交通事故による腰痛は後遺障害として認められる?慰謝料や認定のポイント
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
交通事故がきっかけで、腰の痛みが残ってしまうことがあります。 腰痛は、交通事故に遭っていなくても多くの人が悩まされる身近な症状ですが、交通事故による腰痛は、その症状が治療を続けても回復せずに日常生活や仕事に支障をきたす場合、「後遺障害」として認められる可能性があります。 そこで本記事では、交通事故で腰の痛みを患ったケースについて、後遺障害に認定される可能性や認定を受けるためのポイントを解説していきます。 請求できる慰謝料の相場も紹介しますので、事故による腰痛で治療中の方や後遺障害等級認定の申請をお考えの方の参考になれば幸いです。
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目次
交通事故による腰痛の原因と症状とは?
交通事故で体に衝撃を受けると、腰痛や下肢のしびれ、感覚麻痺などを発症する場合があります。 これらの症状は腰まわりの筋肉、靭帯、骨、神経の損傷に起因して生じることが多く、軽い追突事故でも引き起こされることがあります。 腰は上半身を支え、体を動かすための土台となっているため、ちょっとした衝撃でも痛みが出やすいです。 交通事故で腰痛を引き起こす原因となる主な4つの症状について、詳しくみていきましょう。
- ① 腰椎捻挫(むちうち)
- ② 腰椎椎間板ヘルニア
- ③ 腰部脊柱管狭窄症
- ④ 腰椎圧迫骨折
腰椎捻挫(むちうち)
腰椎捻挫とは、腰椎や腰の周辺の筋肉や靭帯などが損傷し、炎症を起こした状態を指します。 首の怪我である頚椎捻挫と同じくらい腰椎捻挫も事故後に発症する人が多く、「腰のむちうち」と呼ばれることもあります。 背骨のうち腰の部分にあたる5つの骨を腰椎といって、交通事故の衝撃によって腰椎の周辺にダメージを受けることで、腰に痛みやしびれなどの症状を引き起こします。 ぎっくり腰のような強い痛みを伴い、体が動かせなくなることもあります。 腰椎捻挫の治療期間は、事故の大きさや損傷の程度にもよりますが、一般的に1~3ヶ月程度かかるケースが多いです。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアとは、椎間板の一部が飛び出して、神経を圧迫している状態を指します。 椎間板は椎骨と椎骨の間のクッションの役割を果たしています。 交通事故の衝撃で椎間板が損傷し、本来あるべき場所から飛び出して近くの神経を圧迫することで、腰痛や下肢の痛み、しびれなどの症状を引き起こすことがあります。 腰椎椎間板ヘルニアの治療期間は一般的に3~6ヶ月程度ですが、重症の場合や保存療法で症状が改善されない場合には手術が必要になって、リハビリ期間を含めるとさらに数ヶ月の期間を要する場合もあります。
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症とは、腰の背骨の中にある脊柱管という神経の通り道が狭くなって、神経が圧迫された状態を指します。 脊柱管狭窄症は高齢者に多くみられる疾患で、交通事故による外傷が引き金となって腰部脊柱管狭窄症と診断されることがあります。 脊柱管を通る神経が圧迫されることで腰や足に痛み、しびれといった症状が生じます。 立ったり歩いたりすると症状が悪化し、座ったり前かがみになったりすると神経への圧迫が軽減されるため症状が和らぐのが特徴です。 腰部脊柱管狭窄症の治療期間は、症状の程度や治療法にもよりますが、一般的に3~6ヶ月程度かかるケースが多いです。
腰椎圧迫骨折
腰椎圧迫骨折とは、腰椎の椎体という部分が、上下方向からの過度な圧力で押しつぶされるように折れた状態を指します。 単に折れてしまうだけでなく、つぶれたように椎体が変形し、腰や背中に強い痛みが生じます。 とくに、寝返りをするときや起き上がるときなど、体を動かす際に激しい痛みがみられるのが特徴です。 腰椎圧迫骨折の治療期間は、一般的に3~6ヶ月程度かかるケースが多く、重度の場合は1年以上かかることもあります。
腰痛の後遺症が残った場合の後遺障害等級
交通事故が原因で腰痛の後遺症が残ってしまった場合に、認定される可能性のある後遺障害等級は12級もしくは14級です。
- 12級13号 ・・ 局部に頑固な神経症状を残すもの
- 14級9号 ・・・ 局部に神経症状を残すもの
12級と14級はいずれも神経症状に関する後遺障害等級です。 腰痛のほかに、下肢の麻痺を伴っていて歩行障害が生じていたり、脊柱の変形を伴っていて見た目の変化が現れていたりすると、12級よりも上の等級に認定される可能性もあります。 事故による腰痛が後遺障害等級に認定されるためには、適切に治療を続けて、これ以上は症状の改善が見込めない=「症状固定」と診断を受けたうえで、後遺障害等級認定の申請をする必要があります。
腰痛で14級9号が認められるケース
交通事故による腰痛の存在を医学的に説明できる場合に、14級9号が認定される可能性があります。 腰痛について、画像検査で異常がみられない=「他覚的所見がない」場合でも、事故直後からずっと一貫した自覚症状があって、事故状況や治療の経過などから腰痛の存在を医学的に説明できれば、14級9号が認定されます。 ただし、腰痛は生活習慣や加齢による変化によって起こるケースも多く、誰もが腰痛を引き起こす「種」を持っているといえるため、画像所見がなく、自覚症状として腰が痛いという場合は、「交通事故による腰痛であること」を証明・説明することが非常に難しくなります。
腰痛で12級13号が認められるケース
交通事故による腰痛が「12級13号」の後遺障害として認定されるためには、医学的な証拠が必要です。 具体的には、CTやMRIなどの画像検査や神経学的検査で異常が確認できる場合に、腰痛が事故によって起きたことを医学的に証明できるとされ、「12級13号」が認められる可能性があります。 「14級9号」との大きな違いは、痛みなどの自覚症状が、医学的な検査結果(他覚的所見)によって裏付けられているかどうかです。 つまり、「12級13号」を目指すには、単に腰が痛いと訴えるだけでは不十分で、事故によって腰痛が生じたことを、検査結果などの客観的な証拠で示す必要があります。 後遺障害の認定を受けるためには、画像検査の結果や医師の診断書などをしっかりと揃え、丁寧に準備したうえで申請することが重要です。
交通事故による腰痛で請求できる慰謝料の相場
交通事故が原因で腰痛を発症し、病院で治療を受けた場合は入通院慰謝料が請求できます。 さらに、腰痛で後遺障害等級が認定されると、後遺障害慰謝料が請求できるようになります。 交通事故の慰謝料は、入通院日数や治療期間、後遺障害の等級のほかに、慰謝料額の計算に用いる「算定基準」によっても相場が異なります。 交通事故慰謝料の算定基準には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3種類があって、通常は弁護士基準による慰謝料が最も高額になる傾向にあります。
| 自賠責基準 | 基本的な対人賠償の確保を目的とした、自賠責保険による算定基準。 |
|---|---|
| 任意保険基準 | 任意保険会社が独自に定めている算定基準(詳細は非公開)。 |
| 弁護士基準 | 裁判所や弁護士が用いる、過去の裁判例をもとに設定された、被害者が受け取るべき基準。 |
交通事故の慰謝料について、以下ページで詳しく解説しています。ご参考ください。
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入通院慰謝料の相場
交通事故による腰痛の入通院慰謝料の相場は、他覚的所見のない軽症で1~6ヶ月間通院した場合で19万~89万円です(弁護士基準)。
そもそも入通院慰謝料とは?
入通院慰謝料とは、交通事故で負った怪我の治療のために、入院や通院を強いられたことで受けた精神的苦痛に対する慰謝料です。 怪我の程度や、入通院日数や治療期間、計算に用いる算定基準によって相場が異なります。
他覚的所見のない腰椎捻挫(むちうち)で、ひと月に10日間の頻度で通院した場合の入通院慰謝料の相場は、次のとおりです。
| 通院 | 自賠責基準 | 弁護士基準(軽症時) |
|---|---|---|
| 1ヶ月 | 8万6000円 | 19万円 |
| 2ヶ月 | 17万2000円 | 36万円 |
| 3ヶ月 | 25万8000円 | 53万円 |
| 4ヶ月 | 34万4000円 | 67万円 |
| 5ヶ月 | 43万円 | 79万円 |
| 6ヶ月 | 51万6000円 | 89万円 |
後遺障害慰謝料の相場
交通事故による腰痛の後遺障害慰謝料の相場は、14級で110万円、12級で290万円です(弁護士基準)。
そもそも後遺障害慰謝料とは?
後遺障害慰謝料とは、交通事故で負った怪我の後遺症を将来にわたって抱えなければならなくなったことで受けた精神的苦痛に対する慰謝料です。 認定された後遺障害の等級や、計算に用いる算定基準によって相場が異なります。
腰痛で認められる可能性のある後遺障害等級12級13号と14級9号の慰謝料の相場は、次のとおりです。
| 後遺障害等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
| 12級13号 | 94万円 | 290万円 |
| 14級9号 | 32万円 | 110万円 |
腰痛で適切な後遺障害等級認定を受けるためのポイント
交通事故が原因で腰痛が残ってしまった場合に、適切な後遺障害等級認定を受けるためのポイントは次の4つです。
- ① 事故後すぐに病院を受診する
- ② 症状固定まで継続して治療を受ける
- ③ 後遺障害等級の申請を「被害者請求」で行う
- ④ 認定結果に納得できない場合は異議申立てする
腰痛の後遺障害等級認定は、医学的・法的な観点から入念な準備をした上で申請することが大切です。次項で詳しくみていきましょう。
①事故後すぐに病院を受診する
交通事故後すぐに病院を受診することは、後遺障害等級認定においても非常に重要です。 事故直後は痛みを感じなくても、数日後に腰痛などの症状が現れることがあります。 ただし、事故に遭ってからはじめて病院を受診するまでに期間があいてしまうと、事故と腰痛の因果関係が認められにくくなり、後遺障害等級の認定が困難になる可能性があります。 受け取れる賠償金にも大きく影響するため、事故直後は痛みがなくても、念のためにすぐ病院を受診して、医師の診察や適切な検査を受けることが大切です。 そのため、事故後は整骨院や鍼灸院ではなく、必ず医療機関である整形外科に行きましょう。
<腰痛の後遺障害等級認定に備えて受けておくべき検査>
- レントゲン・CT・MRIなどの画像検査
- SLRテスト・FNSテスト・知覚検査などの神経学的検査 など
②症状固定まで継続して治療を受ける
事故直後から症状固定と診断されるまで、継続して治療を受けることも大切です。 症状に一貫性があるかどうかも、後遺障害等級認定のポイントになります。 自己判断で通院を途中でやめてしまったり、通院の間隔があいてしまったりすると、症状の経過過程が記録に残らず、事故と腰痛との因果関係や、腰痛を裏付ける医学的根拠が不十分と判断されて、適切な等級認定が受けられなくなる可能性があります。 治療の途中で、相手方の保険会社から症状固定を打診されることがありますが、症状固定は医師が判断するものなので、安易に応じないよう注意が必要です。 適切な後遺障害等級認定を受けるために、医師の指示に従って適切な頻度・間隔で定期的に通院して、具体的な自覚症状を伝え、カルテなどの記録に残してもらいましょう。
③後遺障害等級の申請を「被害者請求」で行う
後遺障害等級の認定率を上げるためには、後遺障害等級の申請を「被害者請求」で行うこともポイントです。 後遺障害等級認定の申請方法は、「事前認定」と「被害者請求」の2種類があります。 より確実に、適切な等級認定を受けたい場合は、被害者自身で申請に必要な書類を精査したり、資料を追加したりできる「被害者請求」がおすすめです。 被害者請求の手続きは弁護士に依頼することができるので、効率よく、適切な等級認定が目指せます。
| 事前認定 | ・書類の準備を相手の保険会社に任せる申請方法 ・被害者が書類を準備する必要がないので手間や時間がかからない ・必要最低限の書類での申請となるため十分な等級認定を受けられないおそれがある |
|---|---|
| 被害者請求 | ・書類のすべてを被害者自身で集める申請方法 ・書類の見直しや追加資料の添付など、等級の認定率を上げられる可能性がある ・示談成立前に自賠責保険から保険金の一部を受け取ることができる ・書類集めに手間や時間がかかるが弁護士のサポートを受けることで解消される |
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④認定結果に納得できない場合は異議申立てする
認定結果に納得できない場合は異議申立てをして、再審査を求めましょう。 腰痛などの神経症状に関する後遺障害等級は適切な認定を受けることが難しく、非該当になったり、想定よりも低い等級に認定されたりすることが少なくありません。 納得できない結果となった場合、異議申立てをすることで再審査を求めることができます。 ただし、異議申立てには後遺障害に関する専門的知識と医学的知識が欠かせません。 認定結果を分析し、新たに検査結果や医師の意見書などの追加資料を用意する必要があります。異議申立てを成功させるためには、後遺障害等級認定に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
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交通事故で持病の腰痛が悪化した場合でも慰謝料請求できる?
交通事故によって持病の腰痛が悪化した場合でも、慰謝料請求できる可能性があります。 そのためには、「事故によって症状が悪化したという事実」を医学的に説明・証明しなければなりません。 事故前と比べて腰の痛みやしびれがひどくなった場合は、後遺障害等級認定の申請を検討しましょう。 後遺障害等級が認定されれば、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益が請求できるようになります。 ただし、被害者の方が事故前より腰痛の持病を抱えているケースでは、加害者や保険会社から事故と腰痛との因果関係を否定されることが少なくありません。 「腰痛はもともと被害者が抱えていたもので交通事故とは関係がない」として、慰謝料の減額(素因減額)を主張されることがあるので、適切な慰謝料を受け取るためにも、弁護士に示談交渉を依頼することをおすすめします。
【解決事例】交通事故による腰椎捻挫で後遺障害14級を獲得し、賠償金約260万円で示談
<事案の概要>
50代女性のご依頼者様は、相手方が運転する車両に追突されて腰椎(ようつい)捻挫(ねんざ)や頚椎(けいつい)捻挫(ねんざ)などの傷害を負われました。 今後、通院するなかで相手方保険会社との対応に負担を感じ、当法人にご相談いただきました。
<弁護士の活動および解決結果>
ご依頼者様は整形外科に半年ほど通院したものの、症状が残ってしまったため自賠責保険に対して後遺障害の申請をしましたが、残念ながら非該当との認定を受けました。 そこで弁護士は、ご依頼者様と相談のうえ異議申立てを行い、診療録などから症状が残存していることを積極的に主張した結果、希望通り14級9号の認定を得ることができました。 等級認定の結果を踏まえ、相手方保険会社と交渉したところ、約260万円の賠償額にて示談が成立しました。
交通事故による腰痛の後遺障害について弁護士が丁寧に対応いたします。
交通事故がきっかけで腰痛持ちになってしまう方も少なくなく、もともとの腰痛が悪化してしまったという方もいらっしゃるでしょう。 腰痛で適切な後遺障害等級認定を受けるためには、事故との因果関係を証明することが重要になります。 交通事故に強い弁護士であれば、後遺障害等級認定の申請に関するノウハウを心得ているため、入通院の仕方や検査の受け方、申請書類の作成について幅広くサポートを行え、より高い等級の獲得を目指せるようになります。 申請手続きはもちろん、相手方との示談交渉を弁護士に任せることもでき、慰謝料の増額も期待できます。 安心して治療に専念するためにも、交通事故で腰に痛みを抱えてしまった場合は、ぜひお早めに弁護士法人ALGまでご相談ください。
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