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交通事故で顎関節症になるのか? 診断されたら?

顎関節症とは、顎関節や咀嚼筋の疼痛、開口障害、口の開閉時の関節雑音のうち1つ以上の症状があり、かつ他の疾患による症状ではない病態で、顎関節運動異常を主とする症状の総括的な診断名のことです。咀嚼筋痛障害・顎関節痛障害・顎関節円板障害・変形性顎関節症等の病態が含まれるとされています。 上顎と下顎の関節の付け根の部分には、顎をスムーズに動かすために、クッションのような役割を果たす関節円板という部位があります。外傷性の顎関節症は、関節円板のずれや変形を起因として発症することが多いです。 交通事故の場合には、出合い頭の側面衝突等で、左右いずれかの顎関節部を強打したことで顎関節症と診断されることがあります。また、直接顎に衝撃を受けることの他、むちうち等の二次的要因から顎関節の痛みが発生していることもあり、その場合には、頭痛やめまい、手足の痺れ等の症状を伴うこともあります。 顎関節症が疑われる症状が現れたら、整形外科や口腔外科を受診し、受けるべき検査・治療をしなければなりません。

病院で治療を受ける

顎関節症と診断するにあたり、上記で申し上げた通り他の疾患による症状ではないことが要件となるため、骨やそれ以外のところに要因がないかどうか、レントゲン、CT、MRI検査等の画像診断を受けたり、心因的な要素や生活習慣からくる症状ではないかどうか、問診にて聞き取りをしたりテストをしたりします。それにくわえて、開口障害があるかどうか、開口量を測定する検査もします。 顎関節症と診断された場合には、主に下記の治療を行います。

  • スプリント療法 マウスピースを利用して、下顎を正常な位置に戻す方法
  • マニュピレーション法 麻酔をし、顎関節の関節円板を正常な位置に戻す方法
  • 関節鏡下手術 重症である場合に、関節円板を正常な位置に戻す方法
  • マッサージ・ホットパック 顎関節部の血行を促し、症状を緩和させる方法

その他、むちうち等の二次的要因からの発症が考えられる場合には、その要因に対する治療をしていくことになります。

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弁護士ができること

高度な医学論争に対応 重度な後遺症が発生した場合に、事故と後遺症との因果関係や傷害内容と後遺症との因果関係などが問題になることが多く、医学的知識がなければ対応が困難です。保険会社はいつでも協力してもらえる医師(顧問医)がいるため、医学的知識で劣ってしまうと、適切な対応ができません。 脳や神経等が問題となる、重度な後遺障害が残った場合には、交通事故だけではなく医療問題にも精通している弁護士に相談すべきです。

治療や検査のアドバイス 治療方針や検査などの方針を決めるのは当然主治医の先生ですが、医師は治療をするのが仕事であり、治療後の後遺障害認定のことまでは考えてくださいません。後遺症が残ってしまい、後遺障害認定をするときに、「なぜこの検査がされていなかったのか?」「MRIを早期に取っていれば」等、検査結果がないことにより、適切な後遺障害認定されないこともあります。 交通事故を多数取り扱う弁護士は、多くの事例を見てきており、後遺障害認定を見据えたアドバイスが可能です。

後遺障害等級の申請・異議申し立て 後遺障害等級の認定申請をする上で、保険会社や医師に任せっきりでは適切な後遺障害認定がされない場合があります。 実際に弁護士がレントゲン写真や・CT・MRIを見て、医師と協議することにより、医師も気にしていなかった点を指摘することもあります。 適切な後遺障害認定をする場合、異議申立てをする場合は、医師と協議しより良い診断書を書いてもらうには、医療問題に強い弁護士に依頼するのが良いでしょう。

示談交渉 現在様々な弁護士事務所があり、交通事故の裁判をしたがらない弁護士も多くいます。重い後遺症を負った場合には、裁判になる可能性が高く、保険会社との示談交渉の際に、裁判をすることも辞さないかまえを見せる必要があります。 特に、重い後遺症を負った場合には、裁判で医学論争になることもあり、そのような場合に医療問題に精通していなければ、「裁判をしましょう」と迫力のある主張をするのが困難です。 重い後遺症を負った場合には、示談交渉においても医療問題に強い弁護士依頼すべきです。 

顎関節症の後遺障害等級と慰謝料

顎関節症は、顎関節運動異常を主とする症状の総括的な診断名であるため、顎関節症と診断を受けたことが、直接後遺障害等級の認定に結び付くことはありません。顎関節症によって生じた、顎関節や咀嚼筋の疼痛、開口障害等、個別の症状に対して審査されることになります。 顎関節症と診断されて認められる可能性がある後遺障害等級は、各症状によって異なります。顎関節や咀嚼筋の疼痛では第12級・第14級、開口障害では第10級・第12級が考えられ、それ以上の等級が認められる可能性もあります。その一方で、口の開閉時の関節雑音だけでは後遺障害と認められにくい傾向にあります。

後遺障害等級について詳しく見る

神経症状

顎関節症における神経症状とは、顎関節や咀嚼筋の疼痛を指します。むちうちの後遺障害等級と同様に、他覚所見がある痛みであるか、自覚症状のみの痛みであるかによって、等級が決まります。

請求できる慰謝料

等級 12級13号 14級9号
自賠責基準 93万円 32万円
弁護士基準 290万円 110万円

開口障害

開口障害は、口を大きく開けることができなくなるといった、顎関節症の代表的な症状であり、関節円板が転位することによって噛み合わせがずれるために生じます。通常の開口量は40mm(縦に指が3本入る状態)ですが、それ以下の場合に該当します。

請求できる慰謝料

等級 10級3号 12級相当
自賠責基準 187万円 93万円
弁護士基準 550万円 290万円

開口障害の後遺障害が認められた場合の慰謝料の計算例

【例】入院なし・通院期間90日・実通院日数65日・後遺障害等級10級3号の場合

自賠責基準

  • 入通院慰謝料
    通院期間90日×日額4200円=37万8000円
  • 後遺障害慰謝料
    187万円
  • 慰謝料計
    224万8000円

弁護士基準

  • 入通院慰謝料
    73万円(「赤い本」参照)
  • 後遺障害慰謝料
    550万円
  • 慰謝料計
    623万円

交通事故が原因の顎関節症で適切な慰謝料を獲得するために

顎関節症は、医師の指示に従い治療を行うことで症状を緩和させることが可能です。一方で、症状の程度が重いと日常生活に支障を来すこともあり、上記でご説明した後遺障害等級よりも上位の等級に該当する可能性もあります。また、むちうち等と類似した症状が現れることもあるため、きちんと必要な検査を受け、顎関節症に該当するかどうかの診断や治療方法を慎重に検討する必要がありますが、それを一個人で判断するのは困難です。 以上のことから、顎関節症について適切な治療を受け、適正な慰謝料を獲得するには、交通事故についての知識が豊富な弁護士、特に、医学的な知識を兼ね備えた弁護士に相談をすることが重要といるでしょう。

顎関節症と交通事故の因果関係が認められた裁判例

【横浜地方裁判所 平成19年(ワ)第3640号 損害賠償請求事件】

[事案の概要]

原告が細い坂道を歩行中、対面方向からきた被告運転の自転車と衝突した交通事故の事案です。原告は、交通事故により転倒して受傷し、両側顎関節症や頸椎捻挫等の診断を受けたため、被告に対して、慰謝料を含む損害賠償を請求しました。 裁判では、原告の、本件交通事故と因果関係のある後遺障害とその程度について等が争点となりました。

[裁判所の判断]

裁判所は、原告の顎関節症について、カルテの記載からみて、顎に直接外力が加わったことによるものではないが、転倒の衝撃により顎関節症が発症することは十分に考えられるとして、本件交通事故との因果関係を認めました。また、開口障害は認められないが、開口時の疼痛については、局部に神経症状を残すものとして、後遺障害等級第14級相当であるとしました。その他、頸椎捻挫(むちうち)についても同様に、後遺障害等級第14級相当であることを認め、原告の後遺障害等級は、併合第14級相当としました。 後遺障害等級第14級相当であれば、後遺障害慰謝料は110万円が適当ではありますが、本件交通事故の場合、被告が無灯火で携帯電話の操作をしながら自転車を運転し、原告に衝突したという、専ら被告の過失による交通事故であったにも関わらず責任を軽減するような不誠実な挙動があったとして、30万円の増額を認め、後遺障害慰謝料を140万円としています。ただし、原告の後遺障害には、原告の心因的要素や既往症も関与しているとして、2割の素因減額も言い渡しています。よって最終的には後遺障害慰謝料を含む2割の素因減額がなされた損害賠償金計726万7892円が認められました。

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