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交通事故の後遺障害等級の認定率は?認定されるポイントを解説

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

交通事故の怪我による後遺症が後遺障害と認定されれば、後遺障害慰謝料などを上乗せして請求できるため賠償額が増えます。 しかし、痛みやしびれなどの後遺症のうち、後遺障害として認定されるのは“僅か5%程度”といわれています。特に交通事故で受傷しやすい「むちうち」は、症状が長引くことがあるにもかかわらず後遺障害として認定されないことがよくあります。 そこで本記事では、「交通事故における後遺障害等級の認定率」に着目し、後遺障害等級の獲得が難しい理由や後遺障害等級の認定率をあげるポイントなどについて詳しく解説していきます。 本記事にてしっかりと理解を深めて、後遺障害の認定率アップを目指しましょう。

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後遺障害等級の認定率

後遺障害を審査・認定する第三者機関である「損害保険料率算出機構」が、後遺障害等級に関する統計を発表しています。 年間の後遺障害申請件数の発表はありませんが、損害調査受付件数は2022年度の統計で年間約97万件と発表されています。そのうち何らかの等級に認定された件数は約3万7千件です。このことから、事故に遭われた方が後遺障害等級認定される確率は約3.8%となることが読み取れます。 「後遺障害等級認定件数約3万7千件」という数字だけをみれば、多くの方が後遺障害認定を受けていると思いがちですが、実際は非常に狭き門で後遺障害認定を受けることは決して容易ではありません。

むちうちの後遺障害認定率は?

交通事故で「むちうち」を負った場合に認定される可能性のある後遺障害等級は“14級9号”または“12級13号”です。 14級の認定率は、2022年度の統計によれば損害保険料率算出機構の損害調査受付件数に対して僅か2.1%程度しかありません。 また、12級の認定率は0.6%程度です。

これらの数字から、むちうちは重い症状が残存する場合があるにもかかわらず後遺障害が非該当になりやすい傾向が伺えます。そのため、少しでも認定率をあげるために適切な対策を行うことが重要となります。 むちうちについて詳しく知りたい方は、以下のページもご覧ください。

後遺障害認定が難しい理由

後遺障害等級認定の申請をしても認定されにくい原因には、以下のようなことが考えられます。

  • 医学的な他覚的所見(画像検査、神経伝導検査など)がない
  • 通院日数が少ない
  • 症状固定が早すぎる
  • 交通事故と後遺症の因果関係が証明できない
  • 後遺障害診断書に不備がある
  • 審査するうえで必要な検査がされていない など

後遺障害等級認定の審査は、基本的に書面審査となります。 審査機関である損害保険料率算出機構に提出した書類が最も重視されるため、その記載内容や添付書類に不足がないかなどをしっかりと確認してから申請することが大切です。

むちうちは他覚所見がなくさらに難しい

後遺症のなかでも、「むちうち」で後遺障害等級の認定を得ることは非常に難しいです。 むちうちの場合は、後遺障害の存在や程度を証明する他覚的所見がないことが多いです。 また、通院期間が短く通院日数が少ない場合には認定されない傾向があります。 むちうちは、14級又は12級に認定される可能性があります。 それぞれのポイントは次のとおりです。しっかりとポイントを押さえておく必要があります。

《14級9号:「局部に神経症状を残すもの」の場合》

むちうちの神経症状は、画像検査などの他覚的所見がないことが多いです。そのため自覚症状を上手く伝えて、適切な後遺障害診断書を医師に書いてもらうことなどして、症状を医学的に説明できるかがポイントです。


《12級13号:「局部に頑固な神経症状を残すもの」の場合》

痛みやしびれなどの症状が重いことに加えて、画像所見や神経学的検査などの他覚的所見によって症状を医学的に証明できるかどうかがポイントになります。

後遺障害等級の認定率をあげる3つのポイント

後遺障害等級認定率を上げるために、通院中から実践したいポイントを以下に説明します。

①通院は自己中断せず適切な頻度で続ける

後遺障害等級が認められるためには、一般的に6ヶ月以上の通院が必要といわれています。 そのため、痛みやしびれが残る場合には、基本的には医師の判断に従って通院を継続するように心がけましょう。 極端に通院頻度が少ない場合や通院を短期間で中断した場合には、「後遺障害といえる程の症状ではない」と判断される可能性が高いです。また、症状が軽快し、完治したと思って通院を中断した後に、症状が再熱することもありますので、注意が必要です。 通院については、決して自分自身で判断せずに医師へ相談することが大切です。

②自覚症状は生活に及ぼしている影響まで伝える

自覚症状について、「痛みがある」「しびれがある」と医師に伝えるだけでは不十分です。 症状がある部位や強さ、時間、頻度はもちろんのこと、日常生活に及ぼしている影響などについても適切に医師に伝えて診断書に記載してもらうようにしましょう。 症状が事故以降一貫して継続していることも、後遺障害等級の認定率をあげるために重要となります。 たとえば、むちうちなどで最初は疼痛が生じていたものの、途中からしびれに変わったと主訴が変化してしまうと、後から現れたしびれの症状は「事故とは別の要因によるものではないか?」と疑われてしまう可能性があります。 また、雨の日や寒い日に痛いという伝え方も、後遺障害という程ではないと判断されてしまうおそれがあります。雨の日や寒い日以外にも痛みがある場合にはシンプルに痛いと伝えることが大切です。

③後遺障害診断書に不備がないようにする

医師に書いてもらった後遺障害診断書に記載もれや間違いがないか最終確認をしましょう。 訂正が必要な場合は、自分で修正せず、医師に訂正をお願いします。また、後遺障害を申請するために必要な検査を受けるようにし、検査結果についても必ず記載してもらいましょう。 後遺障害診断書について詳しく知りたい方は、以下のページもご覧ください。

認定率は申請方法によって変わる

後遺障害等級認定の申請方法は、「事前認定」と「被害者請求」の2種類にわけられます。 どちらで申請するのかは基本的には自由に選ぶことができます。 もっとも、それぞれメリットやデメリットがあるため、2種類の申請方法についてしっかりと理解することが大切です。 次項にて、それぞれの申請方法について簡単に解説していきます。 以下のページでは、後遺障害慰謝料などを含めてさらに詳しく解説しておりますので、ぜひあわせてご参考になさってください。

事前認定

事前認定とは、後遺障害診断書を加害者側の任意保険会社へ提出するだけで、残りの必要書類はすべて加害者側の任意保険会社で揃えてもらえる申請方法です。 事前認定のメリットは、提出書類の収集から申請まで、すべて加害者側の任意保険会社に任せることができるため、手間が少ない点にあります。 しかし、提出された資料の内容を把握できず、有利な追加資料を添付しにくいデメリットがあります。適切な資料を出せない結果、低い等級で認定されたり、非該当と判断されたりする可能性があるので注意が必要です。

被害者請求

被害者請求とは、被害者側で提出書類をすべて揃えて、加害者側の自賠責保険に直接申請する方法です。 被害者請求のメリットは、被害者側で提出書類をすべて揃えるため、資料の内容を把握し充実したものを用意することができる=十分な審査対策を行えることにあります。 もっとも、提出書類をすべて揃えるために手間や費用、時間がかかるなどのデメリットがあります。しかし、被害者請求を行うことは、認定率を高めるための大きな一歩となります。 また、被害者請求の手続きを弁護士に依頼することによって、適切な認定を受けられる可能性が高まります。 交通事故を得意とする弁護士であれば、後遺障害等級認定に対して適切で有効な書類を用意することや後遺障害診断書の作成についてアドバイスができるため、より適切な認定を受けられる可能性が高まります。

後遺障害等級が「非該当」となってしまったら

後遺障害等級の認定結果に納得いかない場合は、次の3つの方法で再審査してもらうことが可能です。

  • 1. 自賠責保険会社に対して異議申立てを行う
  • 2. 自賠責保険・共済紛争処理機構の紛争処理制度を利用する
  • 3. 裁判を起こす

しかし、一度非該当となった結果を覆すことは容易ではありません。なぜなら、適切な後遺障害等級が認定とならなかった原因を探り、認定結果を覆すに相応する新しい証拠や資料を用意できなければ、前回と同じ結果となるからです。 この点、弁護士に依頼することで、原因の分析や有効な証拠・資料収集ができるため、適切な後遺障害等級が認められる可能性を高めることができます。 以下のページでは、後遺障害が認定されない理由などについて詳しく解説しております。 ぜひあわせてご参考になさってください。

認定率を上げるために弁護士に後遺障害等級認定の手続きを依頼するメリット

後遺障害等級認定の申請手続きを弁護士に依頼することで得られるメリットは、次のとおりです。

  • 適切な通院の仕方についてアドバイスを受けられる
  • 後遺障害診断書の内容をチェックしてもらえる
  • 後遺障害等級認定に必要な資料の準備をサポートしてもらえる
  • 納得いかない認定結果となった場合に異議申立てなどの手続きを行ってもらえる
  • 適切な後遺障害等級認定となるための有利な証拠を収集してもらえる など

このようなメリットがあるため、弁護士に依頼することで適切な後遺障害等級の認定を受けられる可能性が高まります。 また、少しでも疑問や不安に思った点があれば、いつでも弁護士に相談できるメリットもあります。

後遺障害等級認定の解決事例

ではここで、私たち弁護士法人ALGが適切な後遺障害等級認定へと導いた解決事例をいくつかご紹介いたします。 後遺障害等級認定について弁護士へ相談するか悩まれている方は、ぜひご参考になさってください。

弁護士による通院のアドバイスや治療の延長交渉を行った結果、後遺障害14級が認定され約520万円の損害賠償金を獲得した事例

賠償金額 未提示 ➡ 約520万円
後遺障害等級 申請前 ➡ 14級9号
傷病名 頚椎捻挫

ご依頼者様は、事故により頚椎捻挫を受傷し頚部痛を訴えられていました。そこで、まず整形外科に通院することのメリットや通院のアドバイスを弁護士にてご説明し、適切に通院していただきました。 その後、相手方保険会社から僅か4ヶ月で治療打ち切りの打診を受けたものの、医師の見解を踏まえ治療を延長するよう交渉した結果、半年まで延長することができました。そこから、残存した頚部痛について後遺障害等級認定の申請を行い、14級9号の認定を得ることができました。 賠償交渉では、逸失利益が大きく争われましたが、業務への支障を詳細に伝え粘り強く交渉しました。その結果、こちらの主張が認められ、最終的に自賠責保険金を含めた約520万円にて示談することができました。

後遺障害等級認定非該当から弁護士が介入、異議申立てを行い14級を獲得した事例

賠償金額 約50万円 ➡ 約210万円
後遺障害等級 非該当 ➡ 14級
傷病名 頚椎捻挫

ご依頼者様は、事故により頚椎捻挫を受傷し7ヶ月以上の通院治療を要しました。また、当法人にご依頼いただく前に相手方保険会社による事前認定にて後遺障害等級認定の申請を行われていましたが、結果は非該当でした。 そこで、ご依頼者様の頚部に強い力が加わったことや事故直後からの症状経過に着目し、弁護士にて物損資料や医療記録を収集して根拠を明示しながら異議申立てを行いました。その結果、非該当から14級の認定を得ることができました。 賠償交渉では、14級の後遺障害が残存したことを踏まえて各費目について粘り強く交渉を続けました。その結果、こちらの主張が認められ、最終的に約210万円にて示談することができました。

弁護士に依頼することで後遺障害等級の認定率を上げられる可能性があります。まずはご相談ください。

後遺障害等級認定を受けるためには、様々な点に注意しなければなりません。ネットや本などから、できる限り後遺障害等級認定に向けた対策をとっても、ときには判断に迷われることもあるでしょう。 そのような場合には、ぜひ一度弁護士にご相談ください。 弁護士であれば、適切な後遺障害等級認定を受けるために必要な通院の仕方や後遺障害診断書の内容を確認したりなど、適切な後遺障害等級の認定率を高めるために幅広くサポートすることができます。適切な後遺障害等級認定を受けることは、賠償額の増額にもつながります。 弁護士法人ALGには、交通事故案件や医療問題に詳しい弁護士が多数在籍しており、無料相談も承っております。後遺障害等級認定でお困りの方は、お気軽にご連絡ください。

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