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交通事故の怪我で後遺症が残ってしまった場合の慰謝料について

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates執行役員
監修 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates執行役員

交通事故で後遺症が残った場合、後遺障害として認定されれば慰謝料とは別に後遺障害慰謝料を請求することができます。 後遺障害には等級があり、等級ごとに賠償額は異なりますので、後遺症が残った際、後遺障害等級認定がとても重要になります。

後遺症の慰謝料は後遺障害等級によって決まる

後遺障害等級とは、自動車損害賠償保障法施行令で定められています。 後遺障害等級ごとに、後遺症の慰謝料の基準が定められており、第1級が最も重く、第14級まで定められています。

後遺障害等級を認定してもらう条件

後遺障害等級を認定するには、以下の要件が必要となります。

  • 交通事故と因果関係のある後遺症があること
  • 将来においても回復の見込みがない状態とされたこと(症状固定)
  • 後遺症状が医学的に証明・説明できるものであること
  • その後遺症が自賠責基準の等級に該当すること

1. 認定したい後遺症が交通事故と因果関係のあるものでなくてはなりません。 交通事故以外が原因で後遺症が発生したとしても、その責任は加害者にはありませんので、当然慰謝料を請求することはできません。 交通事故直後には見つかっていなかった症状が、交通事故から数週間・数ヶ月後に発生した場合や、同様の症状について事故前から通院し治療していた場合等、争いになることがよくあります。

2. 症状固定とは、「医学上一般に承認された治療方法をもってしても、その効果が期待し得ない状態で、かつ、残存する症状が、自然的経過によって到達すると認められる最終の状態に達すること」(さいたま地方裁判所平成14年1月24日判決)とされています。わかりやすくいうと、それ以上治療しても、良くも悪くもならない時点を症状固定と呼んでいます。症状固定以後、身体や精神に残っている症状を後遺症(後遺障害認定されれば後遺障害)と呼びます。症状固定かどうかは、医師が診断し、後遺障害診断書を作成してもらうことが必要です。 また、「将来においても回復の見込みがないとはいえない」との理由で、後遺障害を非該当とされることがよくあるので、この点は十分に説得的な資料を作成する必要があります。

3. 被害者が「自分に後遺症が残っている」と主張しても、およそ医学的に発生し得ない後遺症であれば、後遺障害認定を受けることはできません。後遺障害認定は、交通事故によって、そのような後遺症が生じることを医師が医学的に証明・説明できるものでなければなりません。

4. 後遺障害認定は、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所という第三者機関により法令等に基づき認定され、要件を満たすことにより、所定の後遺障害等級が認定されることになります。

後遺障害等級を認定してもらう

後遺障害等級が認定されるか否かで、請求できる慰謝料や損害賠償額は大きく異なります。たとえ、痛みが残っていたとしても、後遺障害等級として認定されなければ、保険会社にも裁判所にも、基本的には後遺障害等級があることを前提とした慰謝料を認めさせることは困難です。 後遺障害の等級が認められなかった場合、後遺障害の慰謝料は0となってしまいますが、後遺障害等級が認められれば、もっとも等級の低い後遺障害等級第14級であったとしても弁護士基準で110万円とされています。 さらに、後遺障害等級が認められれば、慰謝料だけでなく、後遺症により働きづらくなったことにより失った利益(後遺障害逸失利益)も賠償請求できますので、非該当との差はとても大きくなります。

慰謝料の増額例

<事案の概要>

対面信号が青色で横断歩道を横断中、交差道路を走ってきた自動車に衝突され負傷した、40代女性のご依頼者様の事案です。 相手方の保険会社に手続きを任せる事前認定では、後遺障害非該当とされ、これを前提とした相手方保険会社からは約84万円の示談金賠償案が提示されました。

<解決結果>

受任後、診療記録を拝見すると、ご依頼者様が、初診時から一貫して症状を訴えていたことや、ご依頼者様が主治医に、家事や仕事にどのような支障が生じているかについて訴えた内容が詳細に記録されていました。また、硬膜外ブロック注射、その他具体的な治療方法や画像所見についての記載もありました。 そこで、これら記載内容を踏まえて意見書を作成し、改めて自賠責に後遺障害認定の申請を行ったところ、後遺障害14級9号と認定されました。 さらに、当法人は、これを前提として、改めて後遺障害に関する賠償を含む損害額を計算しました。そして、休業損害については、ご依頼者様の実際の家庭状況やご依頼者様の治療経過を踏まえた主張を行い、結果、休業損害だけで約60万円の賠償額を増額させることができました。また、その他の費目についても、弁護士基準に基づく請求を行い、最終的に、総額で約270万円の増額を認めさせることができました。

後遺障害等級認定のポイント

後遺障害等級を認定してもらう際のアドバイスです。 まず、後遺障害等級認定の際、事前認定ではなく被害者請求という方法をとることです。 事前認定とは、加害者側の保険会社に手続を任せる場合で、手続きが非常に簡便です。しかし、保険会社が会社の利益を追求して、後遺障害を否定、あるいは等級が低いことを主張する意見書を自賠責保険に提出することがあり、賠償額が少なくなる可能性があります。 これに対し、被害者自ら手続きをする被害者請求では、手続きが煩雑になるものの、事前認定に比べて加害者側の保険会社の関与を排除でき被害者が必要と思う資料を主体的に提出することができます。また、弁護士に依頼すれば、煩雑な手続きに煩わされることもありません。 後遺障害認定は、一度認定されると覆すことが困難で異議申立には時間を要するため、初めに適正な認定を受けることが重要です。

「後遺症」と「後遺障害」の違い

後遺症とは、事故等で負った怪我の治療を行ったにもかかわらず、完治せずそれ以上の改善が見込めない身体障害や神経症状が残った状態をいいます。事故直後の症状ではなく、治療したにもかかわらず、継続的に残った体の変化ととらえればわかりやすいかもしれません。 例えば、治療を続けたのに、首や腰の痛みが残っている、手足の力が入らない、視力や聴力を失ったといった症状です。 後遺障害とは、交通事故等で後遺症が残ったもののうち、自動車損害賠償保障法施行令2条及び別表第1及び別表第2に定める後遺障害に該当する障害をいいます。自賠責保険の後遺障害等級は、労災保険の基準を準用していることから、労働能力の喪失が見込める程度の後遺症を後遺障害等級としてまとめられたものとなっています。 そのため、後遺症が残っているにもかかわらず、後遺障害等級として認定できない程度の後遺症として非該当と判断されることがあるのです。 この点を理解し、後遺障害等級認定の申請をする場合には、被害者自身の後遺症を正確かつ適切に提示する必要があります。

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