し、交通事故により一度足が切断されてしまったものの、再接合が成功し、欠損障害ではなく機能障害(可動域制限)が残ったような場合には、一見して後遺障害の存在がわからないので争いになることがあります。しかし、機能障害の存在と、交通事故と障害との因果関係が認められれば、機能障害の後遺障害が認定されることになります。 また、欠損障害は、切断箇所により認定される後遺障害 等級が異なります。以下、切断箇所ごとに認定される等級と慰謝料額について説明していきます。

足指切断の場合

足指の欠損障害が認められるためには、「足指を失ったもの」といえなければなりません。「足指を失ったもの」とは、その全部を失ったもの、具体的には中足指節間関節(足指の付け根の関節)から失ったものをいいます。 また、失った足指の本数や部位により、認定される後遺障害 等級は異なります。 足指の重要度は第1指(親指)が一番であり、人差し指、中指の順に下がっていくので、欠損箇所に親指が含まれる場合には等級が高くなります。

片足の指の切断

片足の指を切断した場合に認められる可能性のある後遺障害 等級と、等級別の後遺障害慰謝料について表にまとめました。

請求できる慰謝料

等級 障害の程度 自賠責基準※1 弁護士基準
8級10号 1足の足指の全部を失ったもの 331万円 830万円
9級14号 1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの 249万円 690万円
10級9号 1足の第1指の足指または他の4の足指を失ったもの 190万円 550万円
12級11号 1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったものまたは第3の足指以下の3の足指を失ったもの 94万円 290万円
13級9号 1足の第3の足指以下の1または 2の足指を失ったもの 57万円 180万円

※1:自賠責基準は新基準を反映しています。令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準が適用されます。詳しくは、こちらをご覧ください。

自賠責保険の支払基準が変わりました

両足の指の切断

両足の指を切断した場合に認められる可能性のある後遺障害 等級と、等級別の後遺障害慰謝料について表にまとめました。

請求できる慰謝料

等級 障害の程度 自賠責基準 弁護士基準
5級8号 両脚の足指の全部を失ったもの 618万円※2 1400万円

※2:令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準の599万円が適用されます。

足(下肢)切断の場合

下肢は、股関節・膝関節・足関節の3大関節で構成されています。
そして、
①股関節から膝関節までを大腿部といい、大腿骨と呼ばれる1本の長管骨(*)が支えています。 ②膝関節から足関節までを下腿部といい、脛骨と腓骨という2本の長管骨が支えています。 ③足関節から足指までにある、足根骨と中足骨の間をリスフラン関節といいます。 ④足のどの部分を切断したか、片足の切断か両足の切断かといった事情により、認定される 後遺障害等級は異なります。

*長管骨…大腿骨や脛骨等、手足を構成する細長い形状の比較的大きな骨全般を指します。

片足の股下から 切断

下肢を膝関節以上(大腿部)から失った場合をいいます。具体的には、次のいずれかに該当します。

①股関節で寛骨と大腿骨が離断した場合
②股関節と膝関節の間で下肢を切断した場合
③膝関節で大腿骨と脛骨および 腓骨が離断した場合

請求できる慰謝料

片足を股下から切断した場合に認められる可能性のある後遺障害等級と、等級別の後遺障害慰謝料について表にまとめました。

等級 自賠責基準 弁護士基準
4級5号 737万円※3 1670万円

※3:令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準の712万円が適用されます。

片足の膝関節から切断

下肢を足関節以上(下腿部)から失った場合をいいます。具体的には、次のいずれかに該当します。

①膝関節と足関節の間で下肢を切断した場合
②足関節で脛骨および 腓骨と距骨が離断した場合

請求できる慰謝料

片足を膝関節から切断した場合に認められる可能性のある後遺障害 等級と、等級別の後遺障害慰謝料について表にまとめました。

等級 自賠責基準 弁護士基準
5級5号 618万円※4 1400万円

※4:令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準の599万円が適用されます。

片足の足首から切断

下肢をリスフラン関節以上から失った場合をいいます。具体的には、次のいずれかに該当します。

①足根骨(踵骨、距骨、舟状骨、立方骨および 3個の楔状骨)において切断した場合
②リスフラン関節で中足骨と足根骨が離断した場合

請求できる慰謝料

片足を足首から切断した場合に認められる可能性のある後遺障害 等級と、等級別の後遺障害慰謝料について表にまとめました。

等級 自賠責基準 弁護士基準
7級8号 419万円※5 1000万円

※5:令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準の409万円が適用されます。

両足の股下から 切断

両下肢を膝関節以上(大腿部)から失った場合をいいます。具体的には、次のいずれかに該当します。

①股関節で寛骨と大腿骨が離断した場合
②股関節と膝関節の間で下肢を切断した場合
③膝関節で大腿骨と脛骨および 腓骨が離断した場合

請求できる慰謝料

両足を股下から切断した場合に認められる可能性のある後遺障害 等級と、等級別の後遺障害慰謝料について表にまとめました。

等級 自賠責基準 弁護士基準
1級5号 1150万円※6 2800万円

※6:令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準の1100万円が適用されます。

両足の膝関節から切断

両下肢を足関節以上(下腿部)から失った場合をいいます。具体的には、次のいずれかに該当します。

①膝関節と足関節の間で下肢を切断した場合
②足関節で脛骨および 腓骨と距骨が離断した場合

請求できる慰謝料

両足を膝関節から切断した場合に認められる可能性のある後遺障害 等級と、等級別の後遺障害慰謝料について表にまとめました。

等級 自賠責基準 弁護士基準
2級4号 998万円※7 2370万円

※7:令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準の958万円が適用されます。

両足の足首から切断

両下肢をリスフラン関節以上から失った場合をいいます。具体的には、次のいずれかに該当します。

①足根骨(踵骨、距骨、舟状骨、立方骨および 3個の楔状骨)において切断した場合
②リスフラン関節で中足骨と足根骨が離断した場合

請求できる慰謝料

両足を足首から切断した場合に認められる可能性のある後遺障害 等級と、等級別の後遺障害慰謝料について表にまとめました。

等級 自賠責基準 弁護士基準
4級7号 737万円※8 1670万円

※8:令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準の712万円が適用されます。

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片足の股下からすべてを切断した場合の慰謝料の計算例

ここで、片足の股下からすべてを切断した場合にもらえる慰謝料について、例を用いて計算してみます。 入院6ヶ月(180日) 、通院期間756日、実通院日数630日、後遺障害等級4級5号(1下肢をひざ関節以上で失ったもの)の場合を例とします。 足切断の場合にもらえる慰謝料は、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の2つなので、2つの慰謝料の合計がもらえる慰謝料の総額になります。

自賠責基準

自賠責基準の場合、入通院慰謝料は「日額4300円※9×対象日数」で計算します。 「対象日数=入通院期間or実治療日数×2」なので、例の場合、 「入通院慰謝料=日額4300円×入通院期間936日=402万4800円」 となりますが、自賠責基準では、傷害分の賠償の上限は120万円なので、入通院慰謝料は最高でも120万円になります。

また、「後遺障害慰謝料=737万円※9」なので、
慰謝料総額=最高120万円+737万円=857 万円
となります。

※9:自賠責基準は新基準を反映しています。令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準が適用されます。詳しくは、こちらをご覧ください。

自賠責保険の支払基準が変わりました

弁護士基準

弁護士基準では、入通院慰謝料は、赤い本(民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準)の入通院慰謝料表を用いて算定します。

そこで、別表Ⅰを参照すると、「入通院慰謝料=324万4000円」
また、「後遺障害慰謝料=1670万円」なので、
慰謝料総額=324万4000円+1670万円=1994万4000円
となります。

足が欠損してしまったとき 、後遺障害慰謝料以外に請求できるもの

足が切断され欠損してしまった場合、後遺障害慰謝料以外にも、賠償請求できる損害は様々あります。 例えば、入通院慰謝料といった慰謝料や、積極損害(交通事故が原因で出費せざるを得なかった損害)および 消極損害(交通事故に遭わなければ得られただろう利益に対する損害)に対する賠償が考えられます。 以下のリストをご覧ください。

―慰謝料―
・入通院慰謝料

―積極損害―
・治療費、診療費
・リハビリ費用
・通院交通費
・付添看護費
・装具・器具(義足、車椅子等)の購入費
・改造車の購入費
・装具・器具等の買い替え費用
・自宅改装費

―消極損害―
・休業損害
・逸失利益

足切断時の応急処置

足切断時の応急処置について説明します。 正しい応急処置がされていれば、場合によっては足の再接着ができることもあるため、非常に重要な処置といえます。 応急処置は、次のように行ってください。

  1. 足の切断部からの出血に対して圧迫止血を行います。
  2. 切断された部分をガーゼで包んだ上でビニール袋に入れ、氷水につけます。このとき、直接氷水につけないよう注意してください。
  3. 早急に119番通報し、三次救急医療機関への搬送を依頼してください。切断部を再接合するには、受傷後数時間以内の手術が必要です。

弁護士にご相談ください

足切断という大怪我を負ってしまわれたご心痛、お察しします。この大怪我により日常生活に支障が出るようになってしまった場合、その賠償を適正に受け取りたいですよね。 交通事故による損害賠償のうち、後遺障害慰謝料はかなりの部分を占めます。足切断の場合、欠損障害の認定はされやすいのですが、合併した障害や、再接合が成功した場合の機能障害等については争われることが多いです。 そこで、特に医療に強い弁護士に、治療の受け方から後遺障害診断書の書き方までアドバイスを受けることをおすすめします。医療に強い弁護士であれば、等級認定されるためのポイントを熟知しているので、適切な後遺障害等級が認定される可能性が高まります。既に後遺障害等級認定を申請したものの、等級の認定結果に納得がいかない方も、一度弁護士にご相談ください。 医療問題に強い弁護士が集まる弁護士法人ALGは、 皆様の心に寄り添ったサポートをさせていただきます。

交通事故による足切断の裁判例

足切断の後遺障害に関連する損害について、相当額を認めた裁判例をご紹介します。

【福岡地方裁判所小倉支部 平成25年6月7日判決 】

<事案の概要>

追越禁止場所であるトンネル内道路を普通乗用自動車で走行中の被告が、先行車を追い越そうと加速して道路右側部分に進出した際、対向車線を直進してきた原告の自動二輪車に被告車両右前部を衝突させ、原告が右大腿骨幹部開放骨折、右下腿骨幹部開放骨折、右上腕骨顆上部粉砕骨折、右第4・5指切断、右第5中手骨骨折の傷害を負い、右大腿切断処置等を受けなければならなかった事案です。

<裁判所の判断>

裁判所は、自賠責保険が右大腿骨骨折、右肘関節機能障害、右手指の欠損、骨盤骨変形、顔面醜状痕、右肘醜状痕の後遺障害の存在を認め、併合3級を認定したことを踏まえ、原告の損害として、治療費や器具・装具代(義足(日常用・作業用・運動用)、義手、車椅子)、入院雑費、通院交通費、付添介護費用、車両改造費、家屋改造費、休業損害、慰謝料、逸失利益等、合計1憶4067万2433円を認めました。 そのうち、7474万8742円が後遺障害逸失利益、2388万円が後遺障害慰謝料でした。

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※死亡・後遺障害等級認定済みまたは認定が見込まれる場合

※事案によっては対応できないこともあります。

※弁護士費用特約を利用する場合、別途の料金体系となります。

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