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咀嚼の機能障害と慰謝料

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員

交通事故による後遺症には様々な種類があります。ここでは、「口」に関する後遺症の中でも「咀嚼(そしゃく)の機能障害」について解説していきます。 食べ物を摂取していくうえで必要不可欠な「咀嚼」の機能に障害を負った場合、その症状や治療方法にはどのようなものがあり、慰謝料はどうなるのでしょうか?このページで詳しくみていきましょう。

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咀嚼の機能障害とは?診断されたら?

交通事故による咀嚼の機能障害は、主に強い衝撃を受けたり酷く打ちつけたりして、顎を骨折・脱臼する、歯が折れるといったことが原因で発症します。食事への影響が大きく、言語障害、嚥下障害(飲食物をうまく飲み込むことができない障害)、開口障害、味覚障害等を伴うこともあります。 咀嚼の機能障害は、上下の噛み合わせ、歯列状態、下顎の開閉運動が総合的に判断され、咀嚼レベルによって医学的に診断されます。具体的には、流動食、粥食、固形物(バナナ、たくあん、ピーナッツ等)の中で食べられないものがあるかどうかにより判断されます。 医師から咀嚼の機能障害の診断を受けた場合は、後遺障害等級認定の申請手続を行いましょう。申請手続には、後遺障害診断書や歯科専用の診断書、さらにはX線(レントゲン)やCT、MRIといった画像検査の結果が必要です。 また、交通事故による慰謝料を適正な金額で受け取るには、被害者が被った精神的苦痛を主張・立証し、適切な後遺障害等級を認定してもらわなければなりません。このように、後遺障害等級認定の申請は非常に重要な手続であり、その証拠となる診断書や画像等は非常に重要な書類となります。

病院で治療を受ける

交通事故により顎を強打・負傷した場合は、病院で医師の指示による治療を受けましょう。治療方法は症状の程度によって異なり、手術を行うケースや、手術はせずに保存療法を行うケースもあります。 また、治療を受けても完治せずに後遺症が残ってしまう場合もあります。そこで重要になるのが、レントゲンやCT、MRIといった画像検査を受けることです。さらに、交通事故との因果関係を証明するためにも、「受傷直後」から「症状固定時」までの治療経過がわかるようにしておくことも重要です。 加えて、咀嚼の機能障害は、後遺障害等級の認定を受けるうえで、自覚症状を訴えることも非常に有用です。症状固定のタイミングや診断書の内容等は、医師の裁量によるため、自覚症状をいかに診断書に記載してもらうか等、医師との意思疎通が非常に重要となります。

咀嚼の機能障害の後遺障害等級と慰謝料

懸命な治療の末、完治せず咀嚼の機能障害が残ってしまった場合、被害者が後遺症を抱えていく精神的苦痛は、慰謝料として当然に加害者側に請求することができます。ただし、後遺障害慰謝料を請求するためには特定の算出機構によって後遺障害等級の認定を受ける必要があります。

請求できる慰謝料

咀嚼の機能障害で認定され得る後遺障害等級と、等級ごとの後遺障害慰謝料は、以下の表のとおりです。ここでは、3種類ある慰謝料の算定基準のうち、自賠責基準と弁護士基準で比較してみましょう。

後遺障害等級 自賠責基準※1 弁護士基準
1級2号(別表第2) 1150万円 2800万円
3級2号 861万円 1990万円
4級2号 737万円 1670万円
6級2号 512万円 1180万円
9級6号 249万円 690万円
10級3号 190万円 550万円

※1:自賠責基準は新基準を反映しています。令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準が適用されます。詳しくは、こちらをご覧ください。

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慰謝料の計算例

ここで、例を用いて咀嚼の機能障害が後遺障害等級認定された場合の慰謝料を計算してみましょう。

例:【入院期間1ヶ月(30日)、通院期間220日、実通院日数200日、後遺障害等級6級2号】

自賠責基準

自賠責基準の入通院慰謝料は、「4300円※2×対象日数」で算出します。対象日数は、「入院期間+通院期間」と「(入院期間+実通院日数)×2」を比較して、少ない方の日数を採用します。また、自賠責保険では、入通院慰謝料の他、治療関係費や休業損害といった「傷害による損害」に対する賠償の上限額が120万円までに制限されているのが特徴的です。 後遺障害慰謝料は、等級ごとに決められているため、該当する等級の金額が相当します。 入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の合計を、損害賠償項目の「慰謝料」として加害者側に請求できます。例にもとづいた算出方法は以下のとおりです。

入通院慰謝料
入通院慰謝料=4300円×対象日数:【入院期間+通院期間 or (入院期間+実通院日数) ×2の少ない方】
      =4300円×【30日+220日=250日<(30日+200日)×2=460日】
      =4300円×250日
      =107万5000円< 120万円

※ただし、今回は治療期間が長く、治療関係費や休業損害も高額になると予想されるため、合計すると上限の120万円を超えてしまうことが考えられます。よって入通院慰謝料としての取り分は、107万5000円より少なくなるでしょう。

後遺障害慰謝料
後遺障害等級6級2号=512万円※2

合計慰謝料=107万5000円+512万円=619万5000円

自賠責基準での合計慰謝料は、619万5000円となります。

※2:自賠責基準は新基準を反映しています。令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準が適用されます。

弁護士基準

弁護士基準は、過去の裁判例をもとに基準が設けられています。通称赤い本といわれる「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(発行:公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部)を参照し、例にもとづいた慰謝料(入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の合計)を算出していきます。

入通院慰謝料
通院期間220日=7ヶ月10日
赤い本にある入通院慰謝料の算定表である別表Ⅰ(通常の怪我の場合)より、
入院期間1ヶ月と通院期間7ヶ月=157万円
入院期間1ヶ月と通院期間8ヶ月=164万円
164万円-157万円=7万円
これをもとに日割り計算していきます。
7万円×10日/30日=2万3333円(小数点以下切り捨て)
157万円+2万3333円=159万3333円

後遺障害慰謝料
後遺障害等級6級2号=1180万円

合計慰謝料=159万3333円+1180万円=1339万3333円

弁護士基準での合計慰謝料は1339万3333円となります。自賠責基準と比較すると、弁護士基準のほうがずっと高額になります。

咀嚼の機能障害でお悩みの方へ

交通事故に遭い戸惑われている中で後遺症を抱えることは、二重三重の負担を感じることでしょう。交通事故による咀嚼の機能障害によって、生きていくうえで必要な食事ができない、大切な人と食事の美味しさを共有できないといった苦痛を抱えることになってしまうのは、耐えがたいことかと思います。 被害者が被った苦痛は、「損害」として加害者側に賠償請求しなければなりません。そこで弁護士がお力添えします。交通事故に特化しており、医療分野にも精通している弁護士は、後遺障害等級の認定に必要な方法を熟知しています。例えば、医師の裁量によりがちな後遺障害診断書の内容も医師面談により充実したものにできたり、適切な通院方法のアドバイスをすることができたりします。また、後遺障害の認定基準に該当しないような嚥下障害等も、「準用(相当)(*)」の適用によって慰謝料を請求できる可能性があります。 交通事故の被害に遭った方やそのご家族が、弁護士に依頼することによって得られる最大のメリットは、「安心感」だと思います。少しでも不安や迷いを感じた際には、弁護士の存在を思い起こしてください。

*準用(相当):後遺障害等級認定基準内に症状の記載がなくても、最も類似している障害の等級が認められること。

咀嚼の機能障害と交通事故の因果関係が認められた裁判例

ここで、咀嚼の機能障害と交通事故との因果関係が認められた裁判例を紹介します。

【大阪地方裁判所 平成27年10月1日判決】

<事故概要>

信号機により交通整理の行われている交差点で、バイク同士が衝突した事故です。原告は、本件事故により顔面骨多発骨折、歯牙損傷、左手環指骨折、左手母子・小指・手関節打撲、右腰部打撲、肺挫傷の怪我を負いました。自賠責保険によって、「咀嚼機能に障害を残すもの」として、左上顎骨骨折・下顎骨骨折に伴う咀嚼障害および開口障害が、後遺障害等級10級3号に認められました。さらに、3歯の歯牙欠損および骨植不良により14級2号、左口角、左鼻翼から頚部までの感覚消失、アロデニアにより12級13号に該当するものとされ、併合第9級に該当するとの認定がなされました。

<争点>

本件において、被告は消滅時効を主張したため、症状固定時期が争われました。 具体的には、原告は、症状の治療のため形成外科と麻酔科を受診したところ、先に形成外科、後日麻酔科において症状固定の診断を受けました。被告は、先に症状固定の診断を行った形成外科の症状固定日が相当であるとして、消滅時効の主張を行いました。 また、被告は、労働能力喪失率について、症状固定当初は35パーセントが相当だとしても、5年後以降は14パーセントが相当だと主張しました。

<裁判所の判断>

形成外科と麻酔科の治療内容が、咬合異常と開口制限、知覚異常と感覚麻痺、流涎等の症状に対するものであり相当程度重複していることを認め、形成外科より後日に症状固定の診断をした麻酔科の症状固定日が相当であるとしました。 また、労働能力喪失率については、原告が飲食業に従事していることや、原告の障害が些細な障害とはいいがたいこと等を認定のうえ、当初の5年間は35パーセント、5年以降67歳までは、20パーセントと認めるのが相当であるとしました。 その結果、最終的に、後遺障害等級併合第9級として、後遺障害慰謝料670万円、後遺障害逸失利益1819万4106円、長期間の入通院による精神的苦痛に対する慰謝料として入通院慰謝料500万円等を認めました。

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