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嗅覚障害の後遺障害と慰謝料

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員

「嗅覚障害」と聞いて、どのような症状が思い浮かぶでしょうか。
鼻に受傷した場合、脳がダメージを負っているケースもあり、においを感じにくくなるだけでなく、鼻のよる呼吸に支障をきたすこともあります。
また、機能的な問題とは別に、鼻が変形し、外見が変化してしまうことにショックを受ける方もいらっしゃるかもしれません。
このページでは、交通事故による負傷で、嗅覚障害と診断された方が適切な慰謝料を得るための基本的な知識を解説します。

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嗅覚障害とは?診断されたら?

嗅覚障害とは、においをまったく感じなくなる、感じにくくなる、または鼻で呼吸をしづらくなるといった症状が現れる障害のことです。
鼻の軟骨の大部分を失ったことにより症状が現れる「欠損障害」と、鼻の軟骨の欠損が伴わなくとも、頭部外傷の結果、脳に損傷を負うなどして症状が現れる「機能障害」があり、損傷の部位や程度によって症状が異なります。
鼻は顔の中で突出している部分であるため、ほかの部位に比べて損傷しやすい傾向にあります。
交通事故で鼻を欠損するほどの衝撃を受けたのであれば、鼻の軟骨だけでなく、頭蓋骨の骨折や脳損傷等も疑われるため、まずは病院で精密検査を受けましょう。また、嗅覚障害と診断されるためには、専用の検査を受け、障害の程度を数値化する必要があります。
その数値が、後遺障害等級の何級に該当するかを決めるための基準となります。

病院で治療を受ける

鼻を欠損した場合、または脳に損傷を受けたおそれがある場合には、嗅覚障害と交通事故に因果関係があることを証明するために、まずはCTやMRIの画像検査で損傷の部位と程度を特定する必要があります。
負傷の状態によっては、整形外科および脳神経外科での検査や治療が必要になるでしょう。
また、嗅覚障害が生じていると診断されるには、耳鼻科にて以下の検査を受ける必要があります。

基準嗅覚検査(T&Tオルファクトメーター)
T&Tオルファクトメーターという検査キットを使用して、嗅覚障害の程度を判定する検査です。
具体的には、においがする5種類の液体を、それぞれ8段階の濃度に分けてろ紙に染み込ませたものを、鼻に近づけてどの段階の濃度でにおいを感じることができるかを調べます。
その結果の数値が、いずれの後遺障害等級に該当するかを決めるための基準となるため、非常に重要な検査といえます。

静脈性嗅覚検査(アリミナン静脈注射)
アリミナンのようなにおいの強い物質を注射して、におい(ニンニク臭)が肺から呼気とともに鼻孔を通過するまでの時間と、においを感じている時間を計測することで、嗅覚障害の有無を判定し、また、改善の度合いも調べることができる検査です。
ただし、すべての耳鼻科でこれらの検査を実施しているわけではないため、検査を受けられるかどうか確認してから受診する必要があります。

嗅覚障害の症状

嗅覚脱失

嗅覚脱失とは、鼻における軟骨の欠損、もしくは脳の損傷により、においを感じる機能に障害が起こり、結果としてまったくにおいを感知できない状況になってしまうことをいいます。
嗅覚脱失では、T&Tオルファクトメーターを用いた基準嗅覚の検査によって、平均的な嗅覚損失値が5.6以上であると判明すれば、自賠法が定める、後遺障害に該当するための条件を満たします。
なお、アリナミン静脈注射を通し、においを全く感じていないことが確認されれば、静脈性嗅覚検査の結果のみでも嗅覚脱失は立証され得るとされています。

鼻呼吸困難

鼻の軟骨の欠損、または脳の損傷により、鼻による呼吸をしづらくなってしまうことをいいます。鼻の軟骨に欠損がなくとも、自賠法が定める後遺障害として認められる可能性があります。
鼻呼吸困難の症状で争いとなるのが、労働能力にどの程度の支障が出るかについてです。鼻で呼吸ができなくとも、口で呼吸ができるのであれば業務によっては差し支えがないととらえられる傾向にあります。
肉体労働等、業務の内容によっては労働能力に制約があると認められるケースもあります。

嗅覚減退

鼻の軟骨を欠損したこと、または脳に損傷を負ったことにより、においを感じづらくなってしまうことをいいます。
後遺障害と認められるには、静脈性嗅覚検査のみでは不可とされ、T&Tオルファクトメーターによる検査で、平均嗅覚損失値が2.6以上5.5以下である必要があります。
なお、嗅覚減退は、投薬等によって改善する可能性があります。

嗅覚障害の後遺障害等級と慰謝料

嗅覚障害によって認められる可能性がある主な後遺障害等級は、以下の3つになります。

  • 鼻の軟骨の全部または大部分を欠損し、嗅覚脱失または鼻呼吸困難が存するもの:9級5号
  • 鼻の欠損はなく、嗅覚脱失または鼻呼吸困難が存するもの:12級相当
  • 鼻の欠損はなく、嗅覚減退のみが存するもの:14級相当

そのほか、欠損障害については、外貌醜状として後遺障害等級が認定される可能性もあります。
例えば、鼻の軟骨の全部または大部分の欠損は9級5号にあたりますが、外貌醜状の点からみると7級12号に該当し、より上位である7級12号が認定され得ます。
また、鼻の軟骨の一部を欠損した場合、外貌醜状として12級14号、さらに嗅覚脱失や鼻呼吸困難があれば、併合11級が認められ得ます。
以下で、嗅覚障害で後遺障害等級が認定された際、請求できる後遺障害慰謝料を表にしています。

請求できる慰謝料

等級 自賠責基準 弁護士基準
9級5号 249万円※1 690万円
12級相当 94万円※1 290万円
14級相当 32万円 110万円

※1:自賠責基準は新基準を反映しています。令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準が適用されます。

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嗅覚障害の慰謝料の計算例

【例】入院期間1ヶ月(30日)・通院期間6ヶ月(180日)・実通院日数150日・後遺障害等級12級

自賠責基準

上記の例の内容に則して、自賠責基準を用いた慰謝料額を求めます。はじめに、入通院慰謝料は、治療に要した入院及び通院の長さや実際に治療を施した日数等に、あらかじめ規定された日額をあてはめて算出します。
本例では、土台となる日数は、入院30日と通院期間180日を合計し、210日です。
また、日額は4300円※2との決まりがあるため、そのまま反映させます。結果として、90万3000円という入通院慰謝料が求められます。
対して、後遺障害慰謝料は、等級ごとに定められた金額がそのまま支払われます。
確認すると、12級であれば94万円※2と定められています。
よって、慰謝料の合計額は、

90万3000円+94万円※2=184万3000円

という結果になります。 ※2:自賠責基準は新基準を反映しています。令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準が適用されます。

弁護士基準

では、同じく本例に則り、弁護士基準に基づき慰謝料を導き出す場合はどうなるでしょうか。
弁護士基準を用いて慰謝料を求める際は、『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(通称:赤い本)』という書籍内にて規定されている、専用の算定表を参照します。
そして、算定表と本例の状況を照合すると、149万円という入通院慰謝料が導き出されます。
一方、後遺障害慰謝料は、自賠責基準とは金額が異なりますが、あらかじめ等級ごとに定められた金額がそのまま支払われます。
規定をみると、12級であれば290万円の補償とされています。
これらを踏まえると、最終的な慰謝料の合計額は、

149万円+290万円=439万円

となります。 自賠責基準と比較すると大幅な増額があることが明らかであり、弁護士基準を用いるメリットをご認識いただけるかと思います。

交通事故で嗅覚障害になってしまったら

嗅覚障害が後遺障害として認められるには、それが鼻の欠損によるものなのか、脳の損傷等によるものなのかを特定し、必要な検査を受け、交通事故との因果関係を立証しなければなりません。
また、外貌醜状に該当する場合は、そちらを立証する証拠も併せて収集し、後遺障害等級認定の申請を行わなければなりません。
適切な後遺障害等級を獲得するためには、医療の知識が必要不可欠です。ご自身での後遺障害等級の申請や、損害賠償金の請求にご不安をお持ちの方は、交通事故案件を多く取扱い、医療の知識も持ち合わせる弁護士に相談されることをおすすめします。

嗅覚障害の交通事故との因果関係が認められた裁判例

【東京地方裁判所 平成25年11月13日判決】

<事案の概要>

事故現場は、信号機が設置された交差点内です。被告が自動車で交差点を右折している最中、原告がバイクで対向方向から直進し、衝突したという事故です。
原告が被告に対し、損害賠償金の支払いを求めたところ、被告が歯牙障害や嗅覚脱失の後遺障害についての損害額等を争いました。

<原告の後遺障害>

本件交通事故により、原告はアリナミンテスト(アリナミン静脈注射による静脈性嗅覚検査)等で、まったくにおいを感じられない状態であることが証明されたため、嗅覚脱失について後遺障害等級12級相当が認められました。
さらに、歯牙障害(13級5号)、醜状障害(14級10号)も認められたため、併合11級と判断されました。

<原告について留意すべき点>

原告は、和食の飲食店を開店するという夢を抱いていました。
そのため、妻と、勤務する有名店の店主の許可を得たうえで、同店で働きながら努力を重ねてきました。
しかし、原告は、本件交通事故で嗅覚脱失という後遺障害を負い、夢見ていた和食の飲食店の開店を諦めざるを得ず、さらに、料理人として生きていく道も閉ざされてしまいました。

<裁判所の判断>

裁判所は、原告が将来の夢であった飲食店の開店を断念せざるを得ず、料理人として生きていくこともできなくなってしまったことを考慮し、通常は後遺障害等級11級の場合に相当とされる420万円の後遺障害慰謝料を80万円増額し、500万円が慰謝料として相当であると判断を下しました。

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