後遺障害が認定されるまでの期間は?長引く場合の対処法を解説
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
この記事でわかること
交通事故で負った怪我の中には、完治せず後遺症が残ってしまう場合があります。このように、交通事故で後遺症が残ったら後遺障害等級認定を申請することが可能です。 しかし、後遺障害等級が認定されるまでは、一定の期間を要します。後遺障害等級の認定期間は早くて30日、なかには1年以上かかるケースもあります。 この記事では、認定期間の目安や時間がかかる原因、長引く場合の対処法などを解説していきます。
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後遺障害等級が認定されるまでの期間は?
後遺障害等級が認定されるまでの期間は、1~3ヶ月程度が目安です。 早ければ30日以内、ほとんどは2~3ヶ月以内に結果が出ています。 損害保険料率算出機構の統計でも、約9割が3ヶ月以内に調査を終えています。
| 期間 | 調査件数に占める割合 |
|---|---|
| 30日以内 | 71.2% |
| 31日~60日 | 15.6% |
| 61日~90日 | 7.2% |
| 90日超 | 6.0% |
もっとも、この統計結果はあくまで「平均的な期間」に過ぎません。 実際は、後遺症の内容や提出資料の状況によって審査が長引くケースもあります。 審査から3ヶ月以上経っても結果が通知されない場合は、審査に時間がかかっている可能性があります。
後遺障害等級の申請方法
後遺障害等級認定の申請方法には、「事前認定」と「被害者請求」の2つの方法があります。 簡単にいうと、事前認定は、相手方保険会社に申請手続きを任せる方法で、被害者請求は被害者自身で申請手続きを行う方法です。
| 事前認定 | 事前認定では、細かい申請手続きは相手方保険会社が行います。被害者が行うことは、医師に後遺障害診断書を記載してもらい、相手方保険会社に渡すことのみです。一見とても簡単な方法に見えますが、認定されるための積極的な活動が行えず、認定のための資料不足などから、後遺障害等級が認められないことがあります。 |
|---|---|
| 被害者請求 | 被害者請求では、被害者が必要な書類を作成・準備して自賠責保険に提出します。ご自身で全ての書類をそろえなければならないため、手間はかかりますが、必要な資料を漏れなく提出することができるため、手続きに透明性があり、事前認定より認定率が高まることを期待できます。 |
ご自身での申請が難しいと感じる場合は、弁護士に依頼する方法もあります。弁護士であれば必要な資料の作成や検査のアドバイス、後遺障害診断書に不備はないか確認してもらうことが可能です。 後遺障害等級認定の申請方法については、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参照ください。
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後遺障害等級認定に時間がかかる原因とは?
後遺障害等級認定の審査には、一定の時間がかかることを解説してきましたが、認定結果に遅れが生じる原因にはどのようなものがあるのでしょうか。 考えられる原因は、以下のとおりです。
- ① 保険会社の手続きが進んでいない
- ② 損害保険料率算出機構の調査が長引いている
- ③ 医師の対応が遅れている
- ④ 提出書類に不備・不足がある
保険会社の手続きが進んでいない
認定が遅くなる原因として、保険会社の手続きが進んでいないことが考えられます。 後遺障害等級認定の事前認定では、相手方保険会社が被害者から預かった書類を審査機関である自賠責損害調査事務所に提出します。 しかし、保険会社の担当者はさまざまな業務を担当しているため、優先順位によっては、審査機関への書類提出が後回しになってしまうことが少なくありません。
損害保険料率算出機構の調査が長引いている
後遺障害等級は損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所によって認定されます。 この調査事務所では、怪我の内容・程度によって1~14級のどの等級に当てはまるのか、または非該当であるのか、きちんと調査を行ったうえで結果を出しています。 交通事故の怪我は、ひとつの部位だけに生じるとは限りません。特に後遺症が残る怪我は複数の箇所で後遺症が残っているケースも多いです。そうなると、単純に等級を当てはめるのではなく、併合という認定の仕方をします。この「併合」の判断は複雑で、審査に時間を要するケースがあります。 損害保険料率算出機構は、後遺障害等級認定に関して、公平で中立な立場で実施していることを表明しています。ケースによっては、当事者や警察への事故状況照会、医療照会、事故現場の調査が必要となり、認定まで長引いてしまうこともあるでしょう。
医師の対応が遅れている
後遺障害診断書の内容だけでは、審査が難しい場合、損害保険料率算出機構は医師に症状や治療状況の確認をする「医療照会」を行います。
医療照会とは?
後遺症の症状や所見について、審査機関が医師に書面で問い合わせをすること。
特に高次脳機能障害や脊髄に関する後遺症の場合は基本的に医療照会が行われます。また、提出書類だけでは等級を判断しかねる場合や、異議申立ての再審査でも行われることがあります。 医療照会を行ったが、医師の返答が遅れていると、その間の審査は進まないため、後遺障害等級の認定が遅れている可能性もあります。
提出書類に不備・不足がある
提出した書類に不備や不足があると、再提出となり時間がかかってしまうことがあります。 後遺障害等級認定の審査は、基本的に提出書面で行われます。その中で最も重視される書類が「後遺障害診断書」です。 後遺障害診断書は医師に依頼し、作成してもらうものですが、すべての医師が後遺障害診断書の記載に慣れているわけではありません。なかには、今まで記載したことがない医師もいるでしょう。 そのため、内容が不十分であったり、不足があったりするケースもあります。 後遺障害等級認定をスムーズに進めるためにも、書類をそろえたら弁護士に不備・不足がないか確認してもらうと安心です。もちろん、後遺障害等級認定の申請を考えている段階でも、弁護士であれば必要な書類や注意点などのアドバイスが可能です。 後遺障害診断書については、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参照ください。
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後遺障害等級認定の期間が長引く場合の対処法
後遺障害等級認定の期間が長引く場合、次のような対処法があります。
- 保険会社に連絡をする
- 事前認定から被害者請求に切り替える
- 弁護士に依頼する
等級認定の期間が長引くと、示談交渉を開始できなかったり、示談金を受け取るまでに時間がかかったりするおそれがあります。 そのため、審査が長引いている場合は、状況に合った方法で早めに対応することが大切です。
保険会社に連絡をする
事前認定の場合に、保険会社に書類を渡してから2ヶ月以上何ら連絡が来ないのであれば、保険会社の担当者に進捗を問い合わせてみましょう。 問い合わせをすることで、書類提出が遅れていた場合、早急に対応してもらえる可能性があります。 また、弁護士から相手方保険会社に連絡してもらうことも可能です。弁護士からの連絡によって、優先順位が高い案件だと思ってもらえる可能性もあります。
事前認定から被害者請求に切り替える
事前認定で後遺障害等級認定を申請したものの、書類が保険会社内で止まっている場合は、被害者請求への切り替えも検討しましょう。 このまま保険会社が書類を準備して審査機関に提出するのを待つよりも、被害者請求に切り替えて自分で書類を用意した方が、早く手続きが済む可能性があります。 ただし、被害者請求に切り替えても必要書類が分からない、必要な検査をしていない、書類に不備・不足があるかチェックをしていない、といった状態では、申請までにさらに時間がかかることも考えられます。 被害者請求に切り替える場合は、弁護士に相談しましょう。弁護士であれば、後遺症ごとに必要な検査や資料を熟知しているため、後遺障害等級認定までの期間が短くなることが期待できます。 被害者請求については、以下のリンクで詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
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弁護士に依頼する
後遺障害等級認定が長引く場合の対処法として、弁護士に依頼することも検討しましょう。 交通事故に詳しい弁護士であれば、後遺障害等級認定の申請や被害者請求に慣れているため、被害者請求の手続きを速やかに進めることができます。 また、被害者に残存した後遺症ごとに等級認定のために必要な資料を不足なく提出できるため、認定までの長期化を防げます。 後遺障害等級認定では、後遺障害診断書の内容がとても重要です。医師に記載してもらった後、弁護士に不備・不足がないか確認してもらうことでより有効な書類となるでしょう。 また、なかなか認定されにくい後遺症でも必要な検査のアドバイスを受けることで、等級認定率が高まります。 弁護士であれば、その後の示談交渉まで任せられるため、相手方保険会社の提示する示談金よりも高額になる可能性があります。
弁護士の介入により速やかに被害者請求を行い後遺障害等級8級相当の認定に成功した事例
<事案の概要>
ご依頼者は、交通事故により胸椎圧迫骨折などの傷害を負いました。 一定期間の入通院治療を続けましたが、骨折部分が十分に癒合せず、腰の痛みや腰を反らす動作のしづらさが残りました。 治療中に私病による治療の中断期間があったことや、事故前の収入が低かったことから、適正な補償を受けられるか不安を感じ、当法人へご相談・ご依頼いただきました。
<弁護士の活動および解決結果>
担当弁護士は症状固定後、速やかに被害者請求を行って、後遺障害等級認定の申請をしました。その結果、ご依頼者に残った脊柱の変形について、「せき柱に中程度の変形を残すもの」として後遺障害等級8級相当が認定され、自賠責保険から819万円の保険金を受け取ることができました。 その後は、相手方の当初提示額から約1300万円増額した内容で示談が成立しました。
交通事故の損害賠償請求には時効があるため注意!
交通事故の損害賠償請求には時効があります。つまり、被害者が加害者に損害賠償請求できる期間には、限りがあるということです。 後遺障害がある場合の時効は、症状固定日の翌日から5年です。 症状固定とは、交通事故によって負った怪我が治療をしてもこれ以上良くならない状態のことを指し、医師から症状固定を診断されると、後遺障害等級認定を申請できるようになります。 5年の時効と聞くと、長く余裕があると思われるかもしれませんが、この時効は後遺障害等級認定の審査結果を待っている間も進行していきます。 つまり、後遺障害の認定が遅くなればなるほど、示談交渉のために残された時間が短くなってしまうのです。 交通事故による損害賠償請求の時効は以下の表のとおりです。
| 事故の状況 | 時効 |
|---|---|
| 物損事故 | 事故の翌日から3年 |
| 人身事故(後遺障害なし) | 事故の翌日から5年 |
| 人身事故(後遺障害あり) | 症状固定日の翌日から5年 |
| 死亡事故 | 死亡日の翌日から5年 |
| 加害者が特定できていない事故 | 事故日の翌日から20年 |
後遺障害等級認定の結果が遅い場合は、時効までの残り時間を確認し、適切な準備をしておく必要があります。時効が迫っている場合の対処法については、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参照ください。
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後遺障害等級の認定期間に関するQ&A
後遺障害等級の認定から示談成立までの期間はどれぐらいかかりますか?
後遺障害等級の認定から示談成立までの期間は、早ければ3~6ヶ月程度です。 争点が多い事案では、1年以上かかるケースもあります。 特に、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益に争いがある場合は、示談交渉が長期化する傾向があります。
<後遺障害ありの人身事故における示談成立までの流れ>
- ① 事故発生
- ② 入通院治療(数ヶ月~1年以上)
- ③ 症状固定
- ④ 後遺障害等級認定の申請~認定(1~3ヶ月程度)
- ⑤ 示談交渉(3~6ヶ月程度)
- ⑥ 示談成立
※個別の事情により期間は異なります
後遺障害等級の認定を受けた後は、少しでも早く示談を成立させたいと考える方も多いでしょう。 しかし、示談をやり直すことは基本的にできません。必要に応じて弁護士に相談しながら、適正な示談金が獲得できるよう、慎重に交渉を進めることが大切です。
むちうちで後遺障害等級14級に認定されるまでの期間はどれくらいですか?
むちうちで後遺障害等級14級に認定されるまでの期間は、1~2ヶ月程度が目安です。
ただし、提出資料の状況などによっては、審査が長引くこともあります。
また、むちうちの後遺障害等級の認定率は決して高いとは言えません。
むちうちの後遺症は外見からは判断できず、MRIやCTなどの画像検査上も異常が認められにくいためです。
むちうちで痛みやしびれなどの後遺症が残った場合にすべきことや、等級認定されるためのポイントについて、以下のリンクで詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
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後遺障害等級の認定が長引いている場合、結果が出る前に示談交渉を始めてもいいですか?
一般的な方法ではありませんが、認定結果が出る前に「後遺障害分以外の傷害部分」について、先に示談交渉をすることは可能です。 怪我による休業などで生活が圧迫している方には良い方法ですが、あくまでも相手方や相手方保険会社が了承してくれた場合に限ります。 また、先に後遺障害分以外の傷害部分について示談交渉する際に、後で後遺障害分がもらえるから、と安易に相手方保険会社の提示する金額で合意することは避けましょう。焦りから早期に示談してしまうと、受け取れる損害賠償金が少なくなってしまう可能性があります。 先に後遺障害分以外の傷害部分について示談交渉したい場合は、一度弁護士に相談されると良いでしょう。
後遺障害等級の認定期間でお困りなら、交通事故に詳しい弁護士にご相談ください
後遺障害等級の申請から認定までは2ヶ月程度かかりますが、後遺症の種類や程度によって認定までの期間は異なっています。 申請してから結果が分かるまで、時間がかかっていると不安な気持ちになると思いますが、そのような場合は私たち弁護士法人ALGにご相談ください。 私たちは交通事故に詳しい弁護士が多数在籍しております。交通事故に詳しい弁護士だからこそ、後遺障害等級認定について熟知しており、弁護士が十分資料を集めたうえで申請することで、認定期間を短縮できる可能性があります。 また、弁護士に任せることで、後遺障害診断書の確認やご自身の後遺症に合った検査のアドバイス、必要な資料を作成することができるため、後遺障害等級が認定される確率が高まり、損害賠償金の増額につながります。 後遺障害等級認定まであまりにも時間がかかりすぎていると感じた場合は、一度私たちにご相談ください。























