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8ヶ月通院した場合の交通事故慰謝料について

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates執行役員
監修 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates執行役員

通院期間が長引くような重大な事故であるほど、慰謝料の金額も大きくなることが予想できます。
では、8ヶ月もの長期間にわたって入通院した場合には、入通院慰謝料はどれくらいになるのでしょうか?
本記事では、8ヶ月間入通院した場合の入通院慰謝料の相場や、増額するためのポイント等について解説します。

8ヶ月の通院でもらえる入通院慰謝料

交通事故に遭って8ヶ月間入通院した場合にもらえる入通院慰謝料の金額の相場を、慰謝料の算定基準である自賠責基準と弁護士基準に分けて表にしました。
もっとも、下表の相場は一律のものではありません。同じ期間入通院を継続したとしても、年齢や症状の軽重によって金額が変わります。

治療期間 自賠責基準 弁護士基準
通院8ヶ月
(実通院日数120日)
103万2000円※1 132万円(103万円)※2
入院1ヶ月+通院7ヶ月
(実入院30日+実通院105日)
103万2000円※1 157万円(119万円)※2

※1:自賠責基準は新基準を反映しています。令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準が適用されます。
※2:()内の数字は、むちうちといった軽傷の場合の金額を指します。

ご自身のケースに応じた慰謝料額の概算を知りたい方は、下記ページ内の計算ツールをご利用ください。

損害賠償額計算ツール

なお、慰謝料の算定基準には、自賠責基準と弁護士基準のほかに任意保険基準というものがありますが、これは各保険会社が示談交渉の際に独自に用いる非公開の基準であるため、表には記載していません。
もっとも、これら3種類の算定基準のうち一般的に最も高額になるのは弁護士基準です。
そのため、任意保険基準について記載したとしても、基本的には弁護士基準の慰謝料額の相場を上回ることはなかったでしょう。
慰謝料の3種類の算定基準について、詳しく知りたい方は下記のページをご確認ください。

慰謝料の3つの基準

通院期間が8ヶ月に及ぶ場合、慰謝料相場の全額をもらえる?

入通院慰謝料は、一般的に入通院期間や実通院日数を基に算定されるため、通院頻度を保って長期間通院すれば各基準に則った計算上では入通院慰謝料が増えますが、長期間通院したからといって必ずしも高額の慰謝料をもらえるというわけではありません。
通院頻度が少なかったり、治療の必要性が認められないのに入通院を続けていたりした場合には、もらえる慰謝料の金額は相場より少なくなるでしょう。
特に、軽微な事故のケースで保険会社が治療費を打ち切った後も必要以上に通院していた場合は、通院期間が不必要に長すぎるとして、治療費や慰謝料の点で争いになることがあります。 他方、骨折や脳挫傷等、軽いとはいえない怪我をしたケースでは、入通院期間に比べて実通院日数が少なくなりがちです。
このような場合には、保険会社に通院回数が少ないことを理由に慰謝料を減額されないように、リハビリのための通院を積極的にすべきでしょう。

長期間の通院を要した場合に適正な慰謝料を獲得するには

通院期間が8ヶ月を超える等、長期間入通院をした場合に適正な金額の慰謝料を獲得するためには、以下の2つのポイントを押さえる必要があります。 ①弁護士に示談交渉を任せる
弁護士に示談交渉を任せることにより、慰謝料の算定基準のうち基本的に最も高額になる弁護士基準で計算した慰謝料額を主張することができます。
示談交渉のプロである保険会社の担当者に被害者が個人で立ち向かい、提示された賠償案を撤回させるのは困難だと言わざるを得ません。
確かに、弁護士に依頼するとなると相応の費用がかかりますが、通院期間が8ヶ月を超えている場合、弁護士費用を上回る賠償金を得られる可能性が高いので、費用倒れの心配はほとんどありません。
通院期間が長い場合には、弁護士に示談交渉を任せるメリットが大きいといえます。 ②保険会社が提示する過失割合を真に受けない
慰謝料をはじめ、治療費等の損害賠償金は、被害者に過失があればその分減額されます。
つまり、被害者は過失割合が大きいほど減額される金額が増える一方で、相手方保険会社は出費が減るので、保険会社が被害者の過失割合を大きめに主張してくるケースがあります。
通院期間が8ヶ月以上である等、通院が長引くとその分慰謝料以外にも治療費が増え、過失相殺前の元となる金額が大きくなりますが、その分過失割合に応じて減額される金額も増えることになります。
ですから、保険会社が主張する過失割合に納得がいかない場合にはしっかりと反論するようにしましょう。
なお、過失割合の詳細については下記のページで説明しています。

交通事故の過失割合とは

8ヶ月の通院でも症状が改善されない場合

例えば、交通事故によって脳や神経を損傷した場合、8ヶ月もの通院を経ても「治癒」せず、痛みやしびれ等の症状が改善しないケースもあります。
このように、それ以上治療を続けても症状の改善が期待できない状態を「症状固定」といいます。
加害者に治療費を請求できる期間も、入通院慰謝料等の算定の対象となる期間も、事故から症状固定までの期間に限られます。
そのため、症状固定と診断されることにより、その時点を基準として損害賠償金の各費目の算定対象となる期間が決定することになります。
では、8ヶ月通院しても治癒せず症状固定した後、どのように賠償を請求していくのでしょうか?

症状固定と診断された場合の対応

症状固定後は、後遺障害等級認定の申請が可能になります。
申請が通り、適切な等級が認定されれば、後遺障害によって生じる苦痛に対する賠償として「後遺障害慰謝料」を、将来の減収分として「後遺障害逸失利益」を請求することができます。
症状固定後の補償に関する詳しい説明は、以下のページに譲ることとします。

後遺障害が残ってしまった場合にすべきこと

8ヶ月通院していても症状固定にならない場合

必要性が認められる治療を続けている限り、請求できる治療費と入通院慰謝料の金額は基本的に増加するため、症状固定と診断されるまでは賠償金額が確定しません。
症状固定が診断される等して治療が終了しない限り、賠償金を受け取ることはできないのが通常です。
そのため、特に保険会社が治療費の立て替え払いをしてくれず、被害者が治療費を負担している場合には、負担が大きいでしょう。
通院を始めて8ヶ月経っても症状固定と診断されない場合には、医師に症状固定のタイミングについて尋ねてみる等、改めて今後の治療方針について相談してください。
また、経済的に治療を続けるのが難しい場合には、自賠責保険会社から治療費や慰謝料の保険金を前払いしてもらったり、相手方保険会社に治療費部分のみ精算してもらったりすることを検討すべきでしょう。
詳しく知りたい方は下記のページをご覧ください。

長期間の通院で治療費がかさむ場合

保険会社から治療期間が不適切だと指摘されたら

通院が8ヶ月に及ぶなど、あまりに治療期間が長引くと、相手方の保険会社から「治療期間を不当に長引かせているのではないか」といった主張をされるおそれがあります。 しかし、このような場合でも、担当医が治療を継続する必要性を認めており、症状固定の判断に至っていないのであれば、通院を続けるべきです。
また、仮に保険会社から治療費の打ち切りを告げられたとしても、自身が受けた損害に見合った賠償を受けるには、通院を続けることが重要です。
下記のページでは、治療期間が不適切として治療費の打ち切りを迫られた際の対応を詳しく説明しています。
ぜひ併せてご覧ください。

保険会社から治療費の打ち切りと言われた時にすべきこと

リハビリを含めて8ヶ月通院した場合の慰謝料はどうなる?

リハビリのために通院した期間も、それが治療の一環として必要であると医師が判断する場合は、入通院慰謝料算定の対象期間となります。
ただし、あまりにもリハビリのための通院が多すぎると過剰診療とみなされ、かえって入通院慰謝料が減額されるおそれがあります。
以下のページでは、リハビリのための通院に関する注意点について詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

リハビリで通院するときの注意点

交通事故の治療中に違う交通事故に巻き込まれ、8ヶ月入通院した場合の慰謝料は?

1回目の事故(第1事故)と2回目の事故(第2事故)で、別の部位を怪我した場合には、第1事故と第2事故とで損害を区別できるため、それぞれ個別に慰謝料額を算定することができます。
他方で、同一の部位を怪我した場合には、第1事故と第2事故とで損害を明確に区別して計算するのは困難です。
この場合は、事故の態様や症状、第1事故後の治療の効果等を考慮し、それぞれの事故が影響していると考えられる割合に応じて慰謝料額を決めることになります。

慰謝料以外に請求できる損害賠償について

交通事故に遭った場合、慰謝料以外にも損害賠償を請求できます。
そしてその内訳は、治療費や付添費、車の修理費、義肢等の費用、診断書等の費用といったように、多岐にわたります。
とりわけ損害賠償金の中で大きな比重を占めることが予想されるのは、「逸失利益」と「休業損害」です。
この2つについて、次項以降で解説します。

逸失利益とは

逸失利益とは、交通事故の被害者が亡くなってしまった、あるいは後遺障害を負ってしまったことで得られなくなった、将来得られたであろう利益のことです。
症状固定後、後遺障害等級の認定を受けることができた場合には、「後遺障害逸失利益」を請求できます。以下のページでは、「後遺障害逸失利益」のほか、被害者が亡くなった場合に請求できる「死亡逸失利益」についても解説していますので、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

交通事故における逸失利益とは

休業損害とは

休業損害とは、交通事故による怪我の影響で仕事に支障を来したことで、現実に減少した利益のことです。
職種によって支障の程度は異なりますが、8ヶ月もの入通院期間を要する比較的大きな怪我をした場合、それに比して請求額も大きくなることが考えられます。
なお、休業損害についてさらに詳しく知りたい方は、下記のページをご覧ください。

休業損害とは

通院8ヶ月の慰謝料に関する裁判例

ここで、通院を8ヶ月程度続けた場合の入通院慰謝料に関して判断した裁判例を紹介します。

【大阪地方裁判所 令和2年1月31日判決】

<事案の概要>

被告が運転する普通乗用自動車が、原告が運転する普通貨物自動車に追突した交通事故について、原告が被告と被告会社(以下、「被告ら」と呼びます)に対して損害の賠償を求めた事案です。
原告は、交通事故によって頚椎捻挫・腰椎捻挫を受傷したため、平成29年3月30日~同年12月8日の約8ヶ月にわたって通院を続けました。

<裁判所の判断>

原告は、頚椎捻挫・腰椎捻挫の傷病名で約8ヶ月間通院を続けるなか、何度かX線検査やMRI検査等の画像検査、および握力検査や神経学的検査を受けました。
しかし、ヘルニア・硬膜嚢圧排および椎間孔狭小化等の所見がみられたものの大きな異変は見つからず、これらが交通事故によって生じたかどうかも判明しませんでした。
そこで、裁判所は、原告の傷病に他覚的所見が認められないことや通院期間等を考慮し、通院慰謝料として、被告らに92万円を支払うよう命じました。

通院8ヶ月を超えるような大きな事故の場合は必ず弁護士にご相談ください

「治療の必要性」が認められる期間が長引くと、基本的に入通院慰謝料の金額は大きくなります。
また、入通院期間が8ヶ月を超えるような大きな事故の場合、後遺障害が残る重大な怪我をしているおそれがあるでしょう。
しかし、一般には、後遺障害等級認定が獲得できる確率は非常に低いといわれており、煩雑な後遺障害等級認定の申請手続等を被害者個人で進め、適切な後遺障害等級認定や慰謝料を得るのは容易ではありません。
交通事故に遭ってしまったときは、ぜひ、法律だけでなく交通事故事案の知識が豊富な、交渉のプロである弁護士にご相談ください。
示談交渉や後遺障害等級認定申請等をサポートし、ご依頼者様が納得できる結果が得られるように尽力いたします。

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