交通事故による耳鳴りは後遺障害に認定される?慰謝料やポイントなど
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
この記事でわかること
交通事故に遭った後から、耳鳴りに悩まされている方はいらっしゃいませんか? 耳鳴りがあると、仕事や家事などに集中できず、不快に感じる場面も多いはずです。耳鳴りが後遺障害として認められると、等級に応じた慰謝料をもらえる可能性があるため、適切に対応することが重要です。 この記事では、交通事故後の耳鳴りの症状や原因、耳鳴りで後遺障害等級認定を受けるためのポイントなどについて解説していきます。耳鳴りでお悩みの方は、ぜひ参考になさってください。
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目次
交通事故によって起こる耳鳴りの原因と影響
耳鳴りの原因は「むちうち」の可能性も
交通事故による耳鳴りは、「むちうち」が原因で生じている可能性があります。 むちうちとは、事故の衝撃で首が鞭のようにしなることで生じる、「頚椎捻挫」や「頚部挫傷」などの症状の総称です。 耳に直接的な損傷がなくても、首や頭が揺さぶられたダメージが耳の神経や脳幹に伝わり、耳鳴りを引き起こすケースがあります。 むちうちの症状は時間差で現れることがあり、事故当日は異常がなくても、数日後に耳鳴りなどの症状が出るケースも珍しくありません。
耳鳴りによる日常生活への影響
交通事故で耳鳴りが生じた場合、不快な音が睡眠や集中力の妨げとなり、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。 耳鳴りの症状は個人差が大きいですが、「キーン」「ピー」という高い音や「ジー」「ザー」という低い音が聞こえるケースが多くみられます。また、耳が詰まったように感じたり、めまいや吐き気を伴ったりするケースも少なくありません。 耳鳴りの継続時間も人によって異なり、短時間で消えることもあれば、1日中続くケースもあります。 症状が長期化すると、イライラやストレスが蓄積し、不眠やうつ状態に陥る可能性もあるため注意が必要です。
交通事故による耳鳴りで認定される可能性のある後遺障害等級
事故後、医師から症状固定と診断されたにもかかわらず耳鳴りが継続している場合、「後遺障害」として認定される可能性があります。
後遺障害とは?
後遺障害とは、事故によって症状固定後も残存した後遺症のうち、自賠責保険が定める基準に該当すると認められたものを指します。 後遺症の内容や重さに応じて1級~14級に区分されます。
自賠責では、耳鳴りの症状について定まった等級がありません。 そのため、「症状や医学的所見からみて12級または14級に該当する可能性が高い」と判断された場合は、「12級相当」または「14級相当」として認定される可能性があります。 後遺障害等級が認定されると、等級に応じて後遺障害慰謝料を請求できるようになります。
後遺障害等級12級
耳鳴りで「後遺障害等級12級相当」と認定されるのは、「耳鳴に係る検査によって難聴に伴い著しい耳鳴が常時あると評価できる」場合です。 「耳鳴に係る検査」とは、ピッチ・マッチ検査やラウドネス・バランス検査などを指します。 これらの検査の結果、難聴に伴う著しい耳鳴りが常時あると認められた場合は、12級相当の認定を受けられる可能性があります。
後遺障害等級14級
耳鳴りで「後遺障害等級14級相当」と認定されるのは、「難聴に伴い常時耳鳴のあることが合理的に説明できる」場合です。 「常時耳鳴のあることが合理的に説明できるもの」とは、耳鳴りの自覚症状を訴えており、かつ、耳鳴のあることが騒音ばく露歴や音響外傷等から合理的に説明できる状態です。 14級相当の場合、検査で耳鳴りを証明できなくても、症状の一貫性などから耳鳴りがあることを合理的に説明できれば、認定を受けられる可能性があります。 なお、12級相当と14級相当に共通する「難聴」とは、一般的に「純音聴力検査による30dB(デシベル)以上の難聴(小さな声が聴きにくい程度の難聴)」をいいます。 そのため、難聴を証明するため、純音聴力検査も受けることが必要です。
耳鳴りで後遺障害が認められた場合の慰謝料相場はいくら?
交通事故による耳鳴りで後遺障害が認められた場合、「後遺障害慰謝料」を請求できます。相場は、認定された等級によって大きく変わります。
| 後遺障害等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
| 12級相当 | 94万円 | 290万円 |
| 14級相当 | 32万円 | 110万円 |
自賠責基準と弁護士基準でも、請求額に大きな差があるとわかるでしょう。 一般的に、相手方保険会社からは、弁護士基準より低い自賠責基準や自賠責基準よりやや高めの水準で慰謝料を提示されることが多いです。 弁護士が介入すると「弁護士基準」での交渉が可能となり、慰謝料などの増額が期待できます。 なお、耳鳴りで後遺障害が認められると、「逸失利益」も新たに請求できる可能性があります。 症状が残ってしまった場合はきちんと申請手続きを行い、適切な等級認定を目指しましょう。 逸失利益や後遺障害慰謝料について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
耳鳴りの後遺障害等級認定に必要な検査
耳鳴りで後遺障害等級認定を受けるには、以下のような検査を受ける必要があります。
- ピッチ・マッチ検査(周波数)
- ラウドネス・バランス検査(音圧・音の強さ)
- 純音聴力検査(平均純音聴力レベル)
耳鳴りが後遺障害と認定されるには、一般的に純音聴力検査による30dB以上の難聴を伴うことが必要といわれています。そのため、耳鳴りの有無などを調べる検査(ピッチ・マッチ検査とラウドネス・バランス検査)だけでなく、難聴を証明する検査(純音聴力検査)も受けるのが基本です。 これらの検査結果は、忘れずに後遺障害診断書などに記載・添付するように注意しましょう。
ピッチ・マッチ検査(周波数)
ピッチ・マッチ検査とは、純音、バンドノイズ、ホワイトノイズについて11種類の周波数(高さ)の音を聴き、自分の耳鳴りに近い周波数の音を特定する検査です。オージオメータなど、様々な種類・周波数の音が出る検査装置を用いて行います。 なお、ピッチとは「音の周波数(高さ)」をいいます。
ラウドネス・バランス検査(音圧・音の強さ)
ラウドネス・バランス検査とは、ピッチ・マッチ検査で特定した耳鳴りに近い周波数を用いて、耳鳴りとして感じている音の大きさや強さ(デシベル)を調べる検査です。オージオメータなどの検査装置を用いて行います。 具体的には、自分が感じている耳鳴りの音と検査装置から出る音を比べ、耳鳴りがどのくらいの大きさなのか、耳鳴りが常にあるかどうかなどを測定します。 なお、ラウドネスとは「音の大きさ」のことです。
純音聴力検査(平均純音聴力レベル)
純音聴力検査とは、様々な周波数(高さ)・強さ・長さの音の聞こえ方を調べる検査です。オージオメータなどの専門的な機械を用いて行います。 両耳用ヘッド・バンドを耳にあてると、125 ヘルツから 8000 ヘルツまで 7 種類の高さの異なる音が、様々な大きさで聞こえてきます。 音が聞こえている間スイッチのボタンを押すなどして、左右別々に検査することで、聞こえる最も小さな音の大きさを調べる仕組みです。 この検査によって、難聴があるのか、どの程度の難聴かを判断できます。
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耳鳴りで後遺障害等級認定を受けるためのポイント
すぐに病院(耳鼻科)を受診する
交通事故後に耳鳴りの症状が出た場合は、すぐに耳鼻科を受診しましょう。 初診が遅れると、事故と症状の因果関係が疑われ、適切な賠償を受けられないおそれがあります。なるべく早く耳鼻科を受診して必要な検査を受け、医師に診断書を書いてもらいましょう。 また、耳鳴りで後遺障害等級認定を得るには、症状が出る頻度、持続時間、聞こえにくい音域などを医師に正確に伝え、適切な後遺障害診断書を書いてもらうことが大切です。 診断書とあわせて、各種検査結果が記載された資料も忘れずにもらいましょう。 後遺障害診断書の内容や書き方について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
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因果関係を証明する証拠を集める
耳鳴りで後遺障害等級認定を受けるには、事故との因果関係を証明する適切な証拠が必要です。 治療を続けても耳鳴りの症状が改善しない場合、症状や日常生活への影響を医師に伝え、後遺障害診断書に反映してもらいましょう。 また、検査結果や経過診断書、診療報酬明細書、事故証明書、事故発生状況報告書なども有力な証拠となり得ます。 耳鳴りは「事故以外の要因によっても生じ、区別が難しい」「発症時期が曖昧になりやすい」といった特徴があるため、事故との因果関係が否定されるケースもあります。 適切な後遺障害等級認定を受けるためにも、事故との因果関係を証明する適切な証拠の収集が重要です。
弁護士の介入により耳鳴りの後遺障害等級が上がり、賠償金の増額に成功した事例
ご依頼者は、交通事故でむちうちの怪我を負い、難聴を伴う耳鳴りも発症しました。 その後、事前認定で後遺障害等級認定申請を行ったところ、耳鳴りについて「後遺障害等級14級相当」が認定されました。 相手方から約170万円の示談案を提示されましたが、適切な金額か判断できず、弁護士法人ALGにご依頼されました。 弁護士が治療過程や耳鳴りの症状、後遺障害診断書を確認した結果、ご依頼者が耳鳴りの検査をすべて受けていないことが判明しました。そこで、改めて耳鳴りの検査を受けてもらったところ、ご依頼者の耳鳴りは14級相当よりも重い可能性が高いと判明したため、異議申立てを行いました。 その結果、耳鳴りについて「後遺障害等級12級相当」の認定を受けることができました。 弁護士は、この認定結果に基づいて相手方と示談交渉を行い、最終的に約850万円を受け取る内容で示談が成立しました。
交通事故による耳鳴りで後遺障害等級認定を検討されている方は弁護士にご相談ください
耳鳴りで後遺障害等級認定を得ることは、容易ではありません。 耳鳴りは交通事故に関係なく、加齢など他の原因で発症することもあるため、事故との因果関係について争いになるケースも少なくありません。 判断や対応に悩んだときは、交通事故に詳しい弁護士への相談がおすすめです。 弁護士は、適切な検査や後遺障害診断書の作成方法について専門的知識を持っており、後遺障害等級認定の申請手続きも代理できます。そのため、治療段階から適切なアドバイスを受けられるほか、手続きにかかる負担も抑えることが可能です。 さらに、「弁護士基準」を用いて交渉することで、慰謝料などについても適切な賠償を受けられる可能性が高まります。 交通事故による耳鳴りでお困りの方は、ぜひ弁護士法人ALGにご相談ください。
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